私は百姓になりたい
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3月末より、就職します。

ご無沙汰しています。

昨年末~2月末にかけて、「次代を担う先端的な農業技術」に関われる会社に的を絞って就職活動をしておりましたが、この度、おかげさまで三重県にある農業系ベンチャー企業に内定しました。来週から勤務となります。

農業系とは言いつつも、その業務形態はIT、通信、ハード設計・開発と多岐に渡っていて、近郊の三重大学をはじめとして産学官が密接に連携しています。かなりハイテクではありますが、あくまで主とした対象は農業や食です。

就職活動の過程ではうまくいかないこともしばしばありました。しかしそれ以上に、色々な企業・工場・農場などを見学し、様々な人に会い、話すことで、自分の中でものすごく「農業」に対する視野が広がり、結果として、今後に繋がる新しいネットワークを築くことができてとても満足しています。自分が最も実現したいことができる環境にある企業に内定でき、最良の選択ができたと今は確信しています。

内定までのプロセスを詳しく書けば良かったのですが、入社準備等の関係で省略します。来月以降、追記していくかもしれません。(それまではネットにアクセスできないため、更新できません。)
また、もしかしたら今後、業務の一環として、自分の農業に対するスタンスを別の形で発信していく機会があるかもしれません。そのときはまた、よろしくお願いいたします。

以上、簡単ではありますが、内定した旨を簡単に報告させていただきました。

農業大研修ダイジェスト

「野菜」「果樹」「実験・実習」「講義」「その他」の分類に分けて、今までの農業大研修関連記事へのリンクを一覧化します。記事名をクリックすると、その記事のページへ移ります。(一部の記事は分類が重複しています。)




【野菜】

9/3(月) イチゴ用高設準備

9/4(火) 白ネギ土寄せ

9/6(木) ブロッコリー定植

9/7(金) 直売所にて販売

9/10(月) 高設イチゴ用水耕シート設置

9/14(金) 続・イチゴ用高設準備

イチゴ1
9/21(金) イチゴ定植&コマツナ収穫

9/28(金) イチゴ高設灌水チューブ設置&ブロッコリー土寄せ

10/1(月) シュンギク間引き&メロン味見など

10/5(金) 抑制メロン(ベネチア夏Ⅰ)出荷、査定会出品

10/15(月) イチゴ高設用マルチ張り&下葉かき

10/19(金) カブ・大根・レタス・葉ネギ収穫

12/17(月) ブロッコリー、白ネギ収穫

12/21(金) 白ネギ・ブロッコリー出荷、イチゴ収穫

白菜


【果樹】

9/11(火) 果樹教室入門

9/13(木) 20世紀梨収穫・選果

10/11(木) 柿収穫(西条、宗田早生)&ブドウ伐採

10/16(火) 土壌改良&リンゴ調整

11/8(木) 二十世紀梨剪定&誘殺、愛宕梨収穫

12/25(火) 二十世紀梨剪定

西条1


【実験・実習】

10/10(水) 土壌分析(土壌診断)

10/29(月) 組織培養(ワサビ、カーネーション)、ユーストマ無菌播種

11/21(水) 続・土壌診断(2回目:CECなど)

11/20(火) 調理実習(コンニャク、焼肉のタレ等)

11/27(月) イチゴの茎頂培養
成長点


【講義】

9/11(火) 大山乳業の話

9/14(金) 園芸作物利用&JAS

10/16(火) 農薬学

10/19(金) 農業気象学


【その他】

9/17(月) 農業大について

12/5(水)~12/13(木) 大型トラクター講習

12/31(月) 収穫野菜でパーティー、野菜発送

クリームブリュレ



研修記録以外の記事はあまり書きませんでしたが、これで当ブログの一旦の区切りとさせて頂きます。今後は農業技術開発に関わる企業への就職活動に専念し、思い立ったときに更新(今まで訪れた農業相談機関レポート、書評など)しようと思います。



以上

【農業冥利】 12/31(月) 収穫野菜でパーティー、野菜発送

自分が農業を志したきっかけに、「自分が作ったものを誰かに食べてもらったり、贈る事ができる」「贈った・食べてくれた相手の感動や喜びがダイレクトに自分に伝わる」ことに憧れたということがあります。


自力ではなく色々な方の指導・協力を頂きながらではありますが、上記の喜びを感じることができたエピソードが研修中に2回ありましたので、紹介します。



【収穫野菜でパーティー】


1つ目は、先日の大晦日に開催された食事会の料理に、収穫したばかりの野菜を使ってもらたこと。

2年前から、関西でフレンチレストランのコックとして働いている友達が地元に帰省した際に、何人かを招いて料理を披露する会を開いているんですが、今回は農大でとれたブロッコリー・白ネギ・イチゴと、家庭菜園で当日抜いたばかりの大根を料理してもらいました。自分も1品、料理させてもらいました。


