6カ国協議:「米朝中心」際立つ 4カ国承認役に
【北京・笠原敏彦、西岡省二】約4カ月ぶりに再開した北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議は、米国と北朝鮮の2国間で主な交渉が進み、日中韓露の4カ国がそれを支える「米朝プラス4カ国」の構図を鮮明にしている。この流れは、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の北朝鮮資金返還問題という2国間問題の解決に向けて米国が譲歩を重ねる中で定着した。米朝中心を象徴するかのように、ロシア代表が夏休みで欠席する中で協議は始まった。
外交の倫理的側面を重視してきたブッシュ米政権は、金正日(キムジョンイル)政権との直接交渉を忌避してきたが、今年1月の米朝ベルリン会談で明確に方針を転換。この会談が6カ国協議の2月合意、北朝鮮の核施設稼働停止など初期段階措置履行を導いただけに、ある協議筋は「米朝交渉がいかに効果的か証明された。米朝を他の4カ国で支えるのが望ましい」と指摘する。
米朝中心の構図は、米国を直接交渉に引きずり込もうとしてきた北朝鮮の戦術が功を奏した形だ。特に6カ国協議とは本来無関係のBDA問題を同協議とリンクさせ、米国がその要求に応じて問題を解決し、さらにヒル国務次官補が6月に初訪朝まで行ったことは、6カ国協議における米朝対話の比重を一気に高める効果を生んだ。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、金桂冠(キムゲグァン)外務次官らが平壌を出発する際の報道で「朝米会談と6カ国協議の団長会談に参加する」と表現した。実際、ヒル次官補と金次官の米朝首席代表が17日の北京到着直後から相互の大使館を訪問して断続的に2国間協議を開いたことは、米朝中心で協議が進む流れを浮き彫りにした。
今後の焦点である「核施設の無能力化」「核開発計画の完全申告」などの第2段階措置でも、まず米朝が交渉で大枠の合意を目指し、その結果を6カ国協議で承認する形で進むと見られる。
今協議では露首席代表のロシュコフ外務次官が欠席し、ラフマニン特命大使が代役を果たしている。夏休みが理由の異例の欠席は、「米朝中心」で進む協議の現状を反映したものと言えそうだ。
毎日新聞 2007年7月18日 22時10分
6カ国協議:「米朝中心」際立つ 4カ国承認役に-アフリカ・オセアニア:MSN毎日インタラクティブ
北朝鮮:核爆弾製造工程、寧辺に 訪朝IAEAが確認

【ウィーン会川晴之】北朝鮮が核弾頭などに使用する特殊なプルトニウムの製造工程を寧辺(ニョンビョン)の「放射化学研究所」(核燃料再処理施設)に設置していたことが18日わかった。国際原子力機関(IAEA)筋が毎日新聞に明らかにした。北朝鮮の核兵器製造施設の一部が判明したのは初めて。ただ、核兵器の組み立て施設や保管場所は依然、不明のまま。18日午後に北京で始まる6カ国協議首席代表会合で話し合う予定の「核計画の完全申告」の具体的な中身が、今後の焦点となる。
IAEA筋によると、ハイノネン事務次長(査察担当)ら代表団が6月下旬、寧辺の核燃料再処理施設を視察した際、北朝鮮当局者が核爆弾に使う特殊なプルトニウムの製造工程を初めて示した。使用済み核燃料を再処理して抽出した酸化プルトニウムを、核弾頭などに使う金属プルトニウムへ転換する設備だった。作業員の被ばくを防ぐグローブボックス内にあったという。
再処理施設内で金属プルトニウムの製造工程が見つかったことについて、核兵器製造に詳しい英国の「検証調査訓練情報センター(VERTIC)」のペルスボ研究員は「プルトニウムは極めて取り扱いが難しい物質。安全性と経済性を考慮すれば、再処理施設内に金属プルトニウム製造工程を設置するのが合理的」と分析している。
米中央情報局(CIA)などによると、北朝鮮は寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉の北側にある丘陵地帯などで、核兵器の起爆装置実験を繰り返し実施している。金属プルトニウムの製造施設の存在が寧辺で確認されたことで、核兵器の組み立て施設なども寧辺の核複合施設に存在する可能性が高まった。
毎日新聞 2007年7月18日 15時00分
北朝鮮:核爆弾製造工程、寧辺に 訪朝IAEAが確認-アジア:MSN毎日インタラクティブ
北朝鮮:核爆弾製造工程の公開、交渉力強化が狙いか
【ウィーン会川晴之】北朝鮮当局が国際原子力機関(IAEA)に核爆弾の製造工程の一部を公開したのは、今後の6カ国協議の焦点になる「核計画の完全申告」や「核施設の無能力化」に関する議論で、交渉力を強化しようとする狙いからとみられる。
北朝鮮はこれまでにも緊張を高めながら瀬戸際外交を展開してきた。査察をめぐりIAEAとの対立が深まった93年3月には核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言。94年10月には核計画の全面凍結の見返りとして、日米韓から軽水炉2基(その後建設中止)を得る「取引」の合意に成功した。
2度目のNPT脱退表明(03年1月)直後の米朝非公式折衝では、核兵器保有の可能性を示唆。03年8月の第1回6カ国協議でも、北朝鮮は「圧力を加え続ければ、核実験に踏み切る」との考えを示し、06年10月にはそれを実行した。
金属プルトニウムをめぐっては、6カ国協議が停滞中の04年1月に訪朝した米科学者らを前に、北朝鮮当局者が木箱の中からガラス瓶入りの金属プルトニウムを取り出し「我々は抑止力を持っている」と主張した経緯もある。
IAEA筋によると、6月下旬に訪朝したIAEA実務代表団は、核廃棄物貯蔵施設の視察も許可された。ただ、代表団は核廃棄物の数量を確認したいと申し出たが、北朝鮮側は「それは『次の段階』で話し合うことだ」と要求を拒否、今後の取引材料の切り札とする意向を示している。
北朝鮮は6カ国協議の合意に基づく「初期段階措置」として核施設の稼働を停止した。合意を履行する姿勢を示すものの、「核計画の完全申告」「核施設の無能力化」など「第2段階措置」への取り組みは不透明だ。
IAEAに金属プルトニウム製造工程を示したことで、改めて核兵器製造能力を誇示し、6カ国協議を優位に運ぼうとの狙いが浮かび上がる。
毎日新聞 2007年7月18日 15時00分
北朝鮮:核爆弾製造工程の公開、交渉力強化が狙いか-アジア:MSN毎日インタラクティブ