この辛かった大学2年の夏休みのほとんどを



うっくんはひでの家で過ごした。







ひでという人は、本当に不思議な人だ。







すごく空気のような、



静かなキャラなのに、



自然と人が寄ってきて、



ひでの周りはいつも騒がしい。















うっくんは、S市の郊外に住んでいたので、



夏休みなどの期間以外の平日は、



ひでの家に行くことはほとんどなかったが、





S市の社会人のみんなは、



仕事が終わると、



たいていひでの家に誰かしら集まって、



一緒に夜ごはんを作って食べたりしていた。







ある時は、みんなでドライブ



ある時は、エロビを上映しながら飲み会

(女性陣は全く女扱いされてませんでした)

(しかも、なぜか白人カップルの無修正ビデオ)




ある時は、カラオケ・ビリヤード・ボーリング。。













うっくんを含むS市組の全員が、



ひでの家のスペアキーを持っていた。







ひでが家にいなくても、



誰かがひでの家にいる状態だった。







ひでが呼んでるわけじゃない。







自然と集まってくる仲間がいて、



仕事上がりの時間差で、



「今日、何時終わる?」



「今から行っていい?」



「今日、ごはんどうする?」





と、チョコチョコ連絡が入るのが面倒になったひでが、



S市組のみんなにスペアを渡して、



「どうぞご自由に」



というのが始まりだったらしい。





鍵以外にも、



秘密の場所の窓を常に開けていて、



福岡組が、何の連絡もないまま突然やってきて、



ひでのおうちで、



「おかえりー!」



ひでの帰りを待つことも珍しくなかった。









ひでの周りは、いつも大勢の笑い声。









みんなと遊んでいても、



はしゃいでる誰かに、同調して、



笑ったり、ちょっとリアクションするくらいで、







率先して笑いを取るタイプでもなければ、



ペラペラしゃべるタイプでもないし、



話題を自分から振るタイプでもない。







でも、ひでがそこにいると、





ワイワイ言いながら、



自然と人が寄ってくるのだ。







一緒にドライブする時は、



ひでの車はロードスターで2人乗りだったので、



便宜上の組み合わせなのか、



ひでとうっくんのペアで乗ることが多かった。







高校の時の、「不良のひで」というイメージから、



かけはなれたキャラだったため、



うっくんは高校の時にひでから告白されたことはすっかり忘れていた。

(見た目は当時、思いっきりヤンキーだったけどw)















