前回は、第三角法の対象物の配置と投影面への投影手順についてお話ししました。
その結果、下の図のように主投影図(正面図)を中心に、平面図(上から見た図)、右側面図(右から見た図)がレイアウトされる位置がイメージできる様になりました。

三角法にょる正投影図のレイアウト
それでは、その要領で立体である対象物のすべての投影面を三角法に則って配置してみましょう。
非常に単純な立方体や長方体のような立体物は、サイコロのように基本的に6つの方向から面を見ることができます。

上図(再録)に示す立体物も凸起や斜面がありますが、基本は6方向(a~f)から観ることができます。
これを、前回のルールに従って各投影図を第三角法に則ってレイアウトすると、次のようになります。

それぞれのレイアウトした投影図は、図中に青色で示した名称で呼ばれます。
これで、すべての方向から対象の品物を観ることができます。
かくれ線のメリット・デメリット
ちなみに、実際には、裏に隠れた凹凸などの形状は、「かくれ線」と呼ばれる破線で書き込むことで、形状の理解を促進させることができます。
※破線:つながった線を等間隔で切断した線、通常は、一定の長さの短い線(約3mm)を一定の間隔(隙間)(約1mm)をとって並べた線
上の図に、かくれ線をオレンジの破線で追加してみると次のようになります。左側面図、背面図および下面図に裏側に隠れた凸起や傾斜の形状がそれぞれ追加されているのが分かります。

しかし、よく見ると、ここで追加したかくれ線で追加した形状は、必ず他の投影図に現れている事が分かります。実際の品物では、内部に隠れているところなどがあり、かくれ線で表現することが必要な場合がありますが、このように他の投影図などで明示的に形状が表現できる場合は、かくれ線による表現は必要最小限に留めるのが通例です。
それにより、図面をシンプルにし、見づらくなることを防ぎ、分かりやすい図面にすることができます。
また、実際に寸法を入れるのは、外形線(太い実線)が基本となるので、かくれ線はあくまで形状を理解するための補助的な位置づけと言うことを頭に入れておきましょう。
必要な投影図の数と「三面図」
先ほどから説明しているように、図面は、シンプルで分かりやすいことが重要です。それは、図面に描く投影図の数にも言えます。すなわち、対象物をできるだけ少ない数の投影図で表現することが重要です。
この例では、左側面図の形状はすべて右側面図に表現でき、下面図の形状はすべて平面図に表現でき、そして背面図の形状は正面図にすべて表現できています。
したがって、一般的に対称形状がある機械部品では、次の図のように正面図、平面図および右側面図の「三面図」で表現されることが多くなります。

なお、今回は図形をベースにお話ししましたが、これに寸法が付記されると、寸法により形状を表現することができるので、正面図の1面だけで表現できる品物もあります。(詳しくは、今後の寸法を取り上げるときにお話します。)
以上で、「第三角法の投影図配置を理解する」の必要最小限のルールは紹介したことになります。