ウクライナ問題は、ロシアがウクライナに侵攻してから、悪のロシア、可愛そうなウクライナの論調で報道され続けています。そして、経済制裁やウクライナへの軍事支援により、ロシアは疲弊しいずれプーチン氏は失脚するという。しかし、経済制裁については、何度も書いているように効いているとは思えず、グローバリストの思惑に適った方向に進んでいるように見えます。軍事支援については、それなりに効果があるようですが、その事により問題が長引き、最悪はロシアに戦術核を使用させる状況に追い込むことに成りかねず、紛争を煽っているようにさえ見えます。

 

ウクライナ問題の推移とロシアへの経済制裁について

ロシアが主導する新しい世界経済秩序について思うこと

ロシアへの厳しい経済制裁により、世界の基軸通貨としてのドルは終焉を迎える。

 

ウクライナ問題は、武力衝突しなくても解決出来た可能性は高いと思っています。しかし、バイデン政権は本来であれば仲裁に入るべきところを、プーチン大統領とゼレンスキー大統領双方に、紛争を煽るようなことしかしていない。そして、武力衝突が始まってからは火に油を注ぎ続けています。

 

EU諸国は当事者なので仕方ないとして、非常に残念なことに、日本もバイデン政権の指図通りに動かされている。EUはアメリカと強調しつつも、独自で動いているところもありますし、それ以外の国は中立を保っています。

 

ウクライナは日本から遠いヨーロッパにあり、同盟国でもなく、条約も結んでいません。方やロシアは隣国であり、北方領土問題も解決されていません。日本は、中国共産党(中共)、北朝鮮、ロシアの3カ国、共に核保有国に対峙しています。

 

日本は中立を保ち、どちらに加担することなく、仲裁に入るべきだったと思います。しかし、政府もマスコミも国民に正しい情報を流さず、偏向報道に終始し、アメリカ主導の策略に乗せられ、いい気になっている。

 

ウクライナ問題から中国共産党の驚異を再認識する

 

アメリカも核保有j国であり、日本国内に軍事基地があり、事実上、日本はアメリカの属国となっていますで、アメリカの意向に逆らうことは難しいかもしれません。しかし、一応独立国ということに成っているのですから、日本は日本のやり方を主張し、行うべきです。

 

日本が日本で有るためには、国民が今起きている事象を判断するために、その材料となる情報を知ることが必要であり、重要であると思いますが、政府もマスコミも情報統制してしまっているので、私たちは自らその情報を収集するしかありません。悲しいことですが、政府に任せておいてはダメなのです。

 

日本政府に圧力を掛けている勢力も、国民全員には同じことを出来ません。数の上では私たちが圧倒的多数なのです。政治に世論が扇動されるのではなく、世論が政治を扇動することは可能だと思います。

 

ウクライナ問題がなぜ、武力衝突無しに解決出来た可能性が高かったかですが、冷戦が終わり、ソ連が解体され、ワルシャワ条約機構も解散しました。NATOはこのワルシャワ条約機構に対抗するために出来たのですから、同時にNATOも解散すればよかったと思います。しかし、NATOな残り、さらに旧ソ連だった国々を取り込んで行きます。ロシアはEUに加盟したい意向を表明するも相手にされず、EU諸国とアメリカは敵対関係を維持していました。本当に世界平和を望むなら、理解し難い態度です。

 

ウクライナはなぜNATOに加盟する必要があったのでしょうか? ロシアの驚異から自国を守るため? そもそもウクライナにとってロシアは驚異なのか? ソ連時代までは脅威だったかもしれません。しかし、ソ連崩壊後もその驚異は続いていたのでしょうか? ウクライナもロシアも元はキエフ大公国であり、ソビエト連邦でした。

 

現在のウクライナ問題に繋がる発端となったのは、2014年のロシアによるクリミア侵攻、親ロシア政権がクーデターによりアメリカの傀儡政権(現政権)に変わった事だと思います。この時は、フランス、ドイツが仲裁して、ミンスク合意により一応和解していますが、アメリカのネオコン(グローバリスト=軍産複合体)は工作を続け、現在の惨事になってしまった。

 

ウクライナはNATOに加盟しなくても、ドンバスその他のロシア系住民の安全を保証することで、ロシアと平和的な解決を模索することが出来なかったのかと。トランプ大統領はその方向でプーチン氏と話をしていました。

 

今回の問題について、プーチン氏を養護したり、賛同している訳ではありません。しかし、プーチン氏はナショナリストであり、国家観があることは認めざるを得ません。戦争好きとも思えません。日本は中立を保ち、平和的解決策を持って仲裁に当たれば、北方領土問題も良い方向に進んだ可能性もあると思っています。さらに、ロシアと友好関係を築くことは、対中共、対北朝鮮戦略としても有効なハズです。