大根たち


料理人の友達はカレーが得意で、事前に準備したスープや香辛料を配合して3種のカレーを作成。そのうちの一つは豚バラと大根がメインで、大根がうまく引立っていて美味しかったです。(下の写真の真ん中)


料理


自分は「ブロッコリーと牛肉のオイスター炒め」を料理しました(上の写真右側)。白ネギと大根の葉も入れています。ブロッコリーもネギも、普段食べているものとそんなに変わりませんでしたが、自分が管理してきたという喜びと誇りを感じていました。


イチゴ料理 クリームブリュレ

デザートは、先日収穫したイチゴをあしらったクリームブリュレ。バーナーで最後に焦げ目をつけます。イチゴも果肉とソースを存分に味わうことができて、美味しかったのはもちろん、この会までに収穫が間に合ってほっとしました。


ちなみに、親戚農家が作っているイチゴに昔から感銘を受けて育ち、大きな影響を受けてきました。農業を始めるときはイチゴを主力にしようと考えていたほどです。今回農大で収穫したイチゴは親戚のイチゴに遠く及びませんでしたが(季節的な要因もあるでしょう)、一番作りたいと思っていた作物が実り、こうして料理されることに大きな喜びを感じることができました。

【野菜を発送】


もう一つ、研修中にやってみたかったのが、農大や家庭菜園で収穫した野菜・果樹を遠方の友達に送ること。相手は関東在住の方ばかりで、日頃の感謝をこめつつ、感謝土地柄なかなか口にすることがない鳥取の野菜を食べてもらいたいと思ったのがきっかけ。自分も関東に住んでいましたが、一般的なスーパーの野菜よりも、黒ぼく土で育った新鮮な野菜の方が、味が濃くて野菜本来の味がするという確信もありました。


ダンボール1 ダンボール2

梱包も自分なりに工夫して、野菜を紹介した紙も添えました。自己満足ではあるんですけど、夢が一つ叶ったようで、発送作業は楽しいものでした。友達にも喜んでもらえたようです。


今年から農業技術開発に携わり、農業は趣味で続けようと考えているのですが、束の間の農業冥利に尽きた上記2つのエピソードでした。


以上

【野菜】 12/21(金) 白ネギ・ブロッコリー出荷、イチゴ収穫

日付が前後しますが、野菜科の最終日は掲題の作業を行いました。(白ネギ、ブロッコリーの収穫はここをクリック )



【ブロッコリー】


まずはブロッコリー。収穫・調整したものをサイズ毎に箱詰めしてJAに出荷しました。梨の場合と同様に、箱詰めの個数・並べ方が決まっていて、傷つけずにきれいに梱包するのはなかなかの一苦労。ブロッコリーの花(小さい粒)は傷みやすいです。


ブロッコリー検査

↑中身を吟味するJA検査官(右)


梱包後は近くの集荷場へ。そこには検査官がいて、1箱ずつ中身をチェックされます。大口の常連に対してはサンプルチェックで済むようです。

ちなみに収穫中、成長ホルモンの以上なのか、巨大なブロッコリーが出現してました。ある品種に対して5%くらいの出現率。原因は不明です。


巨大ブロッコリー
↑右にあるのは普通の玉葱。尋常でない大きさ!残念ながら食べられない…


【白ネギ】


次は白ネギです。こちらもやはりサイズ毎に、所定の本数を決まった配置で箱詰め。2段重ねで上段と下段が逆向きとなり、上段が下の写真のようになります。ダンボール中央に線が3本入っていますが、ネギの白い部分(軟白部)が必要最低限担保されていることを示しています。


ネギ箱詰め1


箱詰めが終わると、最寄のJA白ネギ集荷場へ。作物ごとに、こうした集荷場がおおよそ町単位で組織・開設されています。こちらも検査官らしき人がいましたが、顔が利いているということで中身は特にチェックせず。他の出荷者に対しても細かいチェックはしていないようでした。販売代金は後日、生産者間でプールされます。JAの集荷(共選共販)であれば他の作物も同様。


ネギ箱詰め2


【イチゴ】



最後にイチゴですが、こちらは2パック分しか収穫できなかったので、直売所へ。1パック(300g)500円で販売。高い印象ですが、鳥取では同じ品種が同量で650~700円で売られています。(直売、小売ともに)アキヒメという品種なのですが、保存に向かないため関西、関東へはあまり出荷されないようです。関東で売られている「とちおとめ」、「あまおう」並みの高価格。鳥取では、「とよのか」より高値で売られています。

