【概要】
別居や離婚に伴って生じるリスクとして、親子関係の悪化や、子ども自身の不安定な養育状況になることがある。法整備が十分に整っていないため、他国と比べて世帯という壁で大きな障壁を受けることがある。これに対してどのようなアプローチがなされているかというのを纏める。国会議員や地方議員も、共同養育のための動きを支えるために、歩みを進めている。
(目次)
1.(超党派)共同養育支援議員連盟
2.国会議事
3.質問主意書
【本文】
1.(超党派)共同養育支援議員連盟
子どもの最善の利益となるように社会的な共同養育を示すことができるように、党を超えた働きかけが国会議員によってなされれている。
(令和4年5月16日)
まず冒頭では、子どもの連れ去りが存在することを事実認識している。
そして、配偶者によって子どもを連れ去られた人に対して(別居親)に対して、真のDV被害者の保護(救済)しつつも、親権を巡る紛争から子どもを守るために、相談支援を拡充させることが提案されている。
提案内容として、ワンページプランとして纏めた図は、以下のとおりである。
2023.2.24
↑引用元
もともとは2009年に第171回国会で「離婚後の共同親権・両親による共同での養育を実現する法整備に関する請願」が大きな国会での動きとなった。当時の紹介議員については、現在とは様々な政党、意見を取っている方もいるが、超党派として結束するに必要なことを物語っているような気配にも感じる。
↑引用元
実はその後においても、2010年に請願は提出されていた。審査未了として取り扱わなかった。
↑引用元
●2021年衆議院選挙時の調査(外部リンク)
http://cdn.joint-custody.org/files/20211019-report-detail.pdf
●令和6年2月2日総会開催
住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置の見直し等
2.国会議事
国会議員の発言記録から、どのような議論があるのか把握することができる。時系列を明らかにするとその動きが少しずつ分かる。
●平成23年5月19日(虚偽DV)
子の監護に要する費用(養育費)は支払うけど面会交流が履行されない、虚偽DV申請があることを指摘している。
↑引用元
●令和元年11月14日
政府参考人として裁判官、検察官、法務官僚、民事局長など経歴の持っている方が、夫婦の感情的な対立で子の利益を反すると答弁。子の利益は裁判所がどちらか一方に親子を分断させることから、子が巻き込まれている。子の不利益である。
●令和3年3月30日(連れ去り件数の認識は低く、十分な対処ではない)
刑法の統計はきちんと取られていない。そこは実態を法制審議会が調査すべきであった。
●令和3年4月6日(親権者間における刑法の適用)
既に別居状態にあったところからの連れ去りを違法としている。最高裁の判例は、確かに2件だけで相当数少ないことが明確である。公的機関が機能していないことの裏付けではないかと思われる。
●令和3年4月13日(刑法と民法の保護法益と監護権)
民事法と刑事法のバランスが取れていないことを暗に示している。これは、令和4年2月の連れ去りに関する刑法に関する周知の前に立法側が行政運用を指摘していた。
●令和3年4月20日(判検交流や寛容性(親子交流が多いこと)に関する部分)
独立した三権分立ではないことや、面会交流(親子交流)に寛容性があっても、子の利益となっていない司法運用を指摘している。
●令和4年4月4日(DV多様化。故意に引き離すとそれもDVでは)
DVに対しての適正な救済手段がなく、虚偽DVとして親子断絶があることも答弁された。子を引き離したことにより、心身に影響があればそれもDVではないかということが読み取れる。そして子どもの権利条約第9条が機能していないことから国際的に指摘されていることも再認識させる場になった。
●令和4年4月22日
別居親の学校行事参加等について議題に上がった。
●令和4年5月17日(法制審議会の偏向性)
法制審議会が世論を救い上げ切っていない状態でパブリックコメントを始めようとする前の段階において、問題点は既に指摘されていた。
●令和4年5月19日(刑法224条の観点)
同居中に相手の配偶者に無言で了解を得ずに子の居所を変えた場合に、刑法224条の誘拐、略取誘拐罪に当たるという見解を、刑事局長から答弁があったことを再度確認されている。ところが、現場の警察などでは理解されていないことが現実としてある。
●令和4年11月1日
共同親権については多角的な議論をしているという発言があった。しかし令和4年11月22日の議事録にあるように、与党の意見は、法務省に届いていなかった。
●令和4年11月22日
