先日町を歩いていたとき、ふいにくしゃみが出そうになった。まわりに人がいないようだったので、道の隅の方を向いて、下向きにおもいっきりくしゃみをしたら、ちょうどそのタイミングでちびっこがそこを駆け抜けていった。
上から何かが降った事には気がついたらしく、少し先で立ち止まって空を見上げていたが、そのまま元気に走り去っていった。わしはそれを見ている事しかできなかった。
あえて言おうっ! すまんっ!!
君があのあと風邪をひいていたら、それはヲジサンのせいだょ(つД‵)
今後は壁際に寄ってからくしゃみをする事にしようと思う(違)

わしが開発したMultiTimerは、言うまでもなくわしがわしのために作ったものだ。出来上がったものが他の人の役に立てばいいと思ってはいたが、役に立つかどうかの確証なんてものは全くなかった。
ただ、同じようにアプリ作成を学んだ人々にはこのアイデアは好評だった。わしがマーケットへのアップを目標にかかげたのはその時だった。
さて、作ったわしは当初の目論見どおり、MultiTimerを筋トレに生かしているのだが、その中でもシャドーボクシングは個人的にも新しい試みだった。やっててしんどいが、やはりおもしろい。
別にボクサーになりたいわけではないが、やはり変化のない運動というのはすぐに飽きがきてしまう。そうしないためにもこのトレー人具はうってつけだ。
さらに、『福音』というほどでもないが、わしにとって良い効果があるようだ。わしにとってという事は、わしレベルのショボい腕前のギターやベースをやる人にとっても有益だろうと思う。

わしのシャドーは、基本的にはただのお遊びなのだが、それでも一応自分なりに注意するところを決めてやっている。
細かい事はさておき、一番気をつけているのは「打つ事よりも、打った後」だ。すなわち、構えから左ジャブを打ったら、できるだけ素早く元の構えに戻るという事だ。
次に気をつけるのは「ガードを下げない事」だ。継続的に同じ姿勢を保つ事によって、ヌルい体幹を少しでも強化しようという狙いである。
言うのは簡単だが、やってみると案外大変なもので、打った後に素早く基本の構えに戻る動作は、腕立て伏せでは使わない腕の筋肉を使うし、常にガードを下げないのは、シャドーをせずにただそれだけで3分過ごすのも大変だ。
こうして、普段意識しない筋肉を使う事によって「基本の姿勢」を維持するコアマッスルを身につけるのである。
一番望ましいのは、できるだけ早くジャブを打ち、意識的にそれよりも早く腕を戻して基本の構えに戻る。ストレートにしてもフックにしてもアッパーにしても同様だ。
ちなみにわしは、基本的な構えやパンチの打ち方を下のサイトを参考に覚えた。

http://www.h3.dion.ne.jp/~toomo/

他のサイトでフリッカージャブのやり方を覚えたのは秘密である。(できるわけぢゃないけどなっ!)

良くぷろみゅーじさんなんかが、フレーズや曲調によって、色々なポーズを取って演奏するのを見たことがあると思う。
やってる人からすりゃ、実はその姿勢の方が弾きやすかったりするという裏話はさておき、どんな姿勢でも普通に演奏するのに楽なポジション、いわば「自然な構え」に近い形を維持するのが肝要である。
が、普段の生活においてもその「自然な構え」を長時間維持するのは難しい。
ためしに、いわゆる「気をつけ」の姿勢でまっすぐ立ってみて、そこから動かないままどれだけの時間を過ごす事ができるだろうか?
立ち仕事に慣れている人でもなければ、10分もしないうちに片方の足に体重を乗せたりとか、そもそも立ち続ける事をやめたくなってくると思う。
つまり、意識していようがいまいが、同じ姿勢を維持するのは結構大変だという事だ。まして、わしは一応演奏をする人間だ。
ここをご覧の人の中には、いわゆる『プロ』と呼ばれる演奏家もちらほらいると思う。そういう人たちは、同じフレーズを100回弾いたら、100回とも基準を大きく越えるレベルの演奏をしなければならない。
わしは『ペロ』だからそこまでは求めないものの、やはり周囲には『上手な人』と思われたいし自分でもそこそこ上手いと思っていたいという欲望もある事だから、100回繰り返したら90回くらいは基準に達する演奏をしたいものだ。
そのためには、演奏の練習もさることながら、自分にとってもっとも楽で上手に演奏できる姿勢を、できるだけ長く維持するための体幹の強さが必要なのである。

他の人に効果があるという保証は全くない。が、もしそこそこ演奏ができて、練習はしているものの腕に伸びがないように思えるという人には、ぜひシャドーボクシングを試してみてもらいたいと思う。そして、その際にはぜひMultiTimerを使用してもらいたい(笑)
余談だが、このアプリは英語の表記にも(一応)対応している。
が、英語圏からのダウンロードは全くなく、なぜかロシアやメキシコからダウンロードされている。
どういうわけかはしらんが、作った人は広島の片田舎でくすぶっているのに、作ったアプリはちゃっかり世界デビューを果たしている。
一体どんな人が使っているのだろうか?
Android 4.0に対応しているのは、広告を表示させるためのやむを得ない措置だったというのは秘密である。

MultiTimer
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$安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
エレキギター紹介サイト。初心者の始めての一本からプロユースの逸品まで。
とある飲食店の前を通りかかった時、子供向けにぬいぐるみを店頭に置いてあるのに気がついた。
かわいいもの好きのわしとしては、見逃すわけにはいかない。(店には入らんけど)
どれどれと思ってみてみると、ピチュウ(ポケットモンスター)とチョッパー(ONE PIECE)が隣同士に鎮座している。
なるほど違和感がない。ONE PIECEにピチュウが登場するのはまあ無理としても、チョッパーはポケモンワールドでも何の問題もなく生きていけそうだ。ギャフンっ!