イチゴパック

こちらへ帰ってくるまで鳥取のイチゴのトレンドは知りませんでした。ここ数年で品種も様変わりしたようです。しかしこのアキヒメ、美味しいです。日持ちせず配送にはあまり向かないので、ぜひ鳥取に食べに来てください!後日、このイチゴや他の農大野菜を使って食事会をしました。


イチゴ2個
↑アキヒメ(章姫)は鳥取県の主力品種。大ぶりでとても甘い。


以上で、およそ30回にわたる農業大研修記録の連載は終了します。次回に総集編(リンク集)、上記食事会のもようと農業を志したきっかけを簡単に書いて、全体の構成を変えようと思っています。



以上

【果樹】 12/25(火) 二十世紀梨剪定

新年、あけましておめでとうございます。先月いっぱいで農大での農業研修を修了しました。遅くなりましたが、終了間際の記事を最後に2つほどアップしておきます。


大型特殊講習後、のべ3日間ほどでしたが、果樹クラスにて主に二十世紀梨の剪定作業を行いました。(一般的な剪定の目的・概要はここをクリック )


二十世紀梨の場合、主幹(樹の幹)から「主枝」とよばれる太い枝に分かれ、その主枝から分かれる枝を「亜主枝」とよび、同様に亜主枝から伸びる枝を「側枝」、側枝から伸びる枝を「短果枝(結果枝)」とよびます。最終的に短果枝から花が咲き、それが受粉して果実が形成されます。

剪定概要のとき書いたように、これらの枝をどう配置するか、つまりどのように剪定するのかは品種毎・農家毎で異なりますが、農大の場合は主枝を3本にとり、亜主枝は第1候補、第2候補まで確保します。


同じ二十世紀梨でも生育段階で剪定方針は異なります。生育初期は生長のよい主枝、亜主枝候補を選び、理想的な樹形におおまかに近付くよう枝を誘引(ワイヤー等に固定)していき、選ばれなかった枝は枝元から切り、余分な枝を残さないよう心がけます。

生育段階にかかわらず、1年で伸びた余分な枝、生育の悪い枝、余分な葉芽・花芽を切り落としていくのが剪定の主な作業になります。この他に、収量を上げるポイント「積極的な側枝の確保」を学んだので、以下に記しておきます。



【積極的な側枝の確保】


木がある程度生長(5年くらい)してきたら、側枝を増やすことが一番の課題となってきます。なぜなら、実をつける短果枝は側枝から直接伸びるものなので、限られた空間で側枝を最大限広げることが、果実収量の最大化に最も寄与するからです。人間に例えると、腸にある柔毛が効率よく栄養を吸収しているイメージです。


徒長枝

↑放っておくと徒長枝ばかりが伸びる。


ではどのようにして側枝を増やすか、という話になりますが、農大(および農大の栽培指針の元となる鳥取県)では「待ち枝」とよばれる枝を意図的に作り育てることを推奨されました。およそ3年後に側枝になるのを「待つ」枝を、亜主枝から確保するのです。


木の枝は何もしないで放っておくと、重力と反対方向に伸びていく性質があります。1年間で、長いものは1~2mも伸びていました。そうして伸びる枝を徒長枝と言うのですが、樹の骨格は主枝と亜主枝でほぼ形成されるので、実をつけることのない徒長枝がいたずらに伸びても余分なエネルギーを消費するだけで、良いことはありません。よって、これらの徒長枝は基本的にばさばさと切り落としていきます。


待ち枝1

↑亜主枝から側枝を「育てる」ため、待ち枝をとる


亜主枝からはたくさんの徒長枝が伸びていますが、その中で、細く、横向きに伸びている枝を選びます。これが待ち枝です。その待ち枝にはいくつかの葉芽が出ていますが、上向きの芽を選び、そこから先の枝を切り落とします。さらに選んだ芽以外の芽をハサミでそぎ落とし、上写真のように紐で誘引します。こうすると、2年後には下写真のように枝が生長し、3年後くらいから短果枝、および花芽が出てくるようになります。


待ち枝2
↑2年後の待ち枝。花芽が出てくる。


1年毎の剪定のタイミングで、上向きに伸びた待ち枝を徐々に水平に固定していきます。こうして4年後以降には、たくさんの実をならせることができる側枝ができあがり、そのまま5年くらい実をつけ続けます。