ひでと車の中にいても、



あんまり会話はなかった。







特に周りがギャーギャー



大はしゃぎするメンバーだったので、



ひでと車で移動中の時間は、



よけいに静かに感じられたし、



落ち着ける時間でもあった。









たまにうっくんが、





「そういえば、この間さぁ~・・・」





なんて、学校やら友達の話をしても







「ふ~~ん。」とか「ははっ」とか、



「ほぉ~すげぇーや~ん♪」



と、ちょっとリアクションするくらいで、



いつも静かに話を聞いている。







そして、



たまにひでが



仕事の話やら、夢(dream)の話やらするくらい。







でも、それはそれで心地よかった。



















そういえば、



ひでに、すごく感心した思い出がある。









誰かが、会社の上司の愚痴を



話していたことがあった。





みんな、



「マジでぇ~」



「サイアクぅ~」



などと言いながら話を聞いていたが、







ひでは、マジでーと笑って



最後まで聞いた後に、









「ふ~ん。そんな人もおるとねぇ~。



色んな人間がいるから世の中面白いっつー話かぁ☆



ま、難しい話はわからんけど、



世の中楽しんだもん勝ちよぉ~♪」






と言った。













これがひでなのだ。













これだから、人が寄ってくる。













ひでは、絶対に誰のことも悪く言わない。





悪く言ってる人がいても、



とりあえず最後まで話を聞いて、





「まー、難しい話はおいといて、

どっか旨いもん食いにいこうぜぇ~♪」






と、そういう時だけ、提案をしたりする。







人によっては、



話を聞いてくれないヤツと思うかもしれない。





だけど、



ひでがそういうと、ハッと気づかされるのだ。







「今、ダメなこと言ったんだな」



って。







以前、それをひでに伝えたことがあった。





その時ひでは、



ニカッと笑って、





「俺、平和主義ぃ~♪」





と言った。







ひでに、嫌いな人がいないわけじゃない。



むしろ、



付き合いをしていく中で、後からわかったことだが、



彼はけっこう好き嫌いがハッキリしていて、



嫌いな人が多かったりする。



だから、



嫌いな人には深入りしない。







彼曰く、







「愚痴ったらやな気分になるじゃん♪

休みの日まで、嫌な奴のこと考えてる時点で

自分の負け☆人生楽しもうぜぇ~チョキ










彼は、決して、



「人に何かを与えてる」



という発言も、態度もしない。









”自分がこうしたいから、しているだけだ”





と、純粋に思っている。







それがステキなんだと思う。







落ち込んでいる人や、



愚痴ってる人には、





「元気出せ」



とか、



「頑張れ」





って言わない。







「うまいもん食い行こぉ~♪」





と言う。







誰かの愚痴や、悩み事に



ほとんど言及することはなかった。







それが彼なりの励ましだし、



彼は、そんな人の隣を、



静かに並んで歩く優しさを持っていた。







話を親身に聞いてくれ、励ましてくれる優しさ(サチ)



バカやって、忘れさせてくれる優しさ(たーぼ)







それぞれの優しさが本当に心地よい仲間たちだ。



絶妙なバランスで、仲間うちの平和が保たれていたように思う。







なかなか人に弱音を吐けないうっくんには、



そのひでの静かな優しさは本当にありがたかったし、



そして元気をくれる他の仲間の存在がありがたかった。











よくよく考えてみると、



うっくんはつい最近まで、



あまり悩んでいることを人に相談したことがなかった。







決していいことばっかりがあったわけじゃない。



むしろ、悩むような出来事の方が断然に多かったけれど、



誰にも相談しなくても過ごせたのは、



きっとこの仲間たちのおかげだと思う。













この夏休みの間、



家からけっこう離れているのに、



うっくんのバイト先に、



ひでは仕事から帰ってくると、毎日車で送ってくれた。







宇野先輩とつきあってたことは知らなかったけれど、



うっくんに何かあったんだというのは



気づいているようだった。



でも、



何も聞かれたことはなかったし、



うっくんも何も言わなかった。







ひではもちろん、



サチ、たーぼたちの存在が、



あの時のうっくんを支えてくれたし、



励ましてくれた。





(たーぼの番外編はまたあとで。)







この人たちをずっと大事にしよう



やっぱり恋愛より友情だ☆







とまた思った。

あ、どもども。。



こんにちわ!



最近、腹筋トレーニング頑張ってます☆うっくんですパー





腹筋、ちょっと筋肉痛ガーン



でも、昔みたいに、お腹ムキムキになりたい!!





という野望を胸に、がんばりまふ音譜

(うん、ムキムキの前に脂肪を落とそうか)







はいっ、てわけで、連載です!!







↓ ↓ ↓ ↓ ↓







翌日のバイトは18時からツカモト先輩と、



5月に入ったヨーコという1年生と3人だった。







バイトに行くのは気が重かったが、



このヨーコという1年生が、



これまた面白い子で、



18時からの3人のバイトは楽しかった。







21時になって、



バイトに来たのはミゾグチさんだった。







「お疲れです・・・」





気まずそうにするミゾグチさん。







「あっ。おつかれさまでぇ~す(・∀・)ノ♪」





いつもの調子で挨拶するうっくんに、



ミゾグチさんは戸惑っているようだった。







いつも通りに過ごすのは、うっくんの意地だった。



しょんぼりなんかしてやんない!!!