さて、前回のエントリーで新PC(中古だけど)のセットアップを急いだ理由として、Androidアプリの開発をするという事を述べた。
このアプリの開発は2011年の11月から始めたのだが、大雑把なアイデアを元にイキナリプログラムから入るという、素人が良くやる大変マズい手法で開発されたアプリである。
事の発端は、わしのメタボ体型だった。この洋梨のような体型をどうにかしようと、わしは朝早めに起きてトレーニングをしていた。していたというのは、最近はサボりがちになってしまっているからだ。なんと意志薄弱なオタクヲッサンなのだろう(つД‵)
時に、この年になってくると、本当に好きでもない限り同じ運動を反復するだけの筋力トレーニングというのは飽きてくるものだ。
いや、若くても面倒だと思うものだが、年齢が三十を越えると面倒を通り越して無駄だとさえ考えるようになる。典型的なダメな大人である。
そこでわしは、自分のトレーニングに踏み台昇降運動と、ボクシングのミラーシャドウを取り入れる事にした。普段とは違う動きをするこれらのトレーニングは、自分で考えたメニューをすべてこなす時間と気力が無いときでも、基本的には毎日必ずどちらかを行っていた。
このトレーニングにおいて、タイマーは大変重要なパートナーだ。踏み台昇降運動の場合はこれにメトロノームがプラスされる。
どちらも3分間行い、1分間のインターバルを入れて、踏み台昇降運動は5セット、ミラーシャドウは3ラウンド行う。
以前はAndroid携帯にDLしたタイマーアプリを使っていたが、だんだんちょっとした問題が出てくるようになった。
まず、基本的に3分間でセットしたタイマーは1回終わるとそれまでだから、トレーニングを再開する時はもう一度開始ボタンを押す必要がある。さらに、1分間のインターバルを設定するためには3分の設定を解除する必要があるため、インターバル時間はだいたい勘で決めていた。長いんだか短いんだか、トレーニングが終わって時計を見なければわからないのだ。
おまけに、トレーニングをすると汗をかく。その汗に濡れた指で携帯のタッチパネルに触れても、反応しない事が多いのだ。
おかげで、自分は開始ボタンを押したつもりでトレーニングを開始しても、いつまでたってもアラームが鳴らず
「いつまでやらすんならっ!」
と思って見てみるとタイマーは動いていやがらない。腹が立ってそのままトレーニングをやめてしまう事が多々あったのだ。
この時
「トレーニング時間と休憩時間を設定して、繰り返し回数を決めてしまえば、あとは最後まで勝手にカウントしてくれるタイマーアプリがあれば便利だぞ」
と思ったのが、開発のきっかけだったのだ。

作るものは決まったものの、案外タイマーアプリというのは作るのが面倒なものだ。
PCは時間を1/1000秒で認識するため、例えば1分なら60,000ミリ秒となる。
Android携帯もぶっちゃけ小型のPCみたいなもんだから、その認識は共通する。然るに、人は1分は1分と認識する。
つまり、使用者が1分と設定したものを、PCに60,000ミリ秒と認識させるためには、そうするための計算式をあらかじめプログラムに組み込む必要がある。
これだけの問題なら対したことでも無いように思えるが、当初の設計では時:分:秒で設定できるように考えていたので、計算は少々複雑になる。
それでもこの程度の事であれば「所詮は算数ぢゃん」と皆さんはお思いになるだろう。しかし、ここでわしは重大な問題に直面するのだ。
なんせわし、算数ニガテ(^_^;
もちろんこの程度の問題で開発が立ち行かなくなったとかそういう事はないのだが、個人的には今回の開発で一番「マンドクセ(´Д`)」と思うポイントだった。
次に考えなければならないのは、その計算に使うためのユーザー入力値の入力方法だった。
こういったツールは使い勝手が良いにこした事はないので、できるだけ少ない説明(あるいは説明不要)で操作できる方が望ましい。
そこで、ユーザーが値を直接入力する方法ではなく、時間や繰り返し回数の数字だけを簡単に入力する方法を考える事にした。
かっこいい言い方をすれば「ユーザービリティの向上」というやつだ。
タイマーというツールの性格上、使用するのは数字のみだが、もしユーザーが自由に入力できるエリアを作ってしまったら、誤って文字を入力してしまう可能性がある。そうするとエラーを表示するダイアログを作る必要もあるし、何度もそんなもんが出てきたらイライラするのは間違いない。
そこで、あらかじめ数値しか入力できないようにしておけば、操作も簡単でエラーが発生しにくいものになる。
幸いな事に、Android開発環境(iphoneにしてもそうだが)には、良く使いそうなオブジェクトがあらかじめ用意されている。
最終的に仕上がったものには、結局それらは少ししか使わなかったが、とにかく当初は「意図通りに動くシロモノ」を作るべく作業を開始したのだ。

