【概要】
婚姻費や養育費(子の監護に要する費用)を義務者が権利者に支払ったとしても、権利者が未払いとして司法(裁判所)での虚偽主張が多く散見されるようになってきた。法定代理人(弁護士)が預かり口座として仲介したとしても、あたかも無かったかのように偽造し、調停・審判が遅延することで弁護士の報酬が増えるという悪用がある。また未払いと主張しても、さほどお咎めないため、父母の対立をさせることで葛藤をつくり、それを理由に親子交流(面会交流)を減らすという手口まで存在する。そこで、二重払いを防ぐ目的とした民法486条によって受領証書を発行するように義務者(弁済者)が、権利者(受領者)に要求することを強くオススメする。
連絡用テンプレート
ご連絡
〇〇様 日付****
(××代理人) 名前****
住所****
前略
以下のとおり、受領者に対して****年*月**日に〇〇口座へ支払いました。つきましては受領証書を発行していただきますよう、よろしくお願いします。
なお、受領証書について必ず以下の記載事項を求めます。
・受領日
・受領金額
・受領者法人名(代理人の場合)
・受領者住所
・受領者氏名
・受領者の署名または押印
早々
▼判例
・弁済と受取証書との交付とは同時に実施されなければならない。(大判昭16.3.1)
・受領者(権利者)が受領証書の交付を拒絶したときは、弁済者(義務者)は提供物を交付しなくても遅延の責めを負わない。(大判昭16・3・1民集20-163)
⇒受領証書が確認できないときは、支払い方法および受領について合意ができたことが確認できないため、そのために次の支払いについて遅延が生じたとしても、その責任は弁済者(義務者)によるものなので、遅れても致し方がないことを示したものである。
▼法改正
直ちに対応することが困難な事業者に対しては、電子的な受領証書でもよい。しかし弁護士など紙契約が日常的になっており、日頃から高額な契約が大きいことからそのような対応ができないとは言い難い。個人同士であったとしても、特定の人で継続的な支払いがあるということであれば、書簡で送付することは、著しく不相当に困難とは考えられないであろう。
↑引用元