という可愛げのない意地がそうさせていた。







何事もなかったかのように過ごした2日後、



昨日、出張から帰ってきていた店長が顔を出した。







「おつかれさまでーす(・∀・)ノ」





「うっくん・・・ちょっと・・・」







店長に手招きされた。





お客さんの入っていない部屋に2人で入った。







移動しながら、



この間のことだなぁ・・・



辞めさせられるのかなぁ・・・







と思った。











向き合って座った。





「うっくんちゃん」





「はい。」





「なんかあったんじゃない?」





「・・・・・・」





「ちゃんと話聞くから。

昼の人たちからなんて言われたの?」





「・・・・・・」





「昨日の昼、ツカモトから連絡があったんだ。

昼の人たちが、うっくんちゃんに、

辞めるように言ったみたいだって。」








・・・ツカモト先輩・・・知ってたんだ・・・





・・・何をどこまで知ってるんだろう??・・・









と思った。







「はぁ~~~・・・(笑)



うっくんちゃんが何も言わないなら、

私から話すね。」





「・・・??」





「うっくんちゃんの話を聞く前に悪かったけど、

今日、ツルと昼の人たちみんなを集めて話を聞いてみた。」







「・・・はい。」







あ~~~・・・ダメだぁ・・・(T_T)



辞めろって言われるんだろうなぁ・・・。



次、どこでバイトしようかなぁ・・・



けっこう楽しかったのになぁ・・・







「どんな話をしたか、聞きたい?」





「・・・私は・・・ツル先輩から直接聞きたいです」





「・・・悪いけど・・・それはできない。」










あぅ~~~~・・・





やっぱ辞めさせられるんだぁ・・・(T_T)









「ツル、クビにしたから。」





「え・・・」





「うっくんちゃんが、

何も言い訳しなくてよかった!

私の判断は間違ってなかった!」





「・・・・・・??」







うっくんのせいで・・・

ツル先輩がクビになっちゃった・・・







「うっくんちゃん?」





「はい。」





「あなたのせいじゃないよ?

以前からね、おしゃべりばっかりして仕事しないツルのことは、

上の人にも相談して、どうしようか検討しててね。」





「・・・はぁ・・・」





「ツカモトからも、夜の様子、以前から相談されてたの。」









ツカモト先輩・・・

店長にそんな相談なんてするタイプなんだ・・・







「ツル先輩に、私・・・

何をしてしまったんでしょうか・・・」


















「んーーーーー!





とりあえずね、

一応聞いたんだけど、



うっくんちゃんは知らなくてもいい!!」





「え゙っ?」





「私はね、うっくんちゃんのこと信じてるから(*^_^*)



ツカモトもそうだし、

うっくんちゃんもそうだけど、

めんどくさい仕事頼んだって、

二人は嫌な顔せずに引き受けてくれるし、

私が注意したことは、素直に聞いてくれる。

だからツカモトとうっくんちゃんのことは好きなのよ。



みんな、ちょっと勘違いしてるみたいだけど、

すべきこともせずに、

人をうらやんでばかりのあの人たちのいうことなんて

聞かなくたっていいよ♪



私だって、店長の前に人間なんだから。

好き、嫌いで言ったら、

私、昼の人たち嫌いなの(笑)



人の悪口言うのが趣味みたいじゃん?



「私たち全員辞めますから!!」

って言われちゃったから、



「辞めたいならどーぞご勝手に」

って、私もあったま来ちゃって

思わず言っちゃったわよ(笑)





あの人たちが言ってたようなこと、

うっくんちゃんがするわけがないと思ってる。



だから、うっくんちゃんにも言わない!



うっくんちゃんは、気にせず、

卒業までうちでしっかり頑張ってね!





あ、この話、二人だけの秘密よべーっだ!












