しばらく使ってきたPCが力不足を感じるようになってきた。現在のシステムはi7-4790とH97マザー。普段ネットを見たりする分には全く問題ないが、4K動画の編集やエンコードはさすがに重くて苦労する。特にエンコードはYoutube用4K30p15分のもので1時間以上掛かり、CPUクーラーのファンがウーウー唸り、温度も90℃近くまで上がって喘いでいるような状態。6年も使ってきたことだし、そろそろ組み替えに踏み切ることになった。
昨年の今頃は新しい動画用カメラが欲しい、ソニーα6600辺りがいいぞ、などと思っていたが、新型コロナで花火大会がほとんど中止になってしまい、カメラどころではなくなってしまった。今回はその予算をPCに回すことにした。
ずっとインテル派だったのだが、今回はインテルCPU以上の性能で話題のAMD Ryzenで組むことにした。ちょうど新しいZen3アーキテクチャのRyzen 5000シリーズが11月に発売されたところなので、それを狙う。筆者は1度組んだら長く使うタイプなので、なるべく高性能なCPUで組む。今回のRyzen 5000シリーズのラインナップを見てみると……
5600X(6C12T) 約4万円
5800X(8C16T) 約6万円
5900X(12C24T) 約7万円
5950X(16C32T) 約11万円
となっている。いくら高性能とはいえ、10万円以上する5950Xは論外。筆者の使い方なら8C16Tの5800X辺りでよさそうな気がするが、後1万円足せば4コア多い5900Xが手に入る。微妙な価格設定だ。もし5900Xが8万円台だったら迷わず5800Xを選んでいただろう。
しかし5000シリーズはまだ弾数が少ないらしく、どの店頭や通販も争奪戦状態。1番人気はやはり5900Xであった。筆者はたまたま入荷したばかりの某ショップの通販コーナーから偶然にも手に入れることができた。
他に必要なものはマザーボード、メモリ、CPUクーラー。マザーボードはチップセットの違いによりX570とB550のものがある。前者は拡張性、後者は1年後に登場した新しい設計が売り。ずっとASUS社のマザーを使っていたので、今回もASUSのTUF GAMING X570-PLUSにした。ゲームするわけじゃないが、口コミの評価もそこそこよく安かったので(笑)。Ryzen 5000シリーズを載せるには対応したBIOSが必要だが、筆者が通販を依頼したショップでは既に新BIOSに書き換え済みで出荷とのことで助かる。
メモリは最も安かったADATA社のもの。32GBx2枚組。今まで16GBだったのでいきなり64GBはオーバースペックかなと思ったけど、来年にはDDR5が発売されるので、枯れたDDR4は今が底値に近いだろうと思い64GBにした。25,000円ほど。
CPUクーラーはサイズ社の大手裏剣参。トップフロー型。最近はサイドフローの大型クーラーが流行っているようだが、筆者の使っている筐体(メーカーPC流用)はミニタワーなものの外寸幅170mmで、マザーボードから天板までのクリアランスは150mm程度しかなく、背の高いクーラーが入らないため、トップフロー型にした。AMDではRyzen 5000シリーズは簡易水冷を推奨とのことなので、これで冷えるかどうか心配ではある。グリスも熱伝導性の高いダイヤモンドグリスを購入した。
電源も3年近く使っているので買い替え。狭い筐体なのでプラグイン型の650Wのもの。さらにファンも2個新調した。オーストリアnoctua社製のファン。1つは静圧重視でCPUクーラー向けのもの、もう1つは風量の多い筐体用のもの。
SSD、HDD、グラボは今まで使っていたものを流用する(システム M.2 SSD 250GB、データ 8TB HDD、グラボ GeForce RTX 2070super)。
今回購入したもの。CPU Ryzen 9 5900X、マザーボード TUF GAMING X570-PLUS、メモリDDR4-3200 64GB、CPUクーラー 大手裏剣参、グリス ナノダイヤモンドグリスDX1、電源 玄人志向650Wプラグインタイプ、ファン noctua社の120mm2個(CPU用NF-F12、筐体用NF-A12x25)
まずストレージ類を外し、旧マザーを取り外す。しばらく手入れしてないからホコリが多い。掃除機で吸い取る。Pentium 4時代の古い筐体なので、排気用6cmファンが2個付いているのみ。さすがに心許ないので、13年前にCore 2 Quad Q6600化した時にサイドパネルに穴を開けてCPUの真上辺りに吸気用12cmファンを付くように改造した。NF-A12x25はここに取り付ける。
空になった筐体。左に立てかけてあるのはサイドパネル。増設したファンが見える。ハンドドリルでゴリゴリとやったので、いい加減な汚らしい穴の開け方だ(笑)。
マザーボードの準備。まずCPUクーラー用のリテンションを付け替える。最初から装備されていたものを外し、CPUクーラー付属の金具に交換する。次にCPU。インテルはかなり前からLGAと言ってマザー側にピンがあるタイプだが、AMDは未だにCPU側にピンのある昔ながらのソケットだ。レバーを起こしてCPUを向きを正しくセットし、レバーを閉める。続いてCPU表面にグリスを塗る。塗り方にもいろいろあるそうだ。中央にボットン(笑)や全体に塗り広げたり、×マーク状に塗るのがいいなどなど。
