一疋の青猫 -5ページ目

早春の風に帆をあげて 帆船「日本丸」出航式~登檣礼


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前夜 遅くなった仕事の帰り道

少し遠回りして横浜港をゆけば 薄暗がりに一隻の帆船が

船名を見ると 「 日本丸 」 とある

ランドマークタワーの前に係留保存されたものも 確か同名で・・・

家に戻って調べてみると 保存されているものが初代

この夜 目にしたものが 現役の練習用帆船 「日本丸Ⅱ世 」 であった







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しかも 翌1月11日 この練習帆船 「 日本丸 」 は ホノルルへ向けて出航することも知り

用事を合わせて 出航式を見るべく再び横浜港へと出向いた

全長は100メートルを超え 主マストの高さは甲板上50メートルに迫る

「 帆船 」 と言って思い浮かぶのは 「大航海時代」 「ブラックパール号」くらい (笑)

特に強い関心も知識も無かったが 目の前にしてみると時代を超えた存在感というか

自身がなにか壮大な物語の中に引き込まれるような気分にもなる

外洋を波を切って 一杯の風に帆をはらませて進む姿が目に浮かぶようだ







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船首には祈りを捧げる女性像が・・・ 船首像 「藍青(らんじょう)」







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子どもたちによるはなむけの言葉を送る手旗信号に







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高校生ブラバンの 咄嗟には曲名が思い出せない

けれど

メロディは間違いなく記憶に刻まれている 懐かしさ溢れるチョイス

たとえば 太陽にほえろのテーマ Gメン75 (笑)






さあ

そんな具合に出航式もいい感じに盛り上がって



いよいよ



下調べする中で強く興味を惹かれ 今日訪れてみようと思わせたもの


それが・・・



< 登檣礼 ( とうしょうれい、Manning the yards ) >



これは

『 帆船の出航時に船員が帆桁(ヤード)などに配置し、見送りに来た来客に対する謝礼を意味する儀式 』

( Wikipedia )








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実習生たちはマストを登り








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船首からの掛け声に合わせて







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「 ごきげんよう 」



大きな声で 見送る人々へ帽子を振るのです







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Wiki によれば

『 由来としては、乗組員を帆桁という戦闘準備が出来ない位置に配置することにより、船内で砲の弾込めなど戦闘を企図した行動をしていないことを相手に証明するという行動が元になっている。 』

とのこと


幸いにして 今 この船には武器も弾薬も積まれてはいないだろう

旅立つもの そして それを見送るもの

安全と無事を願い 新たな旅立ちを祝い

思いを新たにし 感謝の意を込める

いつまでも それだけのためのみにある 儀式であって欲しいと思う





「 大航海時代 」 まで遡らずとも

航海の歴史には 血なまぐさく キナ臭いものも少なくない







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この場所からも それほど離れていない場所に静かに佇む

1930年に 船員養成用の訓練船として建造された 初代 「 日本丸 」 も

歴史を紐解けば 数奇な運命が待ち受けていたことを知る

太平洋戦争が勃発すると訓練は中止され 船体を鼠色に塗り替え 帆などの帆装艤装を外し

緊急物資輸送 大陸からの引揚者輸送 南方での遺骨収集から 朝鮮戦争での米軍人輸送まで

再び練習帆船として帆装を取り戻したのは戦後1953年のことであった

戦争と言うものが思い掛けない運命を与えるのは人のみにあらず

みなとみらいの のんびりとした風景に見るその姿からは 思いも掛けない歴史の曲折を知ることとなった







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女の子もいました ( 余裕の笑顔 )







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1984年 初代からその任を引き継いだ 「 日本丸Ⅱ世 」

二度とその艤装を解くことが無いよう

平和の裡に 隔てるものの無い海の果てまで 風だけを頼りにして

自由に 自在に駆けるものであって欲しいと願いながら

その船出を見送った







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「 2014/1/11 横浜港 帆船「日本丸」 登檣礼(とうしょうれい) 」

※ 様子を動画で撮ってみました。「ごきげんよう」と帽子を振る姿はなかなか感動的です^^
















無用者通りから猫逢瀬橋へ


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横浜の街の特徴的な景観のひとつは 間違いなく海 そして港であろう

みなとみらい 山下公園 港の見える丘公園・・・

大都市ながらも ノスタルジックな異国情緒と解放感に満ちて

そんな東京湾に面した横浜の街も 南へと下るにつれて波音と潮の匂いは遠のいてゆく

ユーミンの 「 海を見ていた午後 」 ・・・ソーダ水の中の貨物船が沖合に見え

煙突と巨大タンクのコンビナート的風景に変わってくると

埋め立てられた臨海部は 発電所や立ち並ぶ大手重電・重機メーカーの工場が占拠

海岸線はその広大な敷地の向こう側 錆びついたフェンスに阻まれてしまうのだ








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そんな大工場の間を縫うようにして流れるこの川は みなとみらいにも注ぐ大岡川の分水路

そしてこの水路に沿って数百メートル 海まで辿り着ける数少ない道路が延びている

左右は工場の敷地で抜ける道も無く 行き着いた海も護岸にフェンス張り

訪れるのは釣り人とごく稀に工場のパトロールらしき人影







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それでも日中には 営業や工事 貨物など 「 勤務中 」 と思しき車がよく並んでいる

