蝉の抜け殻が
壁にへばりついている
その本体は
地面に落ちてる
蝉は死を隠さない
生きることに
夢中だったから
太陽は激しく
世界を焦がす
蝉の命が
僕の瞳に焼きつく
並木道の下
昨日あった死骸は
一体どこに行ったのだろう
ラッシュの混雑から
ゆるやかな街並みへ
高校生の自転車が並ぶ
小さな駅を出る
馴染みだったうどん屋を
通り過ぎて行く
出くわした近所のおばさんと
少し話をする
田舎というイメージほど
緑豊かではなく
純朴さもないのに
懐かしい団地
久しぶりに言う「ただいま」
荷物を降ろすと
一 気に軽くなる気持ち
白髪以外はあのままの両親
昔の好物を平らげて
昔の友達に電話して
近況と思い出話で夜は更ける
物置にされていたのか
古い電化製品が置かれている
かつての自分の部屋で寝る
手紙は語りかける
読む人がいれば
何度でも
手紙は語りかける
書いた本人が
けろりと忘れた頃でも
あの手紙は今日も
告白している
机の引き出しの中で
あの手紙は今日も
告白している
読んだ人の心の中で
犬は目で訴える
連れてって
犬は目で訴える
メシおくれ
犬はしっぽで笑う
ごきげんさ
犬はしっぽで怒る
近寄るな
犬は鼻で嗅ぐ
なんだろう
犬はあごをつけて寝る
タイクツだ
犬は吠える
伝えきれない強い気持ちを
犬の喜びも悲しみも
人はただ愛らしくて笑う
人にとっての言葉は
犬にとっての体
生きることのきらめきを
犬は全身で振りまく
ご飯を炊くのも
面倒な時は面倒で
一人でだって
外食に行く
自分にごほうび
あげすぎかな
ちょっと片付いた仕事に
アルコールの大盤振る舞い
油断してると
舞い込んでくる
ご祝儀
光熱費
財布を覗いて
結構減ったお金に驚いて
無理やり辻褄合わせてく
月末までの
長き道のり
親友と一緒にいる自分を
あまり親しくない人に見られて
何故だか恥ずかしくなったこと
知られたくない人
知らせたい人
いつの間にか使い分けてる心
気持ちを見せたい気持ち
気持ちを隠したい気持ち
どれが本当の僕かなんて問いは
もうやめだ
冗談が好きな僕
物静かな僕
間抜けな僕
どの僕も欠かせない
あなたがくれた僕
4年前の自分を
思い浮かべてみる
4年間自分が経験したことを
思い浮かべてみる
いろんなことがあった
誰もがそれだけの時間を生きて来た
それぞれに違ういろんなことがあった
4年に笑った人がいる
4年に泣いた人もいる
それが全てじゃなく
けれど軽くもなく
その4年が幕を閉じても
また人は生きていく
新しい1年へ
それとも続きの5年目へ
彼らにとっての4年は
僕にとっての何だろう
僕らにとっては
待ち焦がれていた4年じゃないのに
いつも手放すのが惜しくなるんだ