人類の負の遺産・アウシュヴィッツ収容所
僕は今回の旅で、ユダヤ人に関する様々な場所を訪れてきた。
ユダヤ教の聖地・嘆きの壁があったエルサレム。
今もパレスチナ人との問題が続く、イスラエルとPLO自治区。
モーセと共に海を渡り、十戒をモーセが授かった場所、エジプト(シナイ)。
宗教的にも政治的にも重要な場所、ヨルダン川流域。
欧州各地に今も残されている、数々のシナゴーグ・・・
旅に出る前までは、ほとんど知らなかったユダヤ人の軌跡を、
気が付けば、こんなにも訪れていた。
そして今日訪れた場所は、このユダヤ人の軌跡の最期の地となる、
世界で最も有名な、人類の負の遺産である場所。
そう、アウシュヴィッツ収容所。

もう今更説明は要らないだろうが、
第二次世界大戦中、ここではユダヤ人や政治犯罪者、ロマ人などが収容され、
少なくとも300万人の命が奪われた(ビルケナウと合わせて)とされる。
アウシュヴィッツ収容所のエントランスを入り、
最初に見えてくるのが、この門。

『働けば自由になる』と書かれているのだが、
実は3文字目のBはさかさまになっている。
これを作ったユダヤ人のささやかな抵抗だといわれている。
門をくぐると、3階建ての赤いレンガ造りのバラックがいくつも見えた。

敷地内は、世界的な観光地ということもあり、とても綺麗に整備されており、
当時の面影を残すような雰囲気は、全くといっていいほどなかった。
30個近いバラックの中は、館内にそれぞれのテーマに沿った展示がされており、
収容所内での生活や連行時の様子、国籍別のユダヤ人についてなどがあった。

金網に囲まれた道

イスラエルの大統領訪問の石碑

10号棟と11号棟の間にある死の壁

毒ガスとして使われた、悪名高きチクロンB
展示品の中には、囚人の髪の毛で作られたじゅうたんや押収されたカバンなど、
生々しい展示品がガラスのケース内に無造作に山積みされていた。
その中でも最も印象的だったのが、義足や義手の展示品。
義足や義手一つ一つに書かれた名前や傷ついた様子が生々しく、
思わず目を覆いたくなるような光景だった・・・
アウシュヴィッツの見学を1時間半ほどし、次はビルケナウへと向かう。
ビルケナウはアウシュヴィッツから2kmほど離れた隣町にあり、
当時は、第2アウシュヴィッツとも呼ばれていた。
ビルケナウ収容所はだだっ広い草原の中に建っていた。
見渡す限り草原といった言葉がぴったり来るような、広い敷地だった。
この広い敷地に、木造・レンガ造りのバラックが並んでいる。


バラック内の環境は、アウシュヴィッツのそれよりとても酷く、
正直人間が暮らすような場所ではなかった。


床のない館内は湿気臭く、ベッドは木の板を組んだだけ。
当時はベッドの上に腐った藁がひかれ、その上で人々は寝ていたという。
さらに、僕も今回体験したが、夏は非常に虫が多く、
逆に冬は、雪の降る凍てつく寒さから人々は寄り添って寝ていたという。

当時の写真
はっきり言って家畜並みだ。
いや、扱われ方も考慮すれば家畜以下である。
(家畜さん達、申し訳ない)
当時の姿のまま残るバラックの中で、僕は深い悲しみを感じた。
収容所の入口となっているSS(ドイツ軍)の管理塔の下には、
今も線路が残されており、この線路は収容所内へと続く。