■防鳥ネット片付け


剪定とは別に、膨張ネットの片付けも行いました。雪がネットに積もるのを防ぐためです。

ネットはがし2

地上2mほどのワイヤーの上を歩きながらの撤収作業で、個人的には果樹の作業の中で一番怖い作業でした…


ネットはがし1
↑地上2mのワイヤーを歩く。学生は慣れている。

以上

【野菜】 12/17(月) ブロッコリー、白ネギ収穫

前回の予告通り、月曜は主にブロッコリーと白ネギの収穫を行いました。シュンギク、サンチェも継続的に収穫。


自分が農大に来た8月下旬にはすでにネギは植わっていましたが、他の野菜に比べて時間と手間(特に土寄せが多数)がかかっただけに、収穫の感慨は一入です。
ブロッコリーは育苗から関わりました。9/6の定植直後は虫の食害で大丈夫かな、と心配したこともありましたが、今は驚くほど大きく頑丈に育ちました。白ネギ、ブロッコリーともに、最終的には定植したうちの95%ほどが商品になりそうです。

以下、それぞれの収穫の様子と、今までの関連記事へのリンクを記します。


【ブロッコリー収穫】


最近はクイズ番組でもよく出題されますが、普段私たちが食べているのはブロッコリーの花(花芽)です。上から見るとおよそ40~50cmの葉が広がっており、その中心に花芽が形成されます。

はじめは1円玉ほどの小さな円形の花を確認できると、それからおよそ2週間で食べごろ(直径13cm程度)になるのを見越して、薬剤散布の使用を控えます(農薬使用は「収穫前○○日まで」というように規制されているため)。


ブロッコリー収穫1

収穫適期となったブロッコリーの花芽


そうして花芽が成長し、出荷可能な大きさに成長したブロッコリーから順次収穫していきます。茎の長さも規定(花も含めて15cm以上)されているので、側面に伸びる固い葉をそぎ落とし、茎ごと包丁で切ります。さらに見栄えを良くするため、葉のすぐ下から出ている小さな葉を、なぜか4枚残して出荷するのが鳥取での慣例のようです。


ブロッコリー収穫2
農大のブロッコリー畑と、もぎたてのブロッコリー

<今までのブロッコリー関連記事>

9/6 定植 ⇒ こちらをクリック

9/28 土寄せ ⇒ こちらをクリック

【白ネギ収穫】


大根、ニンジン、ゴボウなどの根菜類は実を掴んで一思いに抜けばよいのですが、白ネギは長くて折れやすいので、慎重に抜く必要があります。

土寄せによって軟白(白い部分)の殆どが土中に埋まっているので、まずは盛り上がっている部分の土を鍬などで畝間へ落とし、軟白が顔を出すようにします。そして軟白部上部を掴んでゆっくり引き上げます。意外に根がしっかり張っていて力を要します。


ネギ収穫1

葉が折れないように軟白を持って慎重に引き抜く


引き抜いた後は泥だらけになっているので、外側の皮から何枚かはがし、きれいにします。なお、出荷時点で青い葉が3枚残っている必要があります。農家によっては圃場で皮を向ききってしまうようですが、農大では別途調整します。収穫したネギを飼料袋に束ねて調整台まで移動します。
ネギ収穫2
収穫したネギは飼料袋で束ねて移動。


<今までの白ネギ関連記事>

9/4 土寄せ ⇒ こちらをクリック


【イチゴ収穫】


たった1パックですが、イチゴも初めての収穫です。野菜の研修は次回(12/21)が最後なのですが、この日にも収穫があればまたお伝えします。数が少ないので味見もお預け。


イチゴ

初めて出荷したイチゴ(章姫)



以上

【大特】 12/5(水)~12/13(木) 大型トラクター講習

2週間ぶりの更新です。またしても更新が滞ってしまいご迷惑をおかけしました。


先週半ば~今週にかけて、農大にて開講された「農業機械士養成講座」を受講していました。この講座では、①トラクターをはじめとする各種農業機械の基礎知識に関する座学と、②大型トラクターに乗車しての実技講習、の2部で構成されています。座学の理解度をみる筆記試験と、トラクターの実技試験にパスすると、農耕車限定の大型特殊免許が取得できます。
自分も無事、免許を取得(普通自動車免許が更新される)しましたので、講座の流れを簡単に書いてみようと思います。


トラクター3
試験で使用したJohn Deere(HPはこちら )。エンジン音が心地いい。



【農業機械基礎知識】


専用のテキストに沿って講義を受けます。講師は県の農業試験場の職員、農大職員、某農機メーカーの役員の方々。テキストはレンタル制で、使用後は返却。関連サイト不明。

テキストは物理・化学の基礎知識(単位、電気、状態変化など)に始まり、計測機器(ノギスなど)や工具(スパナなど)の使用方法を経て、各種農業機械(トラクター、コンバイン、SS、ハーベスタ等々)の機構・操作方法などが書かれています。章毎に簡単な問題(殆どが○×式)が設けられていて、講義は主にその解説に充てられます。