 

今回のロシアの軍事行動は仕掛けられた感が強く、大東亜戦争を仕掛けられた日本の状況と似ています。時代が違うので、そのままの比較は出来ませんが、日本は戦争に駆り立てられた当時の状勢と比較しながら、冷徹に対応することが必要だと思います。

 

ただ、ただ悔しいことは、日本は安全保障(軍事・エネルギー・食糧・等々)をアメリカに頼り切っている事。政府と国会議員・官僚、共々腑抜けで腰抜けなのは情けないですが、私たち国民も腑抜けで腰抜けだから。それを攻める資格がない。

これではダメだと思います。せめて、私たちは覚醒して、政府を先導しなければ日本はいつまで経っても独立出来ないと思います。

 

 

ウクライナ問題を考察するための参考になるニュースがありましたので、今回はその記事を全文転載します。元NATOの参謀本部に所属していた軍人が書いた記事です。今回の軍事衝突の背景、過去からの経過、等々を知ることは重要です。

 

 

ーーー以下 転載ーーー

ウクライナの軍事情勢 :ジャック・ボー

By Jacques Baud
Global Research, May 05, 2022
Centre Français de Recherche sur le Renseignement 1 March 2022
 

第1部: 戦争への道

マリからアフガニスタンまで、私は長年にわたって平和のために働き、そのために命をかけてきた。ですから、戦争を正当化するのではなく、何が私たちを戦争へと導いたのかを理解することが大切なのです。[....]

ウクライナの)紛争の根源を検証してみよう。それは、この8年間、ドンバスの「分離主義者」あるいは「独立主義者」について話してきた人たちから始まる。これは誤った呼び方です。2014年5月にドネツクとルガンスクの二つの自称共和国が行った住民投票は、一部の不謹慎なジャーナリストが主張しているように、「独立」(независимость)の住民投票ではなく、「自決」または「自治」(самостоятельность)の住民投票だった。「親ロシア」という修飾語は、ロシアが紛争の当事者であることを示唆しているが、実際はそうではなく、「ロシア語話者」とした方がより誠実であっただろう。しかも、これらの国民投票は、ウラジーミル・プーチンの助言に反して行われたものである。

 

というのも、アメリカが支援したヤヌコビッチ大統領の打倒によって誕生した新政府の最初の立法措置は、2014年2月23日、ウクライナの公用語をロシア語とする2012年のキバロフ・コレスニチェンコ法を廃止することだったのだ。ドイツのプーチストたちが、スイスでフランス語とイタリア語を公用語としないことを決めたのと同じようなものだ。

この決定は、ロシア語圏の人々に嵐を巻き起こした。その結果、2014年2月から行われたロシア語圏(オデッサ、ドニエプロペトロフスク、ハリコフ、ルガンスク、ドネツク)に対する激しい弾圧が行われ、事態は軍事化し、ロシア人住民の恐ろしい虐殺(オデッサとマリウポリが最も顕著)も行われることになった。

この段階で、ウクライナの参謀本部は、あまりにも硬直的で教条的な作戦アプローチに没頭していたため、敵を制圧したが、実際に勝利することはできなかった。自治政府の戦争は、軽装備で行われる機動性の高い作戦で構成されていた。より柔軟で教条的でないアプローチによって、反乱軍はウクライナ軍の惰性を利用し、繰り返し「罠」にかけることができたのだ。

2014年、NATOにいたとき、私は小型武器の拡散に対する戦いを担当しており、モスクワが関与しているかどうかを確認するために、反政府勢力へのロシアの武器搬入を検知しようとしていました。そのとき私たちが得た情報は、ほぼすべてポーランドの情報機関からで、OSCE(欧州安全保障協力機構)から来る情報とは「一致」せず、かなり粗野な主張にもかかわらず、ロシアからの武器や軍事機器の搬入はなかったのです。
 

反乱軍は、ロシア語を話すウクライナ人部隊が反乱軍側に亡命したおかげで、武装することができた。ウクライナの失敗が続くと、戦車、大砲、対空砲の大隊が自治政府の隊列を膨らませた。これが、ウクライナ側がミンスク合意にコミットするように仕向けたものだ。

しかし、ミンスク1協定に署名した直後、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はドンバスに対して大規模な「反テロ作戦」(ATO/Антитерористична операція)を開始した。NATOの将校の助言が不十分で、ウクライナ軍はデバルツェボで大敗し、ミンスク2協定に参加せざるを得なくなった。

