第二回、今回はLayer Palpationについて書いてみようと思います。

セメスターの最初、このテクニックさえマスターすれば、残りはpiece of cakeだと言っていました。

クラスを一通り終えてみて、確かに納得。

このテクニック無しには的確な治療は行えませんし、鍛錬が必要であります。


人間の体は外側からepidermis, dermis, subcutus, fascia, muscle, boneと層状になっています。

自分達が触れるのは一番外側のepidermisだけ。

epidermisの上からの触診で、それぞれの層を"感じる"そして"動かす"スキルがlayer palpation。

これはもう、指先の感覚に他なりません。

一流のセラピストになると、本の下におかれたコインの種類が、本の表紙をなぞるだけで感じとれるそうな。


テキストには、

"think" skin. How thick or thin is it? How warm or cold is it? How rough or smooth is it?

とあります。


こんな感じに意識を全開にしないと磨きはかからないと思います。

(リアル9巻より: 分からない人、すんません)



触診は、Light touchとDeep touchの二種類に分類されます。


前者は、ただ手を乗せるだけの、とても小さな圧力を使って、手のひらから感じとれる質感を探ります。

これまた一流のセラピストは、このLight touchから多くの情報を得る事ができるそうです。


後者は、圧力を加えて下の複数の層まで探る時に使われます。

この圧力の加減が、どの層を探るかのキーとなります。

後述しますが、力の加え過ぎは典型的な間違いだそうです。

クラスでも、力が入りすぎだと何度も注意されました。


Compression(圧力)を加えてターゲットとする層を探り、Shear(すり動かす、とでも訳します)は、層と層の間の動きをチェックします。

パートナーと向かいあって、お互いの前腕を使って練習する事ができます。

自分の腕を使うと情報が混乱しがちですが、それでも練習にはなります。

微妙な圧力の差で、同箇所でもmobilityが結構変わることが分かると思います。

また、左右でも頻繁に違いはみられます。


自分の場合は、右上半身の深い層は左上半身にくらべてhypo-mobleです。

10年前の右親指の骨折から来ている気がしてなりません。


このLayer Palpationの精度は、Spineの評価をするときに大きな影響を与えます。

Transverse processの触診が大事なキーになりますが、皮膚と骨の間にはTrapezius, Latissimus dorsiといった大きな筋群の下に、Elector spinae groupが脊柱に対して並走しています。

これらの上からTPを正確に感じるというのは、非常に難しいのです。少なくとも自分にとっては。

特に厄介なのはTPを覆うように走っているLongissimusで、TrapeziusやLatissimus dorsiの上からこいつを感じ、そして横に"どける"、そして初めて正確にTPを感じることができます。

