ハイテンション!!!!!InBanです。



お腹の調子も若干戻りつつありますが、なんと、間違って…血迷って…半熟卵を食べてしまいました。




私、世界の終わりが来ても、食べられない物のひとつなんですけど、固まってたし、いいだろうということで、パクッとしてしまいました。




お陰でお腹はまだゴロ②してるよ。



どうしてくれるんだい゛(`ヘ´#)












『世界の終わりを、キミと…』





5.


サチはあれから一回も俺に話しかけてこない。



よっぽど怒っているのだろう。


俺はサチと会ってまだ少ししかサチのことが分かっていないが、はじめてそんなサチを見た。



サチは二万円近いお金を一体どうするのだろう。



きっとあのお金は戻ってこない金だ。



天使の話だと、サチは土日はアンケートの集計と、テレアポ、平日はコンビニでバイトをしていて、お金は結構あると聞いている。


しかし、そんなお金もあいつらに渡してしまえば、ドブに捨てたようなものだ。




夜。



気が付いたことなのだが、俺はサチが寝ている間は自由に行動できるらしい。



普段はサチのと一緒に行動しなければならないのだが、サチが寝ているときはその拘束は無いらしい。



なので、俺はサチが寝たことを確認してから一階に向かった。



サチの部屋を出ると、ゆるい螺旋の階段があり、その下にリビングがある。



リビングはかなり大きくて、ソファーとテーブルがあってもまだ余裕がある。



そのソファーに両親が座って居た。



サチは、このとおり、両親とあまり仲がよくないので、バイトから帰るとお風呂に入り、すぐに寝てしまう。



俺も必然的にサチと行動を共にしているので、サチの両親の顔をあまり覚えていない。


夜中にこっそりとサチの部屋を覗く父親の顔をぼんやりと見た程度だ。



ソファーに向き合うように座っている両親はなにやら深刻な話をしているようだった。


耳を澄ませて聞いてみる。



「麻木さんのところにお嬢さん、●●大学合格したらしいわよ。ストレートですって」


母親が話し出した。



「そうか。あそこの家で●●大学ならサチはもっと上だな。留学のことも考えなくてはな」


どうやら大学の話らしい。



ちょっと早くねえか?



「そうね。どこがいいかしら」



「そういえば、サチのやつ、バイトをしているそうだな。しかも何個も掛け持っているそうじゃないか。確かにサチが学年一位になったらバイトを認めてやると約束したが、あれはし過ぎじゃないのか? 一体何のために? 金なら俺たちが出してるだろう。このままじゃ、あいつ、体壊すぞ」



父親はそう言って、テーブルに置かれたお茶をおいしそうに音を立てて飲んだ。



なんだ。


この両親はまともじぁねえか。



きちんと子供のことを考えてる親じゃねえか。



何が不満なんだ? サチは。




とりあえず、今日俺は両親の顔を見ることが目的だったので、そのまま俺はサチのところに戻った。




朝。


サチはきちんと学校へ登校できるようになった。


もうお腹が痛くなることは無いようだ。



俺が救う前にサチは友達によって救われた。



やっぱり友の力はすごいな。



『すごくないわよ!アナタばかぁ?』


目覚まし時計のごとく、俺の頭上で天使の声がした。



『(おまっ…天使がそんなこと言っちゃあダメなんじゃないか? なんなんだよ。サチは普通の明るい子になったじゃねえか)』



『サチはだまされてるわ』



天使も俺と同じ心配をしていた。


『(俺もそう思ってるけど、サチは返してくれると信じてるぜ)』



『サチが何か言えば変わるかもしれないけど、あの子にそんな勇気は無いわ。待っているつもりよ。あの子達が返すのを』



確かに。と思った。



サチが登校してからすでに授業は三時間目だが、サチにあいつらが話しかける様子も無い。



もちろん、サチ本人も言う気はないようだ。


俺がサチを後押しする言葉をかけてやりたいが、サチが俺の話を聞いてくれるわけも無い。



サチはまだ俺を許してくれていない。



その証拠にまだ今日一回も話をしていない。



俺が耐えている中、事件が起きた。


それは一枚の紙切れで始まった。



良く生徒が授業中メモ用紙をまわしているが、それがサチのところに回ってきたのだ。



その紙にはこう書いてあった。



“我がクラスのメインバンク!神田倖にお金を借りたい人はここに署名。返済無用!限度額無制限”



