20080603 日本経済新聞 地方経済面

 八十二銀行は二日、運用実績に応じて年金原資の最低保証額が切り上がる変額年金保険の新商品を発売した。国内外の株式や債券で運用し、一度保証額が切り上がるとその後の運用成績が悪化しても変わらない仕組み。最低保証額は払い込んだ保険料の一〇〇%―一三〇%。主に退職金の長期運用を考える団塊世代の需要を見込む。
 新商品は「プレミアステップ」。運用によって積立金が払い込んだ保険料額の一一〇%、一二〇%、一三〇%に到達するたびに、最低保証額が切り上がって利益を確保できる。運用成績が悪くても、運用期日まで保有すれば保険料の一〇〇%分が保証される。契約時の手数料は無料。
 引受保険会社は第一フロンティア生命保険(東京・中央)。契約は七十五歳までで、契約時に払い込む保険料は二百万円以上。運用期間は十―二十年。
20080602 日本経済新聞 朝刊

 七十五歳以上を対象に四月から導入した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直し案で、与党は保険料を軽減する対象を拡大する方向で検討に入った。所得が比較的高い人が負担する「所得比例部分(所得割)」にも軽減措置を新たに導入する。具体的には年金収入が年百五十三万―二百八万円の高齢者を対象に、所得割の保険料を二五―一〇〇%軽減する。(関連記事2面に)
 一日、明らかになった改善策の原案に盛り込まれた。これまでの議論ですべての世帯が負担する「均等割」について軽減措置を拡大する方向が固まっていた。与党は二日の厚生労働関係議員の幹部会合で原案を提示し、最終調整に入る。今週半ばに与党案をとりまとめ、来週中に政府・与党で正式決定する予定だ。
 所得割の保険料について、年金収入が年百五十三万円超―百六十八万円の人は全額免除するなどの措置を新たに盛り込む。百六十八万円超―百七十三万円は七五%、百七十三万円超―百九十三万円は五〇%、百九十三万円超―二百八万円は二五%、それぞれ減額する。
 保険料はこの所得割に、均等割を加算して決める。実際の保険料の金額は制度を運営する都道府県単位の広域連合が決めるため、住んでいる地域によって異なる。現行制度の下で全国平均の保険料は年額七万円程度。
 均等割に関して与党は、現在二―七割の軽減措置を拡充する方針をすでに決めている。被保険者が基礎年金(月額六万六千円=年八十万円程度)以外に収入を得ていない世帯の保険料を来年度から九割軽減する。年金からの保険料の天引きに関しては、本人の申請に基づき、親族の預貯金から引き落としを認める方針だ。
 改善策は福田康夫首相が政府・与党に策定を指示。今月十三日までに全体像をまとめる予定だ。
 ▼所得割と均等割 後期高齢者医療制度の保険料には年収が高い被保険者が多く支払う所得比例の「所得割」と、被保険者全員が割り勘で原則として同じ水準の金額を支払う「均等割」がある。保険料は両者の合算。地方税の住民税などにも似た仕組みがある。
 年金収入で見ると、所得割は収入が百五十三万円以下の人にはかからない。本来は割り勘の均等割には、収入に応じて軽減する措置がある。軽減措置が適用されるかは夫と妻の所得を合算した世帯単位で判定する。
20080602 日本経済新聞 朝刊

 与党が検討中の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策の原案には、国民健康保険などから新制度に移って保険料が上がった人を支援する措置も盛り込まれた。ただ、他の保険料軽減措置なども含め、課題は財源。社会保障費の伸びを年二千二百億円抑制する政府目標を守るため、二〇〇八年度補正予算などで拠出する「抜け道」を検討する可能性もある。(1面参照)
 支援措置の対象は住民税が非課税の低所得世帯で、後期高齢者医療制度への移行に伴い、保険料が上がった人。本人の申請に基づき、保険料を減額する方針だ。
 具体的には(1)前年に比べて保険料総額が上昇した高齢者に上昇分の半額を補てん(2)最低月額保険料は千円程度(3)後期高齢者医療制度に加入後二年間の措置――など。これらの基準をベースに、各都道府県の広域連合が独自の軽減措置をつくって適用する方針だ。
 改善案の与党原案には六十五―七十四歳の障害者を後期高齢者医療制度に事実上強制加入している問題や、打ち切りが目立つ人間ドックの助成なども国が地方自治体に働きかける方針も明記した。終末期医療に関する診療報酬「終末期相談支援料」や後期高齢者の診療科については、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会に制度の検証や改正の検討を求めた。
 改善策の課題となるのが財源。低所得者の保険料を九割軽減する措置を巡っては、二百億円程度の財源が要る見通し。新たに盛り込む所得割の軽減措置にも追加財源が必要で、政府内には慎重論も残る。
 来秋に迫った衆院議員の任期切れを念頭に、与党内には夏以降、さらに追加の措置を検討すべきだとの声もある。補正予算の出動を求める指摘も出そうだ。
20080602 日本経済新聞 朝刊