クーラー用リテンションをクーラー付属の金具と交換し、CPUをセットし、グリスを塗る。この後×マーク状に伸ばした(ボロボロ座布団で失礼(笑))
グリスを塗ったらCPUクーラーを金具にセットする。CPUクーラーの底には保護用ビニールシートが貼ってあるので忘れずに取り除く。このクーラーは左右のばねの入ったネジでテンションを掛けて固定するタイプ。左右少しずつ閉めながら微調整する。ファンは薄型のものが付属していたが、noctuaのNF-F12に交換した。ファンの電源をマザーに差すのを忘れないように。
次にメモリを装着する。取り説に従い、2枚のメモリを同じ色のソケットに取り付ける。ここまで済んだらマザーへ取り付ける。
CPUクーラー、メモリセット完了
筐体に取り付けたら、各種配線をつないでいく。グラボが結構大きい。電源やストレージのケーブルを繋いでいるうちにたちまち息苦しくなってしまう。正面の通気口のところにやや余裕があるので、ここにもファンを取り付ける。余り物の12cmのもの。元々ファンの付くところではなくネジ穴はないので、瞬間接着剤で貼り合わせる(笑)。
組み上がった筐体。左下に糊付けしたファン。その上にUSBコネクタが転がっているが、フロントパネル用のもの。USB1.1時代のものなので放置。代わり3.5インチベイにUSB3コネクタを増設してある。
一通り組み上がったら通電してみる。BIOS画面が表示された。とりあえず正常動作している。
BIOSの起動画面が出た
ここからはソフトウェアの整備。今まで使っていたSSDからWindowsがそのまま立ち上げることもできるようだが、今回は安全のためクリーンインストールすることにした。前もってWindows 10インストール用USBを用意しておいた。
筆者のWindowsは7から無料アップデートしたものなので、ライセンスが通るか心配だ。ネットで調べると7からアップデートした場合、7時代のライセンスキーを入れれば通るとのことなので、早速試してみる。設定→更新とセキュリティ→ライセンス認証と進み、「プロダクトキーの更新」を選んで、7のライセンスキーを入れてみた。
認証成功
うまく行った。やはり7時代のライセンスは今も生きていたのだ。ちなみに筆者は常にローカルアカウントで使っている。OneDriveとかWindowsストアなど使うつもりないし、セキュリティ面からしてもMicrosoftアカウントなど必要なければ使わない方がいいに決まってる。
これが終わったら後は環境の整備と市販ソフトのインストールし直し。何とか昨年のうちに元の環境を取り戻すことができた。
気になるCPU温度だが、普段は28~30℃前後、動画エンコード時も最高75~78℃程度に収まっている。i7-4790の時は90℃を超えることも多かっただけに、エアフローの余りよくない狭い筐体でトップフローの小さなクーラーでも意外と冷えるじゃないかというのが第一印象。何よりこれまで1時間以上掛かっていた4K30p15分の動画を10分掛からずにエンコードしてしまったのには感心した。
改めてBIOSを調べてみると、8月14日リリースの2607というバージョンだった。Ryzen 5000シリーズが発表される前のものだが、メーカーには先に情報が行っていたのだろう(調べたところ、Ryzen 5000シリーズに対応していないBIOSだと全く立ち上がりもしないらしい)。
メーカーサイトを見たところ、新しいBIOSが出ているので更新しておくことにした。現在の最新BIOSは12月4日リリースの3001。USBメモリに記録し、BIOSからASUS EZ Flash 3ユーティリティを呼び出す。操作は簡単、BIOSファイルの入った場所を選んでOKするだけ。最近のBIOSはファイルシステムまで読めるのかと感心してしまう。現在のBIOSにはUEFIと呼ばれるOSとの橋渡し機能もあるので、Windowsのファイルのアクセス程度は容易いことなのだろう。しばらくの後、更新が無事終わった。
BIOS更新中
BIOSを更新するとなぜかWindowsのフォントも元に戻ってしまった。筆者は標準のフォントYu Gothic UIは大っ嫌いなので、再びXPと同じMS UI Gothicに変更する。
どうでもいいことだが、最近のPCパーツはやたら光るものが多い。ファンやグラボ、それに今回組んだTUF GAMING X570-PLUSはマザーそのものが光る。うちのは窓のない筐体だから何も見えないんだけどね。
なお、筆者はオーバークロックには興味のない定格安定派なので、Ryzen Masterなどのツールは入れていない。
今回の一新でひっそりと消えたのがWindows 7。最近のCPU(Core i 7世代以降、Ryzen全シリーズ)は7には対応していないのでインストールすらできない。筆者は懐かしの16ビットDOSプログラムを実行したくなることがあるので、VMwareでXPを入れてある。7も使いたくなったら仮想環境行きか(仮想86モードの使えないx64だし、まず必要ないだろうが)。
フロントパネル。元はNECの市販PC。Pentium 4からRyzenまでいろんなシールが貼ってある。横を向いているシールがあるのは、一時期横置きでデスクトップ型として使っていたため。