Manual MedicineにおけるStrictual Diagnosisは、筋骨格系の評価を指します。
内臓系の評価は含まれません。
評価の目的は、Somatic Dysfunctionの存在と、その深刻さを明らかにすることです。
Somatic Dysfunctionは、
Impaire or altered function or related compnents of the somatic system
と定義されています。
十分に機能しない、または正常でない筋骨格系の機能、とでも訳せばよいのでしょうか。
これは骨、関節、筋肉から、または血管やリンパ、神経系から起因すると考えられます。
で、題名にあるARTというのは、Somatic Dysfunctionを発見するための3つの基準の頭文字をとったもの。
評価の時には、常にこのARTを念頭におきます。まぁ、物凄く基本的なことなのですが。
A: condition of Asymmetry (非対称)
R: the presence of an altered ROM (可動域の変化)
T: difference in tissue Texture (質感、触感の変化)
これに、もう一つのT (the presense of a point of Tenderness)を加えて、TARTとすることもあります。
個人的には圧痛(tendernessってこう訳すようです)はhyperactiveとhypoactiveを見分ける重要な基準であると思いますので、ARTよりTARTの方が的を得ていると思います。
HyperactiveもHypoactiveも、MMTの評価ではweaknessと出ます。
なので、もう一つのT, tissue textureと組み合わせればhyper/hypoを見分けるという観点では間違った評価を下す確率が減ると思います。
これまた基本的なことなのですが、この(T)ARTを評価の基準として用いる上で大切なのは、この4つ(3つ)を組み合わせて初めて評価を下せる、と言う事。
IliumのRotation Dysfunctionを例に挙げて説明してみようと思います。
仮にright ilium anterior rotationだったとします。(実際の評価の時に、~なんじゃないかという予測は危険です。評価に主観が入ってしまいますから。今回は説明の為に予めdysfunctionを明らかにしておきます)

Asymmetry(非対称)の例として、PSISの高さの違いが説明に便利っぽいので使ってみます。
左右のPSISの高さが違う事は頻繁に観察され、左右どちらかのilium(腸骨)のanterior/posterior rotationの目安として使われます。
が、このAsymmetryが評価者に与えてくれる情報は、「左右の高さが違う」という事実だけで、他には何の意味も成しません。
右が左に比べて高いというだけで、right ilium anterior rotationとは言うことはできない、ということです。
それは、left ilium posterior rotationの可能性も同時にあるからであって、この二つを識別することはPSISの高さからでは不可能なわけです。
表現するときも、"right PSIS is higher than left PSIS"というと教授に怒られました。
"じゃあ、left PSIS is lower than right PSISとは言えないのか?"と。
ここで、他のR, T, Tからの情報が必要となるわけです。
Range of Motionの変化としては右の股関節伸展が左に比べて制限されている可能性があります。
Active range of motionでは左右差がより顕著になることも考えられます。
これは右のIliopsoasのhyperactivity/tightnessによる物理的な制限と、active range of motionにおいては股関節屈曲筋(Iliopsoas)のhyperactivityによる、股関節伸展筋群の抑制(Reciprocal inhibition)による可動域の減少が考えられます。
tissue Texture abnormality, presence of point Tendernessとしては、右のIliocusにtightness/tendernessが、左に比べて強くみられると考えられます。
また、右のErector spinae群にも同じ傾向がみられると予測されます。
Lower crossed syndromeの右側だけバージョンです。



特に対象がアスリートとなると、プレッシャーを加えれば大抵の筋肉には張りがあるものだし、それに伴う圧痛もあります。
繰り返しになりますが、Texture abnormalityそれだけでは左右で触感が違うという情報しか得られません。ここでどっちが正常よりtightでどっちがlooseかという判断は不可能なわけです。
この(T)ART全部の情報を統合させて、初めてleft ilium anterior rotationという評価が下せるわけです。
(実際の評価では、Standing FlextionやTest Stork Testといったスペシャルテストも組みあわせて、左右のどっちがdysfunctional sideかを判断する材料にします)
個人的には、IliumのRotation Dysfunctionって、片方のanterior rotationともう片方のposterior rotationが同時に発生している可能性を考慮するべきだなって思っています。
テキストでは、この可能性はカバーされてませんでした。
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おまけとして、Dominant eye(利き目)について少し。
上肢に利き腕があるように、目にも利き目があります。
そして、この利き目を有効に使う事が評価の際に重要だとされています。
どうやって調べるかを説明します。簡単です。

図のように、腕を伸ばした状態で手で三角形をつくり、固定された物(図ならコーヒーカップ)をその三角形越しに両目で見えるように収めます。
左右の目を片方ずつ瞑ると、片方の目の時にはコーヒーカップが三角形から消え、もう片方の目の時には三角形の中に留まるはずです。
後者が、その人の利き目とされます。
評価の時、時にobservation/palpationの時には、ターゲットと自分の目の高さを合わせ、左右の立ち位置はその人の利き目によって患者の左に立つか右に立つかを決めることができます。
基本的な情報ばかりだったので目新しいものはなかったかもしれませんが、こんな感じで書いていこうとおもっています。
日本では既に年が明けていますね。
みなさんにとってよい一年になりますように。