この回想録はmixiにも同じものを載せているのだが、どちらにも「ネットで手配すればいいぢゃん」的な意見が寄せられた。が、通販だと支払いやら何やら配達日がどうやらでそこそこ時間がかかる。実はある理由で可能な限り早くPCを可動したかったという事情があったため、こんな事になっているのだ。人間万事塞翁が馬。とりあえずこの彷徨も最後ということで、続きを書いてみようと思う。さほど面白くもない上に、無駄に長くなるだろうから、読みたくない人は眺めるといい。きっと読んでも眺めても「長っ!」としか思わないだろう。

コンプマートの店員と「探し物が無かった時にはまた来る」と約したわしは、店の外に出てしばし途方にくれた。というのも、実はわしはパーツなんかの品揃えが豊富なPCショップをほとんど知らないのだ。
だいたいPCそのものは、自分でどの程度のスペックならば使えるものかをある程度把握しているから、新品で買う事はほとんどない。たしか5年くらい前にネットブックを買ったのが新品でPCを買った最後だったと思う。
パーツは消耗品だから当然何かある度に購入するのだが、それはだいたいコンプマートのバルク品売り場でおおよそ間に合う。間に合わない場合はネットで探せばいいので、今回のような性急に必要なものがあり、しかもそれが見つからないという事態には、久々に「ハマった」感を感じずにはいられなかった。
それでなくてもDMS-59などという、普段あまりお目にかかる事のない代物である。仮に広島市内のPCショップをすべて知っていたとしても、見つかったかどうか・・・
ともかくわしは、ここからほど近い場所に、たしかそれらしい店があったのを覚えていたので、手始めにそこから探してみる事にしたのだった。

かつて広島市には、とあるメイド喫茶があった。
ご存知ない方も多いと思うが、店の中身はテレビが垂れ流すいわゆる『アキバ系』と呼ばれるものとは赴きが異なるものだった。
簡単に言えば、単にウェイトレスがメイドの格好をしているだけの、ちょっと変わったカフェといった感じだった。
かつてアメリカのファミレス・チェーン店の『アンナミラーズ』というのがあって(わしは行った事はないが)そこのウェイトレスの制服は胸を強調する独特のデザインで人気が高く、色々なところで話題になったが、まあそれの違う制服バージョンといった感じと言えばいいのか。
しばしばイベントなども開催された面白い店で、わしもそこの常連と言えば常連だったが、今はその店はなくなってしまっている。
で、その店の正面に確かPCを扱うショップがあったと記憶していたのだ。
店の名前を覚えていないわしが、年単位で久しぶりにそのあたりに行ってみると、そのショップはまだそこにしっかりあった。「じゃんぱら」という名前だった。
店の看板には『中古パソコン買取・販売』と出ている。ということは、言うまでもなく中古品が置いてあるという事だが、あんなマニアックな商品だと、新品よりもむしろ中古でこそ見つけやすいのかもしれないと考えたわしは、他に行く当てがあるわけでもないのでとにかく店にはいってみることにした。
店の中はさほど広いとは言えない。まあ、『イズミ』などに入っている専門店の約半分くらいの広さといったところだろうか。
商品が所狭しと並んでいるわけでもなく、客の数も数えるほどだ。もっとも、この面積の中に数え切れないほど客がいたら、そもそもわしは店に入れもしなかっただろうし、入ろうとも思わなかっただろうが。
ただ、並んでいる商品は意外にバラエティに富んでいて、店の奥の方にはタブレットPCなども置いてあった。
モバイル端末向けのアプリ開発を個人で行っているわしとしては、動作確認用の実機をここで調達できるのはありがたい。良い所を見つけたものだ。
店の中を二回りほどしたが、目的の商品は見当たらなかった。が、それとは別に興味深いものが見つかった。NVIDIA Quadro FX3450である。
「どこかで見た型番?」と思ったわしは、その場で自分の携帯に入れたPCのパンフレットのデータを確認した。
すると、見つけた商品がカスタマイズで選択できるグラボの中の一つとしてパンフレットに掲載されているではないか。
つまり、これなら今搭載しているものを外して装着する事が可能で、ほぼノーリスクで交換できる代物だったのである。
もう一度店内を見回して、結局DMS-59など置いてなさそうな事を確認したわしは、迷う事無くそのグラボを手にレジに向かった。
2,980円だった。

