昨日から急に暖かく・・・ いや、暑くなりましたね。
昼間はTシャツでした。
春はどこへ???
さて、ここのところ、
RE/F-TECHのミニエンドピンジャックが搭載されたアコギを購入しました!とか、
RE/F-TECHのステッカーが着いたギターを入手しました!
と言う話を、連続で聞かせていただいています。
これも、昨日書いた「何かの周期?」みたいなものでしょうか。
嬉しい話であると感じる反面、結構、楽器は世間を巡っているのだな~とも思います。
楽器は演奏家にとって自己を表現する大切なツールであると共に、音や演奏性、弾き心地で演奏家個人にとっての価値が決まるような物でもありますので、不要となれば次の好みの合う持ち主に引き取られ、巡って行くのは仕方がない事だと思います。
今まで製作したり、カスタムさせていただいた楽器や部品たちが、誰かの価値観や嗜好にマッチし、愛されている事を願います。
さて、そんな中で、エンドピンサイズのエンドピンジャックである、ミニエンドピンジャックの問い合わせがジワジと増えてきております♪
正式名称は「Accoustic End-Pin Jack」としていますので、普通に言えば「エンドピンジャック」なのですが、世間に普及しているエンドピンジャックと言えば、標準プラグ/ジャックサイズの大きな物をイメージする方が多いため、敢えて「ミニエンドピンジャック」と呼んでいます。

楽器関係のショップ様からも、ご注文や問い合わせをいただいたりしています。
やはり、高価なアコギやビンテージのアコギでは、エンドピンの穴を拡大加工したくないですよね。
そのため、一定のニーズがあるのだと思います。
このエンドピンジャックの始まりは、2008年でした。
もう、17年も経つのですね。時の流れは速いものです。
当時、u-takは国分寺(最寄り駅は国立)に住んでいて、仕事場は八王子から八高線で2駅の小宮で、TOYOTAのデザイン研やオリンパスの技術開発センターの近所でした。
そのため、近隣の楽器屋さんの中では、福生の(有)音吉さん(キャットロックさん)を良く見に行っていて、仲良くしていただいていました。
2008年の秋から冬の頃だったと思います。
マーチンのアコギ内部にPU(ピックアップ)を取付けたいのだけど、ギターを加工せずに出力を取り出したい、との相談を受けました。
エンドピンから出力を取り出せないか?と。
当時の某有名アコギの総代理店の方からも相談されていた様に思います。
u-takは元々研究開発職ですので、エンドピンをくりぬいて中にヘッドホンのミニジャックを埋め込めば良いのではないかと言うことで、すぐに試作してみました。
最初はミニジャックの内部だけを販売してくれるところが直ぐには見つからず、ヘッドフォンの延長ケーブルを購入し、それを分解してミニジャックを取り出して使用しました。

これは外径が結構太く、エンドピンのくびれた首の部分の中を通すにはギリギリの寸法でしたが、数年間はこれを使用していました。
マーチン製のギターがメインターゲットでしたので、贅沢にもマーチンのエンドピンを使用し、テーパーになった差込部を旋盤に何とか固定して中心に穴を開けると精度良く穴を開けることが出来ました。
そこにリード線を付けた上の写真のミニジャックを挿入して試作品を作製しました。
それが1号品です。
写真が・・・ ありそうで無い。。 残念。
それを実際にアコギに実装してみたところ、良い感じでしたので一気に話が盛り上がり、本格的に企画・開発することになりました。
どうやって量産するか、部品はどうやって調達するか、加工はどうするか、それらの原価計算と収益モデルの検討・・・
そして、実用新案の取得も。
当時は部品で販売した場合には取付けの際におそらく毎度問い合わせが来るだろうと推測し、部品売りはしない方向としました。
販売は取付け加工を行うショップさん限定でした。
そうすれば、ショップさんにしっかり情報をお伝えすれば済みますので。
並行して試作品を色々なギターに搭載していくと、搭載するギターによってはノイズが大きいという事が判りました。
そこで、エンドピンのテーパーになった差込部に銅テープでシールドを施したバージョンを開発しました。

しかし、これは外周の銅テープと内部のシールドを接続する部分の構成が難しく、また銅テープの重なり具合で太さが安定せず、見た目も悪い・・・
と言うことで、エンドピンの内部からテーパーになった差込部まで導電性塗料でシールドしたバージョンが基本となりました。
バリエーションも色々検討しました。
モノラル(2極)仕様、ステレオ(3極)仕様、ステレオ+アクティブPUの電源SW用に対応した4極仕様、5極仕様。
下は当時の5極仕様。