各地からの列車は、別名・死の門といわれたこの管理塔をくぐり、
収容所内に入ると、すぐに選別が行われたという。
そして到着早々、半分以上の人々がガス室へと直行した。
ガス室は線路が途切れたところのすぐ奥にあり、
列車から降りてすぐ行けるよう設計されていた。
ガス室の裏には焼却炉があり、裏の山では野焼きもされたという。
僕はここで、またしても深い悲しみを感じた。
この一連の流れ・・・
まるで作業だ。
ベルトコンベアーでの流れ作業とそんなに大差を感じられない。
ここビルケナウが殺戮工場と呼ばれた意味が分かったような気がした。
敷地内を一回りし、そろそろ帰ろうかと思った時、
収容所内の線路の近くで異様な雰囲気の団体さんを目にした。
遠目からでもはっきりと分かる。
イスラエルからの団体さんだ。

高校生くらいの年齢の子がほとんどだったが、
彼らの目には涙が溢れており、何人かは国旗を掲げていた。
連行するために使われた車両を、まるで嘆きの壁のようにして祈り、
線路の上では女の子達が抱き合いながら、声を出して泣いていた。
そのうち、何の合図もなしに、祈りの歌をみんなで歌い始め、
歌が終わると、深い黙祷を線路に向かって捧げていた。

この光景を見て、僕も思わず涙が出てしまった。
それと同時に、だったらなぜ今パレスチナ人に同じことをしているのか、
という、やり場のない想いも一緒にこみ上げてきた・・・
人間の歴史は、戦争の歴史といわれるように、
これまでの歴史の中で、戦争や争いが無くなったことはない。
もちろん、平和とされる今であっても、
世界中の至る所で戦争や争いは起きている。
人間が生きている以上、戦争は無くならないとも言われるが、
どうにかして、無くすことは出来ないものか?
そのことを改めて感じた、数時間だった。
≪アクセス≫
クラクフからはバスターミナルからでているバスが便利。
バスはミニバスと大型があり、ミニバスのほうが早い。
始発は7:10からあり、午前中は便が多かった。
バスは1時間に1~3本あり、所要1時間半、料金はミニバスで9zt。
列車の場合は、現地の駅から収容所まで距離があるため不便。
アウシュヴィッツとビルケナウの間は、無料バスが運行している。
乗り場はどちらもエントランス前の駐車場で、30分おきに運行。
アウシュヴィッツから毎時00分、30分、
ビルケナウからは毎時15分、45分で、所要5分ほど。
≪アウシュヴィッツ見学時の注意≫
オンシーズンの期間は、10時から15時に入場してしまうと、
ガイド付きでしか回れなくなってしまう。
個人で回りたい方は、それ以前かそれ以後に入場すること。
ただトップシーズンである7~8月はとても混み合うので、
朝一に訪れるのがおススメ!!

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Vamos Espana !!
スペインおめでと~!!!!
本当に、本当におめでとうございます。
正直、勝負強いドイツとの戦いだったので、ここまでかとも思っていたけど、
今回のスペインは一味も二味も違いますね。
正真正銘の無敵艦隊見参です。
今日の試合は、まさにW杯といった、素晴らしい試合だった。
いつもと変わらず、ボールポゼッションが高く、華麗なパスワークを披露したスペイン。
シンプルに力強く、したたかなサッカーを展開したドイツ。
どちらのチームも勝者に値する試合をしたと思う。
1ヶ月近く続いたW杯も、いよいよ残すは2試合。
決勝はオランダ-スペインと、これ以上ない好カード。
どちらが勝っても初優勝だが、ここまできたらぜひともスペインに勝ってほしい。
Vamos, Vamos, Vamos, Espana!!!!!!!!!!

