第二回は若林映子さん(1939~)。お名前は本名で、あきこさん、とお読みする。私が若林さんを初めて見たのは「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964)のサルノ王女役である。この映画のインパクトはとても大きく、「怪獣大戦争」(1965)とともに私の中では「ゴジラ映画」といえばいまだにこの2本の映画の印象が強い。この「地球最大の決戦」は、かの「ローマの休日」(1953)に想を得て作られたと思われるストーリーだが、この映画を見た当時子供だった私は当然「ローマの休日」は未見であり、大人になって見た時に「地球最大の決戦」に似てる、と思ったほどこのサルノ王女への印象は強かった。実際若林さんはオードリー・ヘップバーンに全くひけをとらない美しい王女役を好演している。
そしてこの映画と同じ1964年に「宇宙大怪獣ドゴラ」ではダイヤ強盗団の情婦(?)役を妖しい魅力で演じている。この「ドゴラ」はストーリー的にはやや弱い作品だが、伊福部昭の音楽と、若林さんの美しさを堪能するだけでも充分おつりがくる魅力のある映画である。
1966年には「ウルトラQ」第9話「クモ男爵」にゲスト出演、若林さんのエキゾチックな美貌はこのホラー作品の魅力を更に高めるに充分である。
更に「ウルトラマン」第5話「ミロガンダの秘密」にもカメラマン・浜口節子役でゲスト出演、キャリアウーマンである節子役をはつらつと演じている。この回はイデ隊員役の二瓶正也とのやりとりも可笑しい。
1967年には「007は二度死ぬ」に浜美枝とともに出演、ボンドガールを演じた日本人として大いに話題となった。若林さんは日本人離れしたエキゾチックな風貌が魅力の女優さんだが、西洋人から見てもエキゾチック=逆にアジアンビューティーとして大変人気があり、「レ・オリエンターレ」(1959)など海外映画への出演も多い。
そのエキゾチックな風貌から王女、ギャングの情婦、公安エージェントなどを演じる事が多い若林さんが市井の普通の女性を演じた数少ない作品が「キングコング対ゴジラ」(1962)である。普通の女性っぽい衣装とともに他の作品ではあまり見られない穏やかな表情や笑顔が見られるのもこの作品の魅力。この映画には浜美枝も出演しているため「ボンドガールがふたりも出演していて豪華」などと言われるが、こっちが先ですから!
私にとって若林さんと言えば「地球最大の決戦」のサルノ王女役なのだが、煌びやかな王女の衣装ももちろん素敵だが、漁師から譲り受けたこの浮浪児のようないでたちで金星人に憑依されたシーンが実に魅力的。こんな格好してもこんな美しい人います?!この映画を初めて見た子供の頃、友達と「この山に登ってはいけません」と金星人ごっこをしたものだ(笑)
若林映子さんは現在は女優からは引退されているようだが、2001年に発売された「地球最大の決戦」のDVDではオーディオコメンタリーに参加されたり、2011年に発売されたムック「東宝特撮女優大全集」、2014年の「ウルトラマン研究読本」でも新規のインタビューに応じたりしている。往年のファンとしては嬉しい限りである。