最初の試作アプリは今は残っていないのだが、機能はともかく、いくつかの問題をかかえていた。大きな問題は2つあり、まずデザインが武骨だった。
Android開発環境に準備されているデフォルトの時間入力オブジェクトやボタンオブジェクトは、iphoneのそれとくらべるとエラく機械的で親しみの持てるようなものではなかった。
また、この時点でレイアウトをどうこうする知識はあまりなく、とりあえずボタンや時間を表示する位置なんかを中央に配置するようにした結果、画面の真ん中あたりにごちゃごちゃとそれらが並ぶような見た目になってしまった。このままでは使いにくい。
さらに、カウントした値を時:分:秒に変換して表示する方法も悩む事になった。
全てを秒で表示するならカウント値/1000でいいのだが、時単位になると一体何秒になるのだろう。そして、そんな値を見ても「ああ。残り時間は●時間●分か」などと計算できる人間はきっと少ない。
そうなると当然「時:分:秒」の形に直して表示する必要があるが、毎回(1秒ごとに)値を時間・分・秒に計算しなおしていたのでは処理が追いつかない。
実際表示が遅れる事が何度もあったので、別な方法を考える必要があった。
こうして、見た目的にも内部的にも、「ちょっとこうした方がいい」と思うような変更をするためには、かなりの部分に手を入れなければならないという事を身をもって知るはめになったのだった。
結局のところ、アイデアを出した時に、見た目や機能的な部分をつめる事にもっと時間を費やしておけば、後から色々と手を入れる必要はなかったはずだし、各プログラムが受け持つ処理の範囲(見た目も含めて)を明確に分けておきさえすれば、仮に後から手を入れる事になっても今回ほど煩雑にはならなかったはずだ。
アイデアが生まれた時、それをどうやって実現するかをぼんやりと考え、実際に実現する方法をきちんと考えないと物作りというのは進まない。ようやくそこに思い至った。今回の場合「ぼんやりと考え」でイキナリプログラムに入ったのがマズかったのである。
こうして、プログラムに1ヶ月、インターフェースのレイアウトの変更などなども含めて1ヶ月。間で作業をできない期間(例のう●こ蹴った件ね)があった事を鑑みても、アプリの機能を考えれば少々時間がかかり過ぎたように思う。

わしのミラーシャドーを例にとって使い方を説明すると、アプリを起動したときに右上に「タイマー」と書かれていて、その下に数字が表示されていると思う。
この数字は左が「分」右が「秒」を設定するエリアで、そのエリアを指で上下に動かす(フリックする)事によってタイマー時間を設定する。わしの場合は3分なので、「分」を3に設定する。
同じような要領で、左にある「インターバル」を設定する。わしの場合は「分」を1にする。
これで、ミラーシャドウを3分間行い、3分経過後に1分間の休憩を取るという設定になった。
「タイマー」を設定するエリアの下あたりに「繰り返し回数」を設定するエリアがある。
「繰り返し回数」という文字の下にあるボックスをタッチ(クリック)すると、1~5までの数字が表示される。繰り返したい回数をタッチすれば設定は完了する。(わしの場合は3)
これで、後は開始ボタンをタッチすれば、ちょっと音質の悪い「カーン」というゴングの音が鳴ってタイマーが作動するのだ。
タイマー作動時は時間を気にすることなくトレーニングと休憩を繰り返し、設定した繰り返し回数が終了するとタイマーも終了するのだ。
「タイマー」終了30秒前と「インターバル」終了10秒前にアラームが鳴るのでラスト30秒がんばったり、休憩終了10秒まえにトレーニング再開の準備ができる。自分で作っておいて言うのも何だが、意外と便利な代物だ。
どうやらそう思ってくれる人がそこそこいるようで、1月8日にリリースしてから今日までに50ダウンロードを突破した。うれしいことだ。
筋トレの他にも、例えば受験勉強をする学生が「タイマー」を50分、「インターバル」を10分に設定すれば、効率良く5時間の勉強時間を確保できるのではないだろうか。これは、何も受験生でなくても教育ママや定期テストに挑む中高生にも有益だと思う。
また、スポーツクラブの監督官や学校のクラブの顧問の先生にも有益なのではないだろうか。
わしの乏しい発想ではそんな程度だが、この手のシンプルなツールは使う人によっていくらでも使用するシーンは広がる。
ぜひわしなんぞが考えも及ばないような、突飛で画期的な活用術を見出していただきたいものだ。