ここで思い出されるのは、ミンスク1(2014年9月)合意、ミンスク2(2015年2月)合意は、共和国の分離・独立を定めたものではなく、ウクライナの枠組み内での自治を定めたものであるということである。協定を読む

 

だからこそ、2014年以降、ロシアはミンスク合意の履行を組織的に要求する一方で、ウクライナの内政問題であるとして交渉の当事者となることを拒否してきたのです。他方、フランスを中心とする西側諸国は、ミンスク合意をロシア人とウクライナ人を対面させる「ノルマンディー方式」に組織的に置き換えようとした。しかし、2022年2月23日~24日以前、ドンバスにロシア軍が駐留していたことはなかったことを忘れてはならない。さらに、OSCEのオブザーバーは、それ以前にドンバスで活動するロシア部隊の痕跡を微塵も観察していない。例えば、2021年12月3日にワシントン・ポスト紙が発表した米国情報機関の地図には、ドンバスにロシア軍が駐留している様子はない。

 

2015年10月、ウクライナ治安局(SBU)のヴァシル・フリツァク局長は、ドンバスで観測されたロシアの戦闘員はわずか56人だったと告白している。これはまさに、1990年代に週末にボスニアに戦いに行ったスイス人や、現在ウクライナに戦いに行っているフランス人に匹敵するものであった。

 

その時、ウクライナ軍は悲惨な状態に陥っていた。4年間の戦争が終わった2018年10月、ウクライナ軍の主任検察官アナトリー・マティオスは、ウクライナはドンバスで、病気891人、交通事故318人、その他の事故177人、中毒(アルコール、麻薬)175人、武器取り扱い不注意172人、保安規定違反101人、殺人228人、自殺615人、計2700人を失ったと述べている。

 

実際、ウクライナ軍は幹部の腐敗によって弱体化し、もはや住民の支持を得られなかった。英国内務省の報告によると、2014年3月・4月の予備役召集では、第1回に70%、第2回に80%、第3回に90%、第4回に95%が姿を見せなかったという。2017年10月・11月の「2017年秋」リコールキャンペーンでは、70%の徴兵が来なかった。これは、ATO地域の労働力の30%にまで達した自殺脱走(多くは自治派に渡る)を数えていない。若いウクライナ人はドンバスに行き戦うことを拒否し、移住を好んだが、これも少なくとも部分的には、この国の人口不足を説明するものである。

 

そこでウクライナ国防省は、自国の軍隊をより "魅力的 "にするために、NATOに助けを求めました。すでに国連の枠組みで同様のプロジェクトを行っていた私は、NATOからウクライナ軍のイメージ回復のためのプログラムへの参加を要請されました。しかし、これは長期にわたるプロセスであり、ウクライナ側は早急に対応することを望んでいました。

そこで、兵士の不足を補うために、ウクライナ政府は準軍事的な民兵に頼った......。ロイター通信によると、2020年、彼らはウクライナ軍の約40%を占め、約10万2,000人の兵士を擁していた。彼らは、米国、英国、カナダ、フランスによって武装し、資金を提供し、訓練を受けていた。国籍は19カ国以上あった。

 

これらの民兵は2014年以降、西側の支援を受けながらドンバスで活動していた。「ナチス」という言葉について議論することができたとしても、これらの民兵が暴力的で、吐き気を催すようなイデオロギーを伝え、悪質な反ユダヤ主義者である...(そして)狂信的で残忍な個人で構成されていることに変わりはない。この連隊は、1943年にソビエト軍からハリコフを解放し、1944年にはフランスでオラドゥール・シュル・グラーヌの大虐殺を行ったとして、ウクライナで尊敬を集めている第2SSダス・ライヒ戦車部隊を思わせるエンブレムを持っています。[....]

ウクライナの準軍事組織を「ナチス」あるいは「ネオナチ」と呼ぶのは、ロシアのプロパガンダと考えられている。しかし、それはタイムズ・オブ・イスラエル紙や、ウェストポイント・アカデミーのテロ対策センターの見解ではない。2014年、ニューズウィーク誌は彼らをより...イスラム国と結びつけているようだ。お好きなものをどうぞ
 

つまり、西側諸国は2014年以降、レイプ、拷問、虐殺など、民間人に対する数々の犯罪を犯した民兵を支援し、武装させ続けたのだ......。FDD

 

