20080821 日本経済新聞 夕刊

 トラック輸送大手の西濃運輸(岐阜県大垣市)の健康保険組合が今月一日付で解散していたことが二十一日、明らかになった。四月の高齢者医療制度改革で負担金が六割増え、事業を続けるのが難しいと判断した。加入者約五万七千人は政府管掌健康保険(政管健保)に移った。七月一日には岐阜市のカワボウも健保組合を解散した。
 二〇〇八年度は約千五百の健保組合のうち、約九割が赤字に陥る見通し。厚生労働省は四月に始まった高齢者医療制度で、医療費がかさみやすい高齢者を若い世代が支えるため、六十五―七十四歳の加入割合が高い国民健康保険(国保)に支援金を出す仕組みを導入した。多額の拠出を迫られ、収支が悪化する健保が増えているようだ。
 西濃運輸健保組合はグループ企業五十八社のうち、三十一社の従業員と扶養家族の合計約五万七千人が加入する大型健保。同社によると、〇七年度の老人保健制度と退職者医療制度への負担金は合計三十五億八千七百万円。
 今年度は経過措置で残った両制度への負担金十一億六千二百万円に加え、新たに六十五―七十四歳の前期高齢者納付金二十五億二千五百万円と、七十五歳以上の後期高齢者支援金二十一億一千万円が発生。高齢者関連負担の総額は前年度比六二%増の約五十八億円に膨らんだ。
 従業員は専業主婦世帯が多い。〇七年度の扶養率は一・三三%と健保組合全体の平均より高かった。保険料率も月収の八・一%と平均を上回っていた。四月からの負担増を賄うには保険料率を一〇%以上に引き上げなければならなくなり、「健保組合の運営を続けていく意義が見いだせなくなった」(厚生部)という。









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20080821 日本経済新聞 朝刊

 三井住友海上火災保険は二十日、二〇〇九年をめどにベトナムに全額出資の現地法人を設立する方針を固めた。ベトナムの金融当局から近く認可を得る見通し。現地の保険会社などと運営してきた合弁企業からは離脱する。全額出資会社に切り替えて経営の自由度を高め、成長するベトナムの損害保険市場を開拓する。大手損保各社のアジア戦略が加速してきた。
 設立する現地法人はMSIGインシュアランスベトナムで、資本金は三千億ベトナムドン(約十九億円)。本社はハノイ市に置く。主に現地の日系企業に火災保険、海上保険などを販売、一〇年に保険料収入八億五千万円、利益七千万円を見込む。国内損保でベトナムに全額出資の現地法人を設立するのは初めて。
 三井住友海上はバオミン社、損害保険ジャパンなどと合弁でUIC社を運営しているが、新現法の開業後に約二三%の持ち分を売却。UIC社では機動的な経営戦略を描きにくかったほか、三井住友海上の顧客企業の情報管理も難しい面があった。〇七年のベトナムの損保市場は保険料で約五百七十億円。前年比三〇%増加し、今後も拡大が見込まれる。全額出資現地法人の方が営業を積極化しやすいと判断した。






