書きなぐり。 -4ページ目

フーゾク。パイパンと取材。

店長と付き合いながら毎日お店に出勤し、接客の合間には雑誌の取材も結構入っていた。

取材は好きだった。雑誌に写真が載ると人気が出る。大きくキレイにとってもらえるとそれだけで嬉しい。名鑑が小さいと悲しかったし、グラビア取れた時は店長と一緒に喜んだ。

 

私は小さい頃から、大人になるのが怖いと思っていた。それでも年頃になるとお股に毛が生える。それが嫌で、私は10代の頃からずっとあそこの毛を剃っていた。いわゆるパイパンだったのです。

 

しかし雑誌のグラビアを取るのには、毛が生えていた方が都合がいいと店長にあるとき言われた。毛で隠れてない性器は雑誌に載せてはいけないからだ。わたしは悩んだ。パイパンでいたい。けど、グラビアも出たい。

 

あるとき、ある雑誌のグラビアを違う店舗の女の子と競ったことがあった。編集の人に「あのことどっちにするか迷っているんだよ。うらんちゃん載せてあげたいけど、パイパンは難しいんだよなぁ」と言われた。

 

店長と話し合った結果、グラビアのために毛を生やすことにした。ほんと、どうでもいいことと思われるだろうけど、そのときの私は真剣に悩んだんです。それほど、毛が生えた自分自身が生理的に嫌だった。

大人になりたくない症候群だったんだと思う。ピーターパンってやつ。

 

その時は違う店舗の女の子にグラビアを取られたんだけど、無事毛が生えた時、改めてグラビア撮ってもらった。毛は悲しかったけど、やっぱグラビアは嬉しかった。キレイに撮ってもらえるからね。

 

私はフーゾクをやるって決めた時から顔出しOKで行くって決めていた。フーゾクで働こうかどうか迷った時、姉妹会議を開いて、妹と姉に相談をした。姉は言った。「雑誌に顔出しするの?」

 

私は姉を安心させようと「一応顔は出さない。家族に迷惑かけるかもしれないし、、、」

 

少しの沈黙の後、姉がすごい剣幕で言った。

「そんな中途半端に物事に挑戦するなんて、フーゾクに失礼だから働かないで!」

 

え、ええええ〜ーーー!

そういうもん?でもそう言われたらそんな気もする!じゃぁ私顔出ししていいのかな!?

 

その後、店長(彼氏)と話し合って、やはり顔出ししてガッと稼ごうって話になって私は取材を受けるようになったのだった。ちなみに父親が東スポ読んでたから、東スポはNGにしてもらいました。

 

あのときの姉、まるで自分もフーゾクやってんじゃないかってほど、おっかなかったなー。笑(やってないけど)

 

ある程度いろんな雑誌に大きく載せてもらって、気が済んだので、また私はパイパンに戻りました。

ちなみに30歳で子供できるまでパイパンでした。

どんだけ子供でいたいのよ私、、、。

 

 

フーゾク。過食嘔吐

一人で高円寺の店長の家に住んでた頃、お店では予約が全部埋まり忙しい日々を過ごしていた。

私がいなければお店はすぐ潰れてしまうぐらいまだまだ小さい店で、私は風邪をひいても生理でも休ませてくれなかった。

生理の日はお客さんに「ごめんねぇ」と言いながら本当申し訳ないって思って気まずかった。だってイメクラって受身だから、まぁ、おまたを触られたりするんだけど、タンポンの紐とか出てたら興ざめじゃん。あぁいうのって普通どうするんだろう。紐切るの?脱脂綿みたいなの入れるの?私、業界に知り合いの先輩いなかったから分からなかったなー。

風邪をひいて死にそうな日は自分の取り分をお客さんに渡して「ほんとごめん寝かせて」って言ったりしてた。

 

そんな感じで週に7日つまり毎日働いてた。

お金はあるけど使う時間がない。使い方も知らない。趣味もない。

そんな私がハマったのが、食だった。

 

最初の頃はお弁当二つとか食べて満足してたように思う。

それがそのうちお弁当3つになり、袋いっぱいのチョコレートを買うようになり、おでんをつけるようになり、一回の食事で数千円かかるようになった。自然とお腹いっぱいになったら吐くようになり、何度も吐いては食べ吐いては食べを繰り返すようになった。過食嘔吐である。

最初は太りたくなくて吐いた。吐いたらお腹が空いて食べた。それを繰り返すうちにもうよく分からないけど吐かずにはいられなくなって、しかも食べずにもいられなくて、食べて吐き食べて吐き。。。

それがおかしいってあまり思わずにそうしてた。今思うと病んでるなぁって思う。だけど私やることなくて、でもストレスだけが溜まって、過食嘔吐にたどり着いたんだと思う。

お客さん接客してる時間だけは楽しかった。

だけどそれが終わって家に帰ったら、何のために働いてるのかよく分からなくて、ストレスが爆発してたんだと思う。

自分、ごめんねって今思います。

 

 

フーゾク。看板娘の1日。

看板娘の1日は朝始まる。

 

