この記事は4191文字です。(読破予想時間:約9分58秒)
音楽で私が伝えたい事。
ミュージシャンの口から、そんな台詞を聞いた事はありませんか?
ほとんどの人が、けっこう頻繁に耳にしてるんじゃないでしょうか。
僕も一人の音楽アーティストなのですが、そんな僕の観点から、音楽家の言う所の伝えたい事について解説してみたいと思います。
一般にそれが誰であれ、何かを伝えたいと言ってる場合は、それは、言葉である事が多い。
なので、ミュージシャンが「自分の伝えたい事」と口にした時、それは、歌詞の中に込められていると考える人が多いのではないだろうか。
確かに、伝えたい事=歌詞に込められている、と言うパターンは多い。
しかし、今回の記事タイトルにもなっている通り、そうとは限らないと言うのが事実である。
「私の伝えたい事」ではなく、もし、「私の伝えたいメッセージ」と言う様にアーティストの口からメッセージと言う言葉が漏れた時には、伝えたい事は、歌詞に込められている可能性が更に高くなるだろう。
だが、それすら、必ずしもそうであるとは限らないのだ。
既に口癖の様にこのブログでもあちこちに書いてきた事ではあるが、僕が楽曲を作る際には、自分が何を伝えたいかと言う事に重きを置いている。
何を伝えたいかと言うと、先述の通り、歌詞の事だと思われがちだが、僕の場合も、伝えたいものは歌詞とは限らない。
勿論、歌詞を伝えようと、伝わり易いメロディーやアレンジを組み上げる事もあるし、実際、その比率は高い。
でも、それとは逆に、歌詞は曲に乗ってさえいればいいのであって、その内容そのものはあまり重要じゃない場合もある。
そう言った場合に伝えたい事なんてのは、例えば、リズムなら「こんなリズム気持ちよくない?」と言うのが、曲に込められた僕のメッセージだったり、「こんなアレンジ、僕は好きなんだけど誰か同じ様な感覚の人いない?」と言うのが伝えたい事だったりする場合もある。
そう書くと、「この曲は、歌詞?それともリズムを伝えたいの?」などと、完全に分けてしまおうとする人も出てきそうだが、実際は、一曲のそこかしこに伝えたい事は詰まっているもので、「この曲は、歌詞を伝える曲で、この曲は、このドライブ感の気持ち良さを伝えたい曲なんだ」って具合に、何処が伝えたい部分なのか、必ずしも明確に分けられると言うものでもない。
「全てに伝えたい事が込められているのは当たり前の事だ、全てが大切に決まっているだろ!」などと言う人もいるだろうが、今話しているのは、そう言う次元の話ではない。
イントロがあって、一番を歌って二番を歌う、間奏に入ってまた三番を歌い、そしてエンディング(アウトロ)を演奏して終わり。
例えば、そんなよくある構成の曲があったとしよう。
そして、この曲の歌詞は一つの物語を1番から3番までで歌っている曲だったとする。
勿論、この曲で一番伝えたい事、つまり主役はその物語だ。
当然、イントロは、物語の掴みとしての役割なので、演奏が始まると同時に皆が耳を傾けてくれる様なイントロである必要がある。
これは、凄く重要な役割だ。
しかし、この部分は主役ではなくあくまで導入部分なのだ。
イントロが終わった後、聴き手がぐったりするくらい濃密な、主役を食ってしまう程の演奏をする必要ない。
何だか素敵な物語が始まる予感をさせる表現が出来ればそのイントロは成功と言えるだろう。
勿論、作者や奏者としては、ここも聴いて欲しい部分であり、聴かなくていい部分など何処にもなく、全てが重要である事は間違いのない事実だ。
そして、イントロからごくスムーズに物語に移行できて、イントロで掴まれた聴き手の心をそのまま掴んで離さなければ、この曲の物語のスタートは成功と言えるだろう。
この物語を成功させる為には、勿論、歌詞が一番重要な要素になってくる。
そして、次にそのイメージを増幅させる、歌詞に合ったメロディーも凄く重要である。
ここで、歌詞と合わないしょぼいメロディーをつけてしまうと、どんな素晴らしい歌詞も間違いなく死んでしまう。
◇曲に詞を乗せると言う事
これはもう、歌詞とメロディーは、二つで一つと言っても過言ではない。
その歌とメロディーのバックで流れる演奏もとても重要で、邪魔せず、控え過ぎず、しっかりと雰囲気を作って盛り上げてやらなければならない。
とまぁ、そんな感じで曲は先へ続いていき、エンディングの演奏を聴き終えた人達は、うっとり、思わずため息が漏れると言う進行が作者の理想だったとしよう。
この説明を聞けば分かる通り、どうでもいい部分など何処にもなく、全てが重要なのである。
でも、その意味で全てが重要であると言うのと、何を一番伝えたかったのかと言う意味は、また違う。
確かに一番伝えたかった事が一番重要だと言う言い方も正解ではある。
しかし、一番と言う序列がついてしまうと、あたかも、二番以降は、少しずつ重要ではないと言う感じがしてきて、序列の低い部分は重要度が低く適当でいい様な印象を与えてしまいかねないとは思うのだが、実はそうではなく、矛盾している様ではあるが、全て重要だと言う事も間違いないのない事実なのだ。
演劇と同じで、主役だけでは劇は成り立たない。
敵役や脇役が素晴らしければ素晴らしい程、劇全体が良くなる事は周知の事実なので、それと同じく、音楽だって、全体をどんどん良くしていく為には、手を抜いていい場所などどこにも存在しない。
随分、話が横道にそれてしまったので、話を元に戻していく事にしよう。
僕は、ついこの間も記事に書いた通り、僕が今までソロで書いて発表してきた曲は、全て歌ものだ。
◇Re:いずれ忘れてしまうようなフレーズは駄作か?
