20080416 日本経済新聞 朝刊

 十五日に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の保険料の年金天引きで、少なくとも六十以上の市町村(東京都内の特別区含む)が保険料の金額を間違って徴収したり、保険料の免除者から誤って徴収したりするミスを犯していたことが分かった。市町村は余分に取った分は返金し、取り損ねた分は六月以降の年金天引きで追加徴収する。準備の遅れや導入直前の制度変更がミスの背景にある。(後期高齢者医療制度は3面「きょうのことば」参照)=関連記事3、5面に
 日本経済新聞の調べでは、徴収ミスの該当者は四万人程度に上る。余分に徴収した保険料は一億円程度、取り損ねた保険料は一億円を大きく上回る見通し。
 ミスで最も多いのは、健康保険に加入する子供らに扶養される高齢者から天引きしてしまうパターン。全体で約二百万人いるこれらの人は制度導入の激変緩和措置として、半年間は保険料支払いが免除されているが、東京都文京区などで余分に徴収される事例が生じた。また所得控除など算定の基準となる制度を誤解してプログラムをつくり、多く取りすぎたり、取り損なうケースも多い。一万八千五百四人を対象に計九千七百万円の徴収不足が起きた広島県尾道市も計算間違いだ。
 十五日支給の年金で保険料を天引きするには、市町村は一月後半までに高齢者一人一人の保険料額を社会保険庁に届け出る必要があった。大部分の市町村は期限までに保険料を届け出たが、その後ミスが相次いで発覚。修正ができないまま天引きが実行された。
 政府は与党の参院選大敗を受けて昨秋に激変緩和措置を決定。この制度変更で市町村が保険料を算定する作業が混乱・遅延した。横浜市など三十一の市区町村は準備不足と判断し、この日の天引きを見送った。
 徴収ミスの事実を積極的に公表していない市町村も多く、ミスを犯した市町村は今後さらに増えることが確実だ。

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