正直、皮下脂肪の厚い人や筋肉の厚みがある人のTPを正確に感じる自信はまだナシです。



このLayer Palpationにおいて、犯しやすいミスが次の三つ。


1. lack of concentration 

2. too much pressure 

3. too much movement


1. は言うまでもありませんが、2. 3. に関しては、なんとか探ろうと頑張れば頑張るほど陥りやすいミスです。

基本的なことですが、常に頭に置いておく必要があります。


今回のエントリーで言いたかったことは、指先の感覚を磨くためには練習、練習、練習、ということです。

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おまけです。


触診をするときには勿論、手を使うわけですが、その目的によって手の部分を使いわけます。


手のひらは、contour(輪郭)を感じる上で一番敏感、

指の腹は、質感の違いを感じ分けるのに最適、

指の先(特に親指)は、深い層をさぐる時のプローブとして有効、

手の甲は、温度を一番敏感に感じ取ることができます。


普段の傷害の評価でも、皮膚の温度を確かめますよね。

その時は手の甲を使ってみると、より敏感に違いを感じることができると思います。


日本より少し遅れて、アメリカでも年があけました。


去年の前半は、KnicksでのインターンとMSUへの出願とインタビュー(思い出したくないTOEFL Speaking SectionとGREとの闘い)が、

後半は4月にプロポーズして数日後に結婚、5月に2年ぶりの帰国、7月の台湾での結婚式がハイライトでした。

自分らしく不必要なアクシデント満載でしたが、それも含めていろんな想い出が詰まってますね。


今年は、「~ヵ月後にはどこにいるか分からない」という事はなさそうなので(ようやく)、しっかりと地に足付けてやってこーと思います。


よりよい旦那になれるように、

よりよい家族の一員になれるように、

よりよいATになれるように、

よりよい学生になれるように、

よりよい教師(インストラクター)になれるように、

よりよいバスケットボールプレイヤーになれるように、


自分は何かのbestになれるような器ではありませんが、betterな自分になることは誰にでも与えられているチャンスです。

忙殺されたり、惰性に流されたりすることのないように、自分を客観視する事を忘れないで一年を過ごそうと思います。


それでは皆さん、このぬるい題名のブログ共々、今年もよろしくお願いします。


Manual MedicineにおけるStrictual Diagnosisは、筋骨格系の評価を指します。

内臓系の評価は含まれません。

評価の目的は、Somatic Dysfunctionの存在と、その深刻さを明らかにすることです。


Somatic Dysfunctionは、

Impaire or altered function or related compnents of the somatic system

と定義されています。

十分に機能しない、または正常でない筋骨格系の機能、とでも訳せばよいのでしょうか。

これは骨、関節、筋肉から、または血管やリンパ、神経系から起因すると考えられます。


で、題名にあるARTというのは、Somatic Dysfunctionを発見するための3つの基準の頭文字をとったもの。

評価の時には、常にこのARTを念頭におきます。まぁ、物凄く基本的なことなのですが。


A: condition of Asymmetry (非対称)

R: the presence of an altered ROM (可動域の変化)

T: difference in tissue Texture (質感、触感の変化)


これに、もう一つのT (the presense of a point of Tenderness)を加えて、TARTとすることもあります。

個人的には圧痛(tendernessってこう訳すようです)はhyperactiveとhypoactiveを見分ける重要な基準であると思いますので、ARTよりTARTの方が的を得ていると思います。

HyperactiveもHypoactiveも、MMTの評価ではweaknessと出ます。

なので、もう一つのT, tissue textureと組み合わせればhyper/hypoを見分けるという観点では間違った評価を下す確率が減ると思います。


これまた基本的なことなのですが、この(T)ARTを評価の基準として用いる上で大切なのは、この4つ(3つ)を組み合わせて初めて評価を下せる、と言う事。


IliumのRotation Dysfunctionを例に挙げて説明してみようと思います。

仮にright ilium anterior rotationだったとします。(実際の評価の時に、~なんじゃないかという予測は危険です。評価に主観が入ってしまいますから。今回は説明の為に予めdysfunctionを明らかにしておきます)



Asymmetry(非対称)の例として、PSISの高さの違いが説明に便利っぽいので使ってみます。

左右のPSISの高さが違う事は頻繁に観察され、左右どちらかのilium(腸骨)のanterior/posterior rotationの目安として使われます。

が、このAsymmetryが評価者に与えてくれる情報は、「左右の高さが違う」という事実だけで、他には何の意味も成しません。

右が左に比べて高いというだけで、right ilium anterior rotationとは言うことはできない、ということです。

それは、left ilium posterior rotationの可能性も同時にあるからであって、この二つを識別することはPSISの高さからでは不可能なわけです。

表現するときも、"right PSIS is higher than left PSIS"というと教授に怒られました。

"じゃあ、left PSIS is lower than right PSISとは言えないのか?"と。


ここで、他のR, T, Tからの情報が必要となるわけです。



Range of Motionの変化としては右の股関節伸展が左に比べて制限されている可能性があります。

Active range of motionでは左右差がより顕著になることも考えられます。

これは右のIliopsoasのhyperactivity/tightnessによる物理的な制限と、active range of motionにおいては股関節屈曲筋(Iliopsoas)のhyperactivityによる、股関節伸展筋群の抑制(Reciprocal inhibition)による可動域の減少が考えられます。



tissue Texture abnormality, presence of point Tendernessとしては、右のIliocusにtightness/tendernessが、左に比べて強くみられると考えられます。

