この人じゃなきゃやだ

あの人よりもこの人

誰かと誰かを区別する愛


恋愛 家族愛 隣人愛

それとあれとで区別できない

曖昧でずうずうしい愛


あなたへの想いは

何愛と呼ぶのだろう

全てをごちゃまぜにしたくなくて

私の中に引いた一線

君の忘れ物が

君の涙の意味を

君の言葉が秘めていたものを

教えてくれたんだ

僕に映る君を

一つに繋げてくれたんだ


明日じゃなくて

今じゃなきゃだめなんだと

照れないで

向き合わなきゃいけないと

やっと気づいたのに

君は忘れ物を

取りに来ない

鼻に染みる潮風に

誘われて海に来た


目を横切るせせらぎに

引き寄せられて川に来た


耳を流れる雑音に

恋しくなって街に来た


舌に触れる果実の

甘みが欲しくて山に来た


感じるものに

全てを任せて

旅をして


導かれるまま

心を奪われ

ただ歩く

どんな情熱にも

何%かの妄想が混じっている

嘘も真実も関係ない

僕はひたすら駆けている


夢と現実の区別は

8月の暑さに溶けていった

心に生まれた自由が

明日を解き放つ


幾つもの未来の希望を

作り話が作り出すんだ

君の笑顔がくれたものを

出来る限り膨らませて

エネルギーに変えていける

抑えすぎた感情は

暴れるのも下手だ

窓を開いてるのに

ちっとも飛び立とうとしない


死はいつも問いかける

何かしてあげられなかったか

死はいつも問いかける

これからどう生きていくべきか


やな思い出さえ美しくして

人はこの世を去っていく

涙は流れてくれることが救いなのに

ちっとも溢れようともしない

塀の中

罪と向き合い

塀の外

罪に晒され

ただ日は流れていく


独りで犯した罪も

独りでは背負えない

未来にのしかかる重み


償いきれることなど

何もないと知った時

彼の償いは始まる

決して許されないかもしれない

悲しみに向かって

何色にも染まりたくなくて

僕らは透明になった

誰にも気づかれずに

僕らは崩れていった


ともに生きることは

たのしくてむなしくて

なんだかよく分からないけど

生まれた時からきっと

つけなきゃいけないけじめがあった


「僕ら」が終わっても

世界はずっと続いていく

だから僕はさよならを言う

あなたはいつも遠くを見ていた

あなたはより大きなものになろうとしていた

譲れない欲望を抱いて

引き返せない道を歩いていた


あなたは輝いていた

善悪を超えた命のきらめきだった

闇を背負うことと引き換えに

あなたは大きな光を受けた


あなたは孤独だった

いつも一人でなくみんなを求めていた

忘れられるのを怖がり

闘う相手をいつも探していた


みんなが知ってる伝説と

誰も分からぬ寂しさをあなたは生きた

あなたの痛みは

みんなにとっての希望だった

与えられた役割を

こなしているうちに

それが自分になっていく


仕方なくやっていた演技も

上手くなるにつれ

疑うことはなくなる


責任感を持って

自らの使命を果たそうとする

神父だって殺し屋だって


心から聞こえてきた空耳を

啓示だと思い込んだ時

人は天使にも悪魔にもなりきれる

生きることに疲れて

ため息出そうな時に

ちょっと一軒

寄って行きたい店がある


ゆったりとした音楽

珍しい外国の置物

日常の中にある

非日常な空気が

僕を少し生き返らせる


自分が自分でいられる

場所を探す人々が

似たような顔して

この店に集う


椅子に腰掛け

解きほぐされた

心をあらわにする

「コーヒーを一つ」

「かしこまりました」