そして、過去に発表した曲も、未発表の曲もほとんどが歌ものである。
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インストもないではないが、かなり少ないのは確かだ。
その歌ものの曲を書いていても、中には、どうでもいいと言うと語弊があるが、歌詞の内容はそれ程重要ではない曲もある。
具体例をあげると、その曲のノリや各楽器の自由度、誰もが参加してみたくなる様なセッション感、そんなものをファンキーに表現したくて書いた曲がこの『Shake!(JASRAC作品コード:215-8071-5)』と言う曲だ。
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この曲の歌詞は、あまりメッセージ色が強いと、意図する所と違う所にリスナーとプレイヤーの神経が行ってしまうので、誰が聴いても軽いノリと感じる内容に意識して書き上げたのであって、何でもいいから適当に歌詞をはめ込んだと言う訳ではない。
曲との世界観の一致だとか、ちょっとした言葉遊び、そして、受け取りようによって、いろんな意味になってしまう「Shake」と言う単語のチョイスなど、けっこういろいろ凝ったつもりではある。
しかし、この曲に関しては、歌詞は主役ではない。
セッションついでに、自分なりのshakeな内容の歌詞をアドリブでどんどん歌っていって貰っても構わないし、きっと、それは楽しい筈だ。
要は、この曲の一番伝えたい所と言うのは、ワクワクする様なセッション感なのだ。
この曲は、楽器のパートや楽器の数やボーカルが増えても、どうにでも演奏出来る、自由度の高い作りになっている。
鍵盤やブルースハープやホーンセクションが入ったとしても違和感など微塵もない筈だ。
各ソロパートなども、誰がどんな風に演奏しようと自由だ。
そのままコピーする必要など何処にもないし、勿論、頑張ってコピーしてくれても構わない。
そう言う意味でも自由な曲なのだ。
この曲を学園祭などで誰かに演奏して貰えて、盛り上がってくれるのなら、物凄く嬉しい事だ。
楽器と歌、全体の絡みの後に来る、短い、ギター、ベース、ドラムなど、各パートのソロ。
この交互に来る絡みとソロの両方が、伝えたい部分であり、それに加えて、最後に向かって、楽器の自由度がどんどん上がっていって、好き勝手に盛り上がっていけるその感じが伝えたい所なのだ。
そして、最終的に目指す所は、聴いた人が「あ!分かる!」「お!こんなの好き」って理解者が現れてくれて、リスナーになり、ファンになってくれる事なのだ。
今までに、僕のアート論を語った記事やYouTube動画の撮影後記などで、何度か書いてきた事だが、僕は、この同じ感覚を理解し合える人達、すなわちファンを探す事を、音楽活動だと位置づけていて、それを仲間探しと表現したりする。
◇アート(芸術)とは
◇『勘弁してよ!お願いだから』撮影後記
同じ仲間探しでも、これは、気の合うミュージシャン同士の仲間を探す事やバンド仲間を探す事とはまた違う事なのだ。
ミュージシャンにとって、ファンとは最大の理解者と言っても過言ではないだろう。
「音楽で伝えたい事とは、歌詞であるとは限らない」の意味、伝わりましたでしょうか?
それでは、あとがきへ。
さっきのたった一曲の例えで、読者にどこまで伝わったか分かりませんが、僕が例を挙げ出すと、半端なく挙がりますので、この辺で自粛しておこうと思います。(-。-;)
それではみなさん、ごきげんよう。(。´・∀・)ノ゙ バィバィ~
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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