4月16日11時52分配信 毎日新聞


 乳製品をたくさん食べる男性は、ほとんどとらない男性に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になることが、厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で分かった。乳製品は骨粗しょう症や高血圧、大腸がんの予防に有効だとする報告も多く、研究班は「乳製品の摂取を控えた方がいいかどうかは総合的な判断が必要で、現時点での結論は出せない」としている。  

 研究班は、95年と98年に登録した全国10府県に住む45~74歳(登録当時)の男性約4万3000人を04年まで追跡。このうち329人が前立腺がんを発症した。牛乳やヨーグルトなど乳製品の摂取量によって4群で分析した結果、最も多い群は、ほとんどとらない群に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になった。摂取量が多いほど危険性が高まる傾向がみられた。

 乳製品に多く含まれるカルシウムと飽和脂肪酸は、前立腺がん発症の危険性を高める可能性のあることが報告されている。【須田桃子】

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20080415 日本経済新聞 夕刊

 七十五歳以上を対象に四月に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料を徴収するため、厚生労働省・社会保険庁は八百三十二万人を対象に十五日支給の年金で初めて保険料を天引きした。高齢者への周知徹底は十分とはいえず、一部の自治体には朝から問い合わせが相次ぐなど混乱の中でスタートした。福田政権初の国政選挙となる衆院山口2区の補欠選挙も同日告示され、ガソリンの暫定税率の復活に加え、年金天引きも争点に自民、民主両党が激突する。
 厚労省は十五日、新しい保険証が届いていない人が四万五千人いることを明らかにした。福田康夫首相は同日、制度が混乱していることについて記者団に「新しい制度で(加入者は)まだなれていない。市町村は丁寧な説明をしてほしい」と述べ、周知徹底に関して地方自治体を指導する考えを示した。
 舛添要一厚生労働相は十五日の閣議後の閣僚懇談会で、年金天引きについて「保険料を金融機関で支払う手間や行政の徴収コストを省くことができ、保険料も七―八割の人は下がる」と強調。今後は制度の周知徹底に注力すると説明した。厚労相はその後の会見で「実施の責任は自分にあり、国民に迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝した。
 これに対し、民主党は十五日の厚生労働部門会議で、後期高齢者医療制度の廃止を求めていく方針を確認した。同党の菅直人代表代行は十五日午前、山口県岩国市での演説で「年金を払う方をちゃんとせず、とる方ばかりやるのはおかしい」と批判した。
 約二万二千人が対象者となる東京都墨田区では十五日、後期高齢者医療の担当者が朝から対応に追われた。午前八時半の受け付け開始から一時間半で約百本の電話がかかっており、全部で十本ある電話のうち常時四、五本で応対した。「なぜ年金からの天引きなのか」「なぜ保険料が上がるのか」といった不満や苦情が多く、「十五日も同様の問い合わせが続いている」(国保年金課)という。
 七十五歳以上の高齢者は約千三百万人いるが、年金額が年十八万円未満の人などは天引きの対象外。会社員の子供らに扶養されている高齢者も九月までは保険料が免除されるため、天引きは十月から。
 また、横浜市など三十一の市区町村は準備不足から天引きそのものを十月以降に延期した。
 年金は二カ月分がまとめて支給されるため、保険料も二カ月分まとめて天引きする。保険料の額は居住する都道府県や所得によって異なる。全国平均は月六千円で、二カ月分だと一万二千円になる。


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20080416 日本経済新聞 朝刊

 十五日に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料の年金天引きで、少なくとも六十以上の市町村(東京都内の特別区含む)が保険料の金額を間違って徴収したり、保険料の免除者から誤って徴収したりするミスを犯していたことが分かった。市町村は余分に取った分は返金し、取り損ねた分は六月以降の年金天引きで追加徴収する。準備の遅れや導入直前の制度変更がミスの背景にある。(後期高齢者医療制度は3面「きょうのことば」参照)=関連記事3、5面に
 日本経済新聞の調べでは、徴収ミスの該当者は四万人程度に上る。余分に徴収した保険料は一億円程度、取り損ねた保険料は一億円を大きく上回る見通し。
 ミスで最も多いのは、健康保険に加入する子供らに扶養される高齢者から天引きしてしまうパターン。全体で約二百万人いるこれらの人は制度導入の激変緩和措置として、半年間は保険料支払いが免除されているが、東京都文京区などで余分に徴収される事例が生じた。また所得控除など算定の基準となる制度を誤解してプログラムをつくり、多く取りすぎたり、取り損なうケースも多い。一万八千五百四人を対象に計九千七百万円の徴収不足が起きた広島県尾道市も計算間違いだ。
 十五日支給の年金で保険料を天引きするには、市町村は一月後半までに高齢者一人一人の保険料額を社会保険庁に届け出る必要があった。大部分の市町村は期限までに保険料を届け出たが、その後ミスが相次いで発覚。修正ができないまま天引きが実行された。
 政府は与党の参院選大敗を受けて昨秋に激変緩和措置を決定。この制度変更で市町村が保険料を算定する作業が混乱・遅延した。横浜市など三十一の市区町村は準備不足と判断し、この日の天引きを見送った。
 徴収ミスの事実を積極的に公表していない市町村も多く、ミスを犯した市町村は今後さらに増えることが確実だ。

