アガサ・クリスティーさんの「スリーピング・マーダー(Sleeping Murder)」(綾川梓訳)を読みました
ポアロ最後の事件である「カーテン」は昔から大好きな作品なのですが、ミス・マープル最後の事件である本作は、これまで読んだことがありませんでした
というより、そもそもマープルものは、これまでほとんど読んできていません
先日の「クリスティを読む!」をきっかけに、未読のクリスティ作品を読んでみようと思い立ったわけです
その思いつきが正しかったことが、早くも初回で証明されてしまいました
本作のテーマは「回想の殺人」
主人公の女性グエンダは、ニュージーランドからイギリスにきた新婚さんです
夫がイギリスに来られるようになるまで少し時間があるので、その間に新居を探すことになります
なぜかとても惹かれる家をみつけた彼女は、その家でデジャブのような現象に立て続けに出会います
その辺りの描写がとても巧くて怖いのですが、その理由についてはさっさと明かした上で、本題に移ります
グエンダの父は、果たして19年前に再婚相手の女性を絞め殺したのか
マープルは昔の殺人を掘り起こすべきではないと忠告しますが、新婚夫妻はいうことを聞かずに調査を進めます
直感的に犯人はすぐにピンときますが、最後に様々な伏線がパズルのピースの様にカチリカチリとはまっていく様子は壮観
とても満足しました
ところで、古典を知らないということは、本歌取りに気がつけなくなってしまうという大きなリスクがあります
伊坂幸太郎さんの「バイバイ、ブラックバード」が、太宰治さんの「グッドバイ」の本歌取りであると後から知ったときは、自分の教養のなさを嘆いたものです
本作についても、先日の「佐々々奈々の究明」は本歌取りになっていたのですね
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