『なんだよ!これぇ』


つい、口に出してしまったが、これはひどい。


しかも、そこにはたくさんのクラスメイトの名前が記入してあった。



みんな共犯だったのだ。



もちろんサチだって見ている。



震える手で紙を持っていると、後ろから声が聞こえた。



「明日、ちゃんと持ってこいよ」



「信じていたのに…」



消えそうな小さな声でサチが呟いたのを俺は聞き逃さなかった。









はい。



今日はここまでです。



こんなイジメ、私だったら自殺してます。



高いビルから身を投げますね。



こういうとき、助けられる人でありたいですね。




それではバイバInBan。

RASTA!InBanでぇす。




突然ですが、繊細な私は、胃酸過多になりました。



考えられるのは、、、、、、うん!ストレスやね。これ。



ストレス社会に生きていると、我慢、法律、社会人という拘束状態だもんね。



なるよ。みんななるよ。



人間だもの。



あっ!あと、食事制限勧告が出ました。



これもストレスなので、これは解除しました。



…人間だもの。













『世界の終わりを、キミと…』




5.


俺の話を聞くと、天使はため息を付いて、ひとつの話をした。



『ねえ。哲朗。アナタはなんでアタシがあの子に何もしないか疑問に思っているでしょう。アタシはね、あの子に呼ばれたのよ。あの廃屋で』



『(は?!)』



俺はそんな非現実的なことに驚いてつい大きな声を出すところだった。



『サチはいつもあの廃屋で難しい本ばかり読んでいた』


俺はあの廃屋の本棚に並んだ本を思い出した。



『そう。いつもサチはそこで本を読んでから家に帰るの。まるで現実から逃げるように夢中でたくさんの本を読んだわ。その中で、天使の呼び出し方の載っている本を見つけた』



この天使と話していると、周りの音が何も聞こえなくなる。


それどころか、景色がスローモーションのようにゆっくりと動いている感覚がする。



不思議な感覚だった。


天使は続ける。



『まさか、アタシだって本当に呼び出されるなんて思ってもみなかった。正直と惑ったわ』



『(それで、サチはあんたに何を願ったんだ?)』



俺は話に続きを促した。



『サチはアタシに友達になってくれと言ったわ。アナタのように話し相手になって欲しいと』



天使はそれだけ言うと、視線を俺からサチに移した。


『でも、それは無理なことなの』


そのまま天使はきつく目を瞑った。



俺はなってやればいいじゃないか。という言葉を飲み込んだ。



『天使は人と関わりを持っていはいけない。天使は人を救う力は確かに持っているけど、それでは、全ての人が救いを求めてくるでしょう』



俺は生きていた時のことを思い出した。



俺もそうだが、神頼みをするとききっと、彼らは万能で、解決してくれるのではないかという望みを持ってお参りをする。



まぁ、本気で信じているわけではなかったが。



天使も同じだと思っていた。



『人には運命があるの。天使がその力を持って人を救うということはその与えられた運命から逆らうことになる。人は運命に逆らってはいけない。逆らえないように幸せと少しの試練が与えられているの。その運命の中でどう生きるかが人生なのよ』



天使の言葉に俺はあの時のことを問いただした。



『(俺が死ぬことも運命だったのか)』


すると、天使は言う。



『“死ぬ”という選択肢もあったというだけ。アナタの運命はあの時、二つの選択肢に分かれていた。生きることもできたはずよ。アナタが死を選んだのは後悔が強かったからね』



