喋れなければ
触ってみる
触れなければ
感じてみる
感じれなければ
想ってみる
想えなければ
歌ってみる
歌えなければ
祈ってみる
祈れなければ
信じてみる
そこに一つの物がある
そこに一つの物がある
重い荷物でも背負ってるような
肩を上下させて歩く
ぼんやり見ていた街並みが
確かに僕の目に迫る
夕陽につられて
まっさらな気持ち
いつも無意識 の中にある風景が
美しくあればいい
それに僕が気づいたのなら
きっともっといい
僕が知りたいのは
君の目
真っ黒な瞳に映る
カラフルな世界
僕が知りたいのは
君の耳
その鼓膜にどんな音が
響いているのか
僕が知りたいのは
君の鼻
微かにばらまかれた
季節の臭いを嗅ぎ分けて
僕が知りたいのは
君の口
豊かに広がる味わいと
放り出される言葉を
僕が知りたいのは
君の足
刻まれる小さな歩幅の
向かう先は
僕が触れたいのは
君の手
訪れ続ける毎日を
てきぱきとこなす
ソメイヨシノで賑わった公園に
今度はボダン ザクラの控えめな満開
その下ではツツジのつぼみが
咲くべき時に備えている
そよ風に揺らされて
眠っていた色が目を覚ます
温もりこぼれる春に
絶え間ない彩りの移り変わり
瞳の深い部分に
そっと折り重なっていく
去り行く色たち
訪れる色たち
並んで歩いた
幼い日々の道のり
持て余していた感情
勝手に落ち込んで
勝手に幸せで
二人で歩いていたはずが
気がつけば一人で
あの時
聞き流していた言葉
ずいぶん経った今になって
「えっ?」と聞き返す
隣にもう君がいないのは
分かっているつもりで