トラクターの章では、エンジンの動作原理などかなり詳しく書いてありますが、講義期間に対して内容が豊富すぎるため、かなり省略されます。また、参加者の多くが高齢の現役農家の方々ということもあり、講師による解説も特に計算問題ではかなり初歩的なレベルとなります。筆記試験は70%以上正解で合格。


トラクター1
John Deereに加え、練習用に使用したトラクター。車種は忘れてしまいました・・・


外部講師では某農機メーカーの重役の方が会社歴代CMをまとめたDVDを見せながら、およそ80年にもわたる農業機械の進化の歴史を解説。トラクターや田植え機の進化もさることながら、CMに起用されるタレント、BGM、キャッチフレーズ等からその時代の「農業」に対する風潮や栄枯盛衰が垣間見れて、個人的に面白かったです。1970~80年代では加山雄三、ジャイアント馬場、北大路欣也、、層々たる顔がCMに起用され、農業の勇ましさをアピール。自分も小さい頃に見た記憶があるけど、とても今の風潮と違って、「農業はかっこいい」といった印象を受ける。80年代半ばからコンセプトが瞑想し、90年代から高齢者を意識した設計思想へ。

ちなみに現在は、そもそもトラクターのCMをゴールデンタイムで殆ど見なくなりましたね。ユーザーが激減したからなのでしょう。


【大型トラクター実技講習】


農大には校内に大型農耕車の練習場兼試験場が設置されていて、県の運転免許試験場と同様に、実車で練習したり、試験を受けたりでします。ただし、農耕車限定で。今回は大型特殊用の講習でしたが、別日程で牽引用の講習もあります。1年で何度がこのような講習が開催され、農大の学生は受講必須、一般希望者へはあるタイミングで募集が告知され、運転免許試験場より格段に低価格(受講料自体は無料!!)で受講が可能となります。その低価格さゆえ、毎回すぐに定員が埋まります。

コースには普通免許の時と同様に、信号、障害物、踏み切りなどがあり、予めAコース、Bコースの2種類が決められています。最終日の試験ではこのどちらかのコースで試験が行われます。どちらのコースになるのかは当日発表されるため、それまでひたすらその2コースを練習します。


コース

練習場の様子。A、Bの2コースがある。


基礎的な運転はすぐに慣れるのですが、大変なのはコースの暗記。かなり複雑なコースで、1コース回るのに13分くらいかかります。若い人はわりとすぐ覚えるんですが、高齢の方になるほど大変だったようで、試験日は皆が自分以外の運転を見守り、「○○さん頑張れ!」みたいな一体感が生まれていました。参加者は自分以外、酪農を含めた現役の農業従事者なので、待ち時間もいろんな話ができて面白かったです。

あと、やはり切り返しも慣れるまではなかなか難しかったです。試験は全員合格。


【プラウの取り付け】


トラクターは運転以外に、作業機(今回はプラウ)の取り付け実習もありました。トラクター後部には「3点リンク」と呼ばれる世界共通規格のジョイントがあり、ここにうまいこと取り付けます。講師の実演を見た後に、3人一組でチームを組んで取り付け。地面に対して水平にしたり、左右のバランスをとったり、といった調節に手間取ります。


プラウ1

耕うん用のプラウ。これを前出のトラクター(John Deere)に取り付ける。


プラウ2
取り付け後。少し左右に振れる「あそび」も作っておく。

【来週の予定】


実は、農大の研修を12/25(火)に終える予定にましたので、残りの研修期間は実質1週間ほどです。農大のイチゴもようやく色づいてきて、来週から出荷できるかな?というところです。


イチゴ1

色づいてきた章姫。夜はストーブ(ときに暖房)を焚いて加温している。


一方で、夏に植えた大量の白ネギも目標の長さまでに成長し、やはり来週から収穫のピークを迎えます。さらに、秋に定植した大量のブロッコリーも来週からピークです。

最後の週では、それら収穫の模様をお伝えできればと思っています。


以上

【バイオ】 11/27(月) イチゴの茎頂培養

※11/29に本文完了しました。


農大に入った当初、「ウイルスフリー(ウイルスにおかされていない)」という概念を知ってから、興味を持ち続けていました。特にイチゴの場合、学生が育てているものや市販されているものの殆どがウイルスフリー苗であり、いつか自分でも作ってみたいと思っていました。

バイオテクノロジー実験の授業もありますが(前回はこちら) 、そこではイチゴのウイルスフリー苗作成のための「茎頂培養」は授業に組み込まれておらず、個人的に講師の方々に頼んで、実験の機会を設けていただきました。


茎頂の抽出は技術的にある程度の熟練を要するとのことで、練習も含めて3回の実験スケジュールを予定。初回となる今回の実験目的は、(A)イチゴの茎頂を肉眼・顕微鏡で確認する、(B)茎頂を置床するための培地を準備する、の2つです。茎頂培養の目的・概要を書いてから、(A)、(B)の作業について記します。


木下さん
講師Kさん。自分と同い年であることが判明。ブログ出演OKということで。器用な方です!