9時ごろ起床、化粧をしてお店に向かう。

10時前にはお店の自分の部屋で準備をする。

あの頃私の部屋ではスピッツやglobeのCDをかけていた。

うちの店にはU-SENが無かったから、女の子が勝手にCDをかけたり無音の部屋だったりしてたと思う。

私は音楽に詳しくなくて、その時流行ってたCDを買って店に置いてた。

 

10時少し前、店長が、お客さんの希望のコスプレを持って部屋に来る。

セーラー服、ブルマ、パジャマ、ナース、OL、チャイナなどがあった。私は体がでかいのでパジャマなんかジャストサイズで恥ずかしかった。なんかああいうのってぶかぶかに着るから可愛いんであって、ジャストサイズのパジャマってのはあんまり可愛くないもんだ。

オプションの話などはここで店長に聞く。

口内発射やビデオ、ポラ、などがあった。

 

10時一人目のお客さんが来る。

カーテンを開き、店長、私、お客さんで、三人でご対面。

店長「うらんちゃんですよろしくどうぞー」

私「こんにちわー」

店長、この時私がお客さんにあんまり優しいとヤキモチ妬くのでまぁまぁ冷たく対応(なんでやねん)。お客さんの手を引いて部屋へ。

「ごめんね、怖かった?」「うん!怖かった!」←よく言われた。

お客さんと手を繋いでシャワー室へ。

この店はイメクラだからお客さんが一人でシャワーを浴びる仕組みになっていた。私はシャワーの使い方を教えて、一人で部屋に戻り、お客さんのシャワーを待ちながら部屋で準備。

 

その店、分娩台のような脚ぱかーって開く椅子が部屋に一つ必ずあって、目隠ししてその椅子の上に座って待機。腕は簡易的な手錠(自分で抜けるので危なくはない)。

今思うと、よくもまぁそんな怖いことできたなって思う。だれが入ってくるかわからないような(マァお客さんしか入って来ないけど)そんなこと良くできたな、若かったなって思う。

 

お客さんが部屋に戻ってくるとプレイ開始。

まぁ大体のお客さんはその椅子が目的ではないので(雑誌を見て顔で選んできているのでお店のシステムにはさほど興味がない人が多かった)、「うらんちゃん、いいよ、ベッドにおいでよ、目隠しもとっていいよ」って大抵言われる。変な椅子に座って目隠しを自分でしていたことが少々恥ずかしい。言われるまま目隠しとってベッドへ。

 

ここからは女の子によってやり方が違うんじゃないかと思う。

イメクラだから基本的には受け身なのだけど、最終的には手が素股か口で出す。確か口内発射がオプションで2000円だった。

私はベッドに隣に座って「どうする?」って言いながら手を握ったりしてあとはほんと普通にセックスするみたいな流れでキスして横になって、上から下へ、みたいな感じだった。

 

私はフーゾクで働く時、講習を受けなかった(無かった)ので、ほんと、自分のやり方でしか接客できなかった。それが正しいのかよくわからないけど、お客さんは喜んで帰っていってたので良かったのかなとも思う。

私の売りは技術でもスタイルでも顔でもなく、とにかくラブラブプレイだった。恋人みたいにイチャイチャすることしかできなかったし、今思うとそれで良かったようにも思う。素人売りというのかな。

 

あと、その頃私は自分の技に自信がなかったから結構受け身なことが多かった。それと、私から相手の体を愛撫することに抵抗があって、それは触りたくないってのじゃなくてほんとに自信がなくてそれが正しいのかわからなくて触れなかったから、とにかく受け身で恋人とするセックスの流れ(本番はないけど)をそのままにやってた。

 

オプションは色々あった。口内発射が2000円。ポラが2000円。動画撮影が1万円。だったかな?動画撮影は女の子はサングラスをかけることができて少し安全。少しだけど。笑

 

AF(アナルファック)は私はNGだった。1回しか経験がなかったし(あったんか)怖かった。

店長もそれでいいよって言ってた。

 

無事、お客様が発射したらティッシュで拭いてあげてシャワーの時間まで仲良くお話。口内発射の時はさささっと口からティッシュに出してゴミ箱へ。そのたび心が痛んだ。フーゾクに入るまで、口内の精子をティッシュに捨てたことがなく、全部飲んでたから、外に出すのが申し訳なくて、心の中で「精子さんごめんなさい」と言ってた。

 

時間までイチャイチャしながらお話する時間がとても楽しかった。お客さんは(特に予約のお客さんは)優しくて、意地悪もせず、楽しもうって気持ちがちゃんとあって、二人で楽しい時間を作るって感じがとても楽しかった。イチャイチャしながらシャワーに二人で入って、部屋へ。そこでお菓子をもらったり差し入れしてくれたケーキを二人で食べたりした。

 

本当はタイマーをセットして時間になったらピピピッてなったら終了なんだけど、私は、そのピピピッで現実に戻るのがすごく嫌だったのでタイマーは使ってなかった。大体の時間はわかったし、お客さんがこっちを見てない時にちらっと時計を見るのがめちゃ得意だったので大体時間はわかってた。

時間になったら「もう時間になっちゃった…」って言ってお手手繋いで玄関の方へ。「またくるよ」「うん、ありがとう、楽しかった」「俺も」そんなことを言いながらお見送り。