そう言った後、天使は少し笑って言った。


『思えば、これも運命だったのかもしれないわ。アナタはサチに会うという。ね』



『(運命…ねえ)』


俺は天使の言葉にただオウム返しだけをした。



カナが記憶を無くすのも運命だったのか。



俺と居た四年間を無くしてしまう、運命。


なんて残酷な運命だ。



そんな言葉で片付けてしまうのも切なかった。



俺たちの関係はそんな言葉でまとめられるほど簡単なものじゃない。



『(なあ。俺にサチが救えるのか?赤の他人だぞ?俺じゃなくて、サチの両親とか…)』


そう言ってから俺は初めて気付いた。



そうだ。



もっと、いい理解者がいるじゃねーか。



『(なあ、サチの両親のほうがいいんじゃねーか?俺よりもずっと長くサチといるんだから良き理解者だろ)』



俺はナイスな提案だと思ったが、この天使の反応はそういうものではなかった。



『サチの両親はサチに興味が無いのだよ。彼らの興味はサチの学力だ。いかにいい大学へ行かせるかしか頭にない。だから、サチが学校に遅れて登校しようが問題ではないらしい』



『(…ああ、まだいたんだなそんな人間)』


俺はガックリしてしまった。



そんな人は少なくとも俺の周りにはいない。



『サチはなんであんなにお金を持っていると思う?簡単に人に貸せるほど』



『(確かに。高校生にしては持ってるよな。金持ちとか?)』



天使は首を横に振った。



『サチはあんな両親のもとを離れて一人暮らしをしようと思っているの。サチには夢があるのよ。美容師になるという。サチはあの時アタシに言った。「あの家にいるかぎり、私の夢は潰されてしまう」と。だからアタシは救いたかった』



初めて、天使は本音のようなことを俺に話した。



そして、天使も俺たちと同じ感情を持っていることも。



『(でもさ、それでいいのかよ。サチは別に両親に虐待とかされてるわけじゃないんだろ?ただ、サチに幸せになって欲しいとかそういう理由なんだろ)』



俺は天使の言うことも分かるが、それでは一方的過ぎると言った。



『アナタにも夢があったでしょう』


天使が静かに言う。



俺の言っていることも分かるという言い方だ。



『(夢ねえ)』



無いわけじゃない。



そりゃあ、サチほど立派なものではないけど、俺にだってあった。



でも、もう叶わない。



叶うことはない。



それは死んでいるからではなく、生きていても叶わなかった。



『…確かに、アナタの言う通りよ。サチの両親は自分にできなかったことをサチに託そうと必死なの。でも、それはサチは望んでない。両親の役目じゃないわ』



『(大げさじゃないか?)』



俺は少し、冷静になって考えてみた。



『アタシはたくさんの人を見てきた。夢を諦めて失望して死んだ者たちを。アタシの役目は死者を天に案内すること。だから、アナタのような人をたくさん見てきた。サチにはそうなって欲しくない



『(運命は変えられる。とかいうやつか?)』


『分かってんじゃない』



と、言ってから俺は天使が今、大事なことを言ったのを思い出した。



『(ちょっと、待て!話を戻すぞ。あんた今、「アナタのような」って言ったけど、俺の死んだ理由知ってるのか?!)』



俺はドキドキしながら天使に聞いた。



『ええ。アナタは彼女と結婚しようとしていたのに、彼女はアナタを忘れてしまった。アナタをかばった時の事故の後遺症で。アナタはそれで責任を感じ自殺をした。アタシの担当は自殺者なのよ』



そして、最近の若者はみんなアナタみたい。と、付け足した。









はい。



今回は天使との会話ばかりでしたけど、次回はちゃんとサチも登場しますので、ご期待ください。



それでは、バイバInBan。







RASTA☆InBanです。



最近晴れた日が続いているので、ナンカ意味ないけど外出てます。



やっぱ人間も光合成が必要だと感じます。


酸素は出せないけどね…












『世界の終わりを、キミと…』




5.