【ウイルスフリー、茎頂培養とは?】


一般的に栄養繁殖する作物は、親株がウイルス病にかかっていていれば子株、孫株にもこれがうつっていきます。ただし、株はウイルス病にかかっていても、茎の先端の成長点近辺(=茎頂)だけはウイルスにおかされないという性質があり、この部分だけを上手に摘出して培養すれば、ウイルスにおかされていない株、すなわちウイルスフリー株ができるわけです。

イチゴはランナーから発生する苗を分けて増殖する栄養繁殖作物であり、ウイルスフリー個体を得るにはこの茎頂培養が一般的に利用されます。ちなみにイチゴのウイルスは4種類知られており、健全そうな株でも殆どはウイルスに感染しているとのことです。
※和田薫氏のレポートを要約



【茎頂培養のプロセス】


①まずはランナーを育成・採取するのですが、ランナーが汚れないようにマルチ麦わらを敷いたりします。今回使用したのは高設ベンチから出たランナーなので汚れはありません。

②採取したランナー(先端部がまだ開いていないものがよい)の外葉を摘み取り、水洗、殺菌を施した後に、葉原基とよばれる非常に小さな組織の大きさに茎頂をカットします。

③茎頂を試験管内の培地に置床します。

④大きくなったら断根して増殖培地に移植します。

⑤増殖後、分割して発根培地に移植します。

⑥発根後、順化(適応)のためバーミキュライトに移植します。

⑦適度に育成後、ポットに移植し、苗を育成します。


自分は8月後半から農大に来て、⑦のプロセスまで到達した苗から育てていたわけです。今回の実験では②までを実施。


なお、ランナーが旺盛に出るのは6~8月で、その時期に採取・培養すべきなのですが、当実験の時期(11月)は新しいランナー発生がなく、仕方なく定植後の花芽分化したあとに出たランナーを使用しました。

花芽分化したあとに出るランナーからはやはり花芽が出てしまうので、成長点を採取するには正規の方法より広範の部位を採取しなければならず、それによってウイルスの感染率が高まってしまうと同時に、時間もかかってしまうらしいのです。



【作業1】 培地づくり


培地には、NAA、BAなど、培地作りではよく用いられる既製の溶液、ショ糖、寒天などを蒸留水に加水・溶解させていきます。詳しい混合物は資料を後日頂くので、来週追記するかもしれません。


溶液

培地作成に必要となる各種溶液。多種類の薬品がすでに溶けています。


スターラー

マグネティックスターラーにかけながら、溶液、粉末を溶解。小さい磁石が溶液中を回転しているので、人がかき混ぜる必要がない。


寒天

寒天を入れてレンジにかける。


オートクレーブ

最後にオートクレーブで滅菌処理。


培地

完成した培地。あとで植え付けやすいように傾けて冷やし固める。



【作業2】 茎頂(成長点)の切り出し・観察


諸事情あって今回は講師のKさんが切り出しを担当してくださいました。ランナー先端の外葉を1枚ずつピンセットではがし、顕微鏡を見ながら葉原基を探します。この葉原基がものすごく小さくて(0.1~0.2mmくらい?)、初めて見たときはよく分からないんですが、カンガルーのおなかみたいなポケットの中に、新しい葉が顔を覗かせているといった感じです。なかなか神秘的でした。


成長点

葉原基は肉眼では見えないので、顕微鏡を見ながら摘出。これがかなり熟練のいる技で、素人はなれるまでに3回くらい練習が必要とのこと。


今回は自分は体験してませんが、葉原基を見つけるのも、そこだけカッターで切り出すのも、とても難しいそうだとはたから見ていて感じました。次回は、自分もこの作業を体験し、うまく行けば【作業1】で作った培地に置床するところまでできればと思っています。次回は来週。


【その他】


白イチゴ

研修科で育てているイチゴの実がかなり大きくなってきました。あと2週間ほどで色づく予定。ちなみにこちらはウイルスフリーではない苗をて定植したもの。



以上

【加工】 11/20(火) 調理実習(コンニャク、焼肉のタレ等)