「またきてね!」それで一人目終了。

 

二人目のお客さんのために部屋を掃除。ベッドのタオルを全部ひっぺがし廊下にある入れ物にタオルを捨て、新しいタオルをベッドに敷く。

店長が次のお客さんのコスプレを持ってきて時間とオプションを告げる。

予約のお客さんは大抵60分コースだったので、どうしても5分ぐらい過ぎてしまう。10時から一人、11時から一人、って予約取ってるから、どうしても時間が過ぎてしまい、それが7本続くと最後の方結構待ってもらったりしてた。だけど60分のお金もらってるからそれを短くして帰すことが私には出来なかった。とにかくお客さんが帰ってからの部屋の準備は驚きの速さでセッティングしてた。

 

三人、四人、お客さんが続くと、私も流石に疲れてきて、おっぱいだったりお股が痛くなることも多かった。だけど、何しても「痛い痛い」っていうことが申し訳なくて結構我慢してた。

乳首が切れて謎の汁が出てもなかなか痛いって言えなかった。

人によってはとにかくお股をグリグリガサガサこねこねする人も居たのでちょっとキツい時もあった。けど、「これは試練だ。お金をもらうんだから我慢だ」と心の中で思ってた。ここで「痛いんですけど」っていうと、相手のプライドを傷つけかねない、とも思ってた。

今思うと、体壊したら元も子もないんだから、もう少しうまいこと触り方を変えてあげても良かったなって思う。だけど私はフーゾク一年生。しかも対人関係そんなに上手じゃない。なかなか痛いですって言えなかったな。あと、やっぱ、お客様は神様って思い過ぎてた。

 

そんなこんなで七人の予約終了。ガッツポーズが出るほどの満足感があるひが多かった。たまに予約が飛んで、フリーのお客さんが来たりすると、お客さんの優しさが全然違ってて、私に会いに来たんじゃなくて、女の子にエロいことをしてもらおうとするだけの人がついたこともよくある。そういう時のプレイは私の人格無視されて辛かった。そういう時お客さんは私のことをおっぱいとまんことしてしか見てないんだなって思った。まるで私は物だった。すごく悲しかった。

だから余計に、予約してくれたお客さんのリピートをつけようって頑張った。

 

仕事が終了したらお給料タイム。その日例えば7万ジャストだったらギャラは〇円。7万貯金。例えば69000だったら6万貯金、ギャラ九千円はもらえた。万単位は全て店長が「貯金に回す」と渡してくれなかった。ギャラ千円の時とかしんどかったなー。コンビニでも買うもの躊躇したもん。でもたまに九千円の時もあるからま、トントンかな、って思ってた。ギャラによって夕食はファミレスかコンビニ。

一人で食べて一人で店長の家に帰る。冷房器具もない布団もない家で、マジで寒死ぬかと思った。一度風邪をひいたらなかなか治らず、お店で熱があってぼーっとしてても、店長はお店は休ませてくれなかった。本当にプレイどころじゃない時は常連のお客さんに「ごめん、私の取り分渡すから休ませて…」ってずるっこしたことも何度かある。常連のお客さんは「大丈夫?一緒にいるだけでいいから寝てていいからね」って、天使のようなことを言ってくれた。ありがたかった。そして休ませてくれない店長を少し恨んだ。おい、彼氏、私のことが大事なんじゃないんか。店の方が大事なんか。そうだろうな!

 

まあでもその頃のお店は、私が稼がないと回っていかないぐらいのまだまだ弱小なお店だった。私が休んだら売上がガンと落ちてしまう。それも分かっていた。私は店長と付き合ってたから、私ができることなら私も頑張ろうって思って頑張った。だけど、風邪の時は辛かったなー。

その時のお客さんに今でも謝りたいよ。ごめんね、体調万全じゃなきゃ接客しちゃいけないよね。

 

 

 

フーゾク。看板娘誕生。

いろんな取材を受け、いっぱい写真を撮ってもらい、フーゾク誌やエロ本に載せてもらっていたら、ある時、ナイタイって有名なフーゾク誌に大きく名鑑を載せてもらった。

雑誌を見たときから嬉しくて、他の子の四倍も大きい写真を店長と二人で嬉しいね嬉しいね!って回し読みした。

 

その発売日、朝9時からの予約の電話が9時ぴったりから鳴り止まず、5分でその日の予約がいっぱいになった。キャンセル待ちも数名いた。

 

ついにきたこれ。看板娘になった。

そう思った。

店長も私も満足げ、私はおっぱいが痛いお股が痛いイソジンやりすぎて喉が痛いと言いながら(やはりまだうまくコミュニケーション取れなくてうまく断れなかった)一日7時間予約60分を7本こなした。

 

帰り8万近くをもらい、(7万は結婚資金の貯金に回されたけど)清々しい気持ちで店を出た。

私でもこんなに会いたいって思ってくれる人がいるんだってのは、ものすごく自信になった。それが8万という目に見えるお金に変わったのがものすごく嬉しかった。私だって一人で生きれるんだ。初めてそう思った。