さて、出来上がったこのアプリ、わしは一番のウリはやはり「作業時間と休憩時間を設定できる」と「それらを繰り返す」だと考えていた。
が、最近思ったのだが「開始ボタンを押したら音が鳴る」というのが、地味ながら案外良いのではないかと使っていて思った。
というのも、わしのような使い方をする人だと、ボタンを押した際に音でもでなければ、押したんだかどうだかわからない事がままあると思う。
だが、このアプリは押したら必ず音が出るので、ちゃんと動作しているかどうかを気にする必要が全くない。ゴングの音さえ聞こえれば、かならず動作しているのだ。
無料配布ということで広告を載せているが、この広告は楽天やAmazonなんかのアフェリエイトとは違い、クリックするだけでも開発者の懐に潤いを与えてくれる。価格はまちまちだが、1クリック平均6セントくらいだ。
ということは、わしのアプリのユーザー全員が一日一回クリックしてくれると、一日3ドル程度入ってくる事になる。
たかだか240円程度だが、これもやはり開発者にとっては魅力的な話だ。
ところが、タイマーアプリは基本的には一人遊びのツールなので、開始ボタンを押してしまうと、あとはほったらかしなのであまりクリックしてくれる人がいないのが悩みの種だったりする(つД‵)
とはいえ、これがわしが生まれて始めて世に出したアプリケーションなのである。

MultiTimer
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$安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
エレキギター紹介サイト。初心者の始めての一本からプロユースの逸品まで。
この回想録はmixiにも同じものを載せているのだが、どちらにも「ネットで手配すればいいぢゃん」的な意見が寄せられた。が、通販だと支払いやら何やら配達日がどうやらでそこそこ時間がかかる。実はある理由で可能な限り早くPCを可動したかったという事情があったため、こんな事になっているのだ。人間万事塞翁が馬。とりあえずこの彷徨も最後ということで、続きを書いてみようと思う。さほど面白くもない上に、無駄に長くなるだろうから、読みたくない人は眺めるといい。きっと読んでも眺めても「長っ!」としか思わないだろう。

コンプマートの店員と「探し物が無かった時にはまた来る」と約したわしは、店の外に出てしばし途方にくれた。というのも、実はわしはパーツなんかの品揃えが豊富なPCショップをほとんど知らないのだ。
だいたいPCそのものは、自分でどの程度のスペックならば使えるものかをある程度把握しているから、新品で買う事はほとんどない。たしか5年くらい前にネットブックを買ったのが新品でPCを買った最後だったと思う。
パーツは消耗品だから当然何かある度に購入するのだが、それはだいたいコンプマートのバルク品売り場でおおよそ間に合う。間に合わない場合はネットで探せばいいので、今回のような性急に必要なものがあり、しかもそれが見つからないという事態には、久々に「ハマった」感を感じずにはいられなかった。
それでなくてもDMS-59などという、普段あまりお目にかかる事のない代物である。仮に広島市内のPCショップをすべて知っていたとしても、見つかったかどうか・・・
ともかくわしは、ここからほど近い場所に、たしかそれらしい店があったのを覚えていたので、手始めにそこから探してみる事にしたのだった。

かつて広島市には、とあるメイド喫茶があった。
ご存知ない方も多いと思うが、店の中身はテレビが垂れ流すいわゆる『アキバ系』と呼ばれるものとは赴きが異なるものだった。
簡単に言えば、単にウェイトレスがメイドの格好をしているだけの、ちょっと変わったカフェといった感じだった。
かつてアメリカのファミレス・チェーン店の『アンナミラーズ』というのがあって(わしは行った事はないが)そこのウェイトレスの制服は胸を強調する独特のデザインで人気が高く、色々なところで話題になったが、まあそれの違う制服バージョンといった感じと言えばいいのか。
しばしばイベントなども開催された面白い店で、わしもそこの常連と言えば常連だったが、今はその店はなくなってしまっている。
で、その店の正面に確かPCを扱うショップがあったと記憶していたのだ。
店の名前を覚えていないわしが、年単位で久しぶりにそのあたりに行ってみると、そのショップはまだそこにしっかりあった。「じゃんぱら」という名前だった。
店の看板には『中古パソコン買取・販売』と出ている。ということは、言うまでもなく中古品が置いてあるという事だが、あんなマニアックな商品だと、新品よりもむしろ中古でこそ見つけやすいのかもしれないと考えたわしは、他に行く当てがあるわけでもないのでとにかく店にはいってみることにした。
店の中はさほど広いとは言えない。まあ、『イズミ』などに入っている専門店の約半分くらいの広さといったところだろうか。
商品が所狭しと並んでいるわけでもなく、客の数も数えるほどだ。もっとも、この面積の中に数え切れないほど客がいたら、そもそもわしは店に入れもしなかっただろうし、入ろうとも思わなかっただろうが。
ただ、並んでいる商品は意外にバラエティに富んでいて、店の奥の方にはタブレットPCなども置いてあった。
モバイル端末向けのアプリ開発を個人で行っているわしとしては、動作確認用の実機をここで調達できるのはありがたい。良い所を見つけたものだ。
店の中を二回りほどしたが、目的の商品は見当たらなかった。が、それとは別に興味深いものが見つかった。NVIDIA Quadro FX3450である。
「どこかで見た型番?」と思ったわしは、その場で自分の携帯に入れたPCのパンフレットのデータを確認した。
すると、見つけた商品がカスタマイズで選択できるグラボの中の一つとしてパンフレットに掲載されているではないか。
つまり、これなら今搭載しているものを外して装着する事が可能で、ほぼノーリスクで交換できる代物だったのである。
もう一度店内を見回して、結局DMS-59など置いてなさそうな事を確認したわしは、迷う事無くそのグラボを手にレジに向かった。
2,980円だった。