これらの準軍事組織のウクライナ国家警備隊への統合は、一部の人が主張するような「非ナチ化」をまったく伴わなかった。

2022年、ロシアの攻勢に対抗するウクライナ軍は、非常に図式的に次のように編成されていた。

・国防省に従属する陸軍。3つの軍団に分かれ、機動部隊(戦車、重砲、ミサイルなど)で構成される。

・国家警備隊は内務省に属し、5つの地域司令部に編成されている。

そのため、国家警備隊はウクライナ軍に属さない領土防衛軍である。その中には「義勇軍大隊」(добровольчі батальйоні)と呼ばれ、「報復大隊」という刺激的な名前で知られる、歩兵からなる準軍事民兵が含まれている。主に市街戦のために訓練され、現在ではハリコフ、マリウポリ、オデッサ、キエフなどの都市を防衛している。
 

第2部:戦争

スイスの戦略情報局でワルシャワ条約機構軍の分析を担当していた私は、ウクライナの軍事情勢を理解できなくなっていることに、驚きではなく悲しみを感じている。テレビに登場する自称「専門家」は、ロシアとプーチンは非合理的であるという主張で修飾された同じ情報をたえず伝えているのである。もう一歩踏み込んでみよう。

1.戦争の勃発

2021年11月以降、アメリカはロシアのウクライナ侵攻を常に脅してきました。しかし、ウクライナ側は最初、納得していないようでした。なぜ、そうしないのか。

2021年3月24日に遡らなければならない。その日、ヴォロディミル・ゼレンスキーはクリミア奪還のための政令を発し、軍隊を南部に展開し始めた。同時に、黒海とバルト海の間でNATOの演習が数回行われ、それに伴いロシア国境沿いの偵察飛行が大幅に増加した。ロシアはその後、自軍の作戦遂行能力をテストし、情勢の進展に追随していることを示すために、いくつかの演習を実施した。
 

10 月から 11 月にかけて ZAPAD21 の演習が終了し、その部隊の動きがウクライナへの攻勢を強めていると解釈され、事態は落ち着きを取り戻した。しかし、ウクライナ当局もロシアの戦争準備説に反論し、ウクライナの国防大臣Oleksiy Reznikovは、春以降国境に変化はなかったと述べている
 

ミンスク合意に反して、ウクライナはドンバスで無人機を使った空爆を行い、2021年10月にはドネツクの燃料貯蔵所を少なくとも1回空爆した。アメリカのマスコミはこのことを指摘したが、ヨーロッパのマスコミはしなかった。そして、これらの違反を非難する者はいなかった。
 

2022年2月、事態は急展開を迎えた。2月7日、モスクワを訪問したエマニュエル・マクロンは、ウラジーミル・プーチンに対し、ミンスク合意へのコミットメントを再確認し、翌日のヴォロディミル・ゼレンスキーとの会談後もそのコミットメントを繰り返すことになる。しかし、2月11日、ベルリンで行われた「ノルマンディー方式」首脳の政治顧問会議は、9時間の作業の後、何の具体的な成果もなく終わった:ウクライナ側は、明らかに米国の圧力により、依然としてミンスク協定の適用を拒否しているのである。ウラジーミル・プーチンは、マクロンが空約束をしたこと、西側諸国が合意を履行する準備ができていないことを指摘し、8年間示してきた和解への反対と同じであることを述べた。
 

ウクライナのコンタクトゾーンでの準備は続いていた。ロシア議会は警戒し、2月15日にプーチン大統領に共和国の独立を認めるよう求めたが、プーチン大統領は当初これを拒否していた。

2月17日、ジョー・バイデン大統領は、ロシアが今後数日のうちにウクライナを攻撃すると発表した。なぜ、彼がそれを知っていたのか?謎である。しかし、16日以降、ドンバスの住民への砲撃は、OSCEの監視員の日報が示すように、劇的に増えていたのである。当然、メディアも、EUも、NATOも、西側政府も反応せず、介入もしなかった。これはロシアの偽情報だったと後に言われることになる。実際、EUや一部の国は、ドンバス住民の虐殺について、それがロシアの介入を誘発することを知りながら、意図的に沈黙を守ってきたようである。

 

同時に、ドンバスで破壊工作が行われたという報告もあった。1月18日、ドンバスの戦闘員は、ポーランド語を話し、西側の機器を装備し、ゴルリヴカで化学事故を起こそうとする破壊工作員を迎撃した。彼らは、ドンバス共和国で破壊工作を行うために、アメリカ人が指導または「助言」し、ウクライナまたはヨーロッパの戦闘員で構成されたCIA傭兵であった可能性があります。

 