さて。めでたく目的のブツとはじぇんじぇん違うものの、ローリスクで換装可能なグラボを首尾良くゲットしたわしは、再びDEF LEPPARDのEUPHORIAを結構な音量で聞きながら手早く(実際にはちょいと一手間あった)グラボを差し替えた。
そしてそのまま先日買ったDVIケーブルでPCとモニタをつないだ。そして、ワクワクしながらPCの電源を投入した。
・・・映らん(つД‵)
どういうわけか、モニタには信号の無い旨の表示が出るだけだ。グラボ自体の問題なのか? はたまた、ローリスクとはいえノーリスクではないのだから、そのローの方に引っかかってしまったのだろうか。
何という引きの悪さだ。いや、確率の低い方を引いたのだから強いというべきなのだろうか?
わしは二つあるコネクタのうち、空いている方にケーブルをさし替えて、再び電源を投入したが、結果は同じだ。あんだけうろうろして、ようやく見つけたものに裏切られたというのだろうか?
この時わしは、ある一つの(多分間違っている)結論に達した。
どうやら、DVIケーブルには複数の規格があるらしいのだ。わしが買って帰ったケーブルはDVI-D。これはデジタル専用のケーブルである。
こいつが良くないと思ったわしは、1月3日に再び出かけると、DVIをVGAに変換するアダプタを購入した。
これによって、これまで使っていたVGAケーブルで接続すれば、きっとうまく行くと思ったのだ。
HALFORDのResurrectionを結構な音量で聞きながら手早くアダプタを装着し、VGAケーブルをPCとモニタをつないだ。そして、ワクワクしながらPCの電源を投入した。
・・・やっぱ映らん(つД‵)
やはりモニタには信号が無い旨の表示が出て、あとはウンともスンとも言わない。ウンはともかく、スンとはなんだろう?
それはさておき、さすがにこれは軽く絶望感を感じた。あちこちを歩き回り、ああでもないこうでもないと手をつくし、「う●こ」まで蹴らねばならなかった事を鑑みれば、この結末はあまりにも悲しすぎた。
音楽はいつしか止んでいた。わしは最後の試みとして、もう一度だけ電源を入れてみてみる事にした。
モニタは相変わらず映らなかったが、わしはこの時、それまでまったく気がつかなかったある事にようやく気づいた。
電源を投入した少し後に、何か妙な電子音が聞こえる。どうやらPCから出ているようだ。
その音の意味を考えたわしは、おそらくハードウェアに関する何らかの警告音だとやっと気づいた。今までは、ずっと大音量でヘヴィ・メタルを聞いていたから気がつかなかったのである。
早速わしは差し替えたグラボに問題があると考え、一度差し込んだあと、もう一度電源を投入した。結果は同じだったため、原因は他にあると判断した。
この場合、元のグラボに差し替えるのが正しい手法だと思ったが、元のグラボに戻して正常に動いたとしても、それはつまりモニタが映らない状況に変わりはないわけだから故障とさしたる違いはない。
一番簡単なのはメモリだったので、とりあえず2枚ささっているメモリの片方を外すと、なんと見事に起動するではないか。
この時BIOSがらみでちょっと文句を言われたが、そんな事よりもついにモノが動いた事にわしは歓喜したのだった。
抜いたメモリを慎重に差し込みなおし、再び起動すると問題なく動き始めた。
結局の所、中古品だったために新品のような完璧な梱包とはいかず、専門業者ではなく一般の宅配業者が他の荷物と同じように運んだために、メモリの差し込みが緩んでいたという事だったようだ。
やれやれ。その結論に達するまでに年をまたいでしまうとは、なんという年末年始だろう。
BIOSは装着されていない内臓フロッピードライブにアクセスしようとしてエラーを吐いているだけだった。
ひょっとしたら、前の持ち主が自分でそんな設定していたにもかかわらず、故障と思って売りに出したのかもしれない。
ま、それはともかく、無事にOSのインストールを終えたわしは、早速開発環境を整備し、1月8日にめでたく自作アプリをAndroid Marketにアップしたのだった。でめたしでめたし。

こうしてわしは、今に至るもこの状態でPCを使っているのだが、差し替えるのがどうもおっくうでそのままVGAケーブル+アダプタという接続方法のまま使用している。
どこかのタイミングでDVI-Dに差し替えて映るかどうか検証しようと思ってはいるのだが、普通に使えてるからまあいいかとそのまま使用していたりする。
ただまぁ、せっかく2台のモニタを接続できるグラボがついている事だし、家にある15インチモニタをいっしょに接続してみようかなとも思っている。
フォトレタッチやCAD、DAWソフトを使う時は、ツールを15インチの方に表示させれば23インチをまるまる有効に使えるいし、アプリ開発の時はログを15インチに表示させれば作業のストレスを軽減できるはずだ。せっかく格安(約2万円)で整えた環境だから、有効に使おうと思う。
さしあたりの問題は、15インチモニタを置くスペースが無い事だが(爆)
以下の画像は実際にマーケットにアップしたアプリの動作画像である。

安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも


もしAndroid携帯やタブレットPCをお持ちの方は、ぜひダウンロードして使ってみてもらいたい。

https://market.android.com/details?id=jp.ne.abbackyne001

ちなみに、冒頭で述べた急いでいた『ある理由』とは、このアプリの仕上げをしたかったのだ。
(完?)

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$安田亜村の過ぎた日の喜びも悲しみも
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