その翌日もサチは話しかけられた。



今度は昨日とは違う子だったが、内容は同じだった。



サチはまた、“お役に立ち”に行った。




昨日と同じ教室に入るなり、二人の子はサチに当たり前のように金銭を要求してきた。



『ハァ? 五千円? エスカレートし過ぎだろ!断れ。サチ』


俺は必死にサチがかばんからお財布を取ろうとする手を止めた。



「(教科書買うんだって。無くしちゃったからって。これで授業に追いつけなかったら可愛そうじゃない)」



サチは言う。


『大丈夫だよ。こいつらいつも授業中寝てるじゃねえか。無くしちゃったとかの前に買ってねえって』



サチに要求する金額が上がっている。



絶対にサチのことをいいカモだと思っているに違いない。



そのうち、サチのおこづかいでは払いきれない金額にまで行ってしまうだろう。



そうなる前に食い止めないといけない。



サチに気付いて欲しい。



仕方ないので、俺は少しキツ目にサチに言う事にした。


俺が悪者になってもいいと思った。



『やめろ!あいつらサチのこといいカモにしか思ってねえよ。そんなの友達じゃない。サチは役に立ってると思ってるみたいだけど、あいつらにとってサチはただ金を運んでくるこうのとり程度にしか思ってねえよ』



言いながら後悔していたが、そんなこと気にしている場合ではないと自分に言い聞かせ、サチに言った。



結果的にこれでよかったとサチが後々思ってくれれば今は耐えられる。



「(そんなこと言わないで!なんであなたは人を信じるようなことをしないの? そんな人だと思わなかったわ。もっと、親切ないい人だと思っていた)」


そう、言って、俺の前を素通りして二人に五千円を渡してしまった。



「はい。これで教科書買ってね」



サチがこんなに自分の気持ちをストレートに言ったのは初めてだった。



俺はショックのあまり、その場に立ち尽くすしかなかった。



本当に、本当にショックだった。



きっと、生きていたときはこんなこと思っても、行動に移したことはなかった。



そういうことを避けて生きてきたから。


俺としては結構思い切った行動だったのに、報われなかった。



やらなきゃ良かったと後悔してしまうくらいショックだった。




俺はショックからしばらくの記憶は無かったが、気がついてまた怒りがこみ上げてきた。



それはサチに対してではなく、



『オイッ!どういうことだ?これは』


サチはまた話しかけられたのだ。



今日二回目だ。


しかも、声をかけたのは昨日サチから四千円を借りた子たちだ。


『サチ。聞いてるか。まず借りたものを返してからだろ? 順序があるだろ』



俺は恐る恐るサチに言うと、サチも同じことを思っていたようで頷いた。



「あのさ、…まず昨日貸した四千円を」


サチが勇気を振り絞って言うと、彼女たちはあっけらかんと言った。



「あぁ。ごめんねぇ~。バイトの給料が入ったら一気に返すからさぁ~。それまでいいかな?」


と、サチに手を差し伸べる。



『なにが「いいかな?」だ。フザケンナ!サチ。ガツンと言ってやれ。貸したお金が返って来るまでは貸せないって』



俺はサチがやっと分かってくれたかと思った。


だが、


「それじゃあ、仕方ないね。いいよ。今日は定期買うために結構お金持ってきたから貸せるわ」



また、サチは彼女たちを信じ、お金を渡してしまった。


『貸せる…って、サチはどうするんだよ。定期買うためのお金だろ? 貸したら買えねえじゃんか』



「(私はいいの。あの子達のためだもの)」



サチの純粋に人を信じる気持ちは重症だった。



きっと、あまり人と接していないからどんな人がいるのか分からないだろう。



それにしても、人を信じるにしても限度があるだろう。



俺はさっきのことと言い、もうちょっと言ってもいいのではと思いサチにお説教をした。



『サチッ!聞け。いくらなんでも限度があるぞ。一体この二日だけで何人にお金を貸したんだ? いくら貸したんだ? それが一円でも返って来たか? お人良しも大概にしろよ。サチは使われてんだよ。騙されてんの。いい加減分かれよ



静かな廊下は人の通る足音と、校庭で生徒たちが声を掛け合う声だけが響いていて、校内は静まり返っている。



授業が始まるチャイムが鳴るまで俺たちの周りの時間は止まっているようだった。



サチも俺もしばらく黙っていた。



そして、サチが口を開いた。



「(わ…私は、人の役に立てて、それが本当に嬉しかった。騙されてるなんて思ってもいない。なのに、なんであなたはそんなことばかり言うの? あなたが言ったのよ。私だって人の役に立てるって…。信じたのよ。私はあなたの言葉を。なのに…ヒドイわ!あなたなんか嫌い!もう話しかけないで)」




