恋心!!!!InBanです。



前回のご報告をします。




実は私自身も不安でした。



私の一目ぼれは大抵おかしなことになるのですが(美化されてたりね。)今回は見事に美化されてませんでした。



……


それでは会えたんですか?


アドレス交換したんですか?




待て待て!


焦るな。焦るな。




え~っと……






会ってねえよ。(´д`lll)



間違った解釈をされるとアレなんで、素直に書きます。




今日はお休みでした。



でも、知り合いがいたんで、たくさんの情報をGETsしちゃいましたドキドキチェキ。




次に行くときはもっと進展してたらいいな。







と、いうことで風邪で寝込んでいるアツヤの情報へ参りましょう。



なにやら事件勃発のようです。



それでは現場へ戻します。











『20.    事件勃発』    ②







ガシャン!という何かが割れる音で俺は目を覚ました。



京子もとても驚いている様子だった。



割れていたのはテーブルの上に置いてあったお皿だった。


犯人は一目瞭然。



「(春姫…)」



俺は怒りをあらわにしているので当然春姫は姿を現さない。



「京子けがは無い?」


驚きで止まってしまっている京子に声をかけると、京子はやっと我に返ったようで、俺の顔を見るなり「アツヤ元気になったっぽいね」と言って、そそくさと返ってしまった。



まあ、当然だろう。



俺は仕方なくまだボーっとする頭で、割れたお皿を片付けた。


「春姫」



春姫の気配はする。


近くにいるのだろうが、姿を現さない。



俺が御子っているから怖がって姿を現さないのだろう。



仕方ないので、俺は冷静になった。



「怒ってないから出ておいで。春姫」


春姫はまだ出てこない。



残念ながら俺には霊感というものがなく、春姫から姿を見せてくれないと、俺からでは春姫を見つけることはできない。



「マジで怒ってないから出ておいで」



すると、ようやく春姫は姿を現した。



しかし、その表情は怖がっているというよりはスネているようだった。



「春姫。なんでお皿割ったの?京子帰っちゃっただろう」


俺はなんで春姫はそういう行動をとったのか質問した。



『あんな女、帰ってしまったほうが良い』


春姫はそっぽを向いてそう言った。



人に対して悪口を言ったことのない春姫としては珍しかった。



「なんで春姫が怒るんだ?春姫が怒ることじゃないだろう?」


『……』


春姫はまた黙ってしまった。



春姫との長い生活で俺は春姫のことが結構分かるようになった。



春姫がこうして黙っているときは、春姫が俺の鈍感さに呆れているときだ。


「春姫。俺…なんかした?」



俺は自信が無くて小声になってしまった。



もしかしたら俺が気付いていないだけで、実は春姫をすごく傷つけてしまったのかも知れない。



『いや…お主が悪いのではない。これはわしのヤキモチじゃ』


春姫は少し照れたような表情で言った。


「ヤキモチ?」



俺は春姫からそんな言葉を聞くなんて思ってもみなかったから驚いた。



「どうしてヤキモチを妬くようなことがあるんだ?」



『…あの女はお主に触れ、話し、栄養のあるものを食べさせてやることもできる。じゃが、わしは…わしはお主と一緒におるのにおぬしに触れることもできない。こうして、心配しておる気持ちは同じなのに、なにひとつお主にできずにいる。わしは歯がゆいのじゃ』


春姫は今度は下を向いてしまった。



『お主が苦しんでおるとき、背中をさすってやることも、冷やしたタオルを乗せてやることもできない』


春姫顔を逸らせたが、俺には一瞬だが見えた。



春姫は泣いていた。



決して自分の弱い部分は見せない春姫が初めて、弱い部分を見せた。



「春姫、こっちに来て」


俺は触れないが、春姫の頬に触れるような仕草をした。



春姫は弱音を吐かない。


決して自分を産んでくれなかった親も、そういう境遇にさせてあの出来事も、防空壕にいた人たちも恨まない。



そんな春姫が初めて、そんな自分に対して感情を表に出した。



俺は春姫が愛おしくなった。



「春姫。なんか話してくれよ。俺まだ体ダルいんだ」



春姫はそうっと俺の傍に来て座った。


俺は心の中で春姫がいてくれてとても感謝していることを伝えた。



すると、春姫は可愛く微笑んだ。



そして、春姫は俺以外に心を通わせた人のことを話した。



『これはな、アツヤに会う随分前の話じゃ。お主以外にわしを受け入れてくれた者がおったのじゃ』



安静にしていたから少し良くなってきていると思っていたが、起き抜けに動いたせいなのか、また頭が痛くなり、体のダルさも強くなり、俺は春姫の話に対して、相槌さえも打てなくなってしまった。



