20080515 日本経済新聞 朝刊
投資信託への個人マネーの流入が一段と細っている。投信を運用する大手十社の投信販売状況によると、四月は解約額が購入額を約七百億円上回る資金流出超となった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融市場の混乱が長引き、個人の投資意欲が減退したようだ。
野村アセットマネジメントや大和証券投資信託委託、日興アセットマネジメントなど株式投信で運用残高上位十社の資金流出入状況をまとめた。三月は千五百億円の資金流入超だった。
中小の投信運用会社を合わせた市場全体でも資金流出に転じた公算が大きい。全体で流出超になれば、日経平均株価がバブル崩壊後の最安値圏にあった二〇〇三年七月以来、四年九カ月ぶり。
一方、四月末の株式投信の純資産残高は三月末に比べて増加したもよう。日経平均株価が上昇し、運用成績が改善した。
20080515 日本経済新聞 朝刊
政府・与党は七十五歳以上の高齢者を対象に四月から導入した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策づくりに動き出した。所得が低いのに保険料が上がった人への負担軽減策などが焦点。だが、高齢者に応分の負担を求めるのが新制度の柱であるだけに大幅な改革は想定しない。改善策として浮上した項目でも財源などで限りがあり、とりまとめのメドとする六月中旬に向けた調整は難航必至だ。
厚生労働省は十四日、都内に地方自治体の担当者を集めた会議を開いた。自民党も同日、谷垣禎一政調会長が鈴木俊一社会保障制度調査会長に具体的な検討開始を指示。参院政策審議会も会合を開くなど議論を本格化させた。二度目の年金からの保険料天引きがある六月十三日を念頭に、政府・与党としての対策をまとめたい考えだ。
対策の柱となるのが負担軽減のあり方。厚労省は低所得者ほど保険料負担が下がると説明してきたが、新制度発足で自治体独自の軽減措置がなくなり、負担増になる事例が相次いだためだ。
厚労省は負担増減に関する実態調査の結果を踏まえ(1)新制度の運営主体となる都道府県単位の広域連合が新たに低所得者向け負担軽減策を創設する(2)国はそのための財政支援をする――案を軸に検討する。
与党も基礎年金(満額で月六万六千円)以下の収入しかない世帯の保険料の大幅減免などを検討する。低所得者向け支援に加え、会社員の子供に扶養されている高齢者の保険料免除を十月以降も一年程度延長するなど、与党はより幅広い負担軽減策も視野に入れる。
与党内には、衆院議員の任期満了が来年九月に迫り、衆院解散・総選挙が視界に入ってくる中で「負担増が実施されるたびに批判にさらされてはたまらない」との思いがある。後期高齢者ではないが、七十―七十四歳の負担軽減策も検討。現役並み所得者以外は来年四月から窓口負担が一割から二割に上がる措置を一年程度、先送りする案も浮上している。
問題は財源だ。例えば七十―七十四歳の窓口負担軽減には約千四百億円が必要だが、これらをどう捻出(ねんしゅつ)するかの議論はこれから。厳しい財政事情を背景に政府・与党内にも慎重論があるほか、幅広い負担軽減策を続けると制度の趣旨があいまいになる懸念もある。
一方、民主党は十四日の「次の内閣」会合で野党四党で参院への提出を目指す制度廃止法案の中間報告を了承した。来年四月の制度廃止と保険料の年金天引きの早期中止が柱で、現行制度が続く間の低所得者の負担も軽減する。民主党も必要な財源や対案の本格検討は遅れており、党内にも「無責任との批判を浴びかねない」(代表経験者)との懸念が出ている。
▼後期高齢者医療制度 七十五歳以上の高齢者らを対象にした医療保険制度。国民健康保険などから対象者を切り離して運営する。医療給付費を賄う財源は、高齢者が払う保険料で一割、若い世代の保険料で四割、税金で五割を負担する。二年ごとに高齢者の負担割合を見直す。保険料は都道府県ごとに異なり、生活保護者らを除き、所得などに応じて払う。高齢者が医療機関で診療を受ける際の窓口負担は原則一割で従来通り。