実際、2月16日の時点で、ジョー・バイデンは、ウクライナ側がドンバスの民間人への激しい砲撃を開始したことを知っており、プーチン大統領は、ドンバスを軍事的に助けて国際問題を引き起こすか、ドンバスのロシア語圏の人々が潰されるのを傍観するか、という難しい選択を迫られた。

もし、プーチンが介入することになれば、「保護する責任」(R2P)という国際的な義務を発動することができる。しかし、その内容や規模がどうであれ、介入は制裁の嵐を巻き起こすことをプーチンは知っていた。したがって、ロシアの介入がドンバスに限定されようが、ウクライナの地位をめぐって欧米に圧力をかけようが、支払うべき代償は同じである。これが2月21日の演説で説明されたことである。この日、彼はドンバス2共和国の独立を承認し、同時に友好・援助条約に調印した。

ウクライナのドンバス住民への砲撃は続き、2月23日、両共和国はロシアに軍事支援を要請した。2月24日、プーチンは、防衛同盟の枠組みでの相互軍事支援を定めた国際連合憲章第51条を発動した。

ロシアの介入を国民の目に完全に違法と思わせるために、西側諸国は戦争が実際に2月16日に始まったという事実を意図的に隠しました。一部のロシアやヨーロッパの情報機関がよく知っていたように、ウクライナ軍は2021年の時点でドンバスを攻撃する準備をしていた。
 

2月24日の演説で、ウラジーミル・プーチンは、作戦の2つの目的を明言した。ウクライナの「非軍事化」と「非ナチス化」である。つまり、ウクライナを征服するのでもなく、占領するのでもなく、破壊するのでもない。

それ以降、作戦の経過に関する知識は限られている。ロシアは作戦に対して優れたセキュリティ(OPSEC)を持っており、その計画の詳細は不明である。しかし、作戦の経過を見れば、戦略目標が作戦レベルにどのように反映されたかが、かなり早く理解できるようになる。
 

非武装化

・ウクライナの航空、防空システム、偵察資産の地上破壊。
・指揮・情報構造(C3I)および領土の奥深くにある主要な物流経路の無力化。
・南東部に集結しているウクライナ軍の大部分を包囲する。

非ナチス化

・オデッサ、ハリコフ、マリウポルの各都市や領内の様々な施設で活動する義勇軍の破壊・無力化。
 

2.非軍事化

ロシアの攻撃は、非常に「古典的」な方法で行われた。最初は、1967年にイスラエル軍が行ったように、最初の数時間で航空部隊の地上での破壊を行った。そして、抵抗の弱いところから順に進攻し、都市部(兵力的に非常に厳しい)は後回しにするという「流水」の原則に従って、いくつかの軸で同時に進行していくのを目撃したのである。北部のチェルノブイリ原発は、破壊工作を防ぐために直ちに占拠された。ウクライナ兵とロシア兵が一緒に原発を守っている映像は、もちろん映っていない。
 

ロシアがゼレンスキーを排除するために首都キエフを占拠しようとしているという考えは、典型的な西側からのものだ...。しかし、プーチンは決してゼレンスキーを射殺したり、倒したりするつもりはない。むしろロシアは、キエフを包囲することによって、彼に交渉を迫り、政権を維持しようとする。ロシアはウクライナの中立を手に入れたいのです。

ロシアが軍事作戦を展開しながら、交渉による解決を模索し続けたことに、欧米の論客の多くは驚いた。その理由は、ソ連時代からのロシアの戦略観にある。西側諸国では、戦争は政治が終わった時に始まる。しかし、ロシアはクラウゼヴィッツ的な発想で、戦争は政治の連続であり、戦闘中であっても流動的に移行することが可能である。これにより、敵に圧力をかけ、交渉に持ち込むことができる。

作戦面では、ロシア軍の攻撃は、これまでの軍事行動と計画の一例であった。6日間で、ロシア軍はイギリスと同じ広さの領土を占領し、1940年にドイツ国防軍が達成した以上の進撃速度で進撃した。
 

ウクライナ軍の大部分はドンバスに対する大規模作戦に備えて、同国南部に配備されていた。そのため、ロシア軍は3月初めからスラビャンスク、クラマトルスク、セベロドネツクの間の「大釜」で、東からハリコフを経て、さらに南からクリミアからの推力で包囲することができたのである。ドネツク(DPR)共和国とルガンスク(LPR)共和国の軍隊は、東からの攻撃でロシア軍を補完している。

現段階では、ロシア軍は徐々に縄を締めているが、もはや時間的なプレッシャーもスケジュールもない。彼らの非武装化目標はほぼ達成され、残存するウクライナ軍にはもはや作戦・戦略上の指揮系統はない。