さて。めでたく目的のブツとはじぇんじぇん違うものの、ローリスクで換装可能なグラボを首尾良くゲットしたわしは、再びDEF LEPPARDのEUPHORIAを結構な音量で聞きながら手早く(実際にはちょいと一手間あった)グラボを差し替えた。
そしてそのまま先日買ったDVIケーブルでPCとモニタをつないだ。そして、ワクワクしながらPCの電源を投入した。
・・・映らん(つД‵)
どういうわけか、モニタには信号の無い旨の表示が出るだけだ。グラボ自体の問題なのか? はたまた、ローリスクとはいえノーリスクではないのだから、そのローの方に引っかかってしまったのだろうか。
何という引きの悪さだ。いや、確率の低い方を引いたのだから強いというべきなのだろうか?
わしは二つあるコネクタのうち、空いている方にケーブルをさし替えて、再び電源を投入したが、結果は同じだ。あんだけうろうろして、ようやく見つけたものに裏切られたというのだろうか?
この時わしは、ある一つの(多分間違っている)結論に達した。
どうやら、DVIケーブルには複数の規格があるらしいのだ。わしが買って帰ったケーブルはDVI-D。これはデジタル専用のケーブルである。
こいつが良くないと思ったわしは、1月3日に再び出かけると、DVIをVGAに変換するアダプタを購入した。
これによって、これまで使っていたVGAケーブルで接続すれば、きっとうまく行くと思ったのだ。
HALFORDのResurrectionを結構な音量で聞きながら手早くアダプタを装着し、VGAケーブルをPCとモニタをつないだ。そして、ワクワクしながらPCの電源を投入した。
・・・やっぱ映らん(つД‵)
やはりモニタには信号が無い旨の表示が出て、あとはウンともスンとも言わない。ウンはともかく、スンとはなんだろう?
それはさておき、さすがにこれは軽く絶望感を感じた。あちこちを歩き回り、ああでもないこうでもないと手をつくし、「う●こ」まで蹴らねばならなかった事を鑑みれば、この結末はあまりにも悲しすぎた。
音楽はいつしか止んでいた。わしは最後の試みとして、もう一度だけ電源を入れてみてみる事にした。
モニタは相変わらず映らなかったが、わしはこの時、それまでまったく気がつかなかったある事にようやく気づいた。
電源を投入した少し後に、何か妙な電子音が聞こえる。どうやらPCから出ているようだ。
その音の意味を考えたわしは、おそらくハードウェアに関する何らかの警告音だとやっと気づいた。今までは、ずっと大音量でヘヴィ・メタルを聞いていたから気がつかなかったのである。
早速わしは差し替えたグラボに問題があると考え、一度差し込んだあと、もう一度電源を投入した。結果は同じだったため、原因は他にあると判断した。
この場合、元のグラボに差し替えるのが正しい手法だと思ったが、元のグラボに戻して正常に動いたとしても、それはつまりモニタが映らない状況に変わりはないわけだから故障とさしたる違いはない。
一番簡単なのはメモリだったので、とりあえず2枚ささっているメモリの片方を外すと、なんと見事に起動するではないか。
この時BIOSがらみでちょっと文句を言われたが、そんな事よりもついにモノが動いた事にわしは歓喜したのだった。
抜いたメモリを慎重に差し込みなおし、再び起動すると問題なく動き始めた。
結局の所、中古品だったために新品のような完璧な梱包とはいかず、専門業者ではなく一般の宅配業者が他の荷物と同じように運んだために、メモリの差し込みが緩んでいたという事だったようだ。
やれやれ。その結論に達するまでに年をまたいでしまうとは、なんという年末年始だろう。
BIOSは装着されていない内臓フロッピードライブにアクセスしようとしてエラーを吐いているだけだった。
ひょっとしたら、前の持ち主が自分でそんな設定していたにもかかわらず、故障と思って売りに出したのかもしれない。
ま、それはともかく、無事にOSのインストールを終えたわしは、早速開発環境を整備し、1月8日にめでたく自作アプリをAndroid Marketにアップしたのだった。でめたしでめたし。

こうしてわしは、今に至るもこの状態でPCを使っているのだが、差し替えるのがどうもおっくうでそのままVGAケーブル+アダプタという接続方法のまま使用している。
どこかのタイミングでDVI-Dに差し替えて映るかどうか検証しようと思ってはいるのだが、普通に使えてるからまあいいかとそのまま使用していたりする。
ただまぁ、せっかく2台のモニタを接続できるグラボがついている事だし、家にある15インチモニタをいっしょに接続してみようかなとも思っている。
フォトレタッチやCAD、DAWソフトを使う時は、ツールを15インチの方に表示させれば23インチをまるまる有効に使えるいし、アプリ開発の時はログを15インチに表示させれば作業のストレスを軽減できるはずだ。せっかく格安(約2万円)で整えた環境だから、有効に使おうと思う。
さしあたりの問題は、15インチモニタを置くスペースが無い事だが(爆)
以下の画像は実際にマーケットにアップしたアプリの動作画像である。

安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも


もしAndroid携帯やタブレットPCをお持ちの方は、ぜひダウンロードして使ってみてもらいたい。

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ちなみに、冒頭で述べた急いでいた『ある理由』とは、このアプリの仕上げをしたかったのだ。
(完?)

