この記事は2919文字です。(読破予想時間:約6分57秒)
ミュージシャンや芸能人に、「お前なんか知らない」と、知られていない事をアピールするのが最高の攻撃だと思ってる人間は案外多い。
Yahoo!ニュースなどで、あまり有名でない芸能人やミュージシャンの記事が出た時、Yahoo!コメント(通称ヤフコメ)などでは、「誰?」「誰?それ」「こいつ誰だ?」「誰も知らない芸能人は取り上げなくていい」などと、その人を全く知らない、名前を聞いた事も顔を見た事もないと言わんばかりのコメントがずらりと並ぶ。
中には当然、本当に「誰?これ」と思ってそのまま書いている人もいると思う。
しかし、見ている限りでは、これが攻撃の言葉、いわゆるヘイトスピーチであると感じるものがほとんどである事も事実だ。
まるで「大した知名度もない癖に調子に乗るなよ」と言わんばかりに感じるものも多い。
攻撃と一口に言っても、その種類は大雑把に大別するだけでも2種類の攻撃対象があって、誰かも分からない人間を取り上げるマスメディアに向けてのコメントと、知名度が低い事をバカにして責め立てる様な、その芸能人・ミュージシャンに向けてのコメントがある。
何でも叩きたい人、人を傷付けるのが快感ってたぐいの奴は、それなりの人数がいるもので、大して有名でない芸能人やあまり知られていないミュージシャンがメディアに登場した時は、けっこう、このワンパターンの攻撃が始まる事が多い。
それを「やめなさい」とも思わないし、「何だこいつら」とも思わないが、僕もあまり知られていないミュージシャンの一人なので、そう言う事を言われた時のミュージシャンの心境と本音くらいは分かる。
それを、同じ様な立場のミュージシャンの視点からなかなか聞けないミュージシャンの本音として、トリビア的に書いてみようってのが今回の試みだ。
まず、ずばり答えを書くと、「誰?」「こんな人知らない?」なんて言われても、無名のミュージシャン達は傷一つ付きはしない。
平たく言うと、そんな事を言われても何とも思わないのだ。
これは強がりではなく本当の話だ。
「誰?こいつ」だとか、「こいつ」呼ばわりされてりすると、そこにカチン!と来るミュージシャンは少なくないとは思うが、無名である事を指摘された点については、本当に何とも思っていない。
寧ろ、「逆に知ってた方がびっくりするわ!」って話なのである。
ミュージシャンは皆、自分の位置くらい把握はしている。
売れたいとは思っていても、売れていない事を恥じてはいない。
ミュージシャンとしてやっていこうって人間は皆、自分の作品には自信を持っている。
自信すら持っていない様では、ミュージシャンとしてやっていこうと言う発想にはならない訳で、そこは、モデルでも格闘家でもお笑い芸人でも料理人でも何でも同じだろう。
ただ、音楽アーティストにとっての自身とは、自分の思う通りに表現が出来たかどうかが一番大切なのであって、そこがキチンと出来たかどうかは本人以外に知り得る人間はいない。
つまりは、アーティストの自信とは、自分の作品を信じる気持ちが大部分を占める。
それは、勿論、作品を生み出す能力や表現力への自信でもある。
あとは、自分の信じる世界を理解出来る者がいるのかいないのか、いるとすればどれくらいいるのか、すなわちそれを示すものは売り上げであると言う事なのだ。
その理解者がどれくらいいるのかを計るには、たくさんの人に自分と自分の曲を知って貰う必要がある。
その為に宣伝に宣伝を重ねる訳だが、まだまだ宣伝が行き届いていないからこそ無名なのであって、そこと実力とは明確に違うものなのである。
そこが一般の人にはいまいち理解されていない所だ。
◇一般人てどういう意味?ってそりゃあーた
そして、ミュージシャン達は、どれくらい自分達の宣伝がなされていて、どれくらいその効果が広がっているかは既に把握している。
そこで、ネットの誰かも分からない人間に「こんな奴知らない」と言われた所で「そりゃ、そうだろな」と思うだけである。
プラス、「こんな奴」って誰に向かってぬかしとんねん!となるミュージシャンは多く、怒りのツボは、皆が思っている所とは違う。
つまり、知らない人間から「こいつ」「お前」「奴」と非常識な呼ばれ方をされる部分に不快感を示すくらいで、そこは一般人と何ら変わりがない。
要は、無名のミュージシャンにとっては、ほとんどの人に認知されていない事は、当たり前の事なのだ。
僕も、ちょっとした事でどこかの記事で取り上げて貰ったり、TwitterなどのSNSでバズったりした時に、「こいつ誰?」「あんた誰?」などと言われた経験はある。
直接やりとりしたからこそ感じる事なのだが、この言葉のほとんどに悪意が100%全開で込められている。
中には丁寧にそのまま、「この方の事は、知らないのだけれど」と正直に述べた上でレビューを書いてくれたりする人もいるので、そういう人達まで攻撃する人間だとは、勿論、捉えていない。
そして、そんな人には、こちらが腹を立てる要素など皆無だ。
悪意を込めて、そう言う台詞を吐かれた時の事を今改めて思い出すと、その時の心理が蘇ってきたのだが、その時に思った事は前述以外にそういや他にもある。
実名で日夜、少しずつでも広報活動をしてきてる立場からすれば、「お前こそ誰?」「匿名の分際で何言ってんの?(笑)」って事だ。
名前も明かせない奴が、「お前誰?」も何もあったもんじゃないだろ?(笑)
こちらは少なくとも、その話題でも少しは認知された訳だし、普段から少ないまでも徐々に認知が広がる広報活動はしている訳だから、少なくとも「お前よりは知名度はあるよ。(笑)」とすら思えてしまう。
勿論、匿名でネットにいろいろ書き込んだり活動したりする事が悪いと言ってる訳ではない。
匿名で、ああ言った台詞を吐ける事が、頭も悪そうに感じるし、情けないし、哀れさすら感じるし、恥ずかしい奴だとも思えると言うだけの話だ。
エチケットを守って普通にネットを活用している大半の人達の場合、人によって、それぞれの事情や価値観があるだろうし、その事情に合わせて、匿名で活動するならどんどん活動すればいいと思う。
匿名である事自体は、悪ではないし、実名を晒すとリスクも伴うので、通常は匿名でのネット利用がいいのではないかと思う。
冒頭に書いた通り、そういう事はやめろと言うつもりもないけど、そんな事を書いても、全然相手にダメージはないし、意図した効果は一切期待出来ないよって話だ。
と言っても、この記事は、そんな風に知名度が低い芸能人やミュージシャンを攻撃する人間に向けて書いている訳ではなく、ごく普通の善良な読者に「へぇ〜」と言う思いが沸き上がる程度に楽しんで貰えたらと思って書いた記事だ。
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