店長の言葉の一つ一つが、



すごく優しくて、嬉しかった。







自分のことを支えてくれてる人がいる。





自分のことを信じてくれてる人がいる。







それだけで、頑張れそうな気がした。









だけど、



ツル先輩がクビになってしまった事実は変わらない。



それは、うっくんの心に小さなトゲとなって刺さった。









話終わった後、



店長は、そのまま帰ってしまった。







スタッフルームに戻った。







みんなそれぞれにマンガを読んだりしていた。





ヨーコがトイレに行って、



スタッフルームにツカモト先輩と二人きりになった。







ツカモト先輩は、



マンガに目を落としたまま言った。





「うっくんちゃん。」





「はい。」





「俺、うっくんちゃんの味方だから。



例え、うっくんちゃんが悪かったとしても、

俺だけはいつも、ずっと、

うっくんちゃんの味方でいるから。」












嗚呼ぁぁぁぁぁ・・・





ツカモト先輩ぃぃぃぃ(>_<)











その言葉は、



この辛かった夏の全てを



癒してくれるような優しい言葉だった。











つづく。









☆この記事のあとがき☆



今、この記事を書きながら、



ツル先輩は昼の人たちに、



一体どんな話をしていたんだろう??



と、ものすごーーーく今更ながら気になります!!(笑)





あの当時は聞きたい気持ちもあったけど、



怖くて聞きたくない気持ちもあったなぁ・・・。







前篇に出てくるセトさんとのやりとりは、



今、とても反省すべき点だと思っています。





ぷむさんへのコメントにも書きましたが、



娘さんの話を、たとえ話にしたのは、



「あんた、それでも人の親なん?

そんな生き方で恥ずかしくないん??」





という気持ちで言った、

うっくんの精一杯のイヤミです(笑)





考え方自体は今も変わりませんが、



あの頃は若くて、相手の立場も考えずに言ってしまいました。







たくさんの人がいる前で、



19歳の小娘に45歳のおばさんがあんな風に言われるなんて、



今考えると、いくら周囲がセトさんの味方とは言え、



立場、なかっただろうなぁと思います。





もう少し、考えて発言すればよかった・・・。







ツル先輩は何にそんなにムカついていたのか、



未だに謎ですが、



やっぱり「軽くあしらっていた」のが



ものすごくプライドを傷つけてしまったのではないかと思います。



これも仮定の話なので、よくわかりませんが・・・。



ぶっちゃけウザいと思っていたし、



しゃべる前に手を動かせよ と思っていたし、



話の7割が嘘だと思っていたし (笑)







そういうツル先輩への感情が、



きっと彼を傷つけたんだと思います。







この頃は、本当にうっくんは未熟で、



そういう人を、すんなり受け入れることができなかった。





個性だと認めて仲良くすることができなかった。





ツル先輩とのことがあって、





いくら自分の中の正論(もしくは常識)を並べて、



本当にそれが正しいことであっても、



誰かを傷つけた事実は変わらないし、



誰かを傷つけると、



自分にも傷が残るんだ







と勉強した気がします。







たまに彼のことを思い出して、



周囲の人と協調して、



ちゃんと上手くやっていけてるんだろうか?





と余計なお世話的な心配をしてしまいます。













ツルさん、元気でがんばってますかぁ~?
はいっ!



連載、まさかの連投です!!





この時期の記事は、

さっさと終わりたいです(笑)













えっと・・・





今回の記事の内容・・・

けっこう暗い話なんですが・・・







うっくん本人は、

おととしくらいまで、こんなことがあったなんて、

すっかり忘れてました。







で、2年くらい前の、

ある一本の電話で全部を思い出しました。







その詳細はまた、おいおい綴るとして・・・



その電話はミゾグチさんというカラオケ屋のバイトでお世話になった人で、



「あの時のことを謝りたい」



という電話でした。











はて?



何のこと??







としばらく考えた後、



ようやく、今からこの記事に綴る出来事のことではないか?



