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中小企業診断士 売れプロ12期生 花村幸一です。
プロジェクトマネジメントの世界では、目標を設定し、スケジュールやコスト、品質の計画を策定、タスクの実行と計画との差異のモニタリングを実施し、目標を達成するという手法が基本的なアプローチとして広く認識されています。プロジェクトの目標は多少の変更はありえますが、基本的にプロジェクトの開始時に定められ、大きく変更されることはありません。このアプローチは「ウォーターフォールモデル」として知られ、長年にわたり多くのプロジェクトで採用されてきました。
しかし、現代の急速に変化する環境では、システムやサービスをユーザーのニーズに合わせて柔軟に変更することが求められるようになりました。システム開発において、このようなニーズに応えるために考案されたのが、「アジャイルプロジェクトマネジメント」です。この手法は、システム開発だけでなく、日常業務にも活用が可能であり、成果を高める事が可能です。本日は、アジャイル手法の概要と日常業務での活用について、述べたいと思います。
外部環境に影響を受け、柔軟にやり方を変える必要がある業務では、本手法が非常に有効です。私が手掛けるコンサルプロジェクトでも本手法を活用する事が頻繁にあり、効果を実感しています。
アジャイルプロジェクトマネジメントの概要
アジャイルプロジェクトマネジメントは、顧客要望や外部環境の変化に対応しやすく、迅速な成果物の提供を実現する開発手法です。この手法の核は、プロジェクトを短いサイクルである「イテレーション」に分割し、各イテレーションで開発する具体的な成果物を顧客や関係者に見せることで意識を合わせ、フィードバックを取り入れる事にあります。イテレーションの期間はプロジェクトの状況に合わせて決定します。私の経験的には1週間が管理面からも適切だと感じています。
アジャイル開発は以下のように進めます(アジャイルミーティングは複数の手法があり、その手法毎にやり方少しずつ異なっていたり、名前も異なりますが、各手法に共通する基本的なやり方を記載しています。)
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目標設定:プロジェクトで開発する成果物の方向性と期間を決定します。この時、成果物の詳細要件までは決めません。詳細はプロジェクトが進む中で明確にしていく事を前提とし、大まかな成果物イメージを決定します。そして、その成果物を構成する機能や、それらを開発するためのタスクを決定します。この時、タスクはバックログと呼ばれるリストに整理し、各タスクの優先順位を決めます。
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プランニングミーティング: イテレーションの開始時に、どのタスクを今回のイテレーションで取り組むかを決定します。バックログにあるタスクから、優先度に基づいて選択しますが、この時、優先度の見直しを行う事もあります。また、機能の開発やタスクを実行するメンバーを決定します。また、イテレーションで実施するタスクについて、顧客と合意します。
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開発/タスクの実行: 選ばれたタスクに取り組みます。開発チームは、コーディング、テスト、ドキュメンテーションなどの作業を行います。開発/タスクはイテレーションの期間内で実施可能な細かい単位に分割しておく必要があります。
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デイリーミーティング: デイリーミーティングは日々の短いミーティングです。チームメンバーは前日の成果と当日の目標、そして進行中の作業で直面している問題を共有します。これにより、問題の早期発見と解決を実現します。このミーティングでは共有する事を目的として、解決のためのミーティングは関係者を集めて別の時間に行います。このミーティングはデイリースタンドアップミーティングとも呼ばれますが、その名が示す通り、立った状態で短時間に集中して実施するようにします。
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レビューとデモンストレーション: イテレーションの終わりに、開発した成果物を顧客に提示し、フィードバックを受けます。成果物が顧客の期待どおりになっているかを確認し、必要に応じて調整を行うための重要なプロセスです。また、タスクの追加や優先度の見直しを行う事もあり、場合によっては、1で設定した目標を変更することもあります。
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レトロスペクティブ: 各イテレーションの後に行う振り返りです。改善点を特定し、次のイテレーションでの作業効率向上に役立てます。この作業の後、2から6の作業を繰り返し、1で設定した期間に目標を達成します。
この手法は、外部環境の変化が激しいプロジェクトや、顧客の要望がプロジェクト進行中に変化する可能性が高い場合に適しています。従来のウォーターフォールモデルでは困難だった柔軟性と迅速な対応が、アジャイル手法では可能になります。
アジャイルプロジェクトマネジメントの日常業務への適用
アジャイルプロジェクトマネジメントは、システム開発以外の日常業務に活用できます。環境の変化が大きい状況で業務を進めるためには、柔軟性、迅速な対応、継続的な改善が求められます。アジャイル手法を日常業務に適用することで、これらの要求に対応しつつ、チームの生産性を向上させることが可能になります。アジャイル手法の業務への適用方法は以下のようになります。