我々の「専門家」が兵站の悪さを理由に挙げる「減速」は、目的を達成した結果でしかない。ロシアはウクライナの全領土の占領を望んでいるわけではありません。実際、ロシアは進出を言語的な国境に限定しようとしているように見える。

私たちのメディアは、特にハリコフの民間人に対する無差別爆撃について語り、恐ろしい映像が広く放送されている。しかし、現地在住の中南米特派員ゴンサロ・リラは、3月10日、11日の平穏な街の様子を紹介してくれている。確かに大きな都市であり、すべてを見ることはできないが、それはテレビ画面に映し出され続ける全面戦争の中にいるわけではないことを示しているように思われる。ドンバス共和国については、自国の領土を「解放」し、マリウポリ市で戦っている。

 

3.非ナチス化

ハリコフ、マリウポリ、オデッサといった都市では、ウクライナの防衛は準軍事的な民兵が担っている。彼らは、「デナズィフィケーション」の目的が主に自分たちに向けられたものであることを知っている。都市化された地域の攻撃者にとって、市民は問題である。そのため、ロシアは人道的回廊を作り、都市から民間人を排除し、民兵だけを残し、彼らと戦いやすくしようとしているのです。

逆に言えば、これらの民兵はロシア軍の戦闘を阻止するために、都市部の市民を避難させないようにしようとする。そのため、彼らは回廊の設置に消極的で、ロシア軍の作戦を失敗させるためにあらゆる手段を講じている。マリウポリから出ようとする市民がアゾフ連隊の戦闘員に殴られる様子を映したビデオは、もちろん西側メディアによって注意深く検閲されている。

Facebookでは、アゾフ・グループはイスラム国[ISIS]と同じカテゴリーとみなされ、同プラットフォームの "危険な個人・組織に関するポリシー "の対象とされた。そのため、その活動を美化することは禁じられており、それに好意的な「投稿」は組織的に禁止されていた。しかし、2月24日、Facebookはポリシーを変更し、民兵に好意的な投稿を許可した。同じ精神で、3月には旧東側諸国において、ロシアの兵士や指導者の殺害を求める投稿が許可された。私たちのリーダーを鼓舞する価値観は、ここまでだ。
 

我々のメディアは、ウクライナ人による民衆の抵抗というロマンチックなイメージを宣伝している。欧州連合(EU)が民間人への武器配布に資金を提供したのも、こうしたイメージのためだ。私は国連で平和維持の責任者として、文民保護の問題に取り組んできました。その結果、民間人に対する暴力は、非常に特殊な文脈で発生することがわかりました。特に、武器が豊富にあり、指揮系統が存在しない場合です。

このような指揮系統は軍隊の本質であり、その機能は目的に向かって力の行使を方向付けることです。現在のように無計画に市民を武装させることで、EUは市民を戦闘員にしてしまい、結果的に市民を潜在的な標的にしてしまうことになるのです。さらに、指揮もなく、作戦目標もなく、武器を配ることは、必然的に決闘や盗賊行為、効果的というより致命的な行動につながる。戦争は感情の問題になる。武力は暴力となる。2011年8月11日から13日にかけて、タワルガ(リビア)で起こったことがそれだ。3万人のアフリカ系黒人が、フランスから(不法に)降下させられた武器で大虐殺されたのだ。ところで、英国の王立戦略研究所(RUSI)は、こうした武器供与に何の付加価値も見出していない
 

さらに、戦争中の国に武器を届けることで、交戦国とみなされることを露呈することになる。2022年3月13日のロシアのミコライエフ空軍基地への攻撃は、武器輸送が敵対的な標的として扱われるとのロシアの警告に従ったものである。

 

EUは、ベルリンの戦いの最後の時間における第三帝国の悲惨な経験を繰り返そうとしているのです。戦争は軍に委ねられ、一方が負けたときには、それを認めなければなりません。そして、もし抵抗があるならば、それは指導され、組織されたものでなければならない。しかし、私たちは正反対のことをしています。私たちは市民に戦場に行くよう促し、同時にFacebookでは、ロシアの兵士や指導者の殺害を呼びかけることを許可しているのです。私たちを奮い立たせてくれる価値観は、こんなものなのでしょうか。

情報機関の中には、この無責任な決定を、ウクライナ国民をウラジーミル・プーチンのロシアと戦うための大砲の餌にするためのものだと見る者もいる......。火に油を注ぐより、交渉に臨み、その結果、民間人のための保証を得た方が良かったのではないか。他人の血で闘争心を燃やすのは簡単なことだ。
 