帰り道、ちょいと贅沢にファミレスに寄った(いつもはコンビニ)。

 

そこで思い出すのは、初めての彼氏のこと。私のストーカーになったけど、私のことまだ好きなんだろうなって思いながら彼のことを考えていた。

私は彼に言いたかった。私、だれかのいうこと聞かないと生きていけなかたけど、今自分で働いて自分の価値も自分で認められるようになった(お金のおかげだけど)んだよ。私頑張ってるよ。今日、その結果が出たんだよ。

 

私はファミレスで、元彼に電話をかけていた。

出るか分からないけど、私はもう大丈夫だと、私のこといつも心配してた元彼氏に伝えたい。

 

「もしもし?お前、どこにいんの?」

そりゃそうだ、私は彼から逃げてフーゾク界に入ったんだった。

私は言った。

今フーゾクで働いていること。顔出しオッケーで取材に出てること。その甲斐あって今日ついに予約が全部埋まったこと。半日で8万稼いだこと。

私一人で頑張ってるよ、って、認めて欲しかったから電話したこと。

 

「…」

しばらくの無言の後、元彼が言った。

「お前、フーゾクとかサイテーだな。もう二度と電話かけてくんなよ」

 

電話はそこで切れた。

 

よく考えたらこうなることは当たり前なのかもしれない。

だけど私は泣いた。ドリアが冷めるまで、人目もはばからず泣いた。

もう、涙なんて出ないってぐらい、泣いた。

 

依存してたんだ。そう思った。

元彼だけは私の味方だと思ってた。だけどもう過去の人だし、彼にとっては私はもう、「汚点」なんだ。

 

悲しかった。

すごく悲しくて、でも、この世界で生きていこうって覚悟ができた。私の価値は私が決める。私は一時間20000円の価値がある。

 

そして、「フーゾクに入って悪い人になる」っていう目標を思い出した。

もう、私は世間的には悪い人なのかも知れない。お客さんも店長も女の子も、全員が優しくてあったかいけどね!

 

 

フーゾク、新店舗でこんなことをしていた

私は求人誌を見て最初に働き出したイメクラを数回でフェードアウトし、その店の副店長がグループを抜け新しく立ち上げるお店の看板娘になることになった。

店長(元副店長)は、私を売り出してお店を繁盛させようと必死だった。私は顔出しOK嬢となり、店長は毎日色々な企画を考えては出版社に取材願いを出していた。

 

例えば、浴衣デーがありますよ!とか、愛人コース(なーんとバイブ使い放題!)ができました、など。そういう企画をほぼ毎日出版社にFAXしていた。

その頃、90年代終わり頃、フーゾク店は死ぬほどあって、顔出しできる女の子も死ぬほどいた。エロ雑誌をひらけば女の子が股を開き、自分の性感帯を、スリーサイズを、初体験の年齢を、何でもかんでも喋っていた。本当かどうかは置いといて。

 

どうして本当じゃないことを書くかというと。

例えば、おっぱいが性感帯です、と書くとする。それを読んだ人ほぼ100ペーセントが、おっぱいを攻めにやってくる。一時間の予約時間のうち數十分おっぱいを吸われもまれ、また次の一時間には同じことが。それが一日続くのだ。どんなに強いおっぱいでも悲鳴をあげるとは思いませんか。私だって最初の頃は本当に自分の性感帯を雑誌の取材で答えた。それがお金を払ってくれるお客様への誠意だと思ったからだ。だけど実際問題、私はお客さんを喜ばすことができなかった。だって、おっぱいが切れ、チクチクし、血が出てうっすら血小板の透明な液体が出てくる。痛くて触らせられないし、ごめんねごめんねを繰り返すことになる。だから性感帯は、背中、もしくは「探してね♡」とするしかなくなるのだ。

夢がないなと思いながら、毎日働くならこうしなければ続かない、とも思っていた。ごめんねって思いながら、でもできることは一生懸命するから許してって思ってた。

 

取材もお店開店してからは毎日のようにあった。

いわゆる名鑑、グラビア、インタビュー、体験取材、いろんなものがあって、私は新聞と動画と接触(スタッフに触られる取材)以外はOKだった。何がOKかは、店長が勝手に決めていて、私の意見は通らなかった。だんだん気づくのだが、店長はものすごくヤキモチ焼きで、取材がお店に来た時、編集の人と私だけが部屋にいることを心配して、隣の部屋で聞き耳を立てていた。なぜかは雰囲気でわかる。おもちゃみたいな薄い壁だから。

ヤキモチを妬かれながら、取材は山のようにこなした。週に4回5回と撮影が入った。私は、店長に嫌われたくないから、流されて体験取材をすることもなかったし、接触も断った。そして店長は、雑誌に大きく取り上げられると喜んだ。それを見て私も嬉しかった。

その店はイメクラだったのだが、最初、カーテンを開いたところで、私、店長、お客さんが三人顔合わせすることから接客は始まっていた。私はお客さんと仲良くしようと思い、すごい笑顔でその場を過ごしていたんだけど、そのお客さんが帰った後、店長が不機嫌なことに気づいた。