家族法部会の議事録を公開してほしいという要望が出ていた。民主である与党の声は、そもそも国民意見に問う中間試案の解釈には当初から考慮されていないということが明確である。
●令和4年12月4日
法制審議会に関して判検交流が指摘されたが、経験を備えた視野の広い裁判官を確保することが目的であるという国務大臣からの回答があった。これでは経験則によって誘導がないとはいえないので、独立した三権分立とは言い難い。
● 令和4年12月8日
ハーグ条約に基づく対応になっていないことを指摘しても、対応がなされていると発言。
●令和5年3月3日
法務省関係者の情報リーク、または事実にない報道が東京新聞にあったのではないかという質問があった。一方で、共同親権の検討を急ぐという国の方針は変わらない模様である。
●令和5年3月9日
法務委員会で、親子が理不尽に切り離されて命を絶ってしまうこともあるエピソードを交えて、迅速な対応が必要だと質疑があった。虚偽DVによる支援措置の認識もある。
●令和5年3月15日
共同親権となることで、子供の貧困や虐待のリスクを減らせる可能性を総理大臣に提示している。子どもの虐待事案は、リスク5,6倍にも上がるという状況がひとり親家庭にある。(個人情報保護について過度の制限があるため、離婚後では一切アプローチできないのも問題ではないかと思われる。)
●令和5年4月25日
●令和5年4月26日
https://www.youtube.com/watch?v=f-JSa3pVwvg
●令和5年5月9日
こども家庭庁は、「子の監護に要する費用」に着目を主張を繰り返している。残念ながら、親子交流の不履行が多い。特に共同養育の必要性については視点になっていない。あくまで離婚前後の支援ばかりに集中している。なぜ子ども家庭庁は、子どものために提言をしないのだろうか。
●令和5年5月31日
父母の一方が子を連れて別居するケース一つ取ってみましても、もちろん事案によって異なるんですが、例えば不当な子の連れ去りという見方もあれば、DVや虐待からの避難という見方もありまして、これは一刀両断でこうだと決めつけるわけにはなかなかいかない問題だろうと思っています。 ただ、離婚などの裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDVを受けたかのように偽装して主張する場合もあるとして、そのような当事者や弁護士等の対応を批判する意見もあることも承知していますし、私も実際に聞いているということであります。
●参考:親族における幇助(賠償)責任と時効などの問題点の指摘
※他の分野(債務案件など)
●令和5年6月13日
令和3年10月20日、エマニュエル氏を大使に承認するのかを決めるアメリカ上院の外交委員会の指名公聴会において、委員長から大使に「475人以上のアメリカ人の子どもが国際的な実子誘拐されており、米国ではワースト3である。日本はハーグ条約に加盟しているが改善されていない」のでその責務が任されているという経緯を説明した。しかし政府参考人は、「ハーグ条約などで適切に対応している」という回答しか述べていない。
●令和5年11月8日
日本維新の会の池下卓議員は、「親子の関係というのは切っても切れないもの」「離婚に際して、親子の断絶、これは決してあっちゃならないこと」「お子さんが双方の親からの豊かな愛情を持って大きく育っていく、これが本当の意味での子供の利益」という想いを発言されている。
●令和6年3月8日
民法の一部を改正する法律案について国会提出。
↑引用元
●令和6年3月14日
ついに共同親権の法案について本会議により質疑がなされた。
●令和6年4月3日
法務委員会 要点まとめ
『裁判所が定めた親子交流(面会交流)が履行されないときは協力義務違反となり、親権変更、停止などの手続きの考慮事項になりうる』
●令和6年4月5日
法務委員会 要点まとめ
『共同親権は子の養育のため』
『法案は連れ去りを防げない。親子引き離しはDV』
『裁判所は、指摘し合う場。変わるべき』
『同居親が協議を応じない。協力義務の促進を』
『親子交流をせず、親子断絶は不適切』
↑引用元
●令和6年4月9日法務委員会
小泉龍司 法務大臣「親権の単独更新が可能な場合を拡大することは、子の養育に関し、父母双方が熟慮の上で、慎重に協議する機会を狭めることとなり、子の利益の観点から、相当ではない」
⚫︎令和6年4月12日
共同親権法案は、衆議院法案委員会で可決。
(補足)民法等の一部を改正する法律案に対する修正案要綱がある。施行日から5年後に状況を見ながら見直す。おそらく10年後に再度大きな法改正の施行はあるだろう。監護の実効性が担保される世の中であれば、子どもたち世代が不憫な想いにならなくて済む。
⚫︎令和4年10月24日
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