経営革新計画のメリット~実際に計画を作成した事業者の声より~ | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 売れプロ12期生で中小企業診断士の原口卓也です。

 前回より経営革新計画をテーマに取り上げ、「経営革新計画の制度概要」についてお届けしました。今回は「経営革新計画のメリット」について記してまいります。

 

<目次>
 1.経営革新計画のメリット-実際に計画を作成した事業者の声より-
 2.経営革新計画の構成-計画はどのように作成すればよいか-
 3.新事業活動とは-どのような計画が承認されているか-

 本題に入る前に、経営革新計画の概要をおさらいします。下記は前回の記事より抜粋したものです。

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 東京都産業労働局のホームページでは、経営革新計画を次の通り定義しています。

「新事業活動により経営の相当程度の向上を図るための中期的な経営計画書」

 この定義には二つのキーワードがあります。それは、新事業活動(新商品を開発または新サービスを提供すること)、経営の相当程度の向上(利益を増やし、それを従業員に給与として還元すること)です。

 経営革新計画は、新規事業をこれから検討・立案し、実行しようとする事業者のための制度なのです。

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1.経営革新計画のメリット-実際に計画を作成した事業者の声より-

 それでは、本題に入ります。

 前回の記事では、経営革新計画を作成すべき理由として、日本政策金融公庫からの借入において特別利率が適用され支払利息が少なくなること、ものづくり補助金の成長性加点として採択率の向上に寄与することなどを採り上げました。その他、事業者のリアルな声から、経営革新計画のメリットについてご紹介します。

 東京都が経営革新計画の普及を目的に作成している「東京都経営革新計画事例集」からうかがえる、事業者が経営革新計画を作成、また承認が得られて実感したメリットは以下の通りです。

 社 内:計画を社員と作成する過程で、会社の将来を共有できた
 社 外:自治体により計画が承認され、顧客や金融機関からの信用力が向上した
 経営者:専門家から指導を受けられたことで、会社の状況や計画の内容を客観的に捉えられた


出典:「令和3年度 東京都経営革新計画事例集」より筆者要約
 

 経営革新計画の作成と承認が、事業者にとって社内外の重要な利害関係者である社員や顧客との関係をより強固にするとともに、経営者自身の気づきや刺激につながっています。


2.経営革新計画の構成-経営革新計画はどのように作成すればよいか-

 これまでの内容をご覧いただき、経営革新計画を作成したいと思っていただけましたら、次に経営革新計画をどのように作れば良いかを知るために、その構成について触れてまいります。


 

 出典:筆者作成

 まず、商品や人材などの内部環境、顧客や競合などの外部環境の現状を分析【step1】します。そして、社員の雇用を守り、市場に商品やサービスを供給し続け、会社が持続的に成長するための課題を設定【step2】します。続いて、その課題を新事業活動でどのように解決していくか【step3】をまとめます。新事業活動の構想を5W1Hの切り口から練り上げ、新規性と実現可能性の観点から新事業を評価し、付加価値額と給与支給額という経営革新計画で求められる指標について、妥当性が高い一方で野心的な目標値を立案【step4】します。


3.新事業活動とは-どのような計画が承認されているか-

 続いて、経営革新計画における新事業活動の評価ポイントをお伝えします。それは、新規性と実現可能性の二つです。何も新しく考えてくださいというわけではございません。どの新事業にもあるはずの、この二つの要素に根拠をもたせることです。

 まず、新規性についてです。当該の新事業が顧客の課題や市場のニーズの変化を捉えているか、顧客からのヒアリングや統計資料などから裏付けます。つまり、新事業でやりたいこと・できることが、顧客や市場から求められていて、売上につながることを示します。

 次に、実現可能性についてです。企業の成長や顧客の課題解決につながる魅力的な新事業でも、実現できなくては絵に描いた餅で終わってしまいます。既存事業から培った強みの活用や外部との連携による補完などから、新事業の実施に必要なヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源が揃っていることを理論付けます。

 令和3年度東京都経営革新優秀賞受賞企業である株式会社ナツメスタジオワークスの新事業における新規性と実現可能性は以下の通りです。なお、同社の経営革新計画テーマは「新スタジオ導入による新たな動画制作サービスの展開」であります。

【新規性】
 既存の動画コンテンツ制作事業の顧客の声から、個人事業主やYouTuberなど含めた小規模事業者においても、手軽に動画を制作し集客・収益化を図りたいというニーズが増してきた。

【実現可能性】
 既存の動画コンテンツ制作事業のノウハウを活かして、新設したスタジオにおいて、インターネット技術を利用し画像などをリアルタイムに合成しながら撮影を行うことで、高品質・低コスト・短納期なサービスを提供する。新事業には、社員も主体となって顧客の課題解決に当たるという意識で取り組み。また、計画作成過程において、設備投資とその回収について検討を詳細に行う。

 出典:「令和3年度 東京都経営革新計画事例集」より筆者要約


 将来を見据えて自社の中長期計画を描き、それを計画に落とし込み実行することで環境変化に適応できる能力が備わり、企業の成長につながると、同社の代表からのメッセージにあります。 

 不透明で不確実な時代だからこそ、皆さんも経営革新計画の作成を是非ご検討ください。次回は、経営革新計画作成のファーストステップとして、フレームワークを用いた現状分析についてお届けする予定です。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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