どうしたの? 聞くと、「別に」という。どう考えても、三人のご対面の時の私の笑顔に嫉妬してるということがわかった。

それからは三人対面の時は、できるだけ冷たくお客さんに接することにした。二人きりになったら、「ごめんね、怖かった?」って言って仲良くしてた。「最初つっけんどんだったから怖かったよ〜」ってよく言われた。

店長のくせにそんなところでヤキモチ妬くなよという気持ちと、やっぱり男女なんだな、ヤキモチも妬くよな、という気持ちとどっちもあって、私は店長を責められなかった。

 

取材、接客、取材、接客、毎日がそんなだった。最初の頃は開店したばっかりでお客さんが少なかったから、ベッドでおかし食べたり、スタッフのいる事務所で隠れて店長とお話ししたりしてた。「他の女の子にバレたら絶対ダメだから部屋に帰りなさい」ってよく言われてたけど、デートもできない、家にも帰れないぐらい忙しく働いてる店長と話す時間なんてその時しかなかったからワガママ通してた。

 

事務所(2畳ない)で隠れてチューしよって言ったら、「接客した後だから嫌」って言われて傷ついたことある。接客は店長も望んでいるはずなのに。やっぱり、知らない人とセックスみたいなことしから、わたしって汚いのかな。って思った。

 

店長として私に色目使ってくるだけなんじゃないかとも思ったけど、店長はやっぱり私にだけヤキモチを焼いているようだった。他に一緒に働いてた私の友達にも俺たち付き合ってるからって言ってたし、家は勝手に使っていいって言ってたし、半年したら引退だから(結婚のため)っていつも言ってたしそのための貯金も、ギャラからほぼ取られて貯金させられてた。私は自分のことよくわかってなかったけど、この人私のこと好きなんだな、私、いい子にしないと、って思ってた。

 

フーゾク、ニューアパート、ニュー店舗

私は実家から鞄ひとつで高円寺のアパートに向かった。

親へは、友達と住むって嘘をついた。詳しく言っておきなさいって言われたけど、逃げるように家を出た。

 

駅で副店長と待ち合わせし、部屋へ。暗い道をてくてく歩く。

くらーいアパートの前で副店長が階段を降りる。

 

「ここ好きに使っていいから」

通された部屋は、太陽の明かりが全く入らないジメジメしたワンルームだった。玄関から、一番奥のベッドが丸見えでなんか怖かった。

ベッドのマットレスと、テーブルがひとつ。料理は出来そうにもない小さな流しがひとつ。

置いてあるのはそれだけだった。

冷蔵庫も掃除機も洗濯機もない。

なんなら布団がない。マットしかない。

「寝袋あるからそれかけて寝て」

足元に転がったシャカシャカの袋を持って副店長がそう言った。

 

すげーなおい。

 

でも、初めての実家以外の家。ここに私これから住むんだ。

新しい店の看板娘になってお金貯めたら副店長(もう直ぐ店長)と大きな家に住もう。楽しみしかなかった。

 

新しいお店が出来るまでその家で寝た。寝袋で寝て見事に風邪をひいた。

寒くても暖房器具もない。布団は寝袋しかない。

風邪をひくのなんて当たり前のことだ。

副店長は新しい店のことでいっぱいいっぱいで、家に帰ることはほとんどなかった。

 

どれぐらい経ったか覚えてないけど、ついに副店長がお店を出すことになった。

彼と新しいお店を見に行った。

ボロいビルの3階にそこはあった。入ると廊下があり、そこは待合室らしい。そこの壁に女の子の写真を貼るんだと言っていた。

中には部屋が5つあった。大きさはまちまちで、狭いところもあったけど一番大きい部屋をお前に与える、って言われた。なんか特別感が嬉しかった。私は五番の部屋で働くことになった。

 

「名前どうしようか」

「麗華とかユキナとか美玲とか可愛い名前がいいな」

私はワクワクして言った。

 

「違うな、同じような名前だと、雑誌で気になってもらえない。変わった名前にしよう。うらん…うらんだな!」

「うらん…どうして?」

「髪型がアトムの妹うらんちゃんそっくりだから」

「うらん。。うん、そうする。」

私が新しく生まれ変わった。それは9月21日だった。

その日が私の新しく生まれ変わった日。

 

前の店の「ゆか」って名前はそんなに自覚を持つことが出来なかったけど、うらんはなんだかスーッと心に入った。

 

部屋の廊下の突き当りにはコスプレ用の洋服がいっぱいあった。

さすが、イメクラ。

ナース、制服、セーラー、スーツ、パジャマ、ブルマ…

その中からセーラー服を選んで着て、廊下にはるポラを取ることに。

部屋は狭い、ライトが暗い、普通の写真だと暗くブスに写るのだが、ポラは美肌アプリを使ったように、ぼんやり可愛く撮ることが出来た。

ポラの白いところにうらんと名前を書く。その下にはプロフィール表、170センチ、60キロ。得意技はラブラブプレイ(なんだよそれものすごい恥ずいな!!)

