昨日の朝、通りの桜の花芽が少し膨らんできたと書きました。
今朝、雨の中、同じところを通りかかるとピンク色がチラホラと目に入り・・・
一部、花が開いてきていました。
急に暖かくなりましたしね~
さて、あるボディーでストラトを組んで欲しい、と言うご依頼を受けてから数か月。
コンポーネントストラトの製作を検討しています。
お急ぎではないという事ですが、そろそろ何とかしなくてはなりません。。
ネックとなっているのはネック・・・
ダジャレの様になっていますが、ストラトの重要パーツの一つ、ネックをどうするかです。
お預かりしているのは62年タイプのFender Japanのカスタムボディーなのですが、ストックのネックはメイプルワンピースばかり。。
知人たちも、ちょうど良さそうなローズネックを持っていないとのことで・・・
思い切って、オークションで中古のFendar Japanの62ストラトを購入してフランケンシュタインにしてはどうかと物色していると、とある改造ギターが目に留まりました。
詳しいスペックや改造内容は分からない状況でしたので、少し悩みましたが、思い切ってポチっと。
それがこちら。
上のボディーがご依頼のボディーです。
昨今、Fender Japanの少し古めの時代のストラトも高騰してきていますので、手軽には買えなくなってしまいましたよね。。
海外でもMIJ(Made In Japan)が評価され、価格が上がるのは市場原理ですので悪いことではないのですが。
それはさておき、先ずはギターとしての状態を確認しようと思いましたが、上の写真の様に、1弦、5弦、6弦が張れません。。
そう、Sperzelのロックペグのピンが下がらないのです!!!
ロックするための回転部の回り方も、5弦、6弦は締め切っても奥まで締まり切らない感じで、緩めていく時にも何か引っかかりがある様な感じの部分を経て、必要以上に緩む状況です。
先ずはSperzel TRIM-LOCKのメンテ方法をWeb検索!
便利な時代になりましたね。
先ず出てきた情報は
①つまみを外すとペグの回転軸を取り外してグリスアップメンテが出来たり、左用に組み替えられたりする
という事は、そこまで分解すれば何か内部の不具合があれば判るかも?と言うことで、6弦のペグからトライ。
つまみの先端のマイナスネジを外します。
つまみからそのボスまで分解できましたが・・・
情報ではつまみの回転軸が抜けるらしいのですが、抜けません。
1/4くらいまでは反対側に出るのですが、軸のつまみのボス側に1枚、恐らくグリスを封止する目的の樹脂板が入っていて、それがどうしても
抜けず、抜こうとするとギヤに嚙み込んでしまいます。
→(追記)樹脂板に見えたのはグリスが乗ったギヤの端面でした。。
他の弦のペグも同じでどれも抜けず。
ここを抜いてメンテしている記事が沢山ありますが、このペグは違うバージョンなのでしょうか。。
上の写真の回転軸の周囲、本体穴との勘合部にある白い樹脂板が、それです。
30分以上格闘しましたが、これは抜けないと諦め。
次に出てきた情報は、
②ピンを締め込むつまみを開け切って抜くとピンが抜け、ピンの引っ掛かりをとって摺動性を良くしてやるとピンが開くようになる
これは、同じ様にピンが下がらなくなった人がトライしていたものです。
と言うことで、トライしてみましたが・・・
無理やり力ずくで、ねじ切って開けました。
恐らく、そもそも抜ける部分ではない部分を無理やり開けた感じです。
正常と思われる2弦~4弦のTREM-LOCKも、ここは抜けませんし。。
→(追記) 正常なペグの締め込みネジの隙間から覗くと、やはり受け側のボスの一部が変形されており、ネジは抜けない様に加工されています。
やはりバージョンが違うのか?(下の写真追加)
しかし先に書いた通り既に回転がおかしく、このままではどうせ使うことはできませんので、ゴム手袋をして少々硬いネジを力で開け切りました。
もしかすると、つまみ側の回転軸が抜けると、この部分も本体からギヤごと抜けるのかもしれませんが、現状では仕方なし。
結果・・・
ピントが合っていませんが、ネジ切り部の根元側のネジ山がつぶれています。。
力ずくでネジを開けたこともありますが、そもそも入手時の回転がおかしい時点で、既にネジ山はある程度つぶれていたのだと思われます。
前所有者が、ピンが開かない時点でここを色々と無理やり回してみたのではないかと想像できます。。
で、仕方が無いのでネジ切り修正。
と言っても、都合良く合うねじ切りダイスは無かったので、目立てやすりにて。
これも、地道な作業です。。
はい、完成!!!
