こんばんは。


InBanです。


さて、このブログも最近はめっきりとランクが下がり、私としてはいまひとつ手ごたえをつかめていないところですが、小説のほうは順調にクライマックスに向かっております。



このブログを見て頂いているご愛読者のみなさまはお楽しみに♪



それでは春姫の過去に迫る新章に参りましょう。












『19.    精霊』   ①




「じゃあな。春姫、行ってくる」


『ああ。気をつけてな』


「……」


『どうした?』



今日から俺は実家に帰る。


春姫にいつものように見送られたのだが、俺は玄関で見送る春姫を見て立ち止まってしまった。



『なんじゃ?』


春姫は心配そうに言う。


「一緒に来てもいいんだぞ?今回は姉夫婦だし、俺に気を使う必要ないんだぞ」


たった三日とはいえ、俺は春姫を一人残して行くという事に気が引けていた。


『ふん!わしが見た目が子供だからと言ってお主がいないというだけで寂しがるとでも思ったか』


春姫は鼻で笑って言った。



「ひどいな。俺はお前が心配だから…」



俺は大人気なくムキになってしまった。


『大丈夫じゃ』



春姫は優しく笑って窓際を見た。


そこには花瓶が置いてある。



『この花はきれいに咲いておるな。お主の気持ちに応えておるのじゃろ。わしは分かっておるぞ。この花瓶を買うとき恥ずかしかったじゃろ?わしのためにお主が無理して買ってくれたんじゃろ』


その花瓶は俺が美保ちゃんと待ち合わせをするときに偶然見つけて買ったものだ。



『この花と一緒にお主を待っておるから行って来い』



「分かった。いい子にしてるんだぞ」


春姫に言われ、俺は安心して出かけることができた。





お盆休みになり、ハルカの妊娠の報告もかねてハルカ夫妻と俺は実家に帰ることにしたのだ。


俺たちの実家は都会と違い、空気も海もきれいだ。



「久しぶりだよね。ハルカの実家に行くのさ」


去年は健一が忙しく、休みが取れなかったので俺たち二人で実家に帰ることになったが、今年はなんとか三日だけ休みが取れ、三人で帰る。



健一は愛車を運転しながら嬉しそうに言った。



やはり、お盆ラッシュと重なってしまい、朝早く家を出てもまだ渋滞から抜けられていない。


幸いハルカは寝ている。


なので、俺がハルカの代わりに長時間運転してくれている健一の話し相手をしている。



「健一。また、あの海行こうよ」


「あぁ。そうだね。実家に帰った時の恒例なんでしょ」



俺が今、健一に話している海とは、俺とハルカが小さい時から恒例にしているもので、そこは地元の人しか知らない穴場の夕日スポットなのだ。



その場所は車では行くことはできない細い山道なのだが、そこを抜けるときれいな海が一面に広がる。


そこからはどこから見ても夕日を見ることができるのだ。



ハルかも俺もそこの夕日が一番きれいだと言っている。


そういえば、春姫も夕日が好きだと言っていた。



デジカメで撮ってやろうと思った。



「健一。運転代わるよ。疲れただろ?」


「ううん。大丈夫だよ。ありがと」


やっと高速を抜け、市道になったところで俺は近道を健一に教えた。


そこは裏道なので、とても細く、ジグザグしているが、健一の運転テクなら大丈夫だと思ったからだ。



「ちょっと…!アツヤが運転してんの?」


激しく車が揺れるので、今まで眠っていたハルかが目を覚ました。



「失礼!ハルか。いくら健一だってこの道は揺れるんだよ」


「ふ~ん」


まだ、寝ぼけているハルかはまた眠ってしまった。



やっと家に着いたのは、それから一時間後だった。



田舎の家はどれも大きく、裏には大概畑とかがあるように俺たちの実家にも畑はある。



家に着くと両親が待っていた。



「よく、来たね。健一君」


「ただいま」


深々とお辞儀をして健一は家に入って行った。



健一はこういう性格なので俺たちの両親は健一が大好きだ。



「ハルカ~あなた。やっとお母さんになるのね」


「えへへ」


ハルかは照れるように笑った。


やっぱ嬉しいものだ。



ハルかはまだ大きくなっていないお腹を触っていた。



一通り荷物を部屋の運び終え、俺たちは畑で採れたスイカを居間で食べた。


「そうそう。アツヤ、あんたやっと一人暮らししたんだってね」


「なんだよ…やっとって」



分かっていたが、今度は俺の話になった。



「どんな部屋なんだ?金は大丈夫なのか?」


父親が聞く。


「無いって言っても困るけどね~」


母親の性格はハルカが受け継いでいるのは一目瞭然だ。



「でも、アツヤの選んだ物件超安いんだよ」


ハルカが俺を指しながら言った。



その瞬間を俺は見た。



両親の顔が変わった瞬間を!


「大丈夫なのか?安いっていうのは…その」


「殺人があったり、自殺があったとか?それともあんたなんか変なバイトしてんの?」



父親が気を使って口に出すのをためらった言葉をあっさりと母親は言った。



「まあまあ、安いとはいってもそういう話は聞かないですし、大体そういうのは前もって言わないと契約違反になりますから」



健一お兄様は焦る両親をなだめる様に言った。



「ただ、幽霊が出るって噂があるだけです」


余計なことを言うなよ!!!健一…



「ゆ…幽霊?!!」



「取り憑かれてるのか?お前…」


「父さん…


なんで信じてるんだ?



「待て待て!!俺は現にここに元気な姿でいるだろ…」


「まあ、そうだな。驚かさないでくれよ」



と、言ったものの、つい何時間ま前まではその幽霊と話をしていたなんて言えない。









はい。



ここま読んで頂きありがとうございます。



さて、次回は『トヨばあちゃんが語る!春姫の秘密』をお送りします。





じゃあ、次の章で会いましょう。



バイバInBan。