 

その時在籍してる女の子は私を含め二人。もう一人も前の店からの引き抜きだった。もう一人の女の子はぽっちゃりを通り越したおデブちゃんだった。どうしてこの子をスカウトしたの?店長はこう言った。

「お客さんに評判がいいんだ。だけどポラで選んでもらえない。地道に頑張れば稼げるこになると思う」

フゥン、そういうもんなんだなぁって思った。

 

でも引き抜きがバレたらどうなるんだろう。何も知らない私でも、なんか不安にはなった。

 

でも私は店長とこれから二人三脚でこのお店を大きして、いっぱい稼いで、大きいお店に住むんだ。幸せになるんだ。

 

私は、悪い人になろうと思ってフーゾクを選んだはずだったんだけど、気がついたら毎日が楽しかった。

だんだん出来ていくお店をたまに見るのも楽しみだった。

寂しい日は店長が寝泊まりしてる一番の部屋で一緒に寝た。

私は彼が好きだった。頼られるのも嬉しかったし、優しかった。

この時は、まだ。

 

フーゾク、副店長と食事

恋するクソガキのうらんはその日そわそわしていた。

副店長の仕事が終わったら一緒に食事に行く約束をしていたからだ。

私はその時実家からフーゾクに通っていたため、この日は家に帰らないのを覚悟で約束の場所に行った。

私のことどう思ってるんだろう。ただのお店の子の一人なんだろうか。だって全身黒づくめでサングラスの人だぞ。いい人なわけがない。でも、私にはいつも優しいし…。

約束の場所に来た副店長はやっぱり全身真っ黒だった。お店以外で会うのが初めてだし、お店の人にバレたらえらいことになるから私たちはこそこそとお店に向かった。

 

ついたお店はオシャレな料理屋だった。それまでデニーズやジョナサンしか知らない私にはもったいないぐらいのシャレた店だった。シャレててよくわからないけど、居酒屋とバーがくっついたような店だったと思う。

 

二人きりになり、お店では小さい声で喋ってたのと打って変わって、普通の声で色々話したのがすごく嬉しかった。

彼はいろんな話をしてくれた。

彼の家庭環境はとても複雑なようだった。まるでトラウマを話すように、ゆっくりその話を聞いた。私も家族の話や元彼がストーカーになって家を出たい話なんかをした。

 

少し黙ってた彼が口を開いた。

「これ、絶対言わないで欲しいんだけどさ」

彼が言った。

「俺さ、今のグループやめて自分の店だすんだ。そこの看板娘になってくれない?」

 

えーーーーー。なんだ、そういうことだったのか。私はただのフーゾクの女の子としてしか見られてなかったんだ。私は落胆した。

「あとさ、俺たち、付き合おうよ」

えーーーーーーちょっと待ってください、どっちが先の話?

付き合いたいから看板娘?看板娘のために付き合うの?

 

色々はなしを聞くと、お店で女の子と手を繋いだことなんかないってそう言ってた。君だからだよって。ほんとかなぁ。

俺は君が好きだし、付き合いたいと思ってる。新しくお店も出すし、看板娘になってくれたらお給料もっともっとあげられるし、貯金して半年したらフーゾク引退して結婚しよう。仕事はしなくていいし、家で好きなことしてていいから。

 

私は自分に自信がないし、人の好意を疑う資格もないと思っていた。

好きだって言われたら全力で恩返ししたいし第一私だって副店長のこと好きって思ってた。それが本当なら付き合いたい、彼女になりたい、彼と私のために新しいお店の看板娘になりたい。ガッとお金稼いであとは家でマンガでも描いて暮らしたい。

 

「うん。わかった」

「今の店はフェードアウトして」

「うん。」

「絶対稼げるようにする。お金貯めよう」

「うん」

 

二人で大きな家に暮らそう。それまで俺のワンルームの家に住んでいいよ。お店出したら忙しくてあまり帰れないかもしれないけど、家使っていいから。働きながら家探そう。

 

あれよあれよと次働く店と住む家が決まった。

前の店は「出れそうになったらまた電話します」って言って、それから電話が来てもシカトした。

フーゾク。優しい副店長。

とても優しいお客さんと、とっても乱暴なお客さんにつき、フーゾク初日から私の心はモヤモヤしていた。

もしまた乱暴な人が来たらどうしよう。最初の優しいお客さんは、「本番はダメだよ」「指入れNGならきっぱり断っていいんだよ」など色々教えてくれたけど、私は自分のことを大事にすることが苦手で、人のいいように流される傾向にあったから、本当にちゃんと断れるか不安もあった。だけどお店に迷惑がかかるから、本当に本番だけはしないぞと心に決め、次の出勤日をまった。

二人目のお客さんに弄られすぎた下半身がズキズキと数日痛く、しばらく休ませてくださいといい、次の出勤は確か1週間後になったような気がする。

 

またああいう人が来るのかなって怖かったけど、それからはまぁまぁスムーズにいいお客さんについた。いいお客さんというか、基本的にみんな優しかった。痛かったら「ごめんね、ちょっと痛いの」って言えば「あぁごめん!」って優しくしてくれるし、お客さんが帰って待機中には優しい副店長が部屋に様子を見にきてくれる。

今思うと、副店長は私の担当だったんじゃないかと思う。副店長の勝手な世話焼きだったのかもしれない。でも私にはそれらはどうでもよく、ただただありがたかったし、副店長と会うたびに、やっぱりこの人いい人だなって思うようになった。