ここポーランドでも非常に関心の高かった試合

勝利の瞬間

決勝点を挙げたプジョール
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東・中欧エリア最後の国・ポーランドへ ~クラクフ、ヴィエリチカ~
え~、ハンガリーの後は、スロヴァキア。
のはずでしたが・・・
ハンガリーでちょっとゆっくりしすぎたために、時間が・・・(笑)
ということで、やって来ましたはポーランド。
今回の旅の東・中欧エリア、最後を飾る国です。
ハイライトであるアウシュヴィッツは明日行くので、
今日はハンガリーから乗った欧州初の夜行列車とヴィエリチカについて、どうぞ。
ハンガリーからポーランドへは、近いようで遠い。
というのも、スロヴァキアを挟んでいるものの、
ブダペストとクラクフまでの距離は、たった300㎞弱。
なのに直行便であったのは、列車が夜行1便(毎日)に、バスは朝発週2便だけ。
どちらも観光客に人気の都市なので、もっと容易にアクセスできると思ったのだが・・・
もちろん、鈍行を乗り継いだりすればもっとあるのだろうが、かなりの貧弱っぷり。
値段的にはバスの方が列車の半額と安く、なおかつ早いのだが、
水曜と土曜しか運行がないため、僕の予定とは合わず。
※料金 / 列車 2等クシェット 10,820Ft / バス 3,900~4,500Ft
結局、夜行列車で行くことにした。
そういえば、欧州で夜行列車に乗るのは人生で初めてだ。
ちょっとウキウキ

ということで、ブダペスト東駅(keleti) 19:58発の列車に乗り込む。
東駅は、外観もさることながら、内装もなかなか。
これぞ欧州の駅って感じ。

外観

構内

駅にまでチェス盤・・・どんだけ好きなんだ??

列車内から見たプラットフォーム
列車内のクシェット(簡易ベッド)はこんな感じ。

3段ベッド×2
3段ベッドの位置はチケット購入時に指定できるので、僕は一番上を選択。
上を選んだ理由は、貴重品管理が楽だから。
それに、足元には荷物を置くスペース(扉の上の部分)があり、なにかと便利。
ちょっと上り下りがめんどいけどね。
ハンガリーからポーランドは、スロヴェキアを含め、すべてシェンゲン条約内なので、
パスポートチェックがないのが、非常に嬉しい。
夜行列車は大体深夜に国境を越えるので、チェックがあるとそれ毎に起きなければならない。
今回の列車ではさらに、クラクフ駅到着の20分前には、車掌さんが起こしにきてくれたりと、
非常にホスピタリティに溢れた快適な旅だった。

列車内で予習した『シンドラーのリスト』
クラクフには30分遅れの6時半に到着。

宿で少し休息をとってから、さっそく観光へ。
メインのアウシュヴィッツは明日行くので、今日はもう一つの見所・ヴィエリチカへ。
ポーランド南部の街・クラクフは、近郊に3つの世界遺産がある、世界的にも珍しい街。
その3つとは、①クラクフの旧市街、②アウシュヴィッツ、③ヴィエリチカである。
今日訪れたヴィエリチカは、クラクフの南東15㎞に位置する小さな町。
この町の地下には500年以上も稼動した大規模な岩塩採掘場があり、
内部はガイド付きツアーでまわることができる。
採掘場の全長は300㎞に及び、地下300mもの深さまで坑道が続く。
ツアーではそのほんの一部を見学するのだが、それでも3時間近くかかる長時間ツアー。
途中途中に見られる坑道や巨大な空間、地底湖はどれも見ごたえ十分。
特に、有名な礼拝堂は圧巻だった。

