経営革新計画策定フロー ~新事業を根拠付ける現状分析(外部環境編)~ | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 売れプロ12期生で中小企業診断士の原口卓也です。

 前々回より経営革新計画をテーマに取り上げ、経営革新計画の制度概要、そして、経営革新計画の策定に取り組んだ事業者が実感したメリットについてお届けしました。今回より経営革新計画の策定方法について記してまいります。今回のテーマは「現状分析(外部環境分析)」です。
 

<目次>
 1.現状分析とは
 2.なぜ現状分析が重要なのか
 3.フレームワークを用いる理由
 4.外部環境分析フレームワーク事例

1.現状分析とは
 ズバリ、現状分析を一言で言うと、経営者が描く会社のありたい姿との差異を正しく測る、また、現状の会社の姿と経営者が描く会社のありたい姿との差異を埋めるために起こすべき施策を検討することです。その差異、ギャップが問題であり、問題の解決に向けて具体的に取り組むべき施策が課題です。

 カーナビは行き先を入力すれば、経路を複数提案してくれます。しかしながら、経営においてはありたい姿を確実に、かつ効率的に実現するために、経営者自身が現在地や最適な経路を把握する必要があります。その手段が現状分析です。
 では、現状分析はどのように行うのでしょうか。それは、会社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)と経営環境(顧客・競合・自社)のこれまでとこれからを、フレームワークに当てはめて洗い出すことで行います。


2.なぜ現状分析が重要なのか
 現状分析を行う理由は、経営革新計画における新事業の評価指標である新規性と実現可能性の根拠とするためです。まず、新規性では、顧客からのヒアリングや統計資料などから裏付けられ、新事業でやりたいこと・できることが、顧客や市場から求められている、売上につながることを示します。次に、実現可能性では、既存事業から培った強みの活用や外部連携による補完などから、新事業の実施に必要な経営資源が揃っていることを根拠付けます。


3.フレームワークを用いる理由
 フレームワークとは物事を考える上での枠組みです。それらの枠に当てはめて、検討・議論することで、効果的また効率的に意見出しや意思決定ができるようになります。フレームワークが役立つ根拠は、経営をモレなくダブリなく(MECE)、様々な視点で捉えることで(多角的)、新事業の根拠とする(論理的)ことができるためです。次章より、どのような業種や規模の企業でも、汎用的に活用できるフレームワークを説明します。


4.外部環境分析フレームワーク事例
1)PEST

 事業を取り巻くマクロな外部環境について、政治(Politics)・経済(Economics)・社会(Society)・技術(Technology)の視点で、その変化を分析します。さらに、それらの変化を既存事業に対する影響度、その変化の不確実性の4象限に整理して、不確実性が高く、影響度の大きい変化に対する戦略を検討します。 

 

 

2)3C
 事業に不可欠な利害関係者である顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点で、事業を成功させるための戦い方を分析します。自社の視点に偏らないように留意しながら、①顧客を満足させられる価値を提供できるか、②競合に対して競争優位性を発揮できるか、の順で分析します。
 


 

3)5F
 競合他社・新規参入・代替品の脅威、得意先・仕入先の交渉力の5つの観点で、業界の競争環境からその市場が儲かるかどうかを分析します。業界内で自社が競争優位な地位を築くことができるか、ポジショニングマップと組み合わせて、参入や撤退の経営判断に活用します。

 ※ポジショニングマップとは、縦と横の2軸でつくられたマトリクス上に自社や競合の製品やサービスなどを配置した図表で、市場全体や参入各社の立ち位置が確認しやすくなります。


【代表的な分析要素】
 同業他社の脅威:競合数、シェア、戦略など
 新規参入の脅威:法規制、技術的難易度(特許等)、規模の経済性など
 代替品の脅威:技術開発、顧客ニーズの変化など
 顧客の交渉力:商品の一般化、切替コスト、ブランド選好など
 仕入先の交渉力:希少性、寡占度、需給バランスなど 
 

 

 現状分析の重要性をご理解いただき、新規性と実現可能性の高い新事業を実施することで、より持続可能な成長を図ってまいりましょう。
 

 ※参考資料「ビジュアル ビジネス・フレームワーク」(堀 公俊著、日本経済新聞出版社)

 

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