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20080416 日本経済新聞 朝刊

 日本の政府はどうも「見えてない」気がする。
投資家逃がす
 三月初め。銀行の担当者が一本の電話に慌てふためいた。「いったい誰のための法律や。お客には迷惑千万やないか」
 声の主は元財務相の塩川正十郎(86)。送金のため代理人が銀行に出向いたところ、自身の来店を求められた。二〇〇七年の金融商品取引法で高齢者には本人確認が必要になったと担当者。金融に詳しいと自負する塩川は納得できない。「そんなしゃくし定規な制度では投資家も逃げる。顧客保護? 行政が責任を逃れるアリバイと違うか」
 高齢者を狙った犯罪が増えるなか、法改正の趣旨への異論はない。だが塩川のような不満をもつ投資家も多い。影響は金融商品全般に広がり、法施行から半年の投資信託の販売額はその前の半年より三割減。「株安もあるが金商法の影響が大きい」(国際投信投資顧問)。政府が掲げる「貯蓄から投資」も遠のく。
 詐欺、偽装、破産。社会問題への対応を迫られ、省庁は制度を見直す。ただ多くの付け焼き刃が利便性を傷め、経済活動の邪魔にもなる。耐震偽装を受けた建築基準法改正が景気に冷や水を浴びせたのは記憶に新しい。日本の活力を損ないかねない規制には、細心の配慮が必要だ。
 ここ数年、大学閉鎖を引き起こすなど若者の感染が拡大したはしか。副作用を巡る国の敗訴を受け厚生労働省が予防接種を努力義務に格下げした結果だ。国内ばかりか南米などでも突然の流行。日本での感染者が持ち込んだウイルスが原因とわかり「はしか輸出国」に世界の非難が集まる。
 「政策には影響を念入りに検証する作業が不可欠。官僚が十把ひとからげに規制を強めたりなくしたりする安直さが目立つ」。経済産業省出身で専修大客員教授の石川和男は指摘する。
 官僚にも言い分はある。「社保庁の次は金融庁をたたく!」。高金利貸し付けが社会問題となった〇六年、金融庁がまず気にしたのはワイドショーだ。「番組でのコメントが政治家の発言にも影響していたから」(金融庁元職員)
 感情論に流れた政治の風圧を受け、貸金業法規制は合理性を素通りし、想定よりずっと厳しくなった。結果、「健全業者の経営も揺らぎ、借り手の中小企業が大量倒産」(帝国データバンク)。貸金業から外資も撤退し「先の読めない制度を嫌う外国人の日本売りに一役買った」(UBS証券の大槻奈那)。金商法、建築基準法、貸金業法の「3K法」。拙速な制度設計の副作用は無視できない。
 一方、ほこりをかぶっている規制もある。家電事故などの処分を定めた製品安全法は三年前のファンヒーター事故まで三十年も「抜かずの宝刀」。省エネ法はエネルギー消費の多い工場などに年一%の改善義務を課し、違反には改善命令、社名公表もできる。至上命題の温暖化対策だが、ここ十年そうした措置はない。
安易な人気取り
 教訓は何か。官僚批判に流れ「白か黒か」の解を拙速に求める風潮に見直しは要る。ただ、効果と弊害を見極めない人気取り政策は、説明と説得を欠いた怠慢行政だ。無意味な規制を残し、無意味な規制を新たに始める。規制もタテ割り、規制緩和もタテ割り。整合性なき行政で「政策不況」を繰り返すのか。
 「小さく賢明な政府を」と言われて久しい。年金で不祥事を乱発し、なお高齢者医療で不手際を起こす社会保障行政は、自己修正機能を失った行政システムの象徴だ。これでは不信が先立ち、やるべき事もできない。政治と行政は司令塔不在と思わざるをえない。
 行政スリム化を目指した〇一年の省庁再編から七年。政府は新たに「消費者庁」をつくるという。まさか縄張りを解かずに「つくった」だけで済むわけはない。アリバイ行政ばかりなら、ニッポンの重荷がまた増える。=敬称略
(漂流ニッポン取材班)
=関連記事を経済教室面に
・信頼されない行政の罪、今こそ自覚
・戦略性ある「小さく賢明な政府」へ
・議論を深め「白か黒か」から脱却を
 日経ネットPLUS(http://netplus.nikkei.co.jp)で関連情報を掲載しています。
【図・写真】付け焼き刃規制が活力をそぐ(3K法の資料)


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20080416 日本経済新聞 朝刊

 東大名誉教授・大森弥氏 保険料の年金からの天引きはそれ自体は悪い制度ではない。各自が保険料を払う方式だと、所得の把握などが難しくきめ細かな減免措置などができない。支払う側も申請などで手間がかかる。結局支払う金額は同じなのだから、国民に迷惑をかけない天引きは利点がある。国は丁寧に説明して国民の理解を得ていくべきだ。同様に天引きされる介護保険の導入時も大きな反対があったが、国民の理解が得られて収まった経緯がある。
 中央社会保障推進協議会事務局長・山田稔氏 随分前から様々な問題点が指摘されていたのに周知徹底が不十分なまま制度が始まってしまった。七十五歳以上の健康保険加入者は四月から新制度に移り、七十五歳未満の妻は国民健康保険に加入する必要があるが、手続きが間に合っていない人がたくさんいる。七十五歳で保険制度を分けるというのは世界でも例がない。政府は医療費使いすぎを抑制すべきだと言うが、本当に使いすぎなのか。制度を廃止し根本的な議論をし直すべきだ。


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