政府・与党は七十五歳以上の高齢者を対象に四月から導入した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策づくりに動き出した。所得が低いのに保険料が上がった人への負担軽減策などが焦点。だが、高齢者に応分の負担を求めるのが新制度の柱であるだけに大幅な改革は想定しない。改善策として浮上した項目でも財源などで限りがあり、とりまとめのメドとする六月中旬に向けた調整は難航必至だ。
厚生労働省は十四日、都内に地方自治体の担当者を集めた会議を開いた。自民党も同日、谷垣禎一政調会長が鈴木俊一社会保障制度調査会長に具体的な検討開始を指示。参院政策審議会も会合を開くなど議論を本格化させた。二度目の年金からの保険料天引きがある六月十三日を念頭に、政府・与党としての対策をまとめたい考えだ。
対策の柱となるのが負担軽減のあり方。厚労省は低所得者ほど保険料負担が下がると説明してきたが、新制度発足で自治体独自の軽減措置がなくなり、負担増になる事例が相次いだためだ。
厚労省は負担増減に関する実態調査の結果を踏まえ(1)新制度の運営主体となる都道府県単位の広域連合が新たに低所得者向け負担軽減策を創設する(2)国はそのための財政支援をする――案を軸に検討する。
与党も基礎年金(満額で月六万六千円)以下の収入しかない世帯の保険料の大幅減免などを検討する。低所得者向け支援に加え、会社員の子供に扶養されている高齢者の保険料免除を十月以降も一年程度延長するなど、与党はより幅広い負担軽減策も視野に入れる。
与党内には、衆院議員の任期満了が来年九月に迫り、衆院解散・総選挙が視界に入ってくる中で「負担増が実施されるたびに批判にさらされてはたまらない」との思いがある。後期高齢者ではないが、七十―七十四歳の負担軽減策も検討。現役並み所得者以外は来年四月から窓口負担が一割から二割に上がる措置を一年程度、先送りする案も浮上している。
問題は財源だ。例えば七十―七十四歳の窓口負担軽減には約千四百億円が必要だが、これらをどう捻出(ねんしゅつ)するかの議論はこれから。厳しい財政事情を背景に政府・与党内にも慎重論があるほか、幅広い負担軽減策を続けると制度の趣旨があいまいになる懸念もある。
一方、民主党は十四日の「次の内閣」会合で野党四党で参院への提出を目指す制度廃止法案の中間報告を了承した。来年四月の制度廃止と保険料の年金天引きの早期中止が柱で、現行制度が続く間の低所得者の負担も軽減する。民主党も必要な財源や対案の本格検討は遅れており、党内にも「無責任との批判を浴びかねない」(代表経験者)との懸念が出ている。
▼後期高齢者医療制度 七十五歳以上の高齢者らを対象にした医療保険制度。国民健康保険などから対象者を切り離して運営する。医療給付費を賄う財源は、高齢者が払う保険料で一割、若い世代の保険料で四割、税金で五割を負担する。二年ごとに高齢者の負担割合を見直す。保険料は都道府県ごとに異なり、生活保護者らを除き、所得などに応じて払う。高齢者が医療機関で診療を受ける際の窓口負担は原則一割で従来通り。
20080515 日本経済新聞 朝刊
高齢者の負担軽減策以外でも改善策づくりのテーマは多い。
焦点の一つは、年金からの保険料天引きを選択制にするかどうか。年金が少ない場合は家族が払えるような道も残してほしいとの要望が強いためだ。だが、厚労省が十四日に開いた会議では、自治体の担当者から「徴収事務の負担が発生するから、やめてほしい」との声が相次いだ。
病気回復の見込みが乏しい場合、延命治療の有無などを医師と相談してあらかじめ文書にまとめるサービスの見直しも課題。医療機関には相談料として報酬が支払われるが、政府・与党はこの廃止を検討している。民主党などから「医療費削減ありきで患者の切り捨てにつながる」と批判が出ているためだ。ただ厚労省は「医療現場の声を踏まえてつくった制度で見直すつもりはない」(幹部)と主張している。