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先日のエントリー後、異様にPVが増えた。思うに、みんな「う●こ」に反応したのではないかと思う。あんたら小学生かっ! もっとも、書いているわしが小学生なのだろうか。大幅にサバを読んでみても何にもならないから、とりあえず続きを書いてみようと思う。さほど面白くもない上に、無駄に長くなるだろうから、読みたくない人は眺めるといい。きっと読んでも眺めても「長っ!」としか思わないだろう。

悪口雑言のために著しく移動速度が落ちたわしは、30分後にようやく目指す店の近くまでたどりついた。
どれほど悪口を考えていたかというと、それまで考えていたライトノベルの設定の一部を忘れてしまうくらい考えつづけていたのだ。何せ、「これだっ!」と思っていたタイトルまで忘れてしまい、その後必死に思い出そうとして、やっと思い出したのは1月10日だった。損害賠償ものである。
それにしても、さすがに踏んだり蹴ったりというのはこの後はなかったが、注意しつつ歩いてみると、あちこちにう●こがかなり転がっているのには驚いた。
新興開発エリアということで道路も新しく、けっこう綺麗な街並みだと思ってバスから眺めている事が最近多かったが、歩いてみるとまさかこんな事になっていようとは。
そりゃ転がってるのが全部が全部どこぞの飼い主が放置していったというわけではないと思うが、それでもやはり多いのではないかと思う。
中には、ちょっとだけある芝生エリアの中にかなり大量のう●こが捨ててあるのを見つけてしまった。あれは明らかに故意にそこに廃棄したものだ。
かつて市内中心部に整備された「文化の道」と呼ばれる遊歩道を歩いたことがあるが、あの一角で同じようなものを見た事があった。あれぢゃ「文化の道」ではなく「う●この道」だ。
自分たちの住み暮らしている町をこのような事にしてしまうというのは残念な話だ。いや、わしは住んでないけど。
それはともかく、これはタバコのポイ捨てなどと同じくらい程度の低い行為だとわしは思う。一体なぜ、自分という人間を貶めるような愚な行いを、自ら進んで行うのだろうか。わしにはそれが理解できない。
確かにウチにもう●こを外でするやつがいるが、これの場合はわしがせっせとそこらを掘って処分している。
街中では同じような事をするわけにはいかないとは思うが、それは自分たちがそこに住んでいるのだから自分で何とかすべきだ。
最近ではキャッチミーなる便利な道具もあるそうではないか。何にしても、飼い主は飼い主の責務を果たす必要があるはずだ。Noblesse Obligeというやつだ。

さて、目的地はDEODEOだったのだが、その付近に新しい店がオープンしていた。ドンキホーテである。
ご存知の通りドンキホーテは、総合ディスカウントストアを全国展開しているあの店である。広島では安佐南に一軒あったが、それがこのベイシティエリアに進出してきたという事だ。
かつては多くの店舗が放火事件にあい、悪い面でも目立ってしまったドンキだが、ここに新たに出店した店舗はそういう心配はなさそうだ。少なくとも出入り口に燃えやすそうなものを置いている様子はない。
そんなどうでも良い事を考えながら中に入ると、そこはおもしろそうなもので溢れかえっていた。
ブランド品やトレーニンググッズ、日用品や家電など、普通に生活する分にはここで揃えたもので十分という感じだ。右を見ても左を見ても商品が並んでいる。そして、その商品はここ以外ではあまり目にしない物が多い。
それにしても、家電量販店の隣の店舗で家電品を販売するとは、なかなかのマッチョだ(笑)
お金を持っていなくても十分楽しめる場所。そして、実際お金を持っていなかったわし(つД‵)
真面目な話、当時も今も余計な買い物ができるような財力が無い。いい年したヲッサンが情けない限りだ。
なもんだから、せっかく見つけた筋トレグッズも、あずにゃんジッポも買えないまま現場を後にする憂き目にあうハメになったのだ。この時ほど自分の経済力に低さを呪った事は、これまでに一度もなかった。
もっとも、ジッポは本気でいらない買い物と言えるかもしれない。というのも、基本的にジッポはオイルライターだから、パイプや(ごく稀に)葉巻をやるわしにとっては無用の長物以外の何者でもない。
では、なぜそれを欲しがるか。あずにゃんだからに決まっとるだろっ!! このように、わしは中途半端な困ったヲタクヲッサンなのだ。