ガツンと頭を殴られた感じだった。


それからサチは俺がなにを言っても答えなくなった。



『ああ。そうか、シカトするんだな。分かったよ。勝手にしろ』


まったく俺は子供か。



いい年した二十五歳が十六歳とマジ喧嘩なんて…まったく情けない。




『本当に情けないわね。アナタに任せたアタシが間違いだったようね。あの子一人守れないなんて』



天使がやってきて言った。


『仕方ねえだろ。本当のこと言ってもサチは分からねえんだからよ。俺よりもあいつらを信じてるし。俺には何もできないよ。俺はこの役から降りてえ』


正直面倒くさかった。



もともと、俺が臨んでやりたかったわけじゃない。


強制的にさせられているだけだ。



楽になりたくて自殺したのに、意味が無い。



大体、生きている人間と死んでいる人間が分かり合えるはずが無いんだ。



現に、俺はサチを助けたいと言って、話し相手にまでなったのに、こうして傷つけてしまっている。









はい。



今日はここまでにします。



こういうイジメは最近では普通にあるみたいですよ。




果たして、哲朗は救うことができるのでしょうかね。



ちなみに、哲朗の課題はサチをイジメから救うだけじゃないです。





乞うご期待。



バイバInBan。











っひゃ~い!!!



InBanです。みんなついて来てるかい?



乗り遅れてんじゃないよ。BOYs&GIRLs。




「どうしたんですか?InBanさん。珍しくブログにコメントしてると思えばテンション高いですけど…」



聞いてくださいよ。


私にまた②姪っ子ができたんです。



「あっ!お姉さんに生まれたって言ってましたね」



SO。なんです。



目が大きくて…大きすぎて宇宙人みたいですよ(笑)



「ああ。かわいいんですね」


はい。



「あとはInBanさんだけですね」



言うよね~













『世界の終わりを、キミと…』



4.


サヨナラさえ、言えないでいた。


キミの記憶の中にはもう居ないから。





「ねえ、神田さん。話があるんだけどちょっといいかな?」


「え?何?」



サチがあんなに欲しがっていた友達はある日、突然できた。


「(どうしよう。私、話しかけられた。話って何かな?)」



サチは嬉しそうに俺に報告した。



俺の姿は他の人には見えないので、サチは学校や家では小声で俺に話しかけるようにしている。



こんなにウキウキしているサチは初めて見た。


無理もない。



なんたって初めての友達なのだから。



…いや。



『ちょっと、待て!サチ。行くのはちょっと』



俺はサチの前に立ちはだかって言った。



「(え?なんで?あの子私に話があるって言ってたわ)」


サチは俺が必死に止めているのを見て、不思議そうな顔で言った。



『まあ、確かに、こういうとき友達になりたいっていうお誘いかもしれないけどさ、普通はな。でもさ、サチの場合は違うだろ?』



「(違うって?)」



きっと、サチは純粋に質問している。


俺は答えに詰まってしまった。



どうにかサチを傷つけない言い方を考える。



『だから、その…つまりサチは昨日までイジメに遭ってただろう。それが突然学校にきたらみんなが何事もなかったように接してるっていうのは…ないよ。だから警戒したほうがいい。絶対なにかある