 

3回目の出勤の時、待機時間を楽しみにしてる自分に気づいた。副店長が居たからお店に通っているような気にもなってた。

 

いつものようにお客さんが帰り、副店長が部屋に来る。「どうだった?大丈夫?」そんな風に優しくされるたびに、私の心が揺れた。

 

「どこに住んでるの?」「今度ご飯行こう」

今の私なら「こうして女の子の気持ちを掴んでお店に居着くようにしてるんだろうなぁ」って思うと思う。

でも私は、人生経験も人間関係もうまくできないただの子供だった。

ご飯に誘われ、メロメロになり、副店長のこと、すぐに好きになってしまった。

小さな個室の小さなベッドに腰掛け、軽く手を繋いだりした。

手から微電流が流れ、「あぁ、やっぱり好きだぁ」って思った。

私にとっての好きは、風船よりも軽く、どこにでも転がっていた。今までどうしてこういうことがなかったんだろうって思うぐらい、私はすぐに彼にポーッとなった。

第一その人は服装がヤバかった。

黒いスーツに黒いシャツ、黒いネクタイにサングラス。

どこまでも黒づくめのその人を見るたび、なんだか特別な世界に出入りしているような気になれた。今だったら「ブルースブラザースかよ」で終わるところを、それまでただの蕎麦屋のアルバイトぐらいしかしたことなかった私が、生涯一人しか彼氏ができたことない私が(しかも元彼はストーカー)、こんな悪そうな人と個室で手を繋いでいる。

そんな特別な世界にいる自分にもポーッとしたしそこで優しく、なんだか特別手をかけてくれているように見える副店長にポーッとした。

私たちは、副店長の休みに合わせ、食事に行く約束をした。

「誰にも言わないでね」って言われてまた私は特別感を感じ、帰りの電車の中で思い出しながらなんだかニヤニヤした。

フーゾクのお客さん、二人目にして地獄を見る。

一人目のお客さんに気分を良くした私は、この世界で生きていけるかも、って希望に胸が膨らんだ。

お客さんが帰った後、部屋に来てくれたスタッフの人は喋りやすかったし相談にも乗ってくれた。何かあったらなんでも言ってねって、一緒に頑張ろうって感じがすごく嬉しかった。

 

さて、やる気を出した私に次についたお客さんはどんな人だったんでしょうか。

 

初めまして、そう言って部屋に連れて行ったその男の人は、私の話をつまんなそうに聞き流しながら「早く脱いでよ」と言った。

私は最初怖いと思ってどきっとしたけどこれも仕事。楽しんで帰って貰いたいって思って、相手の希望に沿うようにできる限りのことはした。

「寝てよ」

やっぱり口調が怖いんだけど、私はベッドに横になった。

お客さんは乱暴に私の服を脱がせ(コスプレの意味はあるんだろうか?というぐらいのコスプレへの興味なし)、最初から乱暴に私の身体を触り始めた。なんか、自分がただのモノになった気がした。

乳をギューと掴まれ、「痛い」と言ってしまった。「は?気持ちいいんでしょ、こんなとこで働いてるんだから」お客さんの攻撃は止まらない。わたしの反応(ほぼ拒絶)に面白くないのか、「やる気ないの?俺、金払ってんだけど」とも言われた。「すいません」と言いながら、やっぱり体を無茶苦茶に触られて体が痛かった。特に下半身への執着がすごく、それはもうガシガシと、たわしで鍋を洗っているような衝撃がずっとずっと続く。何度も「痛いです。。。」と言ったけど、完全無視。お客さんはそれでも興奮して満足してるんだろうか。激痛の中、不思議だった。

激痛に耐えられなくなり、「本当にごめんなさい、痛いんです」って何度も言った。けどお客さんの手は止まらなかった。

何分経ったんだろうか。お客さんの動きが止まった。やっと終った安堵感とジンジンとする下腹部の痛みで、自然に涙が止まらなかった。

「また来るよ」

 

え?この人わたしのこと見て言ってる?

わたし、痛い痛いを繰り返し訴えて、最後は泣いてるんですけど。

 

多分、人も気持ちがわからない人なんだろうと思った。

そう考えると、いろんなところで人に嫌われているんだろうし、少しかわいそうな気もしたけど、下腹部の痛みのせいで優しい気持ちにはなれなかった。

 

わたしの身体を弄ばれた気がした。わたしの人権はそこにはなかった。悲しかった。それで数千円しかもらわないこの店の仕組み。こんな仕事、わたしにはやっぱり無理だ、こんな悲しい自分を貶める仕事、やっぱりできない。

 

お客さんが帰った後、前のスタッフとは違う副店長が部屋に来てくれた。「大丈夫?」

わたしは悲しくてまた泣いた。

どんなに人扱いされなかったか、言葉を無視し、向こうの思い通りにわたしのことを動かし、体に傷をつけて、心をも傷つけたことを副店長に訴えた。

「ごめんね、もうあの人つけないから。お客さんはいい人ばかりだからたまたまだったんだと思う。本当に嫌な時はフロントに電話しくれていいからね」「気づかなくてごめんね」