後ろ髪を引かれる思いで泣く泣くドンキを後にしたわしは、当初の目的地であるDEODEOへと入った。
相変わらず人は少ない。が、さすがに店の人間よりは客の方が多いようだ。
ふと見ると、何か薄くて大きな箱を持った女性が、さも重そうにどの箱を持って歩いている。どうやら薄型テレビを買ったようだ。
おそらく車で来ているのだろうから、店員に運んでもらえば良さそうなものだ。どうせ暇に決まっているというのに。
鬼女のような形相でテレビを運ぶ女性とすれ違ったわしは、とにかくPCサプライ用品のコーナーを隅から隅まで物色する事にした。
予定では午前中の最後の船でわしは帰るのだ。別にわしの人生に何ほどの影響を与える事もなければ、嫁になってくれるわけでもない女性の事をいつまでも眺めている暇などない。時は金なりだ。今や、時間という概念すらもコストと見て可能な限り節減していかねばならない時代である。
・・・ねぇぢゃねぇか(つД‵)
同じ棚の前を何度も往復し、それが済んだら他にありそうな場所に目星をつけては移動し、探しては移動し、ついに店の中の全てのエリアを歩き回るに至ったが、それらしいものは一切見当たらなかった。
まさかそこには無いだろうと思いつつも、一応二階に上がって同じように隅から隅まで歩き回ったが、見つかったのは以前探していたエロDVD(今は興味ナシ)だけだ。何という事だ。二時間近くも探し回ったというのに。
よくよく考えてもみれば、DMS-59なんてわしも見るまで知らなかったようなものが、いわゆる量販店で売っているとは思えない。紙屋町にある本店やコンプマート広島ならばともかく、郊外の店舗では売っている物の数は多いが、今回わしが求めているような出て行く数の少ない商品を置かないのは自明の事だ。
それにしても、何度来ても妙な店だ。誰がどう見ても同じエリアを何度も行ったり来たりしているわしに、店員は一切声をかけようとうはしない。
怪しいヲッサンがうろうろしているだけだとでも思っているのだろうか。そう思うのは君らの勝手だが、実際のところそんな不審人物がいたのであれば軽快に警戒すべきだのではないだろうか。
ひょっとしたら、既に怪しい人物が店内をうろついているという事で、マークなり通報なりしていやがるのかもしれない。そうであってはたまったものではない。
そんなわけでわしは、この店に来たらわしの中では恒例になっているアイスを食べ、とりあえず必要になると思われたDVIケーブルを購入し、店の前にあるバス停から市内中心部へと向かうのであった。

わしが宇品のDEODEOの店内をうろついていた時間よりもはるかに短い時間で、バスは本通りバス停へとわしを運んできた。
バスに乗るのもなかなかいいもんだ。今後は可能であれば市内へ出かけるのにはバスを利用する事にしよう。
電車でも出てくる事は可能だが、あれだとひどい時には1時間以上かかる。急いでない時はかまわんが、時間が決まっている場合は適宜使い分けるようにしなければならんな。
それはともかく、わしが向かったのはDEODEOコンプマート広島だ。ここは自作PC向けのパーツが置いてあるので、わしの要求を満たしてくれる可能性が高い。
もっとも、ここもあくまで量販店なわけだから、求めているものが無いという可能性も低くはない。もし鳴ければ、周辺の店をうろつくしかないだろう。
で、ありそうなところをずっとウロウロしていたのだが・・・
ねぇぢゃねぇか(つД‵)
他に興味深い商品がアホほどあったが、目的のものを買う以上の資金を持たない気の毒な財布事情のわしにとって、DMS-59分岐ケーブル以外のものを買おうという気にはとうていなれない。なっても買えないのだが(^^;
いつまでもウロウロしたところで仕方がないなと思っていたところ、ビデオカードの棚を眺めているわしに店員が声をかけてきた。
色々話をしたのだが、わしは結局ここではビデオカードを購入しなかった。これにはちょっとワケがあったりする。
実は、新たに購入した中古のパソコンはデスクトップ機ではなくワークステーションという代物だ。これはなかなかに面倒で、例えばメモリを増設しようにも、同じピン数の同じ規格のものであっても使用できないなんて事があるのだ。つまりちょっと特殊なのである。
そんな特殊な機体に動作するかどうかわからんビデオカードを入れるのは不安なのだ。
刺さっているビデオカードが確実に動く事が確認できている状態なら、そういう冒険も可能だと思う。むしろ、最近の機種のものの方がメモリ容量をとっても転送速度をとってもスペックが良さそうだ。
だが残念なことに、DMS-59を仕様できない現在、せっかくそこに投資しても不発に終わる可能性が大いにある。それだけは避けたいところだ。
DMS-59ケーブルは店舗には置いてなく、取り寄せれば結構遅くなるという話だったので、わしは一旦ここを去って自分が求めるものがある可能性のある店をウロウロする事に決めたのだった。
(続く・・・といいなぁ)

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$安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
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なんか続きを期待する人もいるようなので、まあがんばって続きを書いてみようと思う。さほど面白くもない上に、無駄に長くなるだろうから、読みたくない人は眺めるといい。きっと読んでも眺めても「長っ!」としか思わないだろう。