と思いだしました。







忘れていたとはいえ、この出来事は、



かなりうっくんの人生に色々な影響を与えたことなので、



記事にしようかどうか、迷いましたが記事にします。







当時うっくんは、

誕生日を迎える直前だったので19歳です。







なんとクソ生意気で可愛げのない19歳(チビッコ)なんだろう・・・

と、すごく今、自己嫌悪中です(笑)







・・・ああ・・・幻滅されたらどうしよう・・・





みなさん、読んでも、うっくんのこと見捨てないでね。



色んな意味で性格悪いのバレちゃうなあせる













↓ ↓ ↓ ↓ ↓















うっくんは、宇野先輩と別れて過ごした夏休み、



ほとんどを高校の同級と過ごした。



その話はまた、番外編で綴るとして・・・







この仲間たちが、この時いてくれてよかった





と今、心から思う。





そんな出来事が、



宇野先輩との別れだけではなく、



この夏休みに起こった。



















それは、突然の呼び出しだった。











その日うっくんは、



バイトが休みだった。





前日から、高校の同級とずっと一緒にいた。





その電話がかかってきた時も、



ひでとドライブ中だった。









「あれ・・・バイト先からだ・・・」







うっくんは、夜しかバイトに入らないので、



昼間にバイト先から電話なんて、

何の用事だろう?





と思った。









「お疲れ様でーす(・∀・)」







「・・・あ、うっくん?」





その声は、いつも昼間に入っている、



セトさんというパートのおばちゃんだった。



高校生の娘を二人持つ、45歳くらいの人。







このおばちゃんとのからみは、



月1回の夜の大掃除の日だけだ。







「あ、はい!どうしたんですか!?

忙しいんですか!?」





「いや、今らかちょっと来てくれない?」





「今からですか?」





「そう、今から。今どこにいる?」





「えっと・・・ちょうど近くにいます。」





「そんなに時間は取らせないから、

ちょっと顔をだしてもらえない?」








セトさんの声色で、



なんだか嫌な予感がした。









「あ、はい。わかりましたー!

じゃ、今から行きますね~」











「バイト入った?」





ひでがいった。







「んー、何の用事かわかんないけど、

とりあえず来いって言ってるから、

行ってみる。。。」







「りょーかーい」





「ごめんね。」





「俺、その辺で時間潰しとくよ。」





「うん。時間、そんなかからないって言ってたし。。。

でも・・・おかしいなぁ・・・



今日、店長、出張中なんだよねー・・・



店長もいない、こんな昼間に何の用事なんだろう?」











疑問をもちながら、バイト先に向かった。









「お疲れさまでーす!!(・∀・)ノ」






事務所に入って行くと・・・









そこには、



さっきの電話のセトさんのほかに、



これまた昼間のパートの山下さんというお姉さん(当時28歳くらい)





夜に、たまに一緒に入っていたミゾグチさんというパートのオジサン(当時33歳くらい)



ツル先輩の同級の女の先輩二人(この人たちとも夜のバイトでからんだことはほとんどない)







この5人が、うっくんを待ちかまえていた。









「・・・??どうしたんですかぁ?」







「あのね、」






最初に切り出したのは、セトさんだった。







「はい。(・∀・)」





「こんなこと、言いにくいんだけど・・・

ツルくんがね、ずいぶん前からめちゃめちゃ悩んでるのよ。」







「・・・??」

















ツル先輩・・・??













4月からほとんど絡んだことのない、



ツル先輩の話が、なぜこの人たちから出てくるのか、



よく意味がわからなかった。







「うっくんちゃんに、プライドズタズタにされたって・・・

そりゃ~もう、ボロボロで。

ここ2~3カ月のあの子、見てられないわ。

あなたにも、あの子の今の姿を見せてやりたいくらい。」








タイミングを見るように、山下さんが続いた。





「一人で抱えきれなくなって、

最近、よく昼間に、私たちに相談しにきてたんだ。

涙なしではきけないくらいに、話をきけばひどい話じゃない!」










・・・はぁ?