俺がなぜ、こんなにもサチに注意を促しているかというと、それは朝のホームルームに遡る。



サチがいつものように学校へ行くと、生徒たちは突然サチにちやほやしてきたのだ。


サチはいきなりの大歓迎に戸惑っていたが、俺の目はごまかせない。



これは新しいイジメの始まりに決まっている。



「(それは考えすぎよ。きっと、イジメに遭っていたこと自体私の勘違いなのかもしれないわ。みんなイジメていなかったのよ)」



サチはケロリと言ってのけた。


本当に状況が理解できていないようだ。



『サチがいい子なのは分かったから今回は言うこと聞いて。いい?行ってはダメなの』



俺は親が子供に言い聞かせるようにゆっくりサチに言った。



「(そんなの行ってみないと分からないわ。それに行かなくちゃあの子に失礼よ)」



この期に及んでサチは彼女のことを庇うようなこと言う。


『(仕方ない…)』



俺は少しリアルな話をすることにした。



『じゃあ、聞くけど、サチはイジメに遭っていないって言ってるけど、今までのはなんだったわけ?上履きの落書きは?ノートのいたずら書きは?あれは全部冗談だったのか?』


俺は穏やかに話しているけど、内心は焦っていた。



直球過ぎてサチが傷ついてしまうかドキドキしていたからだ。



しかし、その心配は要らなかったようだ。



「(きっとそうよ。それで、そのことについて謝るつもりなのよ。それならなおさら行かなくちゃ)」



サチが間髪いれずに答えたので、本当に焦ってしまった。


相当の天然らしい。



『サチ。頼むから、言うこと聞いて。マジで心配なんだって…』



「(ありがとう。でも、大丈夫よ、私は信じてるから)」


俺は結局サチを止めることはできなかった。



サチは指定された場所に行ってしまった。



必然的に俺もついて行くことになる。




サチが指定された場所は一番端の空き教室だった。


実験室があり、準備室があり周りは静かだった。


邪魔の入らない絶好のイジメスポットだ。



そこには数人の女がいた。


サチは知らずに行く。



サチが一人で来た事を確認すると女の一人が言った。


「オセ~よ。逃げたかと思ったよ」


コエ~よ。


あからさまにさっきの態度と違うじゃねえか。



「話ってなに?」


何も知らないサチは純粋に聞く。


俺には耐えられない光景だった。



「ああ~話ね。あのさ、実はうちらお財布川に落としちゃってぇ~、昼ごはん買うお金無いんだぁ。悪いんだけど貸してくれる?」



顔の前で白々しく両手を合わせながら一人が言う。



『サチ。貸しちゃダメだぞ。最初が肝心なんだからな。「アタシいつもお弁当だからお金持ってきてない」とでも言っておけ』



新しいイジメはなんとカツアゲだった。



しかし、サチはやはり


「いいわよ。いくら?」



『ってオイ!何言ってんだよ。サチ』


て、俺もツッ込んでる場合じゃない。



サチはお財布を取り出して言った。



「マァジでぇ~。ごめんねえ~明日絶対返すからさ~。あのね、一人千円だから四千円かな?」



『っは?オイオイ…一人千円てどこで食べてく気だよ。どんなけ豪華なんだよ、テメーらのランチは。サラリーマンを見習えっての!つか、四人いっぺんに川に財布落とすか?』



この四人の女の声は耳に障る。


「はい。よかった。今日丁度四千円あるわ。はい」



と、言ってサチは予選円を渡してしまった。


もう二度と戻らない四千円を。




そして、俺らは教室を後にした。



教室を出てからサチは言った。



「(アナタの言うとおりだわ)」


『はぁ…なにが?』


俺はなんだか疲れてしまっていて、気が抜けた返事しかできなかった。



「(あなたは言ったわ。私がいつか人の役に立てると。私、確かにあの子達の役に立ったわよね)」


サチはまっすぐに俺を見て言った。



その顔を見て、俺は涙が出そうになった。



俺に普通の体があったなら、今からでもあの教室に行ってあいつらから四千円を奪ってサチに返してやりたかった。



なんなら利子だって付けたいくらいだった。



こんなにも純粋にみんなの役に立てた事を嬉しく思っているサチに、この事実は残酷だ。


俺にはどうしてやる事もできない。



サチは、死んでしまった俺なんかよりも、生きている同級生を信じた。


確かに、当然だと思ったが、俺はそれも悲しかった。



あの四人は結局午後の授業に出なかった。



たかが、四千円で一体なにをしているのだろう。



『何があってもサチ。俺はお前の味方だから俺だけは信じて。サチ』



これが今の俺が言えるサチへの精一杯の言葉だ。




幽霊の俺に出来る精一杯だった。






はい。



やはり幽霊と生きている人とでは価値観が違うんですね。


というのを実感する回でした。


次回はどんな出来事が…




バイバInBan。


























InBanです。



母がおとといアメリカから帰ってきました。




太ってましたダウン









『世界の終わりを、キミと…』



4.