4.マリウポリの産科病院

マリウポルを守っているのはウクライナ軍ではなく、外国人傭兵で構成されたアゾフ民兵であることをあらかじめ理解しておくことが重要です。

ニューヨークのロシア国連ミッションは、2022年3月7日の状況概要で、"住民の報告によると、ウクライナ武装勢力がマリウポリ市の第1産院から職員を追放し、施設内に射撃基地を設置した "と述べている。3月8日、ロシアの独立系メディアLenta.ruは、産院がアゾフ連隊の民兵に占拠され、民間の居住者を武器で脅して追い出したと語るマリウポルの民間人の証言を掲載した。彼らは、数時間前に行われたロシア大使の発言を確認した。

 

マリウポルの病院は、対戦車兵器の設置や監視に最適な優位な位置にある。3月9日、ロシア軍はこの建物を攻撃した。CNNによると、17人が負傷したが、画像には建物内の死傷者は写っておらず、言及されている犠牲者がこの空爆に関連しているという証拠もない。子供の話もあるが、現実には何もない。このことは、EUの指導者たちがこれを戦争犯罪と見なすことを妨げない。そして、これによってゼレンスキーはウクライナ上空に飛行禁止区域を要求することができるのである。

 

現実には、何が起こったのか正確にはわからない。しかし、一連の出来事から、ロシア軍がアゾフ連隊の陣地を攻撃し、その後、産科病棟に民間人がいなくなったことを確認する傾向がある。

問題は、都市を守る準軍事的な民兵が、戦争のルールを尊重しないよう国際社会から奨励されていることである。ウクライナ人は、1990年のクウェート市の産科病院事件のシナリオを再現したようだ。砂漠の盾/嵐作戦でイラクに介入するよう国連安全保障理事会を説得するために、ヒル&ノウルトン社が1070万ドルで完全に演出したのである。

 

第3部 結論

元情報専門家として、まず驚かされるのは、この1年の状況を正確に表現する欧米の情報機関が全く存在しないことだ......。実際、西側諸国では情報機関が政治家に圧倒されているように見える。問題は、意思決定をするのは政治家であることだ。世界最高の情報サービスも、意思決定者が耳を貸さなければ意味がない。この危機の中で起こったことが、これである。

問題は、経験上、彼らは分析レベルが極めて低く、ドクトリネア的で、軍事的な "質 "の高い状況判断に必要な知的・政治的独立性に欠けているということだ。

第二に、欧州の一部の国では、政治家が意図的にイデオロギー的な対応をしているようです。そのため、今回の危機は最初から非合理的なものとなってしまった。なお、この危機の際に国民に提示された文書は、すべて政治家が商業的な情報源に基づいて提示したものである。

欧米の政治家の中には、明らかに紛争を望んでいる者がいる。米国では、アンソニー・ブリンケンが国連安全保障理事会に提示した攻撃シナリオは、彼の下で働くタイガー・チームの想像力の産物に過ぎなかった。彼は、2002年にドナルド・ラムズフェルドが行ったように、イラクの化学兵器についてあまり主張しないCIAや他の情報機関を「回避して」行ったのである。
 

今日、私たちが目撃している劇的な発展は、私たちが知っていながら見ようとしなかった原因を持っています。

・戦略的なレベルでは、NATOの拡大(これはここでは扱っていない)。
・政治的なレベルでは、ミンスク協定の実施を拒否する西側諸国。
・そして作戦面では、過去数年にわたるドンバスの民間人に対する継続的かつ反復的な攻撃と、2022年2月下旬の劇的な増加である。

つまり、ロシアの攻撃を嘆き、非難することは当然できる。しかし、WE(つまり:米国、フランス、欧州連合を筆頭に)は、紛争が勃発する条件を作ってしまった。私たちはウクライナの人々や200万人の難民に同情を示す。それは結構なことだ。しかし、同じ数のドンバスのウクライナ人が自分たちの政府に虐殺され、8年間もロシアに避難してきた難民に少しでも同情していれば、おそらくこんなことは起きなかっただろう。

[....]
 