自分から話をしてくれと頼んでおきながら、勝手だと思った。



しかし、春姫は『寝ていろ』と、言って話を続けた。



『その者は、丁度わしと同じくらいの年の子じゃった。名は七葉といった。この部屋にはその子とその子の母親と越してきた。父親はいなかった。母親の話から想像すると別々に住むことになったらしい。じゃがな、七葉は父親に会いたがっておった。いつも母親にどうして父親はいないのか聞いておったからな。母親はその度に父親にはもう会えないと言ってきかせていた



目を閉じると春姫の声が心地よかった。


眠くはならなかった。



春姫の話は興味深かったからだ。


『母親は七葉と共に暮らすためにいつも働きに行っていた。七葉はいつも独りだった。ある日、わしは思い切って七葉に話しかけてみた。七葉は時折わしの姿が封印されている札を見たり、触ってりしていたので、わしはもしかしたらわしの声が聞こえておるのかも知れないと思ったのじゃ。独りじゃ寂しかろう?この札を取ってくれたらわしが話し相手になってやるぞと』




春姫はきっとそのことを思い出しながら話しているのだろう。



『すると、七葉は何の迷いも無くその札を剥がした。わしは驚いてな、きっと怖がって泣き出すと思っておったのだが、七葉はわしを見て笑った』



時々目を開けると、春姫はとても楽しそうに話している。



『それからわしは約束どおり、七葉の遊び相手になった。本を読んだりしてな。それは楽しかった。しかし、わしと遊んでおるときでさえ、七葉の心は父親を求めておった。じゃが、こればかりはわしの力ではどうすることもできない。だから、わしとおる時くらいは父親のことを忘れさせてやろうと夢中で遊んだ』



きっと、今と同じように歯がゆい気持ちだったのだろう。



『結局父親との離婚が正式に決まり、母親は七葉を連れてまた引っ越してしまった。七葉はとても良い子でわしとの子とは母親には黙っていた。母親が心配すると思ったのじゃろう。七葉がわしで満足じゃったのかは分からぬ。父親を強く思っておったゆえ、心が読めなかったのでな』



「春姫がその子を救ったんだよ」


俺は力を振り絞って伝えた。



きちんと言葉にして伝えたかったからだ。


春姫のすることはいつも誰かのため。


誰かを救っている。



なのに、そのことが分かる人は少ない。



春姫は幽霊だから。



俺は春姫の理解者になろうと思った。










はい。



どこが事件勃発?ってお思いのかたもおられるでしょう。



これから分かります。



本当の事件はアツヤ君が風邪を引いてしまったことではないことを。





それでは気になる続きはまた今度。



次の章で会いましょう。



バイバInBan。












善い子のみなさまこんばんは。


呼ばれてないのに、InBanです。



今日で二月です。



春まで待ち遠しいですね。



春といえば、恋!!!!!!!!!!



