映画本。
「観ずに死ねるか!」シリーズの第四弾は絶望編。
「観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ88
総勢70人が語る極私的トラウマ映画論」
園 子温,宇多丸,二階堂 ふみ, 染谷 将太 , (著)他。
鉄人社/2015.6.20/1800円
これでもかと襲う不幸、理不尽な狂気、負の連鎖、
死にまっしぐらな生き様、救われない結末---。
本書は、男と女の、家族の、人生の、世界の“絶望”を描いた映画を
クリエイター、パフォーマー、文筆家70人が個人的視点で
語り尽くした1冊である。
<扉より>
「悲劇」「戦慄」「破滅」「哀切」「狂気」の
第五章からなり、詳細な映画紹介と執筆陣の
トラウマ度合い、絶望度が語られる。
執筆陣がとてもそそる。
何をもって「絶望」とするかは人それぞれだが、
逃げ場のなさ、救いの無さ、観終わった時の
虚無感は計り知れない。
ドヨンとなりたい人、ドン底に突き落とされたい人、
読んで、映画を観るべし。
私の中の絶望シネマは
「ジョニーは戦場へ行った」かな。
この本では、森達也が紹介していて、
「辛くて声をあげたくなる。
でも、どんな声をあげればいいのか、僕にはわからない」
と、それがあまりに深い絶望であることを語る。
ドリアン助川は「髪結いの亭主」を、ある女性に
「官能的だ」と言われて観たと、紹介。
そして、「『死ぬ』か『狂う』かでしか『時』
と対峙できない」という儚さを語っている。
ドリアンさんのレビューはやはり詩的だ。
新藤兼人監督の「銃殺」が紹介されていた。
壮絶そうで、怖いが、観たくなった。
ああ、絶望の闇が私を呼んでいるぅぅ。
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