心に隠し持った

理想郷があるんだよ

たとえ僕の生き方が

正反対に見えても


触れられたくなくて

見せないでいる

あまりにも壊れやすい

幸せなんだ


許し合える日を

分かり合える日を

想像しながら

銃を握って

道路には

氷が

張られる


空に

上ろうとしていた

水たまりを

とどめた寒さ


目的地へ

せっせと歩く

僕らを

滑らせる


午後

太陽は

勢いを

取り戻し


輝きを

放ちながら

氷が

溶けていく

昔の人が夢見てた

未来を歩いている

その夢は叶ったかなあ

こうなるはずじゃなかったって

思っているのかなあ

高層ビルが並ぶ街並みに

憧れていたのかなあ


未来の人が珍しがる

過去を歩いている

奇妙に思われるファッションを

競うように着て

ダサく思われる言葉を

器用に使いこなして

僕らは時代を謳歌してる


過去からは

「しっかりしろよ」と言われ

未来には

「なんとかしてよ」と言われ

板ばさみの中にいる今も

歴史は確かに造られている

誰も造ろうとはしなくても

拒まれて

消える想いなら

楽だろう


相手の心と

無関係に

膨れ上がる


明日また

君に

逢える苦しさ


背負ったまま

日曜日を

満喫できない

澄みきった陽射し

寝ぼけまなこ

パンにバターを乗せて

軽い朝食の準備


台所いっぱいに

いいにおいがしてきた

パンとバターに

招かれてテーブルに着く


お腹はもちろん

鼻も口も耳も目も

待っていた朝食


チン!と音がする

この朝にふさわしい

気持ちのいい音

寒さで締め切っていた

部屋の空気の

重みが気だるくて

窓を開き

風を招き入れたら

陽射しまで差し込んできて

こたつに入り込めない背中に

満ちてきた温もり

夢うつつの中で

陰りを見せる正月気分に

惜しみつつ

別れを告げる

大きなあくび

今日という日に

名前がある

昨日と違う私がいる


今日であった人に

今日の心がある

昨日と違うあなたがある


命は堂々巡りでも

出逢いの数は限りない

輪廻の向こうで

新しい自分と出逢う

テレビの中の

悲しみを見るたび

僕らの悲しみは

劇的になっていく


昨日の悲しみを

今日思い出そうとしても

その悲しみは

模倣に過ぎない


大げさな表現で

説得力を付けて

競い合うように

悲しみはアレンジされていく

寒い日の

地味な陽射しが

ささやかな喜びだ


階段を上った先にある

公園から眺める

水色の空と

静けさが映える街並み


少し汚れたベンチの上で

いつもより新しい太陽に

僕は無言で誓い

日常に帰る

だいぶ前の

友人から届いた

今年最初の

今年最後かもしれない言葉


あけましておめでとう

その言葉が

年々重みを増してくる

元気でいることの

知らせのようで


葉書の上に

いっぱいに広がる

初日の出を

拝むように見つめた