「食物加工」という授業を申し込んでいて、講義形式かと思いきや、意外にも学生たちと一緒での調理実習でした。元普及員の生活指導部に所属されていた方を外部講師として招き、予め用意されたレシピを説明した後、実習にかかります。

この日は次の3つの料理(加工品)を作りました。

①蒟蒻芋からのコンニャク作り

②焼肉のタレ

③アサリのスパゲティ


いずれも簡単に、短時間で、美味しくできたので、それぞれのレシピをこちらに記します。コンニャクは1個の芋から市販サイズのコンニャクが10個くらいできて経済的ですし、焼肉のタレもオリジナルの野菜や果物、調味料で個性的な味が楽しめ、保存料・化学調味料なしでなんと1年間も保存できますので、おすすめです!


【コンニャク】


<材料と分量>

蒟蒻芋 1kg

水    15カップ(=3ℓ)

蒟蒻(炭酸)ソーダ 40g

熱湯 1カップ(=200cc)


<用具>

ミキサー、木じゃくし、ゴム手袋、鍋、流し箱


<作り方>

(1) 蒟蒻芋はきれいに洗い皮をむく

  ※たわしなどで軽く洗う。皮が蒟蒻の黒い点々になるのでお好みで。

(2) ソーダを1カップの熱湯に溶かしておく

(3) 蒟蒻芋を適当に切り、15カップの水の一部でミキサーにかける

(4) (3)を残りの水と一緒に鍋に入れて、かき混ぜながら中火で蒟蒻色になるまで煮る。(20~30分)


粘りが増してくると、混ぜ続けるのも一苦労。


(5) ソーダを少しずつ加えながら、手早く練る。

(6) 熱いうちに水で濡らした流し箱に入れて冷やし、固まったら切って、30分くらい湯煮をする。

⇒湯煮することでソーダが抜けます。これを省くと口内がしびれます。



【焼肉のタレ】


<材料と分量>

しょうゆ 1.8ℓ(=1升)

赤味噌 700g

砂糖   700g

みりん  200cc

りんご  700g

玉葱   700g

ニンニク 100~200g

白ゴマ  40g

ごま油  150cc

コショウ  4g

七味唐辛子 2~4g

ニンジン   150g

その他、お好みの野菜、果実、調味料(蜂蜜、ショウガ、梨、柑橘類の絞り汁…)


<作り方>

(1) リンゴは4つ割にして芯をとり、皮を除いて乱切りにする。玉葱とニンジンも乱切りに。ニンニクは皮をむく。

(2) リンゴ、玉葱、ニンニク、ニンジンにしょうゆ(一部)を加え、ミキサーにかけてつぶす。

(3) ゴマは煎って、よく擂(す)る。

(4) 鍋に材料を全部入れて40分くらい炊く。はじめは強火、沸騰してきたらコトコト弱火で煮る。

(5) 味を見ながら、好みで香辛料を加える。


材料はたくさんあるけど、自分の好みで味を変えられるのが楽しい。保存料なしで1年間保存可能(水を使用しないため)。


【アサリのスパゲティ】


<材料と分量> ※4人分

アサリ    60個

ニンニク   2かけ

赤唐辛子  1本

パセリ(みじん切り) 大さじ5杯
白ワイン  大さじ4杯

塩      少々

オリーブオイル 大さじ8杯

パスタ    320g


<作り方>

(1) 大きめの鍋に4ℓの水を沸騰させ、塩大さじ4杯加えてかき混ぜる。十分に沸騰したらパスタを入れ、煮立ちが弱らない程度の火加減で指定の時間ゆでる。

(2) パスタをゆでる間にアサリのソースを作る。

まずフライパンにニンニク、赤唐辛子、オリーブオイルを少し残して入れ、弱火でニンニクに火を通す。ニンニクがうっすら色づいたら強火にして、パセリと水気を切ったアサリ(事前に砂だししておく)を入れ、軽く炒める。

(3) 水大さじ4と白ワインを加えて中火にし、すぐに蓋をして蒸し煮にする。アサリの口が開けば蓋を取り、フライパンを動かしながらアルコール分をとばし、ニンニクを取り除く。


蓋を開けると白ワインとアサリの良い香りが!


