スナゴカマツカを釣った日の翌日、北日本の太平洋側を流れ、ギバチの採集記録のある某水路で、キヂをある石の下の隙間の前に送り込んだところ、10センチはあろうかというギバチが飛び出てきてキヂをくわえて引っ込んだ。

 

一呼吸置かずに反射的にアワセてしまったため、直後にバレてしまい、その後は二度と出てこず、また他のスポットからも全くギバチは出なかった。

 

その翌日は、別の川の一角のテトラ帯で穴をくまなくチェックしたが、何も起こらなかった。

 

その翌々日、北関東まで南下し、ギバチの記録のある某川を訪れた。目星を付けていた最初のポイントは実際は隠れるところや攻めるところがなかったので、下流へ下ってみた。

 

すると、各地で時々見かける、いわゆる柵渠構造に変わり、底には砂泥が溜まっていい感じになっていた。

 

そこで、ひなた九尺に六尺の脈仕掛け(ハリは秋田狐2号)を結び、キヂの先を少し垂れる程度の長さで通し刺しにし、いるならここだろうと思って柵の下がえぐれている所へ送り込んだ。

 

すると聞きアワセに対してすぐにビクビクという手ごたえがあり、上げてみると、茶色いヨシノボリサイズの魚が付いていた。手元に寄せてみるとそれはヨシノボリではなく、まぎれもないギバチだった!

 

「やったー」と言うところだが、残念、秋田狐が右の胸びれの付け根に掛っているスレだった。毒針に刺されないようにタオルでくるんでハリを外した。

 

気を取り直し、一つ下流の柵の前の石の手前に入れたところ、またすぐに聞きアワセで掛かった!

 

少しサイズアップしたギバチで、今度はしっかり口に掛っていたのでこれを初物とした。

 

初めて釣ったギバチ、約7センチ

 

初ギバチの俯瞰

 

初ギバチの腹側

 

確かにアリアケギバチ(下)と比べて、体高が高く、背びれが低い

 

ギバチの近影。ヒゲは終生4対8本。

 

幻の初ギバチ。胸びれにスレだった。

 

ギバチのハビタット

 

2012年の秋に初アリアケギバチを釣った後、近縁種ということで後回しにしていたギバチだったが、旧日本百目シナイモツゴで達成後の2019年の秋から探し始めた。

 

過去の記録を読むと、場所によってはウグイについで多いとか、ドジョウオイカワについで多いとあったが、これらはいずれもその後、東日本大震災の際に津波の被害を受けてしまい、実際に訪れてみてもギバチにかすりもしなかった。

 

また、兵庫県内の最近ギバチがガサガサで採られたという川に行ってみると、獣害防止フェンスが張り巡らされていてアクセス不能だったりした。

 

さらに今年の春には鬼怒川を訪れてみたものの、釣れたのは大きなギル一尾のみだった。

 

このようになかなか過去のデータや情報はあてにならないのが常だが、今回ばかりは、データは嘘をつかないなと実感すると同時に、いるところにはいるものだなあと改めて思った。

 

2022年5月に北日本太平洋側の一級河川の支流で下顎のひげの付け根にスレで釣れた、約25センチと、本種最大サイズのギバチ。上の初物がいかにベイビーな個体だったか、そして成長するとずいぶんと体が伸びることを知った。

 

北関東の利根川水系某川上流部でキンブナ狙いの外道として釣れた人生三尾目のギバチ。2022年10月初旬、キヂ片使用。