20080416 日本経済新聞 地方経済面

 昨年十二月、保険の銀行窓販が全面解禁されたが北陸の地銀は、販売に慎重な姿勢のようだ。全面解禁後、各行は医療保険やがん保険など、説明が容易な商品に絞り込んだ。投資信託など元本割れの恐れがあるリスクの高い金融商品販売を対象にした金融商品取引法の完全施行に追われ、保険窓販に力を傾けられないうえ、費用対効果を見極めたいとの思惑もある。
 三県では北陸銀行、北国銀行、福井銀行の三行が全面解禁直後の十二月二十五日から医療とがんの両保険の販売を始めた。福邦銀行も今年一月に入り、追随。富山第一銀行は今月下旬に販売を始める見通しだ。
 ただ、取り扱う商品分野の拡大にはなお慎重な地銀が多い。一部に自動車保険の販売を検討する地銀もあるが、大半は現状の品ぞろえを維持する方針を示す。富山銀行は「顧客ニーズをみて取り扱いを検討する」(営業統括部)と販売を見送っている。
 顧客ニーズ開拓には品ぞろえ拡充が必要となるが、医療保険など高度な知識が必要となる商品は負担が増すばかり。圧力販売を防ぐ観点から融資先などへの販売が禁じられ、「顧客開拓が難しく出足は鈍い」(ある地銀)と明かす。
 「全面解禁された保険商品も将来は収益の貢献を期待する」(北国銀営業統括部)が、いずれの地銀も当面は費用対効果を見極めようと様子見を決め込んでいる。
【図・写真】保険の窓販では費用対効果を見極めたいとの思惑も(富山市内の北陸銀本店営業部)

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4月15日3時5分配信 読売新聞


 がんや糖尿病などの早期発見のために、検査器具(キット)を使って自ら血液などを採取して検査機関に送って検診を受ける郵送検診の国内最大手「日本メディカル総研」(東京都港区)の川崎市内にある中央研究所が昨年10月以降、法律で定められた指導監督医を置かずに検査を行っていることが14日、関係者の話でわかった。

 川崎市と同社の説明によると、同社は昨年7月に開設した中央研究所について、「臨床検査技師等に関する法律」に基づいて衛生検査所の登録を同市に申請、8月7日付で認められた。同法では、衛生検査所を開設する場合、医師を管理者とするか、指導監督医とすることを定めている。同社は研究所の開設時、指導監督医として女性の病理医を申請したが、昨年10月に退社、不在が続いている。

 同年11月9日、川崎市の立ち入り検査で発覚。市は同19日、医師の配置など12項目の改善を文書で行政指導。研究所は、立ち入り検査後に、いったん検体検査を中止したが、行政指導の当日から再開し、その後、少なくとも5万人以上の検査を実施した。現在、同研究所のスタッフは臨床検査技師ら約10人。

 読売新聞の取材に対して、同社は「後任の医師を探すよう努力している。検査機器や試薬の使用は適正に行われており、結果に問題はないと考えている」と説明。しかし、衛生検査所を担当する厚生労働省経済課医療関連サービス室は「明らかな違法状態で、速やかに検査を中止すべきだ」としている。

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4月15日7時55分配信 毎日新聞



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何が変わった後期高齢者医療制度

 75歳以上を対象に今月1日スタートした後期高齢者(長寿)医療制度で、年金からの保険料天引きが15日から始まる。政府が天引き方式を導入したのは、お年寄りにも「支払い能力に応じた公平な負担」を求めるとともに、保険料を確実に徴収し、行政コストを減らすのが狙いだ。低所得者の多くは負担が減るが、従来保険料の減免措置が行われていた自治体のお年寄りは負担が増える人も出る。

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 福田康夫首相は14日、新制度そのものがまだ十分知られていないことなどについて、記者団に「説明不足で混乱している。非常にまずかったと反省している」と述べた。

 年金の振り込みは2カ月に1度なので、保険料も2カ月分がまとめて差し引かれる。負担額は全国平均で月額約6000円。ただ、新制度を運営する都道府県単位の「広域連合」ごとに違うほか、所得ごとにも異なる。

