20080617 日本経済新聞 朝刊

 舛添要一厚生労働相は十六日、都内で記者団に対して、社会保険庁で一度でも懲戒処分を受けた職員を社保庁の後継組織である「日本年金機構」に原則として採用しない方針を明らかにした。改革が不十分との国民批判を回避する狙いがある。社保庁は人員削減計画の見直しを迫られそうだ。
 年金記録漏れ問題など不祥事が相次いだ社保庁は、二〇一〇年に発足し年金業務にあたる「日本年金機構」と、今年十月に発足し中小企業社員の健康保険を担う「全国健康保険協会」に分離される。政府の年金業務・組織再生会議(座長・本田勝彦日本たばこ産業相談役)が月内にも年金機構の人員規模を決める。
 社保庁は現行比で千二百人減らす人員計画案を再生会議に出しているが、これは定年退職など自然減も含む。再生会議は「好ましくない職員が残ってしまう」とみて、社保庁に削減をさらに進めるよう求めている。厚労相は「懲戒処分を受けたような人間は採用しない。厳しい方針で臨みたい」と語り、再生会議に新たな案を提出することを示唆した。
 社保庁内には業務目的外での個人情報ののぞき見などで懲戒処分を受けた職員が九百八十五人いる。年金機構に先駆けて採用が内定した健保協会の場合、千八百人の職員枠に七十一人の懲戒処分者が入り、「審査が甘い」との批判が集まった。厚労相は「健保協会と同じルールでやる必要はない」と述べ、年金機構では採用基準を厳格にする方針を明らかにした。


20080617 日本経済新聞 朝刊

 朝日生命保険の次期社長に内定した佐藤美樹常務は日本経済新聞の取材に応じ「二〇〇九年度中にも保険商品の銀行窓口販売に参入する」との考えを示した。定額年金保険や一時払い終身保険などの販売を検討する。「代理店や通信販売を使った販路開拓に取り組む」という。
 銀行窓販については「(年金受取額に)最低保証のついた変額年金ではなく、定額年金など、固定金利型の商品の投入を検討している」と述べた。「海外の生保市場も研究し、商品や販路を見直したい」という。佐藤氏は七月一日付で社長に就任する予定。


20080617 日本経済新聞 地方経済面

 四月に始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への理解を深めようと山形県の広域連合はPR用DVDを独自製作、町内会や老人会、福祉関係者などに配布し始めた。他県からも問い合わせが来る「先進的な試み」(同広域連合)だったが、政府・与党が十二日に運用見直し策を決定。近く作り直す羽目になりそうだ。
 DVDのタイトルは「ご存じですか? 長寿医療制度」=写真=で収録時間は約十五分。制度のポイントを(1)保険証が新しくなる(2)全員が保険料を負担する(3)健康診査の実施方法が変わる――という三点にしぼり説明している。
 ただ、低所得者を対象とした保険料の均等割部分の軽減措置が七〇%から八五%(来年度からは九〇%)に変更されたことなどで修正が必要となった。
 DVDは約千百枚を作製、十六日までにほぼ半数を配布し終えた。広域連合では「せっかく作ったが、早ければ夏にでも作り直さざるを得ない」と国の朝令暮改ぶりに困惑している。


20080617 日本経済新聞 地方経済面

 静岡県は二〇〇七年度の「高齢者の生活と意識に関する調査」の結果をまとめた。介護保険制度に対して「満足」と「どちらかといえば満足」を合わせた回答は七七・四%で、前回(〇四年度)調査に比べ〇・八ポイント上昇した。収入のある仕事をしている人は六十五―六十九歳の男性で五一・八%と、前回比三・四ポイント上がり半数を超えた。
 介護保険の満足度を問う設問は二万一千百七十八人の認定者が対象。利用者増に伴う財政悪化で、制度変更のたびにサービス内容に制限が加わる傾向はあるが、〇一年度から上昇傾向となっている。
 収入調査は要介護認定を受けていない六十五歳以上の三万七千四百七十四人が回答。六十五―六十九歳の女性の三三・三%が働き、前回比五・二ポイント上昇した。女性は全年齢区分で上昇したが、男性の七十五歳以上は働く人の割合が低下した。
 悩み事では「自分の健康」「家族の健康」に続き、「災害時の対応」「配偶者に先立たれた後の生活」などが続いた。
20080616 日本経済新聞 朝刊