本体にスムーズにねじ込むことが出来る様になりました。
ただし、本体にねじ込む入り口部分ではネジの勘合を上手く取ってやらないと真っすぐに入らない感じです。
このことからも、このネジ部分と勘合するギヤ部分は、組立て後に入り口側を変形させるなどして抜けない様に加工がされていたのではないかと推測します。
また参考まで、一般的なペグの回転不具合も、分解できれば同様にネジ山を修正して改善することが出来ます。
最終手段ですが。(笑)
そして、弦を挟み込んでロックするピンも、本体内でストレス無く動く様に清掃します。
表面に付いた錆?固形分?を掻き取り、グリスかな?脂分を拭き取り。
ピンが入る部分も引っ掛かりが無いか確認。
つまようじのお尻側が良いサイズでしたので、そこでゴシゴシ。
ピンを入れて傾けると滑り出てくるようになるまで清掃。
ここで、さらなる疑問が・・・
ピンは重力で開くのか?
どうやって締め込みネジ側に開くのか???
と思っていると、色々組み立てたりバラしたりしている間に、おやおや?
締め込みネジにピンが着きます・・・
そうです。
弱いですが磁力です。
この磁力が弱くなることで、ピンが締め込み軸に着いてこなくなり、開かない状況になるという事です!!!
軸の磁力が弱くて磁石のどちらの極にも着いてしまい、極性が判りませんが、若干の引きの強弱から・・・恐らく先端がS極に着磁されていたのではないかと思われます。
そこで、強力320mTのネオジウム磁石で着磁。
(パワープレートのWILDで用いる磁石です♪)
磁力が少し強くなり、ピンが磁力で着くことを確認したら、ピンと締め込みネジを本体に組み戻し。
締め込みネジを奥まで締め込むことが出来る様になりました。
つまみを取付けて、くすみを取る様に清掃。
これで機能的には復活です。
5弦のペグも締め込みネジが上手く回らず、奥まで締め込むことが出来ないため、同様に処置。
もう詳しい説明は不要ですね。
締め込みネジを無理やり開け切って取り外し。
ネジ山は根元側がつぶれています。
ねじ切り。
ピンは先ほどの6弦ペグより汚れています。
錆取り&清掃。
本体側のピン通路も清掃し、締め込みネジを着磁して組み戻し。
清掃もしてピカピカに。
1弦のペグは締め込みネジの動作に不自然なところはなく、ピンが動かないだけですので・・・
締め込みネジのお尻側から着磁!
軸と密着しないため着磁度合いは弱いかもしれませんが、ピンは開く様になりました。
と、言うことで結論。
1.Sperzel TRIM-LOCKのピンが開かなくなった時には、先ず締め込みネジのお尻側から磁石でピンを吸引すべし!
2.それでもピンが開かない時は、締め込みネジを緩め、先の細い針でピンを押し下げてみるべし!
3.ピンの動きが悪い場合は、ピンが錆びてきているか、ホコリや油分がピンの周囲の隙間に入り込んで重くなっているので、何度もピンを動かして動きを良くするべし!
4.それでもダメな場合は分解清掃、着磁を試みる。(ダメ元で。)
今回の記事と違う製造時期、バージョンでは無理なく分解できるかもしれません。
5.分解が難しければ、今回の記事の様に無理やり分解するのが最終手段です。
ただし、ネジ山修正の作業が必要です!
なお、締め込みネジ部分は通常の使用時でも、軽く緩む範囲を超えて無理やり開けてはいけません。
ネジ山がつぶれて最悪の場合、今回の様に修正が必要となります。
今回も、良き経験となりました。
さて、調さんはようやく何とか体調が復活傾向です。
全日本に向けて、調整を再スタートです。
いつもの事ですが、応援するしかできません。
あ、後は送迎くらいかな。
では、また。
u-tak