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目標の明確化と優先順位の設定: 業務の目標を明確にし、それらを達成するためのタスクと優先順位を決定します。1つの業務だけを進めれば良いという状況はまれで、複数の業務を進めることが多いと思います。この場合は、各業務の目標を達成するためのタスクと優先順位を決めます。どの業務が最も価値を提供する業務なのか、そして、現実的な期限内で達成可能かを考慮します。
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プランニングミーティング: イテレーションで達成するタスクを優先順位に基づいて、決定します。複数の業務が割り当てられている場合は、それぞれの業務において、どのタスクが達成されるべきかを考慮します。チームで活動している場合は、各タスクを実行するメンバーを決定します。
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タスクの実行: 割り当てられたタスクを実行します。
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デイリーミーティング: 毎日、チームメンバーを集めて、前日の進捗、その日の目標、抱えている問題点について共有します。チームの中でのコミュニケーションを活性化し、問題がある場合には、早期に検知できるようにします。
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レビュー: イテレーションで実施したタスクの成果物を顧客や管理者に提示し、フィードバックを受けます。フィードバックにより、業務を進めるにあたっての修正点を明確にします。また、修正した後の成果を出すためのタスクを決定するとともに、フィードバックに基づいて優先度を決定します。ここで重要なのは、顧客や管理者が指示した内容をすべてやろうとすることではなく、しっかりと優先度を決定し、次のプランニングミーティングでイテレーション内で実施できることを明確に示すことです。
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レトロスペクティブ: イテレーションの終わりに、チームで集まり、何がうまくいったか、どのような問題があったか、改善のために何ができるかを話し合います。アジャイル開発と同様に2のプランニングミーティングからイテレーションの実行を繰り返し、業務目標の達成を目指します。
上記の記載をご確認頂いておわかりになる通り、アジャイル手法の基本的な考え方はそのまま、様々な業務に活用することができます。日常業務へ適用する際のポイントは以下の3点です。
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柔軟性の維持: アジャイル手法は、計画の柔軟性を重視します。業務環境の変化に応じて目標やタスクを迅速に調整します。そのためには自分やチームが進めるタスクのみに集中するのではなく、業務を取り巻く環境に注意を払い、変化を捉え続けることが重要となります。
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コミュニケーションの活性化: アジャイルを効果的に進めるためには、チーム内と顧客/管理者とのコミュニケーションが重要になります。定期的なミーティングを実施し、チーム内の透明性を高め、 他のチームメンバーが実施している事に注意を払い、必要に応じてすぐに協力しあい、連携しあえる環境を整える事が必要です。また、顧客や管理者との関係性を維持し、フィードバックを引き出しやすい状況にしておくことが必要です。
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継続的なフィードバックの活用: 顧客やステークホルダーからの継続的なフィードバックを取り入れ、それを業務推進の改善に活かします。これにより、顧客や管理職の要望に沿った成果を出していくととともに、顧客/管理者の満足度の向上と効率的な業務運営が可能になります。
アジャイル手法を日常業務に適用することで、変化に柔軟に対応し、効率的に目標を達成することができます。
まとめ
アジャイル手法は、システム開発の分野から生まれた手法ですが、その柔軟性と効率性は日常業務に活用することが可能です。急速に変化する現代のビジネス環境では、固定的な計画よりも変化に適応できること、そして迅速に対応することが求められます。アジャイルの原則を業務管理に適用することで、チームは変化に柔軟に対応し、継続的な改善を実現できます。
また、アジャイル手法は少人数のチームやリソースに限りがある環境で、より効果を発揮します。優先度が高く高価の大きい業務に集中することで、効率的にタスクを管理することできます。これは、特に中小企業やスタートアップにとって有益な特徴です。
既存のプロジェクト管理手法では対応が難しい変化や課題に直面している場合には、アジャイル手法を活用してみたはいかがでしょうか。アジャイル手法を日常業務に取り入れることで、チームの生産性向上、効率的な業務遂行、そしてより高い顧客満足度を実現できます。アジャイル手法の採用を検討し、新たな働き方の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
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