(4) アサリの蒸し汁を別のフライパンに移して中火にかけ、煮立てば茹でたてのパスタを加え、残りのオリーブオイルで絡める。

(5) 塩味で味を調えてから皿に盛り、残った蒸し汁にアサリを戻して中火にかけ、温まれば蒸し汁ごとパスタにかける。


以上

【実験】 11/21(水) 土壌診断(2回目:CECなど)

また久しぶりになってしまいました。とりあえず、2回目の土壌診断の様子を記します。(1回目はこちら)


今回は塩基置換容量(以下、CEC)と、置換性塩基(CaO、Mg2O)の濃度・飽和度を測定しました。



【塩基置換容量(CEC)】


CECは、土壌が養分の陽イオンを吸着する能力の大きさを表します。この値は土壌固有のもので、大きいほどたくさんの陽イオン(Ca+、Mg+など)を吸着することができます。

植物は根から酸性物質を出し、H+イオンが土壌に浸出するのですが、陽イオンは次の順位で土壌に吸着されるという性質を持っています。

H+ > Ca+ > Mg+ > K = NH3 > Na

つまり、根から出たH+は土壌に吸い寄せられ、替わりに、もともと吸着していたCa+、Mg+などの養分が交換され、根に吸収されやすくなります。ゆえに、CECが大きいほど、植物の養分を保持するキャパ(=保肥力)が高いと言えます。農大土壌の主成分である黒ぼく土では20~50、砂質では5~15くらいで、同じ面積に同じ肥料を与えたとき、砂地では黒ぼくに比べて養分がすぐに下層へ流れ出てしまうことがわかります。


<測定法> ※容量、細かい作業は省いています


①1N-酢酸アンモニウムを作成し、土壌と混合して振とうする

⇒最終的に、この酢酸アンモニウムが土壌にどれだけ吸着していたかを調べます。1N-酢酸アンモニウムはアンモニア水、酢酸を加えてPHを7.0にします。振とうでは振とう機を用いて、1時間振とうします。



↑PHメーター


②振とう後の溶液を遠心分離機にかけ、上澄み液と土壌に分離する。

⇒遠心分離機は3000rpm、2~3分。上澄み液は後述の置換性塩基濃度測定にて使用。


↑遠心分離機。試料を4つ入れるスペースがあり、バランスを保つため、4スペース全てを試料で埋めるか、向かい合う2つのスペースを埋める。


③分離した土壌に80%アルコールを入れ、攪拌後、②と同様に遠心分離する。この操作を3回繰り返す。

⇒土壌中の測定不要な成分を洗浄するため。


④洗浄後、10%NaOH溶液を加え、1時間振とう後、同様に遠心分離。


↑振とう機。土壌(固体)を水やアルコールに溶かす。


⑤上澄み液を三角フラスコに取り、ホルマリン溶液5ml、1%TB指示薬を2滴加える。


⑥1/10N-NaOH溶液により淡青色になるまで滴定する。その後、諸計算。


↑滴定中の溶液。CEC、置換性塩基ともに、赤紫色から淡青色に変化する。この「淡青色」がとてもきれい。


<結果>


深さによって5層の土壌サンプルを用いましたが、浅い層から約55、43、34、43、16。実験地として妥当で、かつ、作物を育てるのに非常によい土とのこと。



【置換性塩基(CaO、Mg2O)】


土壌が陽イオン(養分)蓄えられる能力を示すCECに対して、実際、現在の土壌がどれだけの陽イオンを吸着しているのかを示したものが置換性塩基濃度です。CECは土壌固有で長い期間変わりませんが、こちらは施肥の状況によって刻一刻と変化するものです。なお、CECのうち特定の塩基(陽イオン)が占めている割合を飽和度[%]でも表します。
標準的な黒ボクではCaO、MgOそれぞれの飽和度が50%、15%と高い割合を占めます。うろ覚えですが、Caは植物の生育スピードに、Mgは開花・結実に大きく影響する元素です。


<測定法> ※容量、細かい作業は省いています

①CEC測定②の上澄み液にPH10の緩衝液(塩化アンモニウム+アンモニア水)を5mlと、EBT指示薬1~2滴入れる


②これを1/100M-EDTA溶液で滴定。淡青色で滴定終点。

⇒諸計算によりCaOとMg2Oの合量の濃度が分かる。


③CaO単独の測定では、CEC②の上澄み液に蒸留水、PH12の緩衝液、トリエタノールアミン1滴、NN指示薬少量を加えて②と同様の方法で滴定。

⇒ついで、Mg2Oの濃度もわかる。


<結果>


1層目はCaO、Mg2Oそれぞれの飽和度が55%、12%と標準に近い。2層目、3層目はMg2Oが0.6%、6.0%と下がり、測定ミスかもしれないし、ありえない値でもないとのこと。値が正しければ、Mgが多い堆肥を与えるというアクションに結びつく。


次回は、食物加工の実習(=調理実習!)について簡単に書きます。


以上


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