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20080820 日本経済新聞 夕刊

 地球温暖化が関心を集め、原油価格高騰が家計を脅かす。こんなときこそ「地球と家計にやさしい」省エネ生活。一昔前のケチケチ節約と違い、昨今は「無理せず楽しく」がキーワードだ。
 東京都練馬区の小沢ひとみさん(42)は、経済産業省や環境省などが主催する第一回省エネコンテストの家庭部門で内閣総理大臣賞を受賞した。一万件を超える応募から選ばれた、いわば省エネの金メダリストだ。
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 小沢さんの省エネのコツは三つある。まずローテク省エネ術。本や雑誌に書いてある省エネ法でこれぞと思うものを実践する。冬に障子をはずして太陽光を取り入れ布団を干したり、やかんの中に赤貝の殻を入れ、沸騰時のかたかた音で消し忘れを防止したり。
 数回やって無理なく続けられそうなものだけを生活に取り入れる。冷蔵庫に食品を入れる際は、奥までよく見渡せるよう、上から見てM字型になるよう並べた。扉の開閉回数が減るだけでなく、詰め込み防止にも役だった。
 二番目がエネルギーの効率利用だ。暖房をガスファンヒーターに切り替えてから光熱費が安くなった。「ガスは温めるのが得意」と、電気圧力釜で四十五分かかっていた炊飯をガスにした。火から下ろして布でつくった「鍋帽子」に入れておくと加熱時間は十分ですんだ。もちろん、電気には電気のメリットがある。「上手に組み合わせることが大切とわかった」
 三番目が省エネナビの活用だ。ナビは電気使用量や料金などが即座にわかる、小型の表示器。洗濯や食器洗いでどのくらい電気を使うか。洗い方で変わるのかも試した。記録をとると小沢家の一日の電気料金は平均約百円。これより多いと何か原因がある。洗濯乾燥機に六十六円もかかるとわかり天日干しに切り替えた。
 ところが数値表示の面白さに夢中になり、夕方になっても明かりをつけず息子からケチと責められた。「節約のしすぎで生活の質が落ちては続かない。無理せず続けられる適量を知ることが大切」と苦笑いする。
 小沢さんは生活雑誌「婦人之友」の読者でつくる友の会のメンバー。約八十年の歴史を誇る会では、熱を効率的に利用する鍋帽子を考案し、水道はサインペンの太さにだす、ゴミの量をできるだけ減らし、生ゴミから堆肥(たいひ)を作る――といった研究に取り組んでいる。「無駄のない適量の生活」がモットーだ。
 財団法人省エネルギーセンターの市川昭彦省エネ教育推進部長は「以前の省エネは我慢、ケチケチが目立ったが、最近は無理なく楽しく続けられる工夫へ変わっている」と話す。
 環境省は二〇〇五年から地球温暖化防止の国民運動「チーム・マイナス6%」を展開中だ。一九九〇年に比べCO2を六%削減する運動で、インターネットを通じて募ったメンバーは現在、約二百三十五万人だ。
 〇七年からは一人一日一キログラムのCO2削減に取り組んでもらう試みも始めた。一人一日の排出量の約六分の一だ。チャレンジ宣言には、冷房温度を二六度から二八度にすると八十三グラム、買い物の際にマイバッグを持ち歩き省包装の野菜を選んだら六十二グラムなど三十九の省エネチェック項目が並ぶ。「協賛企業なども募り、楽しみながらやってもらうのが狙い」(国民生活対策室の松本行央主査)だ。
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 経済産業省は消費者が電気製品を選ぶ際に省エネに関心をもってもらおうと〇〇年から日本工業規格(JIS)で、電子レンジなど十六製品の省エネラベリング制度を始めている。国の省エネ基準をクリアしているものには緑の、未達成のものにはオレンジのマークを付け、達成率と年間消費電力を表示する。
 〇六年十月からは中でも消費電力の大きいエアコン、テレビ、冷蔵庫について店頭で統一省エネラベルの添付に努めるよう企業に義務づけた。省エネ基準の達成率に応じて最高の五つ星から最低の一つ星で表し、年間の目安電気料金も表示する。
 特定非営利活動法人グリーンコンシューマー東京ネットの後藤浩成理事は「冷蔵庫とエアコンは格段にエネルギー効率があがっている。十年以上前の製品は買い替えたほうがいいだろう」と話す。買い物から日々の暮らし方まで、工夫の余地は大きそうだ。
(編集委員 岩田三代)
 日本のエネルギー消費量は二〇〇五年度には原油換算で約四億一千万キロリットル。石油ショックが起きた一九七三年度に比べ、運輸部門が二・一倍に、家庭やオフィスなど民生部門が二・六倍に伸びた。工場など産業系はほぼ横ばいだ。
 家庭でのエネルギー消費を用途別にみると、最も大きいのは家電などを動かす動力。給湯用、暖房用がこれに続き三つで九割を占める。家電で消費電力の大きいのはエアコン、冷蔵庫、照明器具、テレビの四つで、計七割に達する。
 省エネタイプの製品開発は進んでいるが、電化製品の増加や高機能化、核家族化による世帯数の増加で、消費電力は減らなかった。CO2排出量の約九割はエネルギーが起源で、家庭からの排出量は九〇年より三〇%増えている。
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【図・写真】省エネコンテストで総理大臣賞をとった小沢ひとみさん





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