車内で気持ちよさそうに寝ている者もあれば ぼんやりと川面を眺める者

サボってる・・・なんて失礼なことを言わないでもらいたい

「 ひとはいずこより来りて いずこへと向かうのか 」

てなことを考えているかはともかくとして

まあ 「 非生産的 」 な空気が辺りに漂っているのも否定できないけれど

魂が抜けてしまいそうな 警戒感皆無の大あくびに 何故だか共感を覚えないだろうか

明らかにズレた周囲との時間の流れは 勾配の緩やかな河口付近の淀んだ流れと同調し

私の気持ちも共犯意識のようなものに包まれ この場の空気に親近感のようなものを抱くのだ

私はここを 「 無用者通り 」 と命名した (笑)




人間の知識は日々に進歩し、科学や技術は無限に進歩してゐる、それによって我々は現実のさまざまな困難や不幸を克服しうる、人間は自分の力で、現実の歴史や社会の中で、自由で幸福な生活を送りうるではないか、さういふ論もあり、事実もある。然しそれだけではをさまらない。我々の生活空間が、月にまで伸びても、なほそれを狭しとして、無辺際に遊ばうとする本性が人間の内にある。
雅と俗、虚と実、想と実、空と色、さういふ二元がでてきたのは、一方では歴史や社会の条件からであらう。歴史や社会の条件から生みだされたといふ発生時間を無視して、ひとたび、雅や虚や空にいたりついた者は、それを本質的に先なるものとして自覚する。世間無常、諸行無常において反って常を自覚し、遁世、韜晦において反って真の現実を自得し、旅こそ栖家といふ逆説を実行することが起る。実が虚によって、色が空に貫かれて、反って本来の面目を発揮するといふことは単に議論の遊戯ではない。すぐれた詩人が事実によって示してゐるところである。みづからの詩業を夏炉冬扇といった無用詩人の業績を思いだせばよい。虚や空や詩を、歴史の条件や科学の進歩でぬりつぶすことはできないのである。


( 唐木順三 「 無用者の系譜 」 より )




やや 話が大きくなりましたが・・・

そんな虚と実の狭間に遊ぶ人々を横目に行き止まりの海まで歩いてみると

まさに分水路が海に注ぐところに その印のようにして 小さなコンクリートの橋が架かっていた







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幅は一メートル足らずで 車両も通行できない

仮に出来たところで 渡ったその先は工場のフェンスで閉ざされて続く道も無い

これまた 無用の橋ではないか・・・

そんなことを思っていたところ









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その橋を 一匹のネコ ( 命名 イシカワジマ ) が渡って来るではないか !








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停滞した時間の淀みに吹き寄せられるように集まってきた われわれ無用者達に対して

イシカワジマの眼光は鋭く それは強い意志を宿しているように思われた

橋のほぼ中央で たもとにいる私と対峙したイシカワジマは怯むことも無く

戻ろうとする素振りも見せず じっとこちらの様子を伺っている





「 もしや ! 」





ハッと気が付いて 私が背後に眼を移すと





なんと そこには ! !









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ヤツのハニー ( 命名 ハリマ ) とおぼしきネコの姿が !






知らぬこととは言え どうも猫の恋路を邪魔していたようだ










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ハリマもジッと 橋の中央のイシカワジマへと熱い視線を注いでいる




「 これは どうも 失礼しました 」



二歩 三歩 と 驚かさないように後ずさりして 橋から距離を置いてみれば・・・







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放たれた矢の如く ハリマの元へと 一気に駆け出す イシカワジマ !







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タタッ !


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シュタタッ !






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「 いつまでも撮ってんじゃねーよ ! 」

「 ちったあ気を利かせろよ ! 」





イシカワジマ








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われわれ無用者には行く手を遮る厄介なフェンスさえ

なんなく潜り抜けて 弾むように駆け寄っていく イシカワジマ

そこは造船・重機の工場 広大な敷地が廃材置場として使われているようで

いかにもネコが隠れ場として 遊び場として好みそうな場所になっている



イシカワジマ & ハリマ


仲良くな !








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追いかける野暮はこれくらいにして 帰り道

ふたりの見つめ合った橋を渡りつつ 「 猫逢瀬橋 」 と 命名




ひとり

家路へとついたのでありました




やけに 名付けてばかりいた 曇りがちな午後でありました










「 はじめてのチュウ 」 RASMUS FABER PRES. PLATINA JAZZ 2














ゆるゆると・・・初春の野毛詣で


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「 日ノ出町 」 駅を降りて 「 長者橋 」 を渡り 川沿いを「 福富町 」 へと至る

なんとも 「 初詣 」 にふさわしく 縁起のよさそうな地名を辿る

覗き込む桜の枝々は まだ冬の仕様ではあるが

川面は穏やかな陽に輝き 思いのほか水も澄んでいる 








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詣でる先は 横浜・野毛の町

きっと 今年もこの界隈を行きつ戻りつ 彷徨い歩くことだろう








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三が日が過ぎたけれど 仕事始めにはまだ早く

川の流れと陽の光の如く 町はどこか穏やかで

また一年 夜毎繰り返される喧噪を前に 束の間の休息か








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都橋のたもと 川沿いに伸びる飲み屋街

入口を覗けば店の向こうが見えてしまう程

狭い店内にもまだ人の気配は無く

カウンターの木目が無言の艶を放っている








灯りの入った店を探しに 更に路地を行けば・・・








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金柑の実に








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ふくら雀と







縁起物をこれだけ目にしたのだから

まあ 今日のところは 酒はよしと しておくか・・・




なんてことは もちろん無くて



そこは 野毛

しっかり 開いている店は開いていて(笑)

きっちりと 初詣て参りました








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都橋商店街には お店へとご出勤途上らしき おねえさんの姿も

橋を渡って モードが切り替わったでしょうか



*



さて

新しき一年が始まりました

本年もよろしくお付き合い下さい








「 Holiday (feat. 満田智子) 」 FreeTEMPO