 夏のボーナスの支給が近づいてきた。「お隣」はボーナスをどう使うのだろう。日経生活モニター対象の調査では、生活必需品の価格が上がる中、熟年層を中心にボーナスで生活費を補てんする人が目立ち、防衛色がにじみ出た。一方、若年層はむしろ「貯蓄や投資で増やして家計を守る」と“積極防衛”に動いている。
 「今年は旅行に行けそうにない」。兵庫県のパート職員、竹中典子さん(48)は残念そう。ボーナスの額は昨年並みを予想するが、食料品や車通勤のガソリン代が家計に重くのしかかる。車通勤を自転車に切り替えたが、それでもボーナスの八割程度が生活費補てんに消えそうだ。
  旅行など
「減らす」28%
 二〇〇八年夏のボーナスについて、楽観的な人は少ない。〇七年夏より「増えると思う」と答えたのは一五%にとどまり「減ると思う」が三五%。年齢別にみると、二十代と三十代では二割近くが「増える」と予想するが、五十代で「増える」とするのはわずか一割で「減る」が約四割。教育費や住宅ローン返済が頂点に達するこの世代が特に悲観的だ。
 物価上昇などで家計は厳しい。生活費補てんの割合を昨年夏より増やすか減らすか聞いたところ、増やす人が二七%で、減らす人は一一%。
 回答者の人数を考慮して加重平均すると、ボーナスの二一%が生活費補てんに回りそう(グラフ(1))。支給額が百万円なら二十一万円が生活費補てんに回る計算だ。
 一方、旅行・レジャー費に回るのは一三%、つまり百万円のうち十三万円で、耐久消費財購入は九%。ともに昨年夏より減らす傾向が強い(グラフ(2))。旅行・レジャーは「増やす」と答えたのが一四%にとどまったのに対し「減らす」が約二倍の二八%。耐久消費財も北京オリンピックがあるにもかかわらず全年齢層で「減らす」割合が「増やす」を上回った。
 昨年夏に比べ家計を圧迫しているのが何かも聞いた。トップはやはり「食費の上昇」で三六%。ついで「ガソリン代を含む交通費」が二九%だった(グラフ(3))。原油や穀物などの高騰がボーナスの使い道にまで影響を及ぼしている。
 ガソリン代
  高騰響く
 「車がないと生活できず、ガソリン代高騰でボーナスが月々の赤字補てんに消えてしまう」と嘆くのは滋賀県の会社員、原武さん(仮名、53)。千葉県の会社員、本田敬さん(仮名、44)も「物価が上がったがボーナスは減額が決定。耐久消費財購入や貯蓄に回す余裕がない」とため息。
 生活防衛色が濃いボーナスの使い道。だが年齢別にみると防衛策の方向がだいぶ違う。四十代と五十代ではボーナスが百万円とすると二十五万円前後を生活費補てんに充てるが、三十代は十七万円、二十代は十二万円にとどまる。
 若年層で生活費の代わりに増えるのが貯蓄と投資だ。二十代は半分以上を貯蓄し、さらに一割以上を投資に回す。三十代も貯蓄と投資の合計が五割を超える。
 東京都の会社員、沢健一郎さん(39)は「生活用品が値上がりしているからこそ、お金には休まず働いてもらいたい」と、貯蓄に六割、投資に二割を充てる予定。ともに割合を昨年より増やし、積極防衛に打って出る。
 ファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦さんは「食料品やガソリンだけでなく、固定費の光熱費も上昇している」と指摘。こまめに節約するだけでは値上がりが努力を帳消しにしてしまいがちだ。「投資などで積極的に資産を増やして防衛することも必要だ」と助言している。