前回までは、第三角法における投影図の配置を観てきました。

 

  直交しない面の実形状はゆがんでしまう

 

 しかし、機械部品や製品は複雑な形状をしている場合も多く、必ずしも90°で直交する面で構成されるわけではありません。

 例えば斜めの面を含む部品形状の場合、正投影では投影面に平行な面は原寸で形状を表現できますが、斜めになっている面(下図※1)は、ルール通りに正投影してもゆがんで投影されてしまいます。

 

   

 その結果、このあとに寸法を実寸で入れることが出来なくなってしまいます。

 

 

  斜めの面に対して、正投影して原寸表示を実現する。ー補助投影

 ここで、斜めの面の形状を原寸で表現するために『補助投影』というテクニックを用います。

 やり方は、原寸表示したい斜めの面を基準にして、その面に対する直交面の正投影図を第三角法にの投影位置と同じように配置します。

 先ほどの斜面を補助投影を用いて配置すると、下図のようになります。

   

 対象としていた斜面を構成する面の形状とそこにあけられた穴がゆがみなく原寸の形状で補助投影図上に表現されている事が分かります。

 

  次回に向けて

 このように補助投影は、主として斜めの面などを基準に投影図を配置することで実現できますが、実際に三面図上で補助投影を追加する場合、上手く正投影の位置に補助投影図を書けない場合があります。

 次回はそういった場合の描き方について観ていきたいと思います。

 なお、繰り返しになりますが、機械製図においては正投影の位置に配置するのが大原則であることは忘れないようにして下さい。