一疋の青猫 -158ページ目
濡れた
アスファルトの
肌は 黒く
雲は
垂れ込めて
夜が はやい
安っぽい
ネオンと街灯が
暗い水面に 浮かんでいる
もはや
閉ざされた 扉は
呼びかけても 応え 無く
風が
低く 震えて
錆びついた 音を 軋ませる
駆け出したい 足元に
言い訳を さがし
立ちどまって
行き来る
嬌声を 遣り過し
すべてを 吐き出す 息をして
緩やかな アールに
気持ちを 沿わせてみる
十八年の 時を経て
まぢかに 見上げた
夜を 統べる
月読の神
背後に ひかりを 宿す雲も
舞台の袖に 幕を引き
満月 まるく 浮かんでは
慈愛の 色を
放っていた
・・・・・・
けれど
春らしき
しづかな 雨は
今宵
すべてを
包んでしまい
うしろ姿も みえぬまま…
下弦の流れに
少しずつ
小さく
遠く
去ってゆくのか
・・・・・・
月に 導かれ 支配されて
海も 人も
寄せて 返す 波となる
寄せては 返し来る 波も
再び 廻り来る 時も
かさねても かなさならず
もとの 場所には 帰らない
季節が戻ったかの 急な冷え込みに
大規模停電の 可能性が示唆された 夜
マリンタワー 氷川丸 観覧車
横浜の街は 光を失い
少し 淋しい 風景でした
・・・・・・
けれども
閉店後のネオンや外看板
照度を落とした いつもの帰り道は
少し 暗いけど
落ち着く感じもした
隈なく照らしだして 露わにするよりも
陰影が 風景の 奥行きを見せる
ふと 外国の夜の街や
乗換えを待つ 空港って
こんな感じが 多いような
気がした
・・・・・・
節電 というけれど
これまでが 過剰
だったのかも知れない
無論 防犯や利便性
観光を含め 宣伝・広告 経済活動
もっと 明るく と 求めてきた
光の 恩恵を 受けてきた
それでも
落とした光は
元には戻さず
もう
このままで 十分な気がする
光が強ければ 影もまた濃い
被曝労働を 強いられている人々
見えない光に 我が家を追われている人々
影の中に しっかり 見つめたい