ドンバスの人々が受けた虐待に「ジェノサイド」という言葉が当てはまるかどうかは、未解決の問題である。この用語は一般に、より大規模なケース(ホロコーストなど)のために確保されている。しかし、ジェノサイド条約が与えている定義は、おそらくこのケースに適用できるほど広範なものだろう。

 

明らかに、この紛争は私たちをヒステリーに陥れました。制裁は、私たちの外交政策の好ましい手段となってしまったようだ。もし、私たちが交渉し、承認したミンスク合意をウクライナに遵守させるよう主張していれば、このような事態は起きなかっただろう。プーチンの非難は、私たちの非難でもある。もっと早くから行動すべきだったのだ。しかし、エマニュエル・マクロンも、オラフ・ショルツも、ヴォロディミル・ゼレンスキーも(保証人かつ国連安保理理事国として)その約束を守ってはいないのだ。結局のところ、真の敗北は、声を上げられない人々の敗北なのだ。

それどころか、ウクライナがドンバスで自国民を爆撃していたとき、EUは反応しなかったのです。もしそうしていれば、プーチンは反応する必要がなかっただろう。外交的な段階を欠いたEUは、紛争を煽ることでその存在を際立たせている。2月27日、ウクライナ政府はロシアとの交渉に入ることに合意した。しかし、その数時間後、EUはウクライナに武器を供給するための予算4億5000万ユーロを議決し、火に油を注いだ。それ以来、ウクライナ側は「合意する必要はない」と思うようになった。マリウポルでのアゾフ民兵の抵抗により、5億ユーロの武器供与の後押しがあったほどだ。
 

ウクライナでは、欧米諸国のお墨付きで、交渉に賛成する者が排除されている。ウクライナ人交渉官の一人であるデニス・キレエフが、ロシアに有利すぎるため裏切り者とみなされ、3月5日にウクライナ秘密情報局(SBU)によって暗殺された事件がそれである。また、SBUのキエフ・地方担当の元副局長ドミトリー・デミャネンコ氏も、ロシアとの合意に好意的すぎたため、3月10日に民兵「ミロトヴォレツ(平和の使者)」に射殺された。この民兵は「ミロトボレッツ」というウェブサイトに関連しており、「ウクライナの敵」を個人情報、住所、電話番号とともにリストアップし、嫌がらせや抹殺ができるようにしたもので、この行為は多くの国で罰せられるが、ウクライナではそうではない。国連といくつかのヨーロッパ諸国はこのサイトの閉鎖を要求したが、ラーダ(ウクライナ議会)はこの要求を拒否した。
 

結局、代償は高くつくだろうが、プーチンは自ら設定した目標を達成する可能性が高い。私たちは彼を中国の腕の中に押し込んだ。北京との結びつきは強固なものになった。中国は紛争の調停役として台頭してきている......。アメリカは、ベネズエラやイランに石油を要求して、自分たちが陥ったエネルギーの袋小路を脱し、敵に課した制裁を哀れにも後退させなければならないのである。

ロシア経済を崩壊させ、ロシア国民を苦しめようとしたり、プーチンの暗殺を要求したりする欧米の閣僚は、(言葉の形は部分的に変えても、中身は変えていない!)我々のリーダーが、我々が憎む者たちと変わらないことを示す-パラオピックのロシア選手やロシアのアーティストに認可することは、プーチンとは何の関係もないのだ。[....]
 

ウクライナでの紛争が、イラクやアフガニスタン、リビアでの戦争よりも非難される理由は何だろうか。不当、不正、殺人的な戦争を行うために国際社会に故意に嘘をついた者たちに対して、私たちはどんな制裁措置をとったのだろうか。...「世界最悪の人道災害」とされるイエメンの紛争に武器を供給している国、企業、政治家に対して、私たちは制裁措置を一つでもとっただろうか。
 

問うことは答えること...そしてその答えは、きれいなものではありません。

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フランス語からの翻訳です。 原文

フランス国立科学研究センター(Centre Français de Recherche sur le Renseignement)

ドキュメント速報27号/2022年3月号
ウクライナの軍事情勢

CFRRに感謝します。
 

ジャック・ボー(Jacques Baud )
元参謀本部大佐、元スイス戦略情報部員、東欧諸国の専門家。米国と英国の諜報機関で訓練を受ける。国連平和活動の政策チーフを務める。法の支配と治安制度の国連専門家として、スーダンで初の多次元国連情報ユニットを設計、指揮した。アフリカ連合にも勤務し、NATOでは5年間、小型武器の拡散防止を担当した。ソ連崩壊直後には、ロシア軍や情報機関の最高幹部との議論に携わる。NATO内では、2014年のウクライナ危機をフォローし、その後、ウクライナ支援プログラムに参加。諜報、戦争、テロに関する著書があり、特に「Le Détournement」(SIGEST出版)、「Gouverner par les fake news」、「L'affaire Navalny」(同)などがある。最新作は『Poutine, maître du jeu?"』(マックス・ミロ社)。

画像はTURより引用

この記事の原文は、Centre Français de Recherche sur le Renseignementです。

 

著作権 © Jacques Baud, Centre Français de Recherche sur le Renseignement, 2022
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