闇の中で過ごす一生も

悪くないと思っていた


もう少し眠っていたかったのに

雨が地面を打つ音で芽覚めて


なんだなんだと外に出たら

優しい光が差して


まだのんびりしていたかったけど

背丈ばかりがだんだん伸びて


春風が何度も誘ってくるから

花は咲かざるを得なかった

ケンカしても

じゃれ合っているようにしか

見えない


険悪な雰囲気も

どこかかわいらしく

見えてくる


他人事なのに

行く末が気になる

二人


うらやましくて

ほほえましくもある

景色


観察するだけの

俺はなんでここに

いるんだか

「さよなら」に差し込む

冷たい風


世界中の明かりを吹き消しそうな

痛い風


枝間を通り抜け

木々が微かに揺れた


二人を通り抜け

詰まる言葉を吹き流した


風を追うように

あなたは向こうへ去って行く

会社から遠く

コンビニから遠く


僕がはぐれているのに

夜道は気づかない


工事現場から遠く

空き地からも遠く


闇に消えていこうとして

いつも夜明けに阻まれる


どこへ行く気もないくせに

月にはそう見透かされている


上手くはぐれていけなくて

気づけばただの散歩をしている

夜の街灯が一箇所

誰もいない道を照らす


全ての光に置いていかれたような

寂しさをたたえて


照らされてもないのに

どこか照らされてる気がした


街灯は光り続ける

真っ暗な宇宙の局部で


その頼りなさで

たくさんの瞳を暖めている

大地を賑やかした太陽が

夜に収まりつつある


母親が呼ぶ声に

子どもは少し心細くなる


陽を浴びながら電車は

学生をおしゃべりごと運ぶ


溜まった仕事を

とっ散らかった心を

今日はとりあえずは片付けて

帰ろうか


高いビルから抜け出して

大人たちはそれぞれの黄昏に行き着く

大地をくぐり

私をくぐり

水は生きる


川を保ち

雲を保ち

私を保つ

水の流れ


くぐることで

生かされている

水も私も


森を抜けて

湧き出す時の

瑞々しさ


分けてほしいと

またごくり

まっさらな雪を

足跡を付けて歩く


そんなふうに僕は

僕を残してきた

(あるいは汚してきた)


白一色の風景が

物足りないと


青いジャンバーと

赤いマフラーで歩いてきた


なおも降る雪に

見とれもしながら


消えないように

消えないように行く

得られる金を計り

使われる時間を計り

得られる経験を計り

使われる体力を計り


計算違いで

大損こいて

釣り合いとれず

バランス崩して


心は計る

どんなものでも

友を計り

希望を計り

いざとなれば

命を計り


一片の詩が浮かぶときも

心は計ってきたのか

言葉を


計り知れないものに憧れて

捨てる計り


底知れぬものを恐れて

引っ張り出す計り


満たされぬ心が

求めてる

明日と釣り合う生贄を

空ろな景色を

滲ませきれず


涙はすぐに

止んでしまった


涙以外に

流せるものは他に無いか


心と一緒に

流れてくれるものは無いか


僕はとめどなく

流したがっているのに


悲しみがすぐにでも

付いて行きたがってるのに