まずは地下60mまで階段で移動

下が見えない・・・

パズーが出てきそうな坑道

内部はツアーでまわる

まるで迷宮のような内部

有名な礼拝堂

礼拝堂内の彫刻壁画・最後の晩餐

地底湖

ここヴィエリチカは、78年の第1回世界遺産登録に選出されたうちの1つ

帰りの上りはエレベータで。所要45秒。
さて、明日はいよいよアウシュヴィッツ。
イスラエル・エジプトから続いたユダヤ人の軌跡を巡る旅もいよいよラスト。
五感をフル活用して、色々なものを感じてきます!!
≪ヴィエリチカへのアクセス≫
クラクフからバス・電車共に頻発。どちらも便利。
バスは旧市街北にあるマテイキ広場奥の道から乗車、所要30分、1時間に2~3本、3zt。
列車はクラクフ本駅から乗車、所要25分、1時間に1~2本、2.5zt。
採掘場まではバス停(終点のちょっと手前)の方が近い。
最寄のバス停からは徒歩1分、電車の駅からは徒歩10分。
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ハンガリーの魅力 ~温泉とワインに浸る~
① “温泉”
なぜだろう。
この2文字を見ただけで心が躍り、行きたくてたまらなくなる。
僕にとっては、やめたくてもやめられない、麻薬みたいなものだ(笑)
もちろん、海外では日本の温泉を期待してはいけないが、
ここブダペストの温泉は、水温・施設共になかなかのもの。
ブダペストには数十の温泉施設があるが、僕は今回チェス盤で有名なセーチェニ温泉へ。

黄色の建物がまぶしい屋外プール

入浴料はロッカーの使用料込みで、3100Ft≒1240円(平日価格)
中のプールは大きく分けて3つに分かれており、
奥から38℃の熱めのプール、遊泳用のプール、流れるプールや泡風呂のあるやや冷たいプールとなっている。
有名なチェスのできる場所は38℃のところにあるが、個人で盤を持ってこなければならないため、
閑散時間の平日午前中に行ってしまった今回は、チェスを興じるおっちゃんをみることはできなかった。
そのほか、温度の違うサウナが奥の建物の中がある。

プールから

ボコボコ
最初、1時間もいれば十分かと思ったが、なんだかんだで2時間以上もゆっくりしてしまった。
やっぱり日本人なら『温泉』ですね!!

背泳ぎでまったり中の僕。盗撮された(笑)
② “ワイン”
ハンガリーで有名な食材といえば、フォアグラとワイン。
フォアグラは先日の記事で少し触れたが、1kg4000Ft(約1600円)で買えてしまう。
はっきり言ってバカ安。
先日の写真は宿で作った時に撮った写真だが、マジうま~でした。
フォアグラのほかに忘れてはいけないのが、ワイン。
かのルイ14世に “王のためのワインにして、ワインの中の王” と言わしめ、
ファイナルファンタジーのエリクサーのモデルでもある、トカイワインを始め上質なワインを生産している。
今回は、赤ワインで有名なエゲルという街に行ってきた。
エゲル地方では“雄牛の血”の別名を持つエグリ・ビカヴェールなど、多くのワインが作られている。
エゲルの郊外の『美女の谷』には、50以上のワイナリーが軒を連ね、
各ワイナリーが自慢のワインでもてなしてくれる。
まさに、のん兵衛にはたまらない場所




美女の谷

軒を連ねるワイナリー




ワイナリーでは、試飲や購入はもちろん、その場でグラスワインを買って飲むことも出来る。
しかも、そのグラスワインがまた安い。
品種だけを指定するハウスワインなら80~100Ft(32~40円)。
ミディアムの赤、スウィートの赤、ドライの赤、ドライの白、スウィートの白、ロゼ・・・
ほんと、よく飲みました(笑)




ワインの購入の仕方は、ボトルもしくはペットボトルがあり、
地元の人々は、5Lのでっかいボトルに詰めてもらっていた。
こんな天国のような場所が地元にあるなんて、うらやましい限りである。
ということで、もちろん僕も購入。

ほろ酔いにより、目がイッテいたため目線挿入
2,2Lで、お値段1200Ft(ボトル代込)。
驚愕の値段です。
全世界のアル中、のん兵衛のみなさん。
みんなでエゲルに行こう!!
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絶景・ブダペストの夜景
正直、ブダペストを初日に観光したとき・・・
景色に感動しなかった。
ドナウ川・・・汚い。
街の景色・・・殺風景。
国会議事堂はたしかに凄いけど、王宮は微妙・・・。
といった感じ(笑)
でも、夜になるとその風景は、がらりと変わる。
ブダペストは、ぜひ夜に街歩きをすることをおススメします。
夏は21時にならないと、暗くなりませんが・・・
≪自由橋≫



≪ゲッレールトの丘からの景色≫



≪くさり橋≫







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