そしてセトさんが言った。









「私たちはね、あの子が1年生の時から、

ずっと可愛がってるの。

今入ったばかりのあなたとは違うの。



あの子は本当に心の優しい気弱で素直な子で、

自分の息子のようだわ。

その子が、こんなに悩んでるのを黙って見てられないの。



私たちはあの子のこと、よーーーく知ってる。

誰にも嫌われるような要素のない、とってもいい子よ。

あの子の悩みを聞いただけで、

あなたが普段からどういう子なのか、すぐにわかったわ。」












他にも似たようなことを、



みんなかわるがわるうっくんに言ってきた。







しばらくだまって聞いていた。







会話が途切れたあと、



しびれを切らして、うっくんから聞いてみた。







「あのぉ~~~~







・・・それで?」










すると、



4年生のアイさんが、



うっくんに向かって言った。







「単刀直入に言うけど、









バイト辞めてくんない!!」


















・・・・・・









・・・・・・













つーか・・・





こんだけグダグダ言っといて、



単刀直入もなにもねーだろうよ・・・。









と正直思ったが、



黙ってしばらくの間、考えた。









うっくんが黙っているので、



たたみかけるようにセトさんが言ってきた。









「ツルくんが言うには、

もう、あなたと一緒にバイトしたくないから、

あなたが辞めないなら、

自分が辞めると言ってるの。



もうすぐ卒業なんだし、

せっかく1年生から続けてきたバイトだもの。

新人のあなたのせいで、

こんな中途半端な時期に辞めるのは、

かわいそうでならないわ。」

















・・・気のせいじゃなかったんだなぁ・・・





と内心思っていた。









一緒にバイトに入らなくなった4月以降、





月1回の大掃除の時、



それぞれ2人組みのペアになって各部屋に別れるのだが、





ツル先輩は、うっくんが入った部屋に必ず入ってきて、





ソファに付属された小さな一人掛け用のソファを



うっくんの足元めがけて投げてきたり、



ゴミをうっくんの方に履いたり、



雑巾を投げつけたりしていた。







なぜ、そうされているのか意味不明だった。



それに対して、うっくんは



嫌がらせをし返したこともないし、



文句を言ったこともなかった。



気づかないフリをしてしまった・・・。







さらに意味不明と感じさせる



ツル先輩の謎の部分だが、



そういう嫌がらせをしたかと思えば、



またいつもの調子で、





「うっくん。聞いてる?ねぇ、聞いてる??」



とベタベタしゃべりかけてきたりすることもあった。







さっぱり意味がわからない









と思っていたが・・・











右から左に聞き流しているのがバレバレで、



気分を害したんだろうなぁ~・・・







セトさんたちの話を聞きながら思った。











うっくんがずっと黙っているので、



みんなイライラしてきて、



「辞めるの!?辞めないの!?」







と責め立ててきた。













ぶっちゃけ・・・









はぁ~~~~・・・



めんどくせぇ~~~~・・・DASH!







と思いながら、





意を決して、うっくんは言った。











「私・・・父と約束したんです。」











「はぁ?」






全員がキョトンとしている。











「私が大学を受験した理由は・・・

社会の厳しさを知れ!と父に言われたからです。



”未熟者のお前が、今のまま社会人にはなれない”って。



もっと、自分の思い通りにならないことがあることや、

辛く厳しいことが社会にはたくさんあることを、

バイトをしながら4年間で学べと言われました。」










アイさんが、イライラしたように口をはさんだ。









「・・・だからなに?むかっ








「父が指摘していた通り、私は未熟者です。



だから、こうやってみなさんから

ツル先輩への態度を指摘されてるんだと思います。



自分は悪くないとも言いません。







でも、これが社会の厳しさなのであれば、

私はこのことから、

”逃げ出すべきじゃないんだろうな~”

とみなさんの話を聞きながら思いました。」












「なっ!!!むかっ





顔を真っ赤にして怒ったセトさんが



声をあげた。







そして、







「そんな横着だから、

私たちからこんなこと言われてるってわかんないの!?



店長に気に入られてるんだかなんだか知らないけど、

私たちが全員辞めるって言えば、

店長だって、あなたを首にするにきまってるんだからね!!!