こちらは現在生産中止しています。
5極タイプをベースに、出力の+、-がWコンタクト(接点)となるように、あらかじめ2芯シールド線で引き出した3極Wコンタクトタイプ。

こちらも現在は製造中止していますが、ご要望があれば製造可能です。
更に、ギター内に取付けるPUからはシールド線が出ている場合がほとんどで、エンドピンジャック側からもシールド線が出ていると、ギター内で接続するのはサウンドホールから引き出して接続できますが、その後にギター内に戻すとケーブルが過剰に余ってしまうという問題が分かってきました。
それを解消するために、シールドケーブルを無くした端子タイプを開発しました。


これが現在の標準品です。
更には端子ではなくφ2.5のミニミニフォンジャック変換タイプも作製しました。

こちらは細いミニミニジャックの入手が安定せず、ミニミニジャックまで内製したものを開発しましたが・・・
耐久性が保証できないため製造中止となっています。
エンドピンの加工も苦労しました~
試作の頃はエンドピンの穴開けに大型の旋盤をお借りしていましたので、かなり安定して穴あけが出来ていました。
しかし量産を考えると毎回大型の旋盤を借りる訳にも行かず。
そこでボール盤を購入し、ボール盤のドリルチャック部を改造してエンドピンの差込テーパー部を保持できる様にし、ボール盤の下にバイスを置いてドリルチャックを固定し、ドリルを上向けに立てて回転させたエンドピンを押し下げて穴を開けていました。

これはドリルの中心と垂直を出すのが非常に難しく、歩留まりが悪く、かなりのエンドピンを無駄にしました。。
当時の失敗作。

少し中心がブレると穴が大きくなってしまい、くびれの部分が破れてしまっていました。
現在はミニジャックが某メーカーの信頼性の高いスリムなモノになっていて、寸法にも余裕があります。
更にはエンドピンも神戸のカスタム家具を製造している工房で精度良く加工をしていただいています。

端子用の基板も、当初はu-takがエッチングしてカットして製作してましたが、現在は基板屋さんにて製作していただいています。
そして、現在問い合わせが増えているのが、コネクタ接続タイプ。

コネクタを接続した場合の最大幅でもエンドピン穴を通る様に、4極基板タイプより少し端子基板の幅が細くなっています。
下がコネクタ付き4極シールド線のコネクタ部。

白いマーキング部分がGNDで、接続時の方向合わせの目印です。

コネクタ付き4極シールド線の先にφ2.5ステレオプラグを付け、L.R.BaggsのM1やM80、Anthemなど、プリアンプ本体にミニミニプラグの出力線を接続しするタイプのアクティブPUシステムとの組み合わせで使用します。

M1やM80付属する出力ケーブルを置き換えていただけば、エンドピン穴を広げることも無く、ハンダ付けをすることも無く、出力を取り出すことが出来ます。

但し、アンプへの接続にはミニフォンプラグ-標準プラグのシールドケーブルが必要になります。

また、ミニプラグ/ジャックは小さいため、端子も標準プラグ/ジャックに比べて小さいため、耐久性面で不安に思われる方もおられると思います。
その場合は上の写真の様にL型ミニプラグを使用していただき、シールドの荷重がエンドピンジャックのプラグ/ジャックに掛かり難くしていただく事をお薦めしています。
また、シールドは細目で軽く音の良いモノを選定いただき、更にプラグをステレオ仕様にしていただき、プラグ/ジャック接続をW接点仕様としていただくと安心です。
W接点仕様について説明します。
RE/F-TECHのエンドピンジャックは、中のミニジャックが5極構造となっています。
そこで、シールドケーブルのエンドピンジャックに接続するミニプラグ/ジャックの配線を以下の様に行います。
・Tip(先端)とRing1(先端から2番目)を両方信号の+に接続することでW接点(2接点)とします。
・次にRing2(先端から3番目)は電源SWのマイナス。
ここはエンドピンジャック内で先端から3番目と4番目に繋がっており、そこでW接点となっています。
・Sleeve(根元)にマイナス(GND)を接続。
その様に接続することで、+信号と電源の接続信頼性が向上することで接触不良が発生し難くなります。
ですが、まだコネクタタイプは量産体制になっておりません。
手加工部分が多いため、ご相談いただきましたら製作しているという状況です。
ご興味がある方はご相談ください。
先ずはハンダ付け作業が必要にはなりますが、RE/F-TECHのエンドピンジャック4極端子基板タイプをお試しください!
では、また。
u-tak