、ということで、今回も私、InBanは発病してしまいました。



例の病気です。



片思いという。



イタイ、イタイ。



しかも、今回は話したことも、名前さえも知らない人です。



本当に好きなのか、はたまたいつもの病気なのか見極めに、明日、会ってきます。




結果は後のブログでご報告させて頂きます。



そして、皆様には私に彼氏ができるまで暖かく見守っていて頂きたいです。




それでは本題に参ります。



今回は予告どおり、美保ちゃんが大変な事になりました。



と、その前に今回はアツヤが大変なことに。











『20.    事件勃発』    ①




不覚だった。


新学期が始ったというのに、俺は今、風邪を引いて身動きが取れなくなっていた。


熱が、四十度もあり、頭が働かない。



動きたくても、体は痛いし、ムリに動かそうとすると、吐きそうになる。



この状態がもう、三日も続いている。



『アツヤ。大丈夫か?辛そうじゃな』



今の俺はただただこれ以上今の状態が悪化しないように祈るしかなかった。


「春姫…」



見ると、春姫が歯がゆそうに俺を見ていた。



「どうした?」


『悔しいのう。こんな時、体があれば看病のひとつもできたろうに』



「プッ」


俺はつい笑ってしまった。



春姫がこんな弱気なことを言うとは思わなかったからだ。


「別にそんなことしなくてもいいよ。春姫がいるだけで安心するから」


春姫は照れて目を背けた。




それからしばらく経ったはず。


俺は家のチャイムが鳴る音で目を覚ました。



「あ…京子」



やっとの思いで玄関に着き、ドアを開けるとそこには京子が立っていた。



「お見舞いに来たよ。アツヤ、大丈夫?」


京子はおでこに手を当てながら言った。


大きな買い物袋を持っていて、その中にはたくさんの食材が入っていた。



「寝てていいよ。辛そうだね。台所借りるよ」


俺をベッドまで運んで京子はそう言うと台所で料理を始めた。



え?京子が料理?と、思いながらも俺はウトウトとした。



春姫といい京子といい、こういう時、人の暖かさを感じる。




額に何か冷たいものが当たり、俺はハッと目を覚ました。



どうやら寝てしまったようだ。


「あっ!ごめん。冷たすぎた?」


まだぼんやりとするめで確認すると、京子がベッドの脇に座っていた。



記憶の糸を辿って、京子がお見舞いに来てくれたことを思い出した。



京子は俺のおでこに冷やしたタオルを乗せてくれていた。


「アツヤ。熱計った?」


「ううん…もうダルくて」


俺はとにかくダルくて何もしたくなかった。



「だめだよ。計らなきゃ。体温計ある?」


俺は近くのサイドボードの上にある体温計を指した。


「はい。計って。アツヤおでこ熱い。アタシ、お粥作ってるから」



俺は京子の指示に従い、体温計を脇に挟んだまままた目を閉じた。




ぼんやりとする頭だが、嗅覚は元気なようで、台所からするおいしそうな匂いがし、グツグツというイイ音もする。


安心しているからなのか、すごく気分が良かった。



さっきまで寝返りを打つのも億劫だったのに、今は体のダルさは消えていた。


人がいるというだけでこんなにも心地よかった。



「はい。アツヤ」


京子の声がし、俺は起き上がった。


「何度だった?」


体温計はいつの間にか今の体温を表示していた。



「うわっ!三十八度もあるよ」


京子が表示されている数字を見て叫んだ。



これでも下がったほうだった。



京子はベッドの脇に座って、おいしそうな湯気の立つお粥を乗せたお盆を置いた。


お粥には卵が入っていた。



その上に梅干が乗っていて、それだけなのにとてもおいしそうだった。



そういえば俺は今日初めて食べ物を口にするのだと思った。



「はい」


京子はれんげにお粥を乗せ、フーフーと冷まし、俺に食べさせてくれた。



京子は料理が苦手というが、そんなことを忘れるほどこのお粥はおいしかった。



ある程度お粥が冷めたのを確認すると、京子はお粥の入った器を預け、また台所に戻って行った。


俺は久しぶりに食べ物を食べた。



「良かった。全部食べてくれたんだ」


「後は薬だね」



戻ってきた京子が空になった器を見て言った。


「ああ。おいしかったよ。アリガト」



「後は薬だね」


京子が薬局の袋の中から何種類かの薬をだし、俺に今の体調を聞いた。



