言葉になるのを拒んでいる

時間が作り出した

心のよじれ

 

大きな影に飲まれそうで

びくびく怯えていた

幼い自分

 

正体を見破った今でも

頭から離れない

過去の亡霊

朝には目が覚めて

夜には眠くなる

上には空があり

下には地面がある

 

風は流れて

海は波打つ

今日が終われば

明日が来る

 

昔からこの場所で

守られてきた約束だけど

忘れっぽい僕には

唐突な出来事

たんぽぽが

風を待つ

くすぐったい

綿毛で

 

種は

生まれるために

空を舞う

 

風が止んで

やさしく

地球に

着地する

 

土に潜って

来年の

春を待つ

言いかけたまま

言う必要のなくなった話

惜しんでいるのは

自分だけ?

 

言いかけたまま

言い損ねてしまった話

気になっているのは

自分だけ?

 

昼休みの終わりの

チャイムの音がしたら

さっと机に仕舞われる

今日の話題

新しい季節は

疲れている間もなく慌しく

ふとつけたテレビで始めて

桜の満開を知る

 

くつろぎたくて帰ってきた家で

立ち座りを繰り返している

こたつの片付いた部屋は

何だか落ち着かなくて

訳あって悲しい

訳がなくて悲しい

 

心じゃ分かってあげられない

涙の理由を

体はちゃんと知っているのか

大勢の桜が

一つの命に映る季節

地球は心臓となり

南から北へ

大地の隅々まで

春を巡らせる

 

根は幹に吸い上げ

幹は枝に別れ

流れる血の管を

浮かび上がらせるように

桜が花を開く

寸前で

こらえている

押し寄せてくる気持ちに

流されないように

安定した自分を

供給するために

 

いっそ壊れてしまった方が

楽なのかもしれないな

新しい流れが

待っているのかもしれないな

そう思いながら

今日も堤防は

守られている

引越し屋さんの次は

電気屋さん

タイミングよくピンポンしてくる

新聞屋さん

 

新生活の第一日目は

応対に追われ

カーテンのない窓は

そのうち

暗闇で埋まっていく

 

取り付けたばかりの

テレビを見る

一人暮らし初めての食事

カップラーメン

 

孤独よりもっと

ふわついた気持ち

理想と現実の

曖昧な一日

何処へ行こう

考えながら

何処かへ向かう

 

行き先を見つけに

旅をしてきたのに

見失いそうになることばかり

 

それでも一旦

歩き始めた足は

交互に僕を動かしている

 

にぎやかな街から

道は静かな

郊外へと続く

 

角を曲がり

偶然出くわした

夢に立ち寄る