夢が僕を呼ばなくても

僕は夢に用がある

不安をてこにして

大声で叫びかける


「はい」も「いいえ」も言わず

試すでもかわすでもなく

時は静寂を流れていく


いつ聞こえるか知れない

永遠に聞こえないかもしれない

車輪が廻りだす音が聞こえるまで

耐えられるかどうかだ

歴史は正義で動かない

たった一本のバナナで動く


自分で動かない植物の

果実や葉っぱや花の蜜が

人を動かす力を持ってる


人は一個のりんごをかじり

一個のりんごをを勝ち取るがため

争いに行く

最後に聞いた

あいつの言葉

昨日噛んだら

苦いだけだった


腹立たしかった

あいつの言葉

今日噛んだら

少し甘かった


耳でリピートする

あいつの言葉

噛み締めるたび

違う味がする

久しぶりの君だ

知らない友達と買い物している

声 かけづらくて

喋る話題もないから

黙って通り過ぎることにした


久しぶりの君が

僕に気づいて話しかけてきた

君は少し違っていて

久しぶりの僕で話せなかった

変わったのは僕の方か


久しぶりの君が

僕の知らない君で去っていく

何か伝えそびれたんじゃないか

ずっと触れようともしなかった想いを

まさぐりながらも離れていく

蝉たちは昼間中

何を叫んでいるのだろう

人が叫びたくなる時と

同じような気持ちで

短い命を生きているのか


鈴虫たちは一晩中

何をささやいているのだろう

そのささやきがどうして

人間の耳には

癒しの音として響くのか


蝉や鈴虫たちは

誰に向かって鳴いているのだろう

あれだけ鳴いているのだから

一言くらいは人間に

向けられている声があるのかもしれない

僕らには季節を彩る

風物詩にしか聞こえなくても

人はドラマを生きられない

だからドラマを作る

記憶と感覚と想像を織り交ぜて


過ぎ去った現実は

途切れ途切れのフィルムで

ドラマ化されて


ちょっとしたきっかけから

見る気もない僕の

記憶の中で突然

次から次へと映し出される


恥ずかしくて触れられたくない

不運な出来事

ラストシーンにとっておきたかった

幸福な風景


振り返りながらも

今は流れていく

「振り返っていた」という

ワンシーンを作って

またげどもまたげども

終わることのない闇を


探れども探れども

尽きることのない闇を


闇は誰にも消費されず

僕らの浪費を黙って見つめる


夜を心の隠れ家に

僕らは街に消えていく

世界を把握するために

世界を省略し

地図は日々作られる


そびえる山地を平面に

並木道を平行線に

あらゆる地形を等しく


正確さだけじゃ

物足りない記憶は

立体を欲しがり


地図を浮き上がらせる

記号を息づかせる

偏った想像で

覚悟もなく

決意もなく

入った会社で

身の程知らずを

思い知らされた


退屈で

せわしない

充実して

満ち足りない

上下激しいバイオリズム


あらゆる状況に

対応できる準備と

それを感じさせない

余裕あるスマイルを

…なんて上手くいかない


みっともなく弱音吐いて

こっぴどく叱られて

窮屈な職場に

自分の入り込める隙間を

見つけ出そうともがいている

目立ちたがりの事務員

壊したがりの建築士

大雑把な数学者

甘えたがりの教師

恥ずかしがりの役者

喋りたくない評論家

裁きたがりの弁護士

泣かせたがりの漫才師

正直な政治家


誰もがその職業では

処理できない感情を持って暮らしてる

発散させる手段もなく