ベンチャーブームとCFO浸透の関係性 | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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こんにちは。売れプロ12期生の日髙 翔太です。

 前回は、資本主義やCFOの特徴に影響を与えた、日本の独特な経営手法や金融の歴史について記載しました。日本の独特な経営手法である「三種の神器(終身雇用、年功序列、企業内組合)」や銀行との長期的な関係維持さえ行っていれば順調に経済成長してきた歴史などから、日本型CFOはライン型資本主義の特徴を持ったと述べました。今回以降でベンチャー企業に着目していきます。中小企業では日本型CFOが多い中、ベンチャー企業で採用支援を行う中で、グローバル型CFOの採用要件を頂くことはよくあります。なぜそのような特徴が生まれたのか、まずはベンチャーブームとCFO浸透の関係性について紐解きながら記載していきます。

■日本のベンチャーブームと経済発展
 一般的に、日本にはこれまで4度のベンチャーブームが起きたとされています。第一次ベンチャーブームは1970年~1973年ごろであり、終戦から25年を経て、高度経済成長期とニクソンショックが重なり、金余りが起きたことで、ベンチャーキャピタルが次々と立ち上がったことが要因とされています。このブームで日本電産やキーエンスなどのハイテクベンチャーやアデランス、コナミなどの流通・サービス系企業が創設され、国内総生産は世界第二位まで急成長しました。


 第二次ベンチャーブームは1980年代であり、製造業中心の産業構造から変化が起こり、流通・サービス系企業が急成長していきます。またジャスダック市場の上場審査基準緩和なども追い風となり、ソフトバンク、スクウェア・エニックスなどが創設されています。

 

 第三次ベンチャーブームは1990年以降であり、バブル崩壊による経済の落ち込みの時期でもあります。これに歯止めをかけるため、官主導の規制緩和やベンチャー支援策を打ち出したことに加え、インターネットの爆発的な普及によるIT産業の発展が後押しをし、楽天、ライブドア、サイバーエージェントなどのITベンチャーを生み出していきました。この頃から米国を中心とした欧米諸国の経営手法を手本とし、グローバル化が加速していく事となり、これがCFO浸透のきっかけの一つとなったとされています。

 

 そして第四次ベンチャーブームは2013年ごろに起こり、現在もまだ継続しているとされています。2013年ごろから国の政策に基づき日本政府と民間で出資する官民ファンドが増加しており、日本経済におけるベンチャーの存在意義も大きくなっていると感じます。iPhoneを中心としたスマートデバイスやIoT時代の突入と共に、企業業績の回復と投資家心理の改善により、2018年にはベンチャー投資額が最高額を記録、2021年の新規上場企業数は125社と直近15年の中で最も高水準です。

■ベンチャーブームとCFO浸透の関係性について
 ここでCFOの国内浸透に目を向けてみると、特に関連が強いのは、第三次ベンチャーブームであるといえます。日本のバブル崩壊後の経済の落ち込みに対して、米国経済は逆に不況を脱し、大きくGDPを拡大させました。軍事技術の民間開放によるインターネットの大いなる発展、情報のデジタル化によるコンテンツ提供などにより、シリコンバレーに代表されるようなベンチャー企業の飛躍的増加につながったとされています。

 

 これに触発され、1990年以降、日本でも経済の担い手としてベンチャー企業に期待が集っていくことになります。官主導により様々な規制緩和やベンチャー支援策が打ち立てられ、例えば、1997年には商法改正によりストックオプション制度を一般導入するなどにより、ベンチャーブームが巻き起こっております。日本経済の立て直しは米国の成功例を手本にしたとされており、これは前述したCFOが日本に浸透し始めた時期と重なっております。

 

 一方で第三次ベンチャーブームでは、新興市場に上場したベンチャー企業の不祥事が多発したといわれています。特にライブドアと村上ファンドの両事件の影響は大きく、起業家やベンチャー企業に対する世間の目が厳しくなったといわれています。新興市場に上場を目指すベンチャーが情報を操作し、本来の価値より良質なサービスを称して提供することで投資を受けようとする逆選択が起き、結果的にこの不祥事多発と市場の逆選択が第三次ベンチャーブーム終息のきっかけになったといわれています。

 

 第一次~第三次のベンチャーブームの沈静後、しばらくの期間を空けて2013年より日本は第四次ベンチャーブームに突入していますが、これを一過性のものにせず、しっかりと経済発展につなげていく必要があります。そのためには「官主導」の不備の是正、法制面における整備が必要となる一方で、適正な企業価値向上とガバナンス面に強みを持ったCFOを国内に増やすことが求められ、これが現在のベンチャー企業のCFOに求められる要件となっているように感じます。欧米経済を模倣したことと、企業価値向上に主眼を置いたベンチャーCFOは、アングロサクソン型資本主義の特徴を持ったのではないかと考えられます。


 今回はベンチャーブームとCFO浸透の関係性ついて記載しました。第五回から継続掲載してきましたCFOについてのブログですが、いよいよ次回は最終回とし、ベンチャー企業で求められるCFOの要件とスキルについて着目していきたいと思います。

 

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