 原則として、同一都道府県で同じ所得の人は、同額の保険料を払うことになる。厚生労働省は「基礎年金受給者の場合、保険料は下がる」と説明している。ただ、大都市部を中心に、市町村が運営する国民健康保険から移行する人は、自治体による補助がなくなるため、保険料が増える人も少なくない。

 天引き方式が適用されないのは、受給年金が年間18万円未満の人や、介護保険料と医療保険料の合計額が年金額の2分の1を超える人。75歳以上の約1300万人のうち、8割程度の人が天引き済みの年金を受け取ることになる見通しだ。勤め人の子どもらの扶養を受けていた人は、これまで保険料を払う必要がなかったが、10月には新たに負担の義務が生じる。しかし、新制度をめぐっては、約6万3000人に新しい保険証が行き渡らないなどの不手際が起きている。また、東京都の14区など全国で31市区町村は、保険料徴収システムの改修が間に合わず、天引きを10月からに先送りする。

 野党は新制度の廃止を主張しているが、舛添要一厚労相は「天引きをやめても保険料を払う必要があることに変わりはない。支払窓口に来ていただく手間が省ける」と理解を求めている。【佐藤丈一】

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20080415 日本経済新聞 朝刊

・高齢化社会のコスト自覚を
・経済成長する中福祉・中負担の国に
・社会保障改革は「超党派案件」に
 躍動するアジア。変革する欧米。外を見て、そして日本を見て、背筋がヒヤリとすることはないか。世界が動くかたわらで、日本は孤独な世界に入り込んでいないか。内を向き、うつむき、何も変えられない。漂流ニッポン。このまま未来を縮めて、いいものか――。
 茨城県かすみがうら市。認知症高齢者のためのグループホームが相次いでつくられ、およそ二百人が暮らす。ここで「本来ならあり得ない」(厚生労働省)事態が進行している。
 二〇〇六年四月の国の制度改正でホームの入居者は「地域住民に限定」された。しかし、市の担当者は言う。「入居者の半数近くは今でも東京都民です」
苦肉の再分配
 環境も良く、東京からの入居希望者は後を絶たない。入居者一人につき市の保険財政から年に約三百万円を給付しなければならない。「こちらがカネを払うのではやっていけない」。考え出されたのが「地域住民限定」をあくまでも原則ととらえ、自治体間の合意で「地域外」から入居させる裏技だった。
 市は荒川区や江東区などと個別に折衝し、取り決めを結んだ。〈高齢者は受け入れる。ただ住民票は移さない〉。給付分は区がかすみがうら市に仕送りする。都市から地方への苦し紛れの再分配システムがここにある。関係者によると、ホーム定員数に対する介護給付件数の割合が東京では一四〇%超という。
 さて、ここからどんな現実が見えるだろうか。過密の都市部では介護施設が足りない。地方は高齢化のコストを担いきれない。それは負担の押しつけ合いという近未来を予兆しているとはいえまいか。
 高齢化が世界最速で進む日本。高齢者の六人に一人は介護が必要だ。二千七百万人いる六十五歳以上人口は二〇二〇年には三千六百万人に増える。なのに年金、医療、介護の社会保障システムはきしむ。
 「事情により診療を休止」。全国の病院でこんな張り紙が増えている。業界団体が二千八百の病院を調べたところ「入院を休止」したことがあるのは五百二十一。「休止した診療科がある」は四百三十九。
 患者は増え、医師は足りず、健康保険にはお金が足りない。少子化の加速でいまの高齢者と同じような年金をいまの現役世代はもらえない。一方で組織や運営にムダはないか。制度を少し効率化すれば、真に必要な分野に回るお金が出てくるのではないか。わかっていることは自然と財源がわき出すほど事態は甘くないことだ。むしろ問題を長く放置したがゆえに処方箋(せん)は限られる。
 政治は何をしているのか。今年初め。スイスのダボス会議で、自己紹介した首相の福田康夫は元経済財政担当相の竹中平蔵を指して言った。「改革はすべてこの人がやってしまった。もう私がやることはない」
脱・決めない政治
 古びた土俵を直すのは政治の責任だ。OECD事務総長のグリアは言う。「少子高齢化の日本は他国よりずっと不利だ」。あなたならどうするか。「『政治的に難しい』を何もしないことの言い訳にしない」
 十一日、政府・与党は福田が窮余の一策で提案した道路特定財源の一般財源化で合意した。ねじれ国会の副産物ではあるが、改革の種火になりうる。社会保障に使える財布は増えた方がよい。基礎年金の全額を保険料から消費税などに切り替える税方式の議論も盛んになっている。危機感を持って改革を訴える人に光を当てるのも政治だ。
 負担増は弱者いじめではない。五人に一人の高齢者は五十年で二・五人に一人になる。若い世代だけで負担するのは無理と説明する責任を政治は負う。人口が増え、経済が拡大し、税収も増えたのは昔の話。市場システムとグローバル化を最大限活用しながら、若くはない日本の経済を成長させる。社会保障を中福祉・低負担から中福祉・中負担に抜本的に切り替える。
 政局の犠牲にしないという事柄を決めてほしい。党の利害を超越した「超党派案件」の筆頭に社会保障改革はくるはずだ。それができずに「政治主導」などありえない。=敬称略
(漂流ニッポン取材班)
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【図・写真】政治が滞る間に、社会は激動する