 家計や企業が普通預金や投資信託などから定期預金に資金を移す動きが鮮明になっている。日銀のまとめによると、四月の定期性預金残高は三百二十七兆円(速報値)と前年同月比五・五%増えた。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が表面化した昨夏以降、金融・証券市場が不安定になったこともあり、投資信託への資金流入は細っている。投資資金を一時的に滞留させる受け皿となる普通預金なども減少している。
 家計や企業が保有する定期性預金(定期預金や定期積金など)の月中平均残高は二〇〇七年八月に、要求払い預金(普通預金や当座預金などの合計)の残高を約二年ぶりに上回った。株価下落などを背景に、安定的に資金を運用できる定期預金が見直されているようだ。
 預入期間別では一年物など短めの定期預金が人気がある。日銀によると「一年以上二年未満」の定期預金残高は三月末で百十兆三千億円で、前年同月に比べて一一・一%増えた。その一方で「五年以上六年未満」は二十三兆七千億円で、九・六%減。日銀が〇六年にゼロ金利政策を解除し、定期預金金利は上がり始めたものの金利水準はなお低く、多くの人は長期間の預け入れに慎重な姿勢を崩していないとみられる。
 投資信託は五十一兆三千億円で前年同月比でみると一六・四%増だが、残高は〇八年二月をピークに減少傾向になっている。個人の株式投資も昨年後半から売り越し基調になった。「円高・株安を受け、市場で行き場を失った資金が定期預金に避難している可能性が高い」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方もある。
 普通預金などの要求払い預金は四月の平均残高が三百十六兆九千億円と、同一・七%減少した。一九九〇年五月以来の大きなマイナス幅。現金も〇・七%増で九一年以来の低い伸びにとどまる。企業や家計は資金を「遊ばせておく」よりも、短めの定期預金で運用する選択を強めている。しばらくは定期預金で運用し、株式や投信への投資を改めて検討しようとする動きも広がったようだ。
 定期性預金の残高は日銀の超低金利政策などを背景に、九九年末から減少に転じた。〇二年四月のペイオフ(預金の払戻保証額を一千万円とその利息までとする措置)解禁も影響して、〇六年九月までマイナス傾向が続いていた。
20080602 日本経済新聞 朝刊

 世界的なインフレ懸念で長期金利が上昇傾向にある。住宅ローンの利用を考える人にとって悩ましい問題だ。国債金利に連動して六月のローン金利も上がる。「できるだけ低金利で借りたい」と焦りがちだが、金利変動のリスクなどもよく見極める必要がある。
 住宅ローン選びでまず気になるのが貸出金利だろう。今のような金利上昇局面では、以前に立てた資金計画も狂いがち。店頭に表示された一番低い金利のローンに目がいくのも無理はない。
 だが「看板」の金利が低いといっても、必ずお得な商品とは限らない。金利の種類や将来の金利動向で支払総額が変わるからだ。
 三千万円を三十五年間で返すと想定する。まず金利のタイプをどうするか。半年ごとに金利改定がある「変動金利型」、三―二十年など一定期間中は金利が同じ「固定期間選択型」や、金利が変わらない「全期間固定型」などがある。全期間型では住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と民間銀が手を組んだ「フラット35」と、各行が独自展開する商品がある。
 大手銀行は固定期間選択型を中心に、給与振込口座の開設など一定条件を満たせば「店頭表示金利から一%引き」といった優遇策を実施。みずほ銀行の場合、六月実行分(全期間優遇)は五年固定で年二・七%。十年は二・九五%、二十年は三・七%と、固定が長くなるほど金利は高い。当初の支払額は五年固定なら月々約十一万円だが、二十年固定は十二万七千円と一万七千円近く高い。
 だが固定期間が長いほど金利上昇のリスクを受けにくくなる。五年固定の場合、固定期間終了後の六年目に金利が一%上昇していると毎月の支払額は一万五千円増える。二十年固定なら増加は九千円で済む。金利が二%上がれば増加額はそれぞれ二倍で、五年固定は毎月三万円、二十年固定は一万八千円。金利情勢によっては、二十年固定の方が総支払額が少なくなることも起こりうる。
 住宅ローンで一般的な元利均等返済では、当初は大半が金利返済に回る。固定期間が長いほど元本部分の返済が進み、それだけ金利上昇による影響を小さくできる。逆に金利が下がっていれば負担軽減効果は短期固定の方が大きいが、金利上昇のリスクに備えるのがより堅実だろう。
 全期間固定型なら金利変動のリスクがなく、金利も二十年固定より低いものがある。ただフラット35は物件価格の八〇%など融資額の上限を設ける例が多く、審査に時間がかかりがちだ。
 住宅ローン関連の助言業務を手掛けるホームローンドクター(東京・中央)の淡河範明社長は「自分が払えるのはここが限界という金額を決め、金利が上がっても限度内に収めるようにするのが大切だ」と話す。
 「固定期間は十年にすべきか、もっと長くした方がよいか」。最近の相談は金利の固定期間に関するものが多いという。数年前は「固定は三年でよいか」といった相談が多かったが、相談者が検討の前提とする固定期間が長くなっている。
 優遇金利でも当初固定期間が終われば本来の金利に戻ったり優遇幅が少なくなったりする「当初優遇」と、固定期間後も優遇が続く「全期間優遇」型かをチェックすべきだ。当初優遇の方が金利は低いが、変動金利への切り替え時に金利が上昇していたら負担は一段と重くなる。
 表面的な金利だけでなく、負担が増える時期が教育などの出費がかさむ時期と重ならないか、総支払額がどうなるかなど総合的な資金計画を立てるべきだろう。
 借入期間中に死亡した際にローンの残額を支払う「団体信用生命保険(団信)」の保険料などにも注意した方がよい。表面金利が高くても団信保険料や保証料が含まれている場合、総支払額が小さくなることもある。
 ローンを借りている人の借り換えも同じ。当初固定期間が終わり、金利が低めのローンに借り換える人もいるだろうが、将来の金利上昇で総支払額がどう変化するかを計算してみるべきだ。抵当権の登記などの諸費用も勘案し、借り換えの負担軽減効果をよく吟味したうえで決めたい。
 金利上昇時の負担増を具体的に想定し、ローン以外の出費との兼ね合いも考えて、自分に合う「借り方」を判断するのが大切だ。(亀井勝司)