『サチ。おはよう』


「?!」


翌朝、サチは驚いた表情で俺を見た。



無理もない。



サチは今日初めて俺を見るのだから。




もともと大きな目を最大まで開いてジッと俺を見ている。



「あなたが…」



恐る恐るサチは言う。


『そう。サチの専用の話し相手の織田です』



俺はかしこまって挨拶した。



サチは俺の姿が見れて安心した様子だった。





学校からの帰り道、俺たちはまたあの廃屋へ向かっていた。



改めて俺がどういう人物なのか分かって、安心したサチはもっと俺に色んな事を話すようになった。



内容自体はたわいもないことなのだが、サチはそれでも楽しそうに話す。



今日見た夢の話や、近所で生まれた子猫の話。



テストの点数。



『知ってるよ。俺も見てたから。サチって頭いいんだな』



「あなたは?あなたはどんな人なの?」



そういえば、サチは俺のことを何も知らないのpだ。



俺はサチの質問にはなるべく答えてやりたいのだが、なんで、俺は説明下手なので、きちんと答えてあげられない。


そして、なにより俺の記憶は曖昧で、思い出すことが困難になってしまっていた。



『名前は教えたけど、何が聞いたい?』


すると、サチはこう言った。



「あなたが亡くなる前のことを知りたいわ。そういうのはやっぱりしてはいけないかしら。私もあなたのことが知りたい」


サチは純粋に俺のことを知りたいようだ。



しかし、やはり、今の俺は子供の頃のことはもちろん、友達との事も思い出せない。



どうやら、俺の記憶は自殺したあの日から止まっているらしい。



覚えていることはカナのことだけ。



きっと、心に強く想っていたからなのだろう。



『サチ。ごめんな。あんまり思い出せないんだ』


せっかくサチが俺に興味を持ってくれたのに、申し訳なかった。



しかし、サチは首を横に振って言った。


「ううん。いいの。でもひとつだけいいかしら」


『なに?』


「あなたが私と一緒にいる理由が知りたいの。あなたと私は知り合いじゃないでしょう?なのに、私なんかと一緒に居てくれる



サチは痛いところを付く。


正直に天使に無理やりサチを救うように言われて仕方なく一緒に居ることになった。とは、言えない。



『そうだな。きっとサチは俺が必要なんだ。だから一緒に居る』


俺はその場限りの嘘を付いた。


偽善者のような。



「ありがとう。いつか私もあなたに必要とされる存在になりたいわ」


そう言い、そして、


「なれるかな?こんな私が」


と、付け足した。



『ああ。なれるよ。サチ。でもそれは俺みたいにもうこの世にいない人に言うんじゃなくて、きちんと生きている人に言ってやれよ。人なんて、生きているだけで無駄じゃないぜ』



俺がそう言うと、サチは心配そうな目で俺を見た。


『大丈夫。この哲朗様がサチに勇気を分けてやる。サチが誰かの役に立てるまで』



そう言いながら、俺は内心ビクビクしていた。


それは、サチに「じゃあ、なぜあなたは死んでしまったの」と、聞かれるかと思ったからだ。



俺が言った言葉は生きている人間が言って初めて説得力を持つだろう。



俺なんかが言ったところできれいごとに過ぎない。



でも、サチは何も言わなかった。




夕日の明るさで浮かび上がった、誰も足を踏み入れたことのないこの廃屋で、サチは俺の話を聞いてくれている。



その姿を見ていると、生きているとき考えも付かなかった思いがこみ上げてくるのを感じた。



“サチを助けてやりたい!!”


これは本心なのだと、確信できる。



俺は生きていた頃、言いたかったことを言えずに、そのまま逃げた。


誰も信じなかったからなのかもしれない。



悩みや感情を共有することに怯えていたのだ。




夕日は完全に沈み、夜がやってきた。











はい。



今日はここまでです。



哲朗の姿が見えることで、サチとの距離がまた少し、縮まりました。



次回もお楽しみに。



バイバInBan。