また、右のErector spinae群にも同じ傾向がみられると予測されます。

Lower crossed syndromeの右側だけバージョンです。



特に対象がアスリートとなると、プレッシャーを加えれば大抵の筋肉には張りがあるものだし、それに伴う圧痛もあります。

繰り返しになりますが、Texture abnormalityそれだけでは左右で触感が違うという情報しか得られません。ここでどっちが正常よりtightでどっちがlooseかという判断は不可能なわけです。


この(T)ART全部の情報を統合させて、初めてleft ilium anterior rotationという評価が下せるわけです。

(実際の評価では、Standing FlextionやTest Stork Testといったスペシャルテストも組みあわせて、左右のどっちがdysfunctional sideかを判断する材料にします)


個人的には、IliumのRotation Dysfunctionって、片方のanterior rotationともう片方のposterior rotationが同時に発生している可能性を考慮するべきだなって思っています。

テキストでは、この可能性はカバーされてませんでした。


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おまけとして、Dominant eye(利き目)について少し。

上肢に利き腕があるように、目にも利き目があります。

そして、この利き目を有効に使う事が評価の際に重要だとされています。

どうやって調べるかを説明します。簡単です。

図のように、腕を伸ばした状態で手で三角形をつくり、固定された物(図ならコーヒーカップ)をその三角形越しに両目で見えるように収めます。

左右の目を片方ずつ瞑ると、片方の目の時にはコーヒーカップが三角形から消え、もう片方の目の時には三角形の中に留まるはずです。

後者が、その人の利き目とされます。


評価の時、時にobservation/palpationの時には、ターゲットと自分の目の高さを合わせ、左右の立ち位置はその人の利き目によって患者の左に立つか右に立つかを決めることができます。



基本的な情報ばかりだったので目新しいものはなかったかもしれませんが、こんな感じで書いていこうとおもっています。


日本では既に年が明けていますね。

みなさんにとってよい一年になりますように。

今回は普通の日記です。


去年一年間のKnicksで得たことは、ATとしてやバスケットボールプレイヤーとしてだけにとどまりません。

あれほど相手を思いやれる人達の集団の一員として働けた事は、大きな意味を自分の中に残しています。


NYを去って、早半年以上。

ミシガンでの生活になれ、最初のセメスターが終わった時には、自分がインターンをしていた時の次のNBAシーズンが開幕し、約30試合が既に経過。

Knicksは開幕当初は大きく出遅れたものの、途中で巻き返してなんとかプレーオフ争いの圏内にとどまっています。(Dice君、分析ありがとー。とても興味深かった。)


自分の住んでいるEast LansingとPistonsの本拠地であるDetroitまでは車で一時間半。

昨日は今シーズン最初のKnicks @ Detroitのゲームに足を運んできました。


お世話になったヘッドトレーナーのRogerやAnthonyに挨拶ができればいいかな、くらいに思っていましたが、前日になってRogerから連絡が入って、試合当日のチームランチにフィオナと一緒に招待してもらえることに。

ゆっくりと時間がとれたので、コーチも含め、選手一人一人と再会の握手やらハグやらを交わし、お互いの近況報告や思い出話を楽しめました。

とある選手には特別にかけたい言葉がありましたが、今は部外者の自分。

少し長く、強くハグをしたので、何かが伝わってくれていたらいいな、と思う。


チームランチが終わった後、Rogerの部屋(トリートメント用の部屋と隣接)に上がらせてもらい、さらにのんびりと話ができました。選手のトリートメントも少し手伝わせてもらって、イングランドからのセラピストDaveとは自分の考えている研究の話をして、読んでおくべきペーパーなどを紹介してもらいました。本当に、彼からは学ぶ事が多いです。