六十五―七十四歳で障害者と認定された人が後期高齢者医療制度に加入しないと医療費補助が受けられなくなっている問題もある。厚労省の江利川毅事務次官は十四日、自治体担当者に「いろんな指摘を十分にご勘案いただきたい」と話し、強制的に加入させるのではなく、あくまでも自主的な申請に基づくよう自治体に是正を求めた。
高齢者の負担軽減策以外でも改善策づくりのテーマは多い。
焦点の一つは、年金からの保険料天引きを選択制にするかどうか。年金が少ない場合は家族が払えるような道も残してほしいとの要望が強いためだ。だが、厚労省が十四日に開いた会議では、自治体の担当者から「徴収事務の負担が発生するから、やめてほしい」との声が相次いだ。
病気回復の見込みが乏しい場合、延命治療の有無などを医師と相談してあらかじめ文書にまとめるサービスの見直しも課題。医療機関には相談料として報酬が支払われるが、政府・与党はこの廃止を検討している。民主党などから「医療費削減ありきで患者の切り捨てにつながる」と批判が出ているためだ。ただ厚労省は「医療現場の声を踏まえてつくった制度で見直すつもりはない」(幹部)と主張している。
六十五―七十四歳で障害者と認定された人が後期高齢者医療制度に加入しないと医療費補助が受けられなくなっている問題もある。厚労省の江利川毅事務次官は十四日、自治体担当者に「いろんな指摘を十分にご勘案いただきたい」と話し、強制的に加入させるのではなく、あくまでも自主的な申請に基づくよう自治体に是正を求めた。
20080515 日本経済新聞 朝刊
日本経団連は十四日、社会保障制度の改革について提言を発表した。基礎年金では「税方式化は有力な選択肢」と明記し、現行の保険料方式から制度を抜本的に変えていくべきだと指摘。医療・介護保険でも「公費の投入割合を増やしていくべき だ」との考えを示した。財源には消費税をあげたが、増税幅は示さなかった。経団連は秋にも制度の詳細案をまとめる考えだ。
経団連は二〇〇五年十月に税方式を政府に提言しているが、御手洗冨士夫会長の下で同方式を打ち出すのは初めて。少子化で現役が高齢世代を支える今の保険料制度にほころびが出ている点を強調。社会保険庁の不祥事も踏まえ、「(年金・介護・医療の制度は)保険料負担から税負担にシフトすることが求められる」との見解を示した。
日本経団連は十四日、社会保障制度の改革について提言を発表した。基礎年金では「税方式化は有力な選択肢」と明記し、現行の保険料方式から制度を抜本的に変えていくべきだと指摘。医療・介護保険でも「公費の投入割合を増やしていくべき だ」との考えを示した。財源には消費税をあげたが、増税幅は示さなかった。経団連は秋にも制度の詳細案をまとめる考えだ。
経団連は二〇〇五年十月に税方式を政府に提言しているが、御手洗冨士夫会長の下で同方式を打ち出すのは初めて。少子化で現役が高齢世代を支える今の保険料制度にほころびが出ている点を強調。社会保険庁の不祥事も踏まえ、「(年金・介護・医療の制度は)保険料負担から税負担にシフトすることが求められる」との見解を示した。
20080515 日本経済新聞 朝刊
第一生命保険は十四日、保険商品のうち死亡保障など主契約につく特約の一部の募集を六月から停止すると発表した。販売件数が少なかったり、保障内容が類似したりする特約が対象となる。多くの特約がついた複雑な商品構成は保険金不払い問題の温床に なったため、特約を減らして保険内容をわかりやすくする。
第一生命保険は十四日、保険商品のうち死亡保障など主契約につく特約の一部の募集を六月から停止すると発表した。販売件数が少なかったり、保障内容が類似したりする特約が対象となる。多くの特約がついた複雑な商品構成は保険金不払い問題の温床に なったため、特約を減らして保険内容をわかりやすくする。