俺は素直に体がダルいのと、吐き気がすること、頭がガンガンすることを京子に伝えた。



「じゃあ、これかな」


と、京子が俺に渡したのは総合漢方薬だった。



それと一緒に水を持ってきてくれた。


だが、その瞬間俺はとてつもない吐き気に襲われてしまった。



トイレに駆け込み、俺は京子が作ってくれたものを全て吐き出してしまった。



「大丈夫?」


京子は背中をさすりながら声を掛け続けてくれた。



しばらく格闘した末、俺の胃は空っぽになってしまった。


「はい。アツヤ。さっぱりするよ」


京子はまだ少し、涙目の俺にグレープフルーツジュースをくれた。



「ごめんな京子。せっかく作ってくれたのに」


「ううん。いいよ、でもなんかお腹に入れないと薬飲めないからね。ヨーグルトなら平気かな?」


きっと何も食べていないところに突然大量に食べたものだから、胃がビックリしてしまったのだと思った。



京子は優しくスプーンに乗せたヨーグルトをくれた。



今回は無事薬まで飲めた。



京子は冷やしたタオルを俺のおでこに乗せ片付けまでしてくれた。










はい。



今日はここまでだよ。BOYs&GIRLs。


まだ②アツヤ君の困難は続きます。



それでは気になる続きはまた今度。



次の章で会いましょう。


バイバInBan。





















はいはいはいはい。


分かってますよ。



InBanのブログが楽しみで仕方ないんでしょう。



慌てないの。


今日もいいモノ用意してるから。



さて、前回はトヨばあちゃんの昔話が意外なところで春姫とリンクしたところで終わりました。



そして、あっという間の三日間も終わり、アツヤ君はまた我が家へ帰ります。



今日は少し短くて不満に思うかもしれませんが、ご了承ください。







『19.     精霊』   ④




あっという間の三日間で、海には一度しか行かなかった。


「また来てね。今度はもっとお料理作るから♪」


これ以上何を作るというのだ…と、思うくらい健一はたくさん食べたと思うのだが、母さんは嬉しくて仕方ないのだと思い、言わないでおいた。



家を出て、健一が運転する車の中、俺は少し春姫のことを考えていた。



トヨばあちゃんの言う通り、春姫は人の幸せを願うことが好きだ。



俺だけでなく、俺の前にあの部屋に住んでいた人にも同じようなことをしていた。(結果はどうあれ)


それはきっと、自分ができなかったことや、叶えられなかった分、誰かが笑ったり、幸せに思う気持ちが春姫の生き甲斐だったに違いない。


春姫はすごい。





「春姫。ただいま~。いい子にしてたか?」


家に帰るなり、俺は真っ先に春姫を探した。


春姫の顔が見たかったのだ。


しかし、春姫の気配がなかった。



春姫がいつも座っているアイボリーのソファーにもいないくて、俺は不安になってしまった。



『おお。帰ってきたのか』


俺の不安をよそに春姫は姿を現した。


どうやらまた寝ていたらしい。


春姫は寝ていると、完全に気配がなくなるので、いないみたいになる。



「春姫~ただいま」


『土産は何じゃ?』


間髪入れずに春姫は言う。



『なんじゃ。何も買っておらんのか。わしがお主の留守を守ってやったというのに』


「悪かったよ。でも、春姫の喜ぶのあるぞ」


『なんじゃ?』


春姫は子供の表情になった。



俺は得意げに夕日の写真を見せた。


『おお。すごいではないか。これはお主が撮ったのか?』


「そうだよ。地元の人しか知らない夕日の見える穴場スポットで撮ったんだ」


『わしにくれるのか。ありがたい』



春姫はその写真を気に入ったようだ。


それ大きく伸ばして部屋に飾ることにした。



「春姫。俺の田舎にも水子地蔵があったよ」


『水子地蔵?またか。お主マニアになったのか?あまりいい趣味ではないな』



「俺はまじめに言ってんだよ。聞いたらやっぱあれ、春姫みたいにこの世に産まれる事のできなかった子供たちを供養するものらしいよ。で、春姫は神様だって話になった」



俺はトヨばあちゃんに聞いたことを春姫に話した。


『じゃあ、お主。わしを敬えよ』


春姫はもう、神様と言われることに対して開き直っているようだった。








はい。



短くてごめんなさいね。



この章はここで終わりです。



次回は急展開!!!!


アツヤが楽しく夏休みを過ごしている間に愛しの美保ちゃんの身に……魔の手が!



