喋れなければ 触ってみる 触れなければ 感じてみる 感じれなければ 想ってみる 想えなければ 歌ってみる 歌えなければ 祈ってみる 祈れなければ 信じてみる そこに一つの物がある そこに一つの物がある

重い荷物でも背負ってるような

肩を上下させて歩く

 

ぼんやり見ていた街並みが

確かに僕の目に迫る

 

夕陽につられて

まっさらな気持ち

 

いつも無意識の中にある風景が

美しくあればいい

 

それに僕が気づいたのなら

きっともっといい

数え切れない瞬間を

巡らせて空は

僕らの背景にいる

 

雲も

鳥も

風も

命だけを置き去りにして

去っていっても

 

体に残された

軽やかな流れの余韻で

僕はこの一日を歩いていける

僕が知りたいのは

君の目

真っ黒な瞳に映る

カラフルな世界

 

僕が知りたいのは

君の耳

その鼓膜にどんな音が

響いているのか

 

僕が知りたいのは

君の鼻

微かにばらまかれた

季節の臭いを嗅ぎ分けて

 

僕が知りたいのは

君の口

豊かに広がる味わいと

放り出される言葉を

 

僕が知りたいのは

君の足

刻まれる小さな歩幅の

向かう先は

 

僕が触れたいのは

君の手

訪れ続ける毎日を

てきぱきとこなす

ソメイヨシノで賑わった公園に

今度はボダンザクラの控えめな満開

その下ではツツジのつぼみが

咲くべき時に備えている

 

そよ風に揺らされて

眠っていた色が目を覚ます

温もりこぼれる春に

絶え間ない彩りの移り変わり

 

瞳の深い部分に

そっと折り重なっていく

去り行く色たち

訪れる色たち

問題を出されたら

必ず解かなきゃいけない

ってことはない

 

なのに

相変わらず

答えを求め

頭をかりかり

 

全ての試験から

解き放たれた後も

答案用紙と格闘中

並んで歩いた

幼い日々の道のり

持て余していた感情

 

勝手に落ち込んで

勝手に幸せで

二人で歩いていたはずが

気がつけば一人で

 

あの時

聞き流していた言葉

ずいぶん経った今になって

「えっ?」と聞き返す

 

隣にもう君がいないのは

分かっているつもりで

太陽の光と

適度な雨

肥沃な土や

きれいな空気

長い時間に

一粒の種

 

どこからともなく

自然が持ち寄った材料で

生まれた名もない花

どこからともなく

疲れた人がやって来て

その香りの中で寝そべる

君と一緒なら

見慣れた景色が見違える

 

君と一緒なら

見慣れた景色をさまよえる

 

僅かなすれ違いで

遠く離れてしまわないように

その手はしっかり繋がれてある

昼に一番星を求め

夜に太陽を探してきた

僕は何をしていたんだろう

 

瞬く光

降り注ぐ光

命はそれを争うことなく

分け合えることを

 

菜の花に彩られた川辺は

太陽を胸いっぱいに受け

眩しく