日本の独特な経営手法と金融の歴史について | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 こんにちは。売れプロ12期生の日髙 翔太です。

 前回は、資本主義の違いとそれによりグローバル型CFOと日本企業型CFOの違いが生まれたことについて記載をいたしました。アングロサクソン型の資本主義において、企業の主な資金調達方法はエクイティ資本であり、対してライン型の資本主義においては、企業の主な資金調達方法はデット資本となります。主にこの資金調達の違いなどにより、より自由な取引を求められるアングロサクソン型資本主義でのCFO(=グローバル型CFO)は、競争、戦略的、短期利益志向、未来機能重視といった特徴を持ち、対して銀行との長期的契約関係の維持を重視するライン型でのCFO(=日本企業型CFO)はオペレーション的、長期的関係維持志向、過去機能重視という特徴が表れると述べました。
 今回は日本の資本主義やCFOの特徴に影響を与えた、日本の独特な経営手法や金融の歴史について記載していきます。

■日本の独特な経営手法が与えた影響について
 日本の独特な経営手法とその歴史を考察してみます。米国の経営学者ジェームス・アベグレンは日本の高度経済成長を支えた大手企業の成功要因を「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」にあるとし、これら 3 つを「三種の神器」と名付けています。新卒一括採用で大量採用した人材をこの「三種の神器」により社内に根付かせ、中長期的な育成を行い定年まで社内に貢献してもらうというのが日本の経営手法でした。これは前回の記述で述べた「すべての職員を職業的に向上させることで長期的な利益と調和を得ようと考える」「企業が収入の格差を少ない限度にとどめるよう努力する」といったライン型の特徴を生むことにつながっています。
 また日本的経営では、内部昇進制が特徴的であるといわれています。「三種の神器」に支えられ、内部労働市場の競争に勝ち抜き、取締役など経営層にまで昇進した生え抜き人材である経理・財務担当役員(=日本企業型 CFO)は主に自社での経験値がメインであるため、どうしても過去業務の整備やオペレーション業務などに終始してしまいがちで、経営改革に関わる戦略的業務や物言う株主への対応などに関わる機会が減ってしまいがちだと考えます。 

■日本金融の歴史が与えた影響について
 過去日本にて財務の中心業務は銀行との長期的な関係維持であり、70 年代までは順調に日本経済が成長していたこともあり、これが良しとされてきました。80 年代に入るとバブルに突入し、日本の方がアメリカよりも経済成長率が高くなったことで、むしろ日本の経営手法が注目される時代が続きました。しかしその後、バブルが崩壊し、銀行の間接金融機能が弱体化したため、国内成長が鈍化していきます。その結果、グローバル化や海外投資家との対話の必要性が叫ばれるようになり、直接金融の重要性が増していきました。外国人投資家をはじめ、いわゆる物言う株主が増え、投資家・株主対応をする必要性が高まる中、内部昇進した経理・財務担当役員が徐々に CFO に名称変更していく形で、日本に CFO が浸透していったという歴史があります。
 このような流れの中で日本のCFOがライン型資本主義の特徴を強く持つのは当然といえます。もちろん近年の日本でも大手企業では、組織のグローバル化やジョブ型人事制度の導入を進め、グローバル企業型CFOを置く企業も多くあります。一方で私たちが支援すべき中小中堅企業では依然、ライン型資本主義の考え方を持つ企業が多いといえます。

 今回は日本の資本主義やCFOの特徴に影響を与えた、日本の独特な経営手法や金融の歴史について記載しました。次回以降はベンチャー企業に着目していきます。中小企業では日本企業型CFOが多い中、私がベンチャー企業で採用支援を行う中で、グローバル型CFOの採用要件をよく頂きます。ベンチャー企業がCFOに求める特徴について、まずはベンチャー企業の歴史やベンチャーブームについてまとめる中で考えていきたいと思います。

 

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