この記事は4129文字です。(読破予想時間:約9分49秒)
今日は、アコースティックギターの右手のフィンガリングについての話です。
と言っても、弾き方講座ではなく、フィンガリング四方山話です。
みなさんは、カーターファミリー奏法と言う弾き方をご存知ですか?
カントリー&ウェスタンやブルーグラスなどのバンジョーを彷彿とさせる様な、軽快な奏法を指します。
説明するより聴いて貰った方が早いと思うのですが、長年弾いていない間に実は、この奏法がほとんど出来なくなってしまってます。(;^_^A
昔は、寧ろ、最も得意な奏法の一つでもあったのですが、そう言えば30年くらいこの奏法からは遠ざかっているので、弾けなくなっても当たり前かもしれませんね。( ̄Д ̄;;
それでは「百読は一聴にしかず」って事で、そんな鈍った腕で弾く僕のギターで申し訳ないですが、僕が今しがた弾いて録った音声動画を聴いて下さい。
◇カーターファミリー奏法
短いフレーズですが、どういうものかはおそらく伝わったのではないでしょうか。
ここからしばらく余談になりますが、こう言った音声動画をお手軽に作りたいと思った場合、プラグ・インで録音出来てしまう、エレキやシンセなどと違って、アコギなどの生楽器は少し億劫じゃないですか?
奇麗に録りたいのなら仕方がないけど、気軽に録りたいだけなのに、わざわざマイクを立てなくてはならないなんて、ホント、億劫で面倒になります。
エレアコを持っている人ならば、プラグをミキサーに突っ込めばいいだけなんでしょうけど、僕はエレアコは持ってません。
そんな時に便利なものが、これです。
じゃじゃん!
Dean Markleyピックアップ
使い方は本当に簡単で、アコースティックギターのサウンドホールに取り付けて、プラグをPAに突っ込んで演奏するだけです。
Dean Markleyのピックアップをアコギのサウンドホールへ
サウンドホールへピックアップを装着
Dean Markleyピックアップのプラグ
今回は、張り替えたてで弦のコンディションが一番良い状態のYAMAHA FG-250DにDean Markley(ディーン・マークレイ)のピックアップを装着して鳴らしてみましたが、いつもメインで使っているGUILD F30NTの弦のコンディションがいい時にでもF30の生音(マイク録り)とDean Markleyの音の聴き比べ音声をアップしてみようかと考えています。(追記:アップしました↓)
◇アコギのライン録りとマイク録り・比較
このDean Markleyのピックアップの音そのものは、動画で聴いた通りあまりいいとは言い難いものです。
アコギの良さである、胴鳴りが全くと言っていい程なく、ただ弦の響きだけを拾って増幅しているといった感じです。
でも、ピックアップを仕込んでいない生ギターしか持っていない、僕の様な人間には、こんな時、このピックアップは本当にお手軽で便利です。
他にもいろいろ便利に使わせて貰ってますが、その話はまた今度にでもするとして、長い余談から元の話へ戻したいと思います。
最近は、カーターファミリー奏法を使った曲がヒットしたり、新たに作られたりする事はめっきり少なくなりましたが、昔、この奏法が一世風靡した時代があります。
僕が初めてギターを手にしたのはそんな時代の末期頃でした。
もしかしたら、末期すらもうすでに終わっていて、その末期の余韻が残った時代だったのかもしれません。
◇ニューミュージック世代が当時を語るぞー!