 

優しい言葉を聞いて、私の心も少し落ち着いた。

まるで私に親身になって心配してくれるこの人のことをいい人だなぁって思った。私は人のことをいい人だなぁって思うことが多い。だから、すぐに恋する悪い癖がある。

 

その日は二人だけついて帰ることになった。

「もし本当に続けられないようなら連絡してね」スタッフにそう言われ、本日のお給料をいただく。

「…2万」

それまでフリーターで蕎麦屋で働いてた時、週5で働き、月に8万しかもらえてなかった。それを、この短時間で2万。

2万もらったら、さっきの乱暴な人のことも、今度はスタッフに助けてもらえばいいんだし、いいお客さんもいるんだし、やっぱここで働こうって気持ちが固まった。

 

お金の力すごい。私は2万持って東京駅で可愛い下着を買った。

お客さんに見せても失礼のないような下着を買おうと思って、記念に初任給で買ったのだ。

 

なんだかんだ泣いたりもしたけど、もう、私は次行く覚悟はできてた。

 

下半身は3日ぐらいヒリヒリしてた。

 

フーゾク、初めてのお客さん。

23年前。

フーゾクで働いていた時の話である。

(詳しくは、「初めてフーゾクの面接に行った話3部」を読んでください。)

 

フーゾクにもいろんな種類があるのは高収入バイト雑誌で勉強済みだった。

当時の私は男の子の経験は数人(そのうち彼氏は一人。計算が合わない)。

その頃のセックスはまぁ死ぬほど受け身だった。度々思い出すけど、その頃の男子にほんと謝りたい。受け身以外でセックスできる自信がなかったのです。

なぜなら自分から他人を触るなんて、申し訳なくて出来なかった。命令されなければほんっと何も出来なかった。命令されればなんでも出来たけど。

 

なので、初めてのフーゾクは受け身が基本のイメクラを選んだ。

 

さて、出勤初日、初めてのお客さんがつくことになった。

お客さんは初物食いが大好きな常連さんだった。お店の人が「いいこ入ったんですよ~」って営業して、「お、気になるね」って感じで来てくれる人らしかった。

私は名前を「ゆか」としてお客さんを待った。

 

フーゾクってお金をもらうからには、だまって寝て相手にされるがままではいけないんだろうなって思ってた。けど私は自分のセックスに対する自信がまるでなかったから、結局そのお客さんの前ではされるがままだった。

 

お客さんは40代ぐらいの優しいおじさんだった。

「本番ってわかる?セックスはしちゃいけないんだよ~。しようとしてくる人多いけど、絶対しちゃダメだよ。お店に迷惑がかかるからね」

「はい」

そんな話をしながら私の体をなでなでするおじさん。

「君の体は綺麗だね。。。」「こんな子と相手できて嬉しいよ」

独り言のようにそういうおじさんを見ながら、

「私でいいんだ…これでも受け入れてくれる人はいるんだ…」って、触られながら少し自信がついた。

 

ちなみにイメクラなのでコスプレがたくさんあってお客さんが選べるんだけど、その時私はセーラー服を着ていた。セーラー服をあんだけ時間かけてじわじわ脱いだ(脱がされた)のは初めてだ。笑

 

ベッドに優しく横に寝かせてくれてお話は続いた。

「お客さんだからって威張ったり乱暴してくる人いたらフロントにすぐ電話していいんだよ」

「お客さんなのに?お金もらってるのに?」

「うん。お客さんだからって女の子を傷つけていいわけじゃないんだよ」

おじさんは最初から最後まで優しかった。

どういうことをすればお客さんが満足するか、いろんなことを教えてもらった。プレイだけじゃなく、笑顔、気配り、そういうことも教えてもらった。

なるほど、初物食い希望のお客さんはこういう楽しみ方もしているんだな。

私は感心した。

 

時間が来て、ピピピッとタイマーがなった。

おじさんは「今日はありがとうね」と言い、玄関までお見送りをしたらさっと帰っていった。「私、言われたことしかしてない…でも、いいのかな…」

ちなみにその後おじさんには一度も会ってない。いろんなお店でほやほやの女の子に同じようなことをしているんだろうなぁ。

 

私がそのおじさんにしたのは接客じゃ無かったかもしれないけど、お客さんが喜んでくれるならそれもアリなのかもしれないと思った。なんにもできなくて喜ばれるのに今だけだろうけどね。

 

お客さんが帰り、部屋で待機していると、すぐにお店のボーイの人がやってきて言った。

「どうだった?続けられそう?」

「はい!」

私は力強くそう言った。

おじさんが勇気をくれた。お客さんは優しいし、問題があればフロントの人が助けてくれる。そうわかったし、どういう風に接したらいいか、おじさんに言われたことを守れば、他のお客さんにも喜んでもらえるかもしれない。

フーゾクってもっと怖いところかと思っていたから、優しいおじさんとボーイの人に救われたし、私ここにまた来たいって思った。

 

私でいいんだ。私でもいいんだ。私を喜んで受け入れてくれる世界がここにあったんだ。

その喜びに、相当私は救われた。