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20080415 日本経済新聞 朝刊

 新年度に始まった後期高齢者医療制度をめぐって当の高齢者の間に混乱が広がっている。保険証が届かない世帯が続出しているうえに、制度がどんなものかを知らされていない人が大半というお粗末さだ。
 年金、医療など国の社会保障制度に国民が抱く不信感はかつてなく高い。病気やけがをする可能性が大きい高齢者はなおさらだ。「医療不安」といってもいい。政府と新制度を運営する都道府県(広域連合)、保険証送付を担当する市区町村は連携を密にして医療不安を和らげる努力に手を尽くすべきである。
 新制度の特徴は七十五歳以上の高齢者千三百万人を独立させた点にある。財源は(1)高齢者自身が払う保険料(2)国と地方自治体が拠出する税金(3)現役世代が健康保険制度を通じて分担する支援金――で構成する。
 混乱の第一は、本人に新しい保険証が届いていない問題だ。市区町村が住所を正しく把握しておらず、自治体の担当課に返送される例が相次いでいる。受け取った人がダイレクトメールと勘違いし、封も切らずに捨てた例も少なくないという。
 有効な保険証がなければ、患者は病院などで診療を受けられない。厚生労働省は国民健康保険など旧来の保険証での受診を認めることにしたが、新保険証を行き渡らせる努力が何よりも大切だ。自治会組織の活用や戸別訪問も必要になろう。
 混乱の第二は、保険料の徴収方法にある。介護保険と同様に、原則として厚生年金や国民年金から天引きするやり方だ。納付漏れを最小限に抑えるためにもやむを得ない方法だが、大半の高齢者がこの方法を知らなかったのは厚労省の怠慢だ。
 この仕組みは二〇〇六年に成立した医療制度改革法に盛り込まれた。その後、与党が主導して〇七年度の補正予算で一部の保険料負担を凍結することにした。最初の天引きの日はきょう十五日だ。
 行政側は規定どおり天引きするのが当然と考える。だが法律の成立は二年前だ。当時、報道されていても多くの人は忘れているだろう。しかもこの間に負担増の一部凍結という重要な変更があったのに、政府は分かりやすく説明する努力を怠った。説明用パンフレットも、虫眼鏡なしでは読めないような細かな字や難解な行政用語を使っていては意味がない。それこそ税金の無駄遣いだ。
 政府・自治体の一連の対応は、首相の口癖である「国民目線に立った行政」とはほど遠い。すべての関係者がそれを自覚しなければ、早晩この制度は立ちゆかなくなる。

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