どっちにしろ、その頃は、カーターファミリー奏法はけっこう頻繁に使われる、誰しもが聞き慣れた時代でした。
そんな時代にアコースティックギターを手にした僕は、その時代の人間らしく、カーターファミリー奏法は早い段階で身につけようと練習を始めていました。
まず最初にアコギで覚える事と言えば、いわゆるローコードです。
そのローコードを押さえながら、それと同時に右手で簡単なストロークを練習します。
それに慣れてきたら次はアルペジオの練習に入ります。
こう言った流れは、今も昔もほとんど違いはないと思いますが、当時は、その次にスリーフィンガーで弾くカーターファミリー奏法と言うものがほぼ必須の様に教則本にも載っていたものなのです。
カーターファミリーと言えば、日本ではフォーク系の音楽によく使われた奏法で、今では、そういう系統が好きな人だけが弾ける特殊な奏法の様な扱いになっている事も多く、もう何年も初心者から当たり前の様に、この奏法を身に付ける人には出会ってない様な気がします。
カーターファミリー奏法はスリーフィンガーで弾かれる事から、当時、スリーフィンガー奏法と言えば、カーターファミリー奏法の事を指しているのが、ほぼ普通の事でした。
その後の世代の人にとっては、スリーフィンガーなんてそんな限定的な意味を持って話していない事でしょう。
古いブルースナンバーなんかも、スリーフィンガーで弾くのはけっこうオーソドックスな方法ですし、スリーフィンガーと言えば、その名の通り、何本の指を使って弾くのかと言う意味に他なりません。
しかし、僕よりも特に上の世代の人が「スリーフィンガー」と言う言葉を使う時、それは、大抵の場合、カーターファミリー奏法の事を限定して指していると言う事を覚えておくと、フォーク世代の大人達との会話が比較的スムーズにいくと覚えておくといいかもしれません。
ちなみに、カーターファミリーを覚える前に覚え始めるアルペジオと言う奏法は、当時も今と同じで、4本の指で弾く、フォーフィンガーが主流でした。
僕は、八分音符が中心のアルペジオを4本で弾ける様にやっとなったところで、16分音符を連発するカーターファミリーを覚え様とした時に、ふと、疑問に思った事があります。
それは、よりたくさんの手数が必要な奏法の方が、何故、使う指の数が減るのだろう?と言う事でした。
未だに、この疑問に関する明確な答えは出ていません。
でも、音数が約2倍になる奏法で、普段の指の数より少ない指しか使わないなんて、子供が考えたっておかしいと思う筈です。
しかし、わざわざそんな不利な事をするくらいなのだから、きっと、意味がある筈と言うのも頭によぎったのですが、結局、僕はカーターファミリーをフォーフィンガーで覚えてしまったのです。
このスタイルで約2年程でしょうか、通したのですが、特に不便な事はありませんでした。
しかし何となく、スリーフィンガーで弾いてる方がカッコいい気もして、結局、スリーフィンガーに矯正してしまいました。
フォーフィンガーからスリーフィンガーへのスイッチはそんなに苦労はせずに、けっこうすぐに移行出来た様に記憶しています。
でも、スリーフィンガーで弾くのが、自分の中でも普通になった頃には、フォーフィンガーで16分音符を弾く方が圧倒的に楽に早いフレーズが弾けると言う事にも体感で気付いていたのです。
結局、早いフレーズを引き続ける場合、スリーフィンガーの方が腕が疲れると言う難点を発見したくらいで、未だに、スリーフィンガーにして良かったと言う利点を何一つ発見していません。
ただ、カーターファミリーではなく、古いデルタブルースなんかを弾く時もスリーフィンガーがけっこう主流で、僕も、スリーフィンガーで演奏しています。
でも、カーターファミリーと違って、ブルースギターと言うものは、各弦に対する指の担当がはっきりと決められない事が多いんです。
カーターファミリー奏法の場合、1弦は中指で、2弦は人差し指で、他の4本は親指で弾くと言う役割分担が崩れる事はほとんどありません。
しかし、ブルースギターの場合、親指と人差し指を同時に使う事が多く、その後、2弦を担当すべき指は、どう考えても中指しかなく、中指は2弦と1弦を担当しつつ、また人差し指があくと2弦は人差し指が担当したりで、担当の指を明確に決められない程に、その動きは複雑です。
そして、ベース音を親指で弾いた後に、高音弦3本同時に弾く様な場合も多く、こう言った場合4本目の薬指も登場させなくてはどうしようもありません。
ならば、始めからフォーフィンガーで弾いた方がいいのではないかとも思う訳です。
でも、黒人のブルースの神様達はこういうギターをスリーフィンガーで弾いていますし、そこにはやはり意味があるのではないかと思ってしまう訳です。
ブルース系のギターを弾いてると、弦を指で引っ掛けるスラッピングと言う奏法をよく用います。
試しに、ブルースナンバーをフォーフィンガーで弾いてみた時の事です。
フォーフィンガーでは、このスラッピングがどうもうまく弾けないのです。
僕は、長い間、ベーシストをやってた時期がありました。
ベースは独学ではありますが、自分なりに基礎から学んだ楽器ではあります。
そのベースのスラッピング、いわゆるチョッパー奏法の際の腕の角度と、ギターのスリーフィンガーの時の手の角度がフォーフィンガーより近い角度なのです。
なので、スリーフィンガーの方がスラッピング混じりのブルースギターは弾きやすいと感じたのでしょう。
でも、それはベーシストとしてやっていた特殊な事情がある人間だからこその事情で、本場の黒人ブルースマン達が、だから、スリーフィンガーで弾いていると言う訳はありません。
結局、謎のままなのですが、今の所、アルペジオはフォーフィンガー、ブルースやフォークはスリーフィンガーと言う方向で演奏しています。
しかし、何故、スリーフィンガーなのかって言う理由は今でも謎で、その謎は是非知りたい謎だと思っています。
あと、ツーフィンガーと言うのもありますが、そこへ手を伸ばす気は全くないです。
因みにエレキの場合のアルペジオは、指ではなくピックで弾きます。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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