肝心の試合は開始から試合終了まで一切リードを許さない完璧なないようで価値あるアウェイでの勝利。

Top(hotkey:b)

チームのFGは50%超えを記録。それぞれの選手の持ち味が存分に発揮されていました。

ディフェンスに難があるといわれるチームですが、相手のFGを40%に押さえるナイスディフェンス。

チーム最長身の選手に相手のPGを守らせる作戦は機能していたし、ボールの無いところのスクリーンに関しては基本的にスイッチでローテーションをしていたけれど、それはミスマッチが発生しにくいチーム構成ならではでしょう。


一番仲良かった2年目のイタリア人フォワードGalloは、リーグトップのスリーポイント成功数を誇る事実に相応しく4本のスリーを高確率で沈めたり、怪我に悩まされていた去年からは信じられない動きで相手の速攻からのダンクをブロックするなど、攻守に渡っていい活躍。嬉しくなりました。

この調子を維持すれば、オールスターのルーキーチャレンジに二年目の選手として選ばれるのは問題ないし、スリーポイントコンテストにも招待されるんではなかろうか。


ニックスギアに身を包んで、今回は一ファンとして大いに楽しませてもらいました。

自分達が座ったセクションには、選手の友達も招待されていたので、敵地にありながら、小さな"Knicks' section"。

選手の友達のノリが物凄くよく、おそらく会場で一番盛り上がっていたセクションでしょう。


試合が終わった後は、ロッカールームまで入れるパスをもらっていたので、きちんとお礼とお別れを言う事ができました。

家に着いたときには、RogerとAnthonyから携帯にテキストメッセージが入っていました。

毎度の事ながら、彼らの厚意には驚かされるし、ほんとうに嬉しい。


ゲームを楽しむだけでなく、今後の勉強や活動のモチベーションを大いに上げてくれる一日でした。

自分ができる一番の恩返しは、今、自分がいる舞台で精一杯のことをすることです。


この休みの間にやっておきたい事の一つとして、先セメスターで勉強したManual Medicineの知識とテクニックを総ざらいしてブログにまとめる、というのがあります。

ということで、カテゴリーに「勉強/Manual Medicine」を加えました。


このブログを読んでくれている人で興味があるのは少数だとは思いますが、自分の記録の為ということと、少しはATらしい情報を共有できたら、と考えています。

できるだけ日本語を使う予定ですが、面倒くさくなって特に名詞は英語のままで使う事が多くなる気がします。

(普段から動詞を英語で表記するのは意識して避けているつもりです)


今回は第0回として、どんな事をまとめていくかというのをリストします。


1. Structual Diagnosis (ART)

2. Layer Palpation

3. Muscle Energy, PNF

4. Barrier Concept

5. Type I and II mechanics

6. ERS FRS dysfunction

7. Sacrum region

8. Thoracic region, Ribs

9. Lumbar region

10. Cervical region



テキストは、Philip E Greenmanの、 Principles of Manual Medicineを使っています。

周辺情報が多すぎて(アメリカ人はtoo wordyといいます)一番知りたい情報を得るまでに読まなければならない量が多いといって好まない人もいますが、自分はそういう周辺の情報があってこそ中心となる情報をしっかりと捉えられるので気に入っています。

もちろん全てをカバーする事はできませんが、特に重要な部分を上手にまとめられたら、と思います。


クラスで使っていた教室のHigh-low table(ペダルで高さが調整できる素敵なテーブル。これの有無で、トリートメントの効率はグンと上がり、そして術者への負担は大きく減ります。)の一台は著者のGreenmanから寄付されたようで、名前が彫られていました。

それを観た周りの学生のリアクションが相当大きかったのを覚えています。

自分は、ありがたいなぁ、くらいしか思わなかったのですが。


いつものようにだらだらと長くなる気配がしてきましたので、この辺で。

自分が記載した情報に間違いがあったりしたら、ぜひご指摘ください。