議案第13号に反対した理由。 | おおつる 求 ブログ

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3月議会を報じる市議会だより

No.247春号をご覧になった方から、

「なぜ反対したのか」という問合せを

数件頂きましたのでご説明します。

 

 

 

 

私が反対した議案は、

市内に設置した防犯カメラ1200台を、

総入れ替えするため物品を購入する、

という議案です。

 

議案第13号  物品の取得について

 

この件は、市議になった8年前から、

議会で問題提起してきました。

 

過去のブログ

 

[質問報告]安全安心見守りカメラについて

 

カメラ1000台なければ犯罪は減らないのか(上)

 

カメラ1000台なければ犯罪は減らないのか(中)

 

カメラ1000台なければ犯罪は減らないのか(下)

 

 

 

 

なぜ議案に反対したのか。

反対討論動画はコチラ

 

 

 

議事録が掲載されるには、

まだ時間がかかりますので、

本会議反対討論の原稿を掲載します。

 

なお、あくまでも原稿ですので、

議事録とは多少表現が異なります。

予めご了承ください。

 

 

***反対討論***

 

 

議長の許可を頂きましたので、

私は議案第13号について

賛成することが難しいことを

表明し、その理由を述べます。

 

 

この議案は、犯罪の抑止、事件事故の

早期解決等を目的として、

市内の道路や公園に1200台整備している

防犯カメラ等を全台更新するため、

その物品を取得しようとするものです。

 

議案の内容である入札結果について

特に疑義はありません。

 

ただ、本当に全台更新することが、

今後の本市にとって良いことなのか、

本市が目指す姿なのか、という

議論・検証が十分にされていない、

との問題意識から意見を述べます。

 

 

 

私たちを取り巻く状況を確認します。

全国の刑法犯罪認知件数は、

2002年に285万件と戦後最大になりました。

 

国は官民一体の犯罪対策に乗り出します。

コンビニに防犯カメラ設置を依頼、

自転車の鍵のシリンダーロック化、

バイクのハンドルロック化、

警察の巡回強化、地域防犯パトロール、

自転車ラックの整備、放置自転車対策、

地域住民による見守り活動などです。

 

 

それらの対策により、

刑法犯罪認知件数は減少し続け、

2016年には戦後初めて

100万件を下回りました。

 

本市の傾向も同様です。

2012年は2,416件あった街頭犯罪認知件数。

13年は2106件と310件減(12.8%減)

14年は1805件と301件減(14.2%減)

順調に下降線をたどっていました。

 

 

そんな減少傾向が続く、

本市は2015年から2016年にかけて、

市内に1000台の街頭防犯カメラを設置、

その後200台追加されました。

 

 

 

治安に関する客観的データを「指数治安」、

肌で感じる治安を「体感治安」といいます。

 

体感治安と指数治安

 

近年、指数治安は改善しているのに、

体感治安は悪化している、と言われます。

 

体感治安が悪化している理由は、

センセーショナルな犯罪報道や、

予算確保のため治安悪化を強調する

関係機関の広報・宣伝の影響です。

 

 

だからこそ、公金を預かる私たちは、

冷静に物事を見ていく必要があります。

 

 

私は9月議会決算委員会及び

12月議会質問でカメラ設置効果に

一定の理解を示すとともに、

近隣他市の街頭犯罪認知件数や

検挙率をグラフで示したうえで、

1200台必要と考える市の根拠を

尋ねてきました。

 

 

伊丹市安全安心のまちづくりのための

カメラの設置に関する条例」附則2には

「市長は本条例施行後5年以内に、

本条例によるカメラの設置の必要性

及び効果について検討を加え、

必要な施策の変更、本条例の見直し

その他必要な措置を講じなければならない」

とあります。

 

2020年に都市安全企画課で

検証された報告書も読みました。

 

 

 

今後この施策を続けていくには、

3つの論点があると考えています。

 

 

 

 

①街頭犯罪抑止効果の観点です。

 

県内主要都市及び阪神間の

街頭犯罪認知件数の推移をみると、

自治体規模で件数の違いこそあれ、

カメラの設置台数にかかわらず

全ての自治体が減少の一途です。

右肩下がりで減少率に大差ありません。

 

また、凶悪犯罪が発生すると

防犯カメラとなりがちですが、

凶悪犯罪の抑止という観点では、

カメラは無力です。

それにもかかわらず市財源で

1200台のカメラが必要なのか。

 

 

 

 

②犯罪形態が街頭犯罪から、

近年は架空料金請求詐欺や

還付金詐欺など「特殊犯罪」へ、

時代とともに変化していることです。

 

兵庫県警によると、

2022年の特殊犯罪認知件数は、

前年比215件増の1,074件、

被害額は前年比6.1億円増の約18億1千万円。

 

件数は2004年に次いで2番目に多く、

被害額は過去4番目になりました。

 

地域別の発生状況では、

阪神間が40%、神戸が35%と、

被害75%を阪神・神戸が占めています。

被害者は65歳以上が全体の81%。

これが現在の犯罪傾向です。

 

ただ皆さんご承知のとおり、

特殊犯罪をカメラでは抑止することは難しい。

 

 

 

③事業効果検証です。

 

本市は1200台のカメラを設置しないと

街頭犯罪を他市並みに抑えることが

出来ないのか否か。

 

 

12月議会答弁

見守りカメラを含む

安全・安心見守りネットワークの整備は、

それ自身が目的ではなく手段にすぎません。

市民の安全・安心を守るために何が必要かを

常に意識し、これからも時代の要請に合わせ、

最少の経費で最大の効果を上げられるよう

努めてまいります。

 

 

設置当初と比較して、

店舗や自宅のカメラ設置が進むと共に、

ドライブレコーダーの急速な普及など、

社会を取り巻くカメラの状況は大きく変化しています。

 

 

 

①街頭犯罪認知件数の推移をみると、

カメラの設置台数にかかわらず、

全ての自治体において右肩下がりで、

その減少率にも大差がないこと

 

②凶悪犯罪抑止にカメラは無力であること、

近年の犯罪傾向は特殊犯罪に移っていること

 

カメラをめぐる社会状況を勘案した場合、

「これからも時代の要請に合わせ、

最少の経費で最大の効果を上げられる」

施策が、カメラ1200台全台買替なのか、

疑問を抱かざるを得ません。

 

 

また本市施策として全台買替えすることは、

体感治安悪化を招く一つの要因になります。

 

 

市内カメラ設置状況

 

 

限られた財源を有効活用する中で、

カメラ1200台全台買い替えが必要と

政策判断するのであれば、

誰も減らして欲しいと言われていない、

伊丹警察から感謝されている、

というような理由でなく、

様々なデータを多角的に効果検証し、

こういう理由で現状更新が必要、

という説明が必要です。

 

 

それが公金を預かる市長及び

この議案を審議する議員の責任です。

ただ検証報告書や議会答弁では、

そうなっていません。

 

 

 

以上のことから、

現状更新を進める議案第13号に

賛同することは難しいと

言わざるを得ないため反対します。