2011年12月31日。年の瀬が時単位で近づいて来る中、わしは寒風吹きすさぶ宇品港へと降りたった。
もはや越年への準備は終わっているのだろう。町の様子は思いのほか静かだった。
よくよく考えてみれば、この辺は広島市内とはいえ郊外と言ってよく、繁華街や歓楽街があるわけでもない小規模な工場や倉庫ばかりの町に人がうじゃうじゃいるはずもなかった。
わしの目的は、例のDMS-59の分岐ケーブルをVGA・DVIを問わずに購入する事。もう一つは、DMS-59で分岐した先にあるVGAまたはDVIのケーブルの購入だった。

ご存知の方もあろうが、宇品にはそこそこ大きな電器屋のDEODEOがある。かのエディオングループの中核をなす大手(?)電器チェーン店だ。
その昔は女子の駅伝チームが強かった。が、今はそうでもないようだ。
それはさておき、港からDEODEOまでの距離は、歩くのには少々しんどいが、バスに乗るには少々バカらしいという、極めて中途半端な位置にある。
ベイシティと呼ばれる宇品の新興地域にいち早く登場した店舗なのだが、広島市の中心部に比較的近い橋の近くに建設されたため、結局港からも市内中心部からも半端に遠い場所になってしまったのは皮肉な話だ。
さて、低所得者世帯の人間であるわしにとって、そんな距離をわざわざバスで移動するような贅沢などする余地もない。あってもしない。
寒いとはいえ今日ほどではないし、わしは比較的寒さに強い生き物なので(何せパンダだ)冷たい風の中を元気に歩いていくのであった。
余談だが、後日この過信がたたったのか、どうやら風邪らしい症状が出ることになった。これについても機会があればどこかで触れてみようと思う。

エントランス広場の中を突っ切り、公園の広場を迂回しながら、わしはやや西よりの道を、さして急ぐでもなく、だが余人からすれば速歩きに見える歩き方でとぼとぼと一人寂しく無言で歩いていた。
一人で歩く時間というのは考え事をするのにはうってつけの時間で、わしはちょうどそのころ構想を練っていたライトノベルっぽい物語の肉付けを足りない頭の中で進めていた。
登場人物の容姿がうっすらと浮かび、主要登場人物の人数、その中から主人公を選び、その主人公のバックボーンの概要を考え、何となくタイトルが決まったころ、わしは何かを蹴った事に気がついた。
わしの直接の友人方はご存知だと思うが、わしは外歩きの時はほとんどグラサンをしている。
そして、さらに親しい人は、わしは最近視力が衰えてきている事もご存知だろう。普段使用しているグラサンは度が入っていないので、実はそのままだと周囲がぼわっとしか見えないのだ。
ところで、蹴ったものの感触だが、これまで三十数年生きて来たわけだが、どうも今までの人生の中で蹴ってきたものの中では、こんな感触のものはなかった。
小学生時代は空き缶や石ころを蹴り、中学生時代には適当にサッカーボールを蹴り、高校時代には喧嘩相手の脇腹やき●た●を蹴り、大人になったらやりたくない仕事を蹴ってきた(!!)わしなのだが、どうもそれらとはまったく感触が異なるのだ。
何とたとえれば良いか・・・何か妙な、柔らかくてそれでもある程度の硬さがあり、弾力があって少ししめった感じのする、なんだか「むにょん」とした不思議な感触だった。

一体何だろうと思って立ち止まったわしは、カバンの中から眼鏡を取り出した。
普段はあまり眼鏡をしないのだが、仕事や車を運転する時などには必ず使用する。
今日は購入する予定のブツを早く発見するために必要と判断して持って来ていたのだ。
「いつも使ってりゃいいぢゃん」と思ったそこのあなた。あなたは心得違いをしている。
普段眼鏡をしない人間にとって、眼鏡をかけるというのは、乗り物酔い発生装置を自ら装着するのと同義なのだ。そんな装置あるのかどうか知らんけど(いや、無いだろ)
加えて、わしは眼鏡の利便性を大いに認めつつも、そのレンズ越しに見える風景を好きになれなかった。
眼鏡の端に移るものが全て「エンタシス」に見えるその風景は、今日に至もわしの心をつかむことはない。そして、わしがそれに慣れる事もどうやら将来に渡ってなさそうだ。
得意のグラサンから不得手な眼鏡に装備を変更したわしは、さっそく自分の足元に目をやった。とたんに奴がわしの視界にありありと姿を表した。
やや円筒形のそれは、冬の弱い日差しを受けてでさえ、艶をもったてらてらとした光を放っている。どうやら生み落とされてまだそれほど時間がたっていないようだ。
光沢をもった健康的な茶色のそれは、眼鏡をしているとはいえ一目でそれが何であるかをわしに十分に知らしめる。
それは学術名「有機排泄物」あるいは「物体U」と呼ばれている。通称「う●こ」である。
なぜ・・・なぜ年の瀬の迫るこの時期に、よりによって新鮮な「う●こ」を蹴らねばならなかったのだろう。
わしは我が運命を呪うとともに、こんな場所へこれを放置したまま去った人間のモラルの低さを、思いつく限りの悪口雑言で罵るのだった。
(続く・・・のか?)

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