乞うご期待!



それでは次の章で会いましょう。



バイバInBan。 



こんにちわ。


InBanです。



今日も早速本題に入りたいと思います。










『19.    精霊』  ②





田舎の夏は都会と違ってさっぱりとした暑さで、けたたましく鳴いているセミの声だってこれだけ広い家にいれば気にならなかった。



俺たちはスイカを食べた後、健一の車であの夕日の見える丘へ行くことにした。



二十分車で走らせて行くと、海の見える街道に差し掛かる。


その近くに車を止め、そこからは歩いていかなければならない。



しばらく歩くと小高い丘に着く。


鎖も柵もなく、うっかり足を踏み外したら海に落っこちてしまいそうな危険があるが、それにも負けずにここへ来るのは、ここから見える夕日がすごくきれいだからだ。



今日は天気が良く、夕日が落ちて行くのをハッキリと見ることができる。



「最高だね。すごくきれい」


健一が夕日に見とれながら、感心したような声を出して言った。


俺は無言で健一の言葉に頷いて、応えながら夕日に見入っていた。



しばらく見とれていた俺はハッと、慌ててデジカメを取り出し、もう半分水平線に隠れた夕日を数枚撮った。


これは春姫のお土産だ。



「今日晴れてよかったな」



帰り、車に戻る途中、ハルカが林の中を散策したいと言い出したので、薄暗くなって雰囲気の出てきた林の中を少し歩く事にした。



夕日を見るためにこの林を歩いた事はあったが、改めて歩くのは初めてだった。



俺も少し興味があったので、ワクワクしていた。



いつまでも続く林の中を行くと、ひとつの祠と数対のお地蔵様を見つけた。


「あれなに?」


ハルカがそのお地蔵様を見て言った。



ハルカに促され、健一が嫌々健一がそのお地蔵様の方へ行くと、その近くに立て掛けてあった看板をライターの火で灯した。



「これ…水子地蔵?って書いてある」


「え?!水子?」


健一が水子地蔵と言い、俺はとっさに春姫のことを思い出した。



近くに行くと、風車や千羽鶴、おもちゃなどがもう枯れてしまっている花と共に供えられていた。



「水子地蔵ってさ、生まれることのできなかった子を弔うために作られてんだよね。なんでこんなところにあるんだろう?」



ハルカもそのお地蔵様を見ながら言った。


「帰ってママ達に聞いてみよう」



ちょうど母親からご飯ができたので帰って来いと言うメールが入ったので帰ることにした。



「ねえ、お母さん。あの林の中にお地蔵様があったんだけど、いつからあんの?」


俺たちの母親は料理が好きなので、ここぞとばかりに料理が出てくる。



何種類もの料理が並ぶなか、大好きなだし巻き卵を食べながらハルカが早速今日あったことを話した。



「お地蔵様?あったかしら?」


「知らないな」



この両親はここに何十年もいるのに知らないらしい…



「トヨばあちゃんなら知ってるかもね」


「ああ。トヨばあちゃんか。今いくつだっけ?」


「確か、今年で八十八歳じゃなかったかしら?」



トヨばあちゃんとは、家の近くに住んでいるおばあちゃんで、八十八歳である高齢にもかかわらず、今でも畑仕事や組合にも積極的に参加しているくらいの元気ばあちゃんだ。



「確かに、トヨばあちゃんなら知らないことはないかもしれない」



ハルカは少し大袈裟に言った。


俺も知りたかった。




次の日、ハルカと俺はトヨばあちゃんの家に昨日のことを聞きに言った。


トヨばあちゃんは昔から良くかわいがってくれていた。


怖い話やおまじないなどを教えてもらった。



夕日の場所もトヨばあちゃんに教えてもらった。



「トヨばあちゃん。あのさ、あの林の中にあるお地蔵様ってなに?」


「あの、お地蔵様かい?」


「何か知ってない?」



「なんで知りたいんだい?確かにあのお地蔵様についての話は色々あるけど」


トヨばあちゃんは自宅で漬けたなすびやキュウリの漬物を出してくれた。


味は昔と変らない。



トヨばあちゃんは二年前に京治おじちゃんを亡くし、今は一人でこの広い家に住んでいる。



しかし、いつもトヨばあちゃんの家には色んな人が遊びに来るので寂しくはないと言っている。



「あそこはね、防空壕だったんだよ。あそこに建てられているお地蔵様はね、その防空壕で不幸にも亡くなってしまった子達の霊を慰めるためにあるんだよ」



まさにトヨばあちゃんの話は、春姫が話していたことだった。


「霊はね、同じ所にしか居られないの。そこで亡くなった者は霊となってそこに留まり、さらには精霊となり、神さまになるんだよ。その地を守る神さまにね」


「道祖神?」



「あら。アツヤ詳しいのね。そう、道祖神って言うんだよ」


トヨばあちゃんの話していることは春姫を知っている俺としてはすごくリアルに聞こえる。



「ばあちゃん、そういう所ってどこにでもあるのも?」


俺がそう質問すると、トヨばあちゃんはそういう所は昔、防空壕だったと言った。


ただ、水子地蔵は今ではあまり知られていないので、置いてある場所はなく、留まる幽霊達は、そこに新しく出来た家などに住みつかzるをえないとも、付け足した。



「じゃあ、アツヤが部屋の中で見た幽霊ってもしかしたらその幽霊だったりして」


ハルカが言った。



俺の住んでいるマンションは、昔、防空壕だった。



だから春姫は俺のマンションに居ざるを得ないのだ。


「アツヤのマンションにはなにかあるのかい?」


「あのね、おばあちゃん。アツヤ最近一人暮らし始めたんだけど、そこに幽霊が出るって話でさ。どうも信じられなかったけど、今、おばあちゃんの話を聞いて信じる気になったよ」



「そうかい。アツヤ。あんたラッキーだよ。そこに住む幽霊は共に暮らす人を守ってくれると言うよ。アツヤは神様と一緒に住んでいるってことになるね」



春姫は神さまと言われるのが好きじゃない!とは言えず、俺は苦笑した。











はい。



今日のトヨばあちゃんの話はここまでです。



アツヤ君は春姫のことを知って、どう感じたでしょうか。



もしかしたらアナタの家にも春姫はいるかもしれませんね。



どこかでお札を探してみてはどうでしょう。




それでは次の章で会いましょう。



バイバInBan。

















こんばんは。


InBanです。


さて、このブログも最近はめっきりとランクが下がり、私としてはいまひとつ手ごたえをつかめていないところですが、小説のほうは順調にクライマックスに向かっております。



このブログを見て頂いているご愛読者のみなさまはお楽しみに♪



それでは春姫の過去に迫る新章に参りましょう。












『19.    精霊』   ①




「じゃあな。春姫、行ってくる」


『ああ。気をつけてな』


「……」


『どうした?』



今日から俺は実家に帰る。


春姫にいつものように見送られたのだが、俺は玄関で見送る春姫を見て立ち止まってしまった。



『なんじゃ?』


春姫は心配そうに言う。


「一緒に来てもいいんだぞ?今回は姉夫婦だし、俺に気を使う必要ないんだぞ」


たった三日とはいえ、俺は春姫を一人残して行くという事に気が引けていた。


『ふん!わしが見た目が子供だからと言ってお主がいないというだけで寂しがるとでも思ったか』


春姫は鼻で笑って言った。



「ひどいな。俺はお前が心配だから…」



俺は大人気なくムキになってしまった。


『大丈夫じゃ』



春姫は優しく笑って窓際を見た。


そこには花瓶が置いてある。



『この花はきれいに咲いておるな。お主の気持ちに応えておるのじゃろ。わしは分かっておるぞ。この花瓶を買うとき恥ずかしかったじゃろ?わしのためにお主が無理して買ってくれたんじゃろ』


その花瓶は俺が美保ちゃんと待ち合わせをするときに偶然見つけて買ったものだ。



『この花と一緒にお主を待っておるから行って来い』



「分かった。いい子にしてるんだぞ」


春姫に言われ、俺は安心して出かけることができた。





お盆休みになり、ハルカの妊娠の報告もかねてハルカ夫妻と俺は実家に帰ることにしたのだ。


俺たちの実家は都会と違い、空気も海もきれいだ。



「久しぶりだよね。ハルカの実家に行くのさ」


去年は健一が忙しく、休みが取れなかったので俺たち二人で実家に帰ることになったが、今年はなんとか三日だけ休みが取れ、三人で帰る。



健一は愛車を運転しながら嬉しそうに言った。



やはり、お盆ラッシュと重なってしまい、朝早く家を出てもまだ渋滞から抜けられていない。


幸いハルカは寝ている。


なので、俺がハルカの代わりに長時間運転してくれている健一の話し相手をしている。



「健一。また、あの海行こうよ」


「あぁ。そうだね。実家に帰った時の恒例なんでしょ」



俺が今、健一に話している海とは、俺とハルカが小さい時から恒例にしているもので、そこは地元の人しか知らない穴場の夕日スポットなのだ。



その場所は車では行くことはできない細い山道なのだが、そこを抜けるときれいな海が一面に広がる。


そこからはどこから見ても夕日を見ることができるのだ。



ハルかも俺もそこの夕日が一番きれいだと言っている。


そういえば、春姫も夕日が好きだと言っていた。



デジカメで撮ってやろうと思った。



「健一。運転代わるよ。疲れただろ?」


「ううん。大丈夫だよ。ありがと」


やっと高速を抜け、市道になったところで俺は近道を健一に教えた。


そこは裏道なので、とても細く、ジグザグしているが、健一の運転テクなら大丈夫だと思ったからだ。



「ちょっと…!アツヤが運転してんの?」


激しく車が揺れるので、今まで眠っていたハルかが目を覚ました。



「失礼!ハルか。いくら健一だってこの道は揺れるんだよ」


「ふ~ん」


まだ、寝ぼけているハルかはまた眠ってしまった。



やっと家に着いたのは、それから一時間後だった。



田舎の家はどれも大きく、裏には大概畑とかがあるように俺たちの実家にも畑はある。



家に着くと両親が待っていた。



「よく、来たね。健一君」


「ただいま」


深々とお辞儀をして健一は家に入って行った。



健一はこういう性格なので俺たちの両親は健一が大好きだ。



「ハルカ~あなた。やっとお母さんになるのね」


「えへへ」


ハルかは照れるように笑った。


やっぱ嬉しいものだ。



ハルかはまだ大きくなっていないお腹を触っていた。



一通り荷物を部屋の運び終え、俺たちは畑で採れたスイカを居間で食べた。


「そうそう。アツヤ、あんたやっと一人暮らししたんだってね」


「なんだよ…やっとって」



分かっていたが、今度は俺の話になった。



「どんな部屋なんだ?金は大丈夫なのか?」


父親が聞く。


「無いって言っても困るけどね~」


母親の性格はハルカが受け継いでいるのは一目瞭然だ。



「でも、アツヤの選んだ物件超安いんだよ」


ハルカが俺を指しながら言った。



その瞬間を俺は見た。



両親の顔が変わった瞬間を!


「大丈夫なのか?安いっていうのは…その」


「殺人があったり、自殺があったとか?それともあんたなんか変なバイトしてんの?」



父親が気を使って口に出すのをためらった言葉をあっさりと母親は言った。



「まあまあ、安いとはいってもそういう話は聞かないですし、大体そういうのは前もって言わないと契約違反になりますから」



健一お兄様は焦る両親をなだめる様に言った。



「ただ、幽霊が出るって噂があるだけです」


余計なことを言うなよ!!!健一…



「ゆ…幽霊?!!」



「取り憑かれてるのか?お前…」


「父さん…


なんで信じてるんだ?



「待て待て!!俺は現にここに元気な姿でいるだろ…」


「まあ、そうだな。驚かさないでくれよ」



と、言ったものの、つい何時間ま前まではその幽霊と話をしていたなんて言えない。









はい。



ここま読んで頂きありがとうございます。



さて、次回は『トヨばあちゃんが語る!春姫の秘密』をお送りします。





じゃあ、次の章で会いましょう。



バイバInBan。