昨日までの騒々しさが

嘘のよう

寝そべっていると

ゆるやかな時


正月を

休んで過ごす

誰しもが

スロースターター


膨大に積まれた

新聞とチラシ

そこに載ってある

福袋を見て

急に動き始める一日

年またぎの賑わいは

一年の悩みを吹き消して

人恋しさを取り戻す

幸福な光景

神社を埋め尽くし


今年最後の

君の言葉だと思ったら

普段聞き流していた言葉も

忘れられなくなりそうだ


年を越え

締めの鐘の音がする

遠慮なしにやって来た

これからの一年に響き渡る

ぴんと張ったリードを

限界まで伸ばして

犬はひたすら前かがみで歩き

そして急に立ち止まる


木の臭いをくんくん嗅いでると

向こう側から

もう一匹の犬が

誰かを連れてやって来る


大きな犬と小さな犬とが

お互いの体を嗅ぎあう

その上で繰り広げられる世間話


犬は人が見過ごしていたものを

立ち止まり気づかせる

いつもの風景

横切るだけだった人々

未来には老いがあり

死がある

明日よりも確実に


時は引き寄せる

動くものも

動かないものも

あらゆる過程を

結末に向けて


どこへ向かおうが

同じ未来に飲み込まれていく

広大さに刹那を潜め

宇宙は時を旅する

小学校の時の

学習帳や日記帳

大掃除の途中の

過去への入り口


変わらない自分

変わっていった自分

恥ずかしくなる

思い出せないけど

紛れもない自分


ノートだけが

留めていた記憶を

読み返し懐かしみ

処分する

あの懐かしく響く

音楽が生まれた

時代の背景を想う


古びたレコードから漏れる

錆付いた音も

一つの味わい


あの美しく響く

音楽が生まれた

土地の景色を想う


ラブソングからでも伝わる

あの森や海や生き物の

息づかい


物と物とが

奏でる音楽

響かせる空気


偶然がぶつかった

音から始まる

全ての音楽

金持ちの出す

軽い気持ちのお金と

貧乏人の出す

精いっぱいのお金

同じ額でも

あげる時の気持ちは違う


お金で気持ちは量れないが

どんな流れをくぐってきても

財布に入れてしまえば同じお金

全ては使うもののなすがままに

特別な日に

いつものように雨が降る

雪の飾り付けを期待していた

人々の前に


こんな聖夜は

これまでに何度もあったはずなのに

上手い名前を

誰も名づけてはくれない


余計に光はぼんやりとして

美しく街並みは煙っている

僕はこの夜のやり過ごし方を

まだ分かっていない

どこかにいてほしいという願いで

サンタは毎年12月だけに存在する

子どもの枕元には

小さすぎる靴下がある


どこかにいてほしいという願いで

子どもの枕元にはプレゼントが置かれ

今夜も一つの家庭で

ささやかな幸せは守られている


どこかにいてほしいという願いを

叶えるためにサンタはやって来る

いつ途切れるともしれない幻想から

燃え続ける火は

体の芯まであっためて

心まであたたかい


移し合い

分け合いたくなる

熱を帯びた体温


見つめる瞳が

安らかな真夜中

火の輝きに

命は照らされてる