だいたい、どうやって店長にも取入ってるんだかっ!プンプン







と怒鳴った。













うっくんの中で、



さーーーーーっと



気持ちが引いていくのがわかった。









うっくんの悪い癖なのだが、



相手がヒートアップすればするほど、



うっくんは冷静沈着になってしまう。



そういう冷静さは、



決まって相手をさらにヒートさせてしまう。







わかっている悪い点なのだが、



どうにも感情的になることができない。









「・・・そうですね。

たしかに、私はわかってないことが多いと思います。

正直、自分がツル先輩に何をしてしまったのかもわからないし。











ただ









一つだけわかってることがあります。





私は、あなたたちのような大人には絶対になりたくありません。」











「なっ!!!!!プンプン





さらに大きな声を上げて、



セトさんはプルプルしていた。









「生意気なこと言ってすみません。











でも・・・











私がみなさんの立場なら、

片方だけの話を聞いて、

判断できるようなことじゃないな、

と考えると思います。



ましてや、

代りに「辞めろ」なんて、

言える立場じゃないな、

と考えると思います。











それに・・・









ツル先輩自身にこのことを解決させようとしたと思います。



”逃げずに向き合え”と。





嫌なことがあるなら、辞める前に、

自分で私に伝えて話し合うべきだと。













ツル先輩の気持ちや、いやだったことを

本人に直接聞いて、

自分に反省すべき点があるなら、素直に謝ります。





でも、本人がここにいない以上、

私は、ツル先輩の気持ちを察することができません。





ここで私が辞めて、何の解決になるんですか?





ツル先輩、来春から社会人でしょう?





社会に出て、また自分と合わない嫌な人がいたとき、



彼はどうするんですか?





その時もまた、セトさんたちが助けてあげるんですか?







いつまで助けてあげるんですか?







ずっと面倒をみてあげれるんですか?







彼の代りにこうやって気持ちを代弁してあげることは、

本当の優しさじゃないと思います。





嫌なことを自分の周囲からただ排除するだけでは、

何の解決にもならない、

それに気づかせるのが、

あなたたち大人の役目なんじゃないんでしょうか?





私が辞めるように、ボイコットなんて・・・

今、みなさんがやってることは、

大人のすることじゃないと、私は思います。







セトさん・・・







失礼ですが・・・





あなた、高校生のお子さんがいらっしゃるんでしょう?





お子さんがこうやって、

就職して、嫌いな人ができた時も、

会社に殴りこんで行って、

娘さんの代りに、その人を辞めさせるように、

娘さんの上司やその人本人に

直談判でもするおつもりですか?」









セトさんは黙っていた。









「私は・・・



自分は悪くないとは思いません。



悪いか悪くないかも判断ができないほど、

ツル先輩の気持ちがわからないんです。



もし、私が悪いなら、ツル先輩に直接謝りたいので、

ツル先輩がいらっしゃる時に、

もう一度、私をここへ呼んでもらえないでしょうか。



まずは、それからの話し合いだと思ってますので、

今日は失礼させていただきます。」









それ以上、言い合いをしたくなかったので、



うっくんは、一気に自分の意見を言うと、







「失礼します」





と言って、スタッフルームを勝手に後にした。









うっくんが、



玄関を出ようとしていたら、



ミゾグチさんが追いかけてきて、



こっそり声を掛けてきた。







「・・・うっくん。」







「はい。」











「ごめんね。」





「いえ。お疲れ様です。失礼します」












それ以上何もしゃべりたくなかった。











バイト先を出てすぐ、



ひでに電話をかけようとしたら、



ひでは、バイト先の駐車場でずっと待ってくれていた。









「ごめーん!けっこう遅くなった!!(・∀・)ノ」







「いや、だいじょぶよぉ~(*^_^*)」












車に乗り込んで、



車が走り出した。









一体何が起こったというのだろう・・・。









考えると、なんだか悔しくなってきた。







泣くまい・・・







大好きなバイト先のみんなに、



あんなふうに思われてたんだなぁ・・・





と思うと、悲しくなって涙が出てきた。







泣くまい・・・

















・・・ああ・・・でもダメだぁ・・・(T_T)









声を出さずに泣いているうっくんに気づいたひでは、



うっくんの頭を2~3回ポンポンとして、





何も聞かず